57 / 71
第57話 穢れを纏う闇
しおりを挟む
私は玉座の間から出るべく、扉に向かって全力で走る。
そうして一歩、玉座の間から出た私はくるっと身体を反転させると、覚えたての光攻撃魔法の呪文を詠唱する。
『我が力の源よ 我が手に集いて 輝ける光の槍となれ ルクス・クリス!!』
私は玉座の間の中にいる闇のモノへ魔法を放つ。
もしかして玉座の間に入ると魔法が無効化されるかも、と思ったけれど、トルスティ大司教を取り込んだ闇のモノに、私の魔法が無事直撃する。
私が放った光の槍は威力を落とすこと無く闇のモノに刺さり、その身体を大きく抉り取った。
市場で闇のモノに襲われた時、何も出来なかったことが悔しくて、私はその悔しさをバネに光属性の攻撃魔法を必死で覚えたのだ。
私が放った魔法は肩らしき場所を大きく抉るけれど、驚異の再生力でみるみるうちに元の姿へ戻ってしまう。
攻撃は効かなかったけれど、玉座の間の外からの攻撃が有効だとわかっただけで成功だ。
(闇のモノを玉座の間から引きずり出さなくても、外から魔法を放てば攻撃は通用するんだ!!)
魔法の攻撃を受けたことで、闇のモノが私の存在に気付き、こちらに顔を向けると「……コノ、小娘ガァアアアアアッ!!」と叫んだ。
「嘘っ!! 喋った?!」
闇のモノが人語を喋るとは思わなかった私はめちゃくちゃ驚いた。
その聞き覚えがある声に、もしかするとまだ闇のモノは完全にトルスティ大司教と同化出来ていないのかもしれない、と思う。
(じゃあ、もしかして完全に同化してしまうと、<穢れを纏う闇>に──?!)
思わず最悪な想像をしてしまい、ぶるっと身体が強張ってしまう。
「サラっ!! 逃げてっ!!」
「バカ何してんだっ!! とっとと逃げろっ!!」
エルとお爺ちゃんが私に向かって走ってくる。
その後を騎士団の人達が追いかけているのを見て、私が伝えたかったことに気付いてくれたのだと理解する。
『我が力の源よ 我が手に集いて 輝ける光の弓となれ ルクス・アルクス!!』
エル達が逃げろと言うのも構わず、私は光魔法で攻撃を続ける。
せめて皆んなが玉座の間から出てくるまで、時間稼ぎをしようと思ったのだ。
「オノレ……オノレェェェエエエ!!」
光り輝く弓矢に射抜かれた闇のモノが怨恨の声を上げ、その叫びに呼応するかのように邪悪な気配が爆発的に膨れ上がり、玉座の間に瘴気が溢れていく。
既の所で瘴気から逃れ、お爺ちゃん達が玉座の間から脱出する。
あとちょっとでも脱出が遅れていたら、瘴気に囚われて闇のモノに飲み込まれていたかもしれない。
闇のモノの身体は更に歪に変貌を遂げ、禍々しい瘴気が闇のモノを中心に渦巻いている。
「完全に同化する前に倒すぞっ!! 全員魔法をぶち込めっ!!」
「「「「「はいっ!!」」」」」
お爺ちゃんの命令にエルや騎士団の人達が、それぞれが持つ属性の魔法を詠唱する。
『──天駆ける蒼穹となり驕りし者を撃滅せよ ウェントゥス・アルクス!』
『──猛る灼熱の炎となり全てを燃やし尽くせ イグニス・インフラマラエ!』
『──流転する水の槍となりかの敵を穿て リクオル・クリス!』
『──大地を揺さぶる石巌となり万物を砕け ウェルテクス・グランス!』
『──昏き深淵の刃となり全てを切り裂け オプスクーリタース・ラーミナ!』
『──眩き光の剣となり悪しき者を斬り刻め ラディウス・グラディオス!』
あっという間に魔力を練り上げ、呪文を完成させる手際の良さに、思わず惚れ惚れしてしまう。
そして、それぞれの属性の色を放ちながら、六属性の魔力が闇のモノへと襲いかかる。
「──!? ……!! ……──!!!」
声にならない絶叫に、攻撃が効いている手応えを感じる。
市場の時の闇のモノにも効いていたし、間違いなく浄化の効果は出ているようだ。
「や、やったか……?」
「瘴気の増加が止まった……?」
