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第19話 顕現
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「……っ!? 結界が侵食されて行く……っ!? くそっ!! 駄目だ、持たん!!」
結界を維持しようとして魔力を注ぎこんでいたお頭だったけれど、エルの結界への侵食の方が速かったらしく、部屋にピッタリと張られていた結界全体にヒビが入ったかと思うと、結界だったモノが木っ端微塵に砕け、光の粒子となって消えていった。
「お頭の結界が破られるなんて!!」
「まさか!? 冗談だろっ!?」
「お頭は上級魔法師だぞ!? そんなバカな事があるかよ!!」
「おいおいおいおい!! こんなヤバい奴がいるなんて聞いてねぇぞ!!」
お頭の張った結界が消失したのを察した子分達が慌てふためいている。お頭の腕前は余程信頼されていたのだろう、子分達全員が信じられないという表情をしている。
「一体何者だ!? 出て来い!!」
お頭が天に向かって叫んだ時に見えたその瞳には好戦的な色が滲んでいた。自分の結界を破った者をひと目見てみたいのか……もしくは戦ってみたいのかもしれない。
──けれど、そんな燃え上がった闘争心を一瞬で掻き消す程の、冷や水を全身に浴びせられたような、心臓を掴まれているような、そんな圧迫感が部屋中に満ちる。
お頭をはじめ子分達はその凄まじい威圧にガタガタと震え慄いている。先程までの威勢が嘘みたいだ。
私も盗賊達と同じように威圧を感じているけれど、不思議と恐怖は感じない。それはきっとエルの気配と薫りに包まれているから安心しているのかもしれない。
──そうして盗賊達が恐怖に震えている時、それは顕れた。
床に黒い影のようなものが出来たかと思うと、あっという間に広がっていく