「……俺、もう魔力がほとんど残ってないんだけど」
騎士団の人達が闇のモノの様子を窺っているけれど、フラグを立てるのはやめて欲しい。
攻撃が終わり、充満していた瘴気が少しずつ晴れていく。
瘴気が無くなった玉座の間の中を改めて見ると、大理石でできた壁や床、柱のあちこちにヒビが入っている。
抉れているところも沢山あって、豪華絢爛だった内装は見るも無残な状態となってしまった。
(……あちゃー。これは元に戻すの大変だろうなぁ……)
そんな瓦礫まみれの玉座の間の真ん中あたりに、人間ほどの大きさの黒い塊が残っていた。
部屋の外からはよくわからないけれど、もしかしたら闇のモノに飲み込まれていたトルスティ大司教の亡骸かもしれない。
黒い塊を放置できないので、お爺ちゃんとエルが騎士団の人達を伴い、確認をするために玉座の間へ入ることになった。
「……後始末してきますから、サラはここで待っていて下さいね」
「う、うん」
トルスティ大司教の亡骸が気になるけれど、エルに釘を差されてしまい、ここは大人しく従った方が良いな、と思った私は扉の影に隠れて様子を窺うことにする。
黒い塊はやはり亡骸のようで、生命の気配は全く感じられない。
それでも念の為、お爺ちゃんが黒い塊に近付き、中心に向かって剣を突き立てた。
”パキィイイイン!!”
「「「「「──っ?!」」」」」
剣が床に当たった音ではない、ガラスのようなものが割れる音に全員が驚愕する。
「伏せろっ!!!!」
お爺ちゃんが叫び、全員に命令するけれど、逃げるより先にトルスティ大司教の亡骸から、膨大で濃密な瘴気が爆発するかのように溢れ出した。
「ぐがあっ!!」
「がふっ!!」
「うわぁあああ!!」
お爺ちゃんの声に反応が一瞬遅れた騎士団の人達が、瘴気をモロに浴びて吹き飛ばされてしまう。
さっきまで戦っていた闇のモノなんかとは比べ物にならないほどの重圧──!!
そんな悍ましい存在に、心の奥底から恐怖が込み上げてきて全身の血管が凍ってしまいそうだ。
「……くそがぁっ!! やりやがったなっ!! あいつ──っ!!」
お爺ちゃんの言葉に、トルスティ大司教が仕込んでいた闇のモノがまだ残っていたのだと理解する。
さっきの闇のモノもどんどん強くなって行ったから、てっきりアレが<穢れを纏う闇>だと思っていたのに……。離れていても感じるプレッシャーに息が苦しくなって、まるで生きた心地がしない。
(これが、本当の<穢れを纏う闇>……?! こんなの、どうやって倒せばいいの?!)
私は<穢れを纏う闇>が最凶の厄災だと評される理由を魂レベルで理解した。これはもう人の手には負えないものだ。
瘴気の大爆発から直撃は逃れたお爺ちゃんとエルだけれど、<穢れを纏う闇>の攻撃から身を守るのが精一杯らしく、玉座の間から脱出出来るほどの体力も残っていないようだった。
それでも<穢れを纏う闇>を前にしてまだ生きていられることが、まるで奇跡のように感じてしまう。
皆んなが魔法さえ使えたら<穢れを纏う闇>であっても浄化できたのに、と思うと悔しくなる。
次々と団員さん達が倒れていき、このままだと全滅すると思った時、私の後ろから何人もの人達が走る音が聞こえてきた。
「殿下!! 団長!! ご無事ですか?!」
玉座の間以外で警備していた騎士団の人達が、異変に気づいて駆けつけてくれたらしい。その手にはいくつもの箱を持っている。
「ありったけの<聖水>を持ってきました!!」
「でかした!! どんどんアイツに投げろっ!!」
「「「「「はいっ!!!」」」」」
お爺ちゃんから命令された騎士団の人達が次々と<穢れを纏う闇>に<聖水>を投げつける。
「??!! ──────!!!!!!」
お爺ちゃんの持つ<熾天>と同じように、聖属性を付与された<聖水>を浴びた<穢れを纏う闇>は、徐々に弱体化していく。
(今度こそ、お願い──!!!)
私は今度こそ、この戦いが終わりますように、と必死に祈る。
だけど、ついに<聖水>は残り数本となってしまう。何十本と<聖水>を浴びせたにもかかわらず、まだ消滅には至らない。
一晩で三つの村を全滅させるという<穢れを纏う闇>の力は、想像より遥かに強かったのだ。
「──くっ!! 殿下、ヴィクトル!! 外からもう一度魔法をっ!!」
騎士団の中でも闇と光属性はエルとヴィクトルさんしかいないけれど、駆けつけてくれた団員さん達を合わせると、もう一度六属性の浄化魔法が打てる──とお爺ちゃんは考えたようだ。
「「はいっ!!!」」
最後の力を振り絞り、エルとヴィクトルさんが扉に向かって疾走する。
そんな二人に気付いたのか、<穢れを纏う闇>がエル達の背中目掛けて瘴気を纏った大量の触手を放出した。
「させるかっ!!」
お爺ちゃんが触手を次々と切り落とすけれど、流石に数が多すぎて、何本かの触手を打ち漏らしてしまう。
「──!! しまっ──!!」
瘴気に穢れた触手がエルを貫こうとした瞬間──思わず私はエルを庇うように飛び出していた。
「──っ?! サラっ!!!」
すぐそばで、私の名前を呼んだエルの声が、私に残された最後の記憶だった。
そうして一歩、玉座の間から出た私はくるっと身体を反転させると、覚えたての光攻撃魔法の呪文を詠唱する。
『我が力の源よ 我が手に集いて 輝ける光の槍となれ ルクス・クリス!!』
私は玉座の間の中にいる闇のモノへ魔法を放つ。
もしかして玉座の間に入ると魔法が無効化されるかも、と思ったけれど、トルスティ大司教を取り込んだ闇のモノに、私の魔法が無事直撃する。
私が放った光の槍は威力を落とすこと無く闇のモノに刺さり、その身体を大きく抉り取った。
市場で闇のモノに襲われた時、何も出来なかったことが悔しくて、私はその悔しさをバネに光属性の攻撃魔法を必死で覚えたのだ。
私が放った魔法は肩らしき場所を大きく抉るけれど、驚異の再生力でみるみるうちに元の姿へ戻ってしまう。
攻撃は効かなかったけれど、玉座の間の外からの攻撃が有効だとわかっただけで成功だ。
(闇のモノを玉座の間から引きずり出さなくても、外から魔法を放てば攻撃は通用するんだ!!)
魔法の攻撃を受けたことで、闇のモノが私の存在に気付き、こちらに顔を向けると「……コノ、小娘ガァアアアアアッ!!」と叫んだ。
「嘘っ!! 喋った?!」
闇のモノが人語を喋るとは思わなかった私はめちゃくちゃ驚いた。
その聞き覚えがある声に、もしかするとまだ闇のモノは完全にトルスティ大司教と同化出来ていないのかもしれない、と思う。
(じゃあ、もしかして完全に同化してしまうと、<穢れを纏う闇>に──?!)
思わず最悪な想像をしてしまい、ぶるっと身体が強張ってしまう。
「サラっ!! 逃げてっ!!」
「バカ何してんだっ!! とっとと逃げろっ!!」
エルとお爺ちゃんが私に向かって走ってくる。
その後を騎士団の人達が追いかけているのを見て、私が伝えたかったことに気付いてくれたのだと理解する。
『我が力の源よ 我が手に集いて 輝ける光の弓となれ ルクス・アルクス!!』
エル達が逃げろと言うのも構わず、私は光魔法で攻撃を続ける。
せめて皆んなが玉座の間から出てくるまで、時間稼ぎをしようと思ったのだ。
「オノレ……オノレェェェエエエ!!」
光り輝く弓矢に射抜かれた闇のモノが怨恨の声を上げ、その叫びに呼応するかのように邪悪な気配が爆発的に膨れ上がり、玉座の間に瘴気が溢れていく。
既の所で瘴気から逃れ、お爺ちゃん達が玉座の間から脱出する。
あとちょっとでも脱出が遅れていたら、瘴気に囚われて闇のモノに飲み込まれていたかもしれない。
闇のモノの身体は更に歪に変貌を遂げ、禍々しい瘴気が闇のモノを中心に渦巻いている。
「完全に同化する前に倒すぞっ!! 全員魔法をぶち込めっ!!」
「「「「「はいっ!!」」」」」
お爺ちゃんの命令にエルや騎士団の人達が、それぞれが持つ属性の魔法を詠唱する。
『──天駆ける蒼穹となり驕りし者を撃滅せよ ウェントゥス・アルクス!』
『──猛る灼熱の炎となり全てを燃やし尽くせ イグニス・インフラマラエ!』
『──流転する水の槍となりかの敵を穿て リクオル・クリス!』
『──大地を揺さぶる石巌となり万物を砕け ウェルテクス・グランス!』
『──昏き深淵の刃となり全てを切り裂け オプスクーリタース・ラーミナ!』
『──眩き光の剣となり悪しき者を斬り刻め ラディウス・グラディオス!』
あっという間に魔力を練り上げ、呪文を完成させる手際の良さに、思わず惚れ惚れしてしまう。
そして、それぞれの属性の色を放ちながら、六属性の魔力が闇のモノへと襲いかかる。
「──!? ……!! ……──!!!」
声にならない絶叫に、攻撃が効いている手応えを感じる。
市場の時の闇のモノにも効いていたし、間違いなく浄化の効果は出ているようだ。
「や、やったか……?」
「瘴気の増加が止まった……?」
「……俺、もう魔力がほとんど残ってないんだけど」
騎士団の人達が闇のモノの様子を窺っているけれど、フラグを立てるのはやめて欲しい。
攻撃が終わり、充満していた瘴気が少しずつ晴れていく。
瘴気が無くなった玉座の間の中を改めて見ると、大理石でできた壁や床、柱のあちこちにヒビが入っている。
抉れているところも沢山あって、豪華絢爛だった内装は見るも無残な状態となってしまった。
(……あちゃー。これは元に戻すの大変だろうなぁ……)
そんな瓦礫まみれの玉座の間の真ん中あたりに、人間ほどの大きさの黒い塊が残っていた。
部屋の外からはよくわからないけれど、もしかしたら闇のモノに飲み込まれていたトルスティ大司教の亡骸かもしれない。
黒い塊を放置できないので、お爺ちゃんとエルが騎士団の人達を伴い、確認をするために玉座の間へ入ることになった。
「……後始末してきますから、サラはここで待っていて下さいね」
「う、うん」
トルスティ大司教の亡骸が気になるけれど、エルに釘を差されてしまい、ここは大人しく従った方が良いな、と思った私は扉の影に隠れて様子を窺うことにする。
黒い塊はやはり亡骸のようで、生命の気配は全く感じられない。
それでも念の為、お爺ちゃんが黒い塊に近付き、中心に向かって剣を突き立てた。
”パキィイイイン!!”
「「「「「──っ?!」」」」」
剣が床に当たった音ではない、ガラスのようなものが割れる音に全員が驚愕する。
「伏せろっ!!!!」
お爺ちゃんが叫び、全員に命令するけれど、逃げるより先にトルスティ大司教の亡骸から、膨大で濃密な瘴気が爆発するかのように溢れ出した。
「ぐがあっ!!」
「がふっ!!」
「うわぁあああ!!」
お爺ちゃんの声に反応が一瞬遅れた騎士団の人達が、瘴気をモロに浴びて吹き飛ばされてしまう。
さっきまで戦っていた闇のモノなんかとは比べ物にならないほどの重圧──!!
そんな悍ましい存在に、心の奥底から恐怖が込み上げてきて全身の血管が凍ってしまいそうだ。
「……くそがぁっ!! やりやがったなっ!! あいつ──っ!!」
お爺ちゃんの言葉に、トルスティ大司教が仕込んでいた闇のモノがまだ残っていたのだと理解する。
さっきの闇のモノもどんどん強くなって行ったから、てっきりアレが<穢れを纏う闇>だと思っていたのに……。離れていても感じるプレッシャーに息が苦しくなって、まるで生きた心地がしない。
(これが、本当の<穢れを纏う闇>……?! こんなの、どうやって倒せばいいの?!)
私は<穢れを纏う闇>が最凶の厄災だと評される理由を魂レベルで理解した。これはもう人の手には負えないものだ。
瘴気の大爆発から直撃は逃れたお爺ちゃんとエルだけれど、<穢れを纏う闇>の攻撃から身を守るのが精一杯らしく、玉座の間から脱出出来るほどの体力も残っていないようだった。
それでも<穢れを纏う闇>を前にしてまだ生きていられることが、まるで奇跡のように感じてしまう。
皆んなが魔法さえ使えたら<穢れを纏う闇>であっても浄化できたのに、と思うと悔しくなる。
次々と団員さん達が倒れていき、このままだと全滅すると思った時、私の後ろから何人もの人達が走る音が聞こえてきた。
「殿下!! 団長!! ご無事ですか?!」
玉座の間以外で警備していた騎士団の人達が、異変に気づいて駆けつけてくれたらしい。その手にはいくつもの箱を持っている。
「ありったけの<聖水>を持ってきました!!」
「でかした!! どんどんアイツに投げろっ!!」
「「「「「はいっ!!!」」」」」
お爺ちゃんから命令された騎士団の人達が次々と<穢れを纏う闇>に<聖水>を投げつける。
「??!! ──────!!!!!!」
お爺ちゃんの持つ<熾天>と同じように、聖属性を付与された<聖水>を浴びた<穢れを纏う闇>は、徐々に弱体化していく。
(今度こそ、お願い──!!!)
私は今度こそ、この戦いが終わりますように、と必死に祈る。
だけど、ついに<聖水>は残り数本となってしまう。何十本と<聖水>を浴びせたにもかかわらず、まだ消滅には至らない。
一晩で三つの村を全滅させるという<穢れを纏う闇>の力は、想像より遥かに強かったのだ。
「──くっ!! 殿下、ヴィクトル!! 外からもう一度魔法をっ!!」
騎士団の中でも闇と光属性はエルとヴィクトルさんしかいないけれど、駆けつけてくれた団員さん達を合わせると、もう一度六属性の浄化魔法が打てる──とお爺ちゃんは考えたようだ。
「「はいっ!!!」」
最後の力を振り絞り、エルとヴィクトルさんが扉に向かって疾走する。
そんな二人に気付いたのか、<穢れを纏う闇>がエル達の背中目掛けて瘴気を纏った大量の触手を放出した。
「させるかっ!!」
お爺ちゃんが触手を次々と切り落とすけれど、流石に数が多すぎて、何本かの触手を打ち漏らしてしまう。
「──!! しまっ──!!」
瘴気に穢れた触手がエルを貫こうとした瞬間──思わず私はエルを庇うように飛び出していた。
「──っ?! サラっ!!!」
すぐそばで、私の名前を呼んだエルの声が、私に残された最後の記憶だった。
0
お気に入りに追加
170
あなたにおすすめの小説
婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです
青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています
チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。
しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。
婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。
さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。
失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。
目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。
二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。
一方、義妹は仕事でミスばかり。
闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。
挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。
※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます!
※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。
聖女を騙った少女は、二度目の生を自由に生きる
夕立悠理
恋愛
ある日、聖女として異世界に召喚された美香。その国は、魔物と戦っているらしく、兵士たちを励まして欲しいと頼まれた。しかし、徐々に戦況もよくなってきたところで、魔法の力をもった本物の『聖女』様が現れてしまい、美香は、聖女を騙った罪で、処刑される。
しかし、ギロチンの刃が落とされた瞬間、時間が巻き戻り、美香が召喚された時に戻り、美香は二度目の生を得る。美香は今度は魔物の元へ行き、自由に生きることにすると、かつては敵だったはずの魔王に溺愛される。
しかし、なぜか、美香を見捨てたはずの護衛も執着してきて――。
※小説家になろう様にも投稿しています
※感想をいただけると、とても嬉しいです
※著作権は放棄してません
ふしだらな悪役令嬢として公開処刑される直前に聖女覚醒、婚約破棄の破棄?ご冗談でしょ(笑)
青の雀
恋愛
病弱な公爵令嬢ビクトリアは、卒業式の日にロバート王太子殿下から婚約破棄されてしまう。病弱なためあまり学園に行っていなかったことを男と浮気していたせいだ。おまけに王太子の浮気相手の令嬢を虐めていたとさえも、と勝手に冤罪を吹っかけられ、断罪されてしまいます。
父のストロベリー公爵は、王家に冤罪だと掛け合うものの、公開処刑の日時が決まる。
断頭台に引きずり出されたビクトリアは、最後に神に祈りを捧げます。
ビクトリアの身体から突然、黄金色の光が放たれ、苛立っていた観衆は穏やかな気持ちに変わっていく。
慌てた王家は、処刑を取りやめにするが……という話にする予定です。
お気づきになられている方もいらっしゃるかと存じますが
この小説は、同じ世界観で
1.みなしごだからと婚約破棄された聖女は実は女神の化身だった件について
2.婚約破棄された悪役令嬢は女神様!? 開国の祖を追放した国は滅びの道まっしぐら
3.転生者のヒロインを虐めた悪役令嬢は聖女様!? 国外追放の罪を許してやるからと言っても後の祭りです。
全部、話として続いています。ひとつずつ読んでいただいても、わかるようにはしています。
続編というのか?スピンオフというのかは、わかりません。
本来は、章として区切るべきだったとは、思います。
コンテンツを分けずに章として連載することにしました。
三年目の離縁、「白い結婚」を申し立てます! 幼な妻のたった一度の反撃
紫月 由良
恋愛
【書籍化】5月30日発行されました。イラストは天城望先生です。
【本編】十三歳で政略のために婚姻を結んだエミリアは、夫に顧みられない日々を過ごす。夫の好みは肉感的で色香漂う大人の女性。子供のエミリアはお呼びではなかった。ある日、参加した夜会で、夫が愛人に対して、妻を襲わせた上でそれを浮気とし家から追い出すと、楽しそうに言ってるのを聞いてしまう。エミリアは孤児院への慰問や教会への寄付で培った人脈を味方に、婚姻無効を申し立て、夫の非を詳らかにする。従順(見かけだけ)妻の、夫への最初で最後の反撃に出る。
お飾りの側妃ですね?わかりました。どうぞ私のことは放っといてください!
水川サキ
恋愛
クオーツ伯爵家の長女アクアは17歳のとき、王宮に側妃として迎えられる。
シルバークリス王国の新しい王シエルは戦闘能力がずば抜けており、戦の神(野蛮な王)と呼ばれている男。
緊張しながら迎えた謁見の日。
シエルから言われた。
「俺がお前を愛することはない」
ああ、そうですか。
結構です。
白い結婚大歓迎!
私もあなたを愛するつもりなど毛頭ありません。
私はただ王宮でひっそり楽しく過ごしたいだけなのです。
【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!
楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。
(リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……)
遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──!
(かわいい、好きです、愛してます)
(誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?)
二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない!
ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。
(まさか。もしかして、心の声が聞こえている?)
リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる?
二人の恋の結末はどうなっちゃうの?!
心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。
✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。
✳︎小説家になろうにも投稿しています♪
追放された薬師は騎士と王子に溺愛される 薬を作るしか能がないのに、騎士団の皆さんが離してくれません!
沙寺絃
ファンタジー
唯一の肉親の母と死に別れ、田舎から王都にやってきて2年半。これまで薬師としてパーティーに尽くしてきた16歳の少女リゼットは、ある日突然追放を言い渡される。
「リゼット、お前はクビだ。お前がいるせいで俺たちはSランクパーティーになれないんだ。明日から俺たちに近付くんじゃないぞ、このお荷物が!」
Sランクパーティーを目指す仲間から、薬作りしかできないリゼットは疫病神扱いされ追放されてしまう。
さらにタイミングの悪いことに、下宿先の宿代が値上がりする。節約の為ダンジョンへ採取に出ると、魔物討伐任務中の王国騎士団と出くわした。
毒を受けた騎士団はリゼットの作る解毒薬に助けられる。そして最新の解析装置によると、リゼットは冒険者としてはFランクだが【調合師】としてはSSSランクだったと判明。騎士団はリゼットに感謝して、専属薬師として雇うことに決める。
騎士団で認められ、才能を開花させていくリゼット。一方でリゼットを追放したパーティーでは、クエストが失敗続き。連携も取りにくくなり、雲行きが怪しくなり始めていた――。
「お前を愛するつもりはない」な仮面の騎士様と結婚しました~でも白い結婚のはずなのに溺愛してきます!~
卯月ミント
恋愛
「お前を愛するつもりはない」
絵を描くのが趣味の侯爵令嬢ソールーナは、仮面の英雄騎士リュクレスと結婚した。
だが初夜で「お前を愛するつもりはない」なんて言われてしまい……。
ソールーナだって好きでもないのにした結婚である。二人はお互いカタチだけの夫婦となろう、とその夜は取り決めたのだが。
なのに「キスしないと出られない部屋」に閉じ込められて!?
「目を閉じてくれるか?」「えっ?」「仮面とるから……」
書き溜めがある内は、1日1~話更新します
それ以降の更新は、ある程度書き溜めてからの投稿となります
*仮面の俺様ナルシスト騎士×絵描き熱中令嬢の溺愛ラブコメです。
*ゆるふわ異世界ファンタジー設定です。
*コメディ強めです。
*hotランキング14位行きました!お読みいただき&お気に入り登録していただきまして、本当にありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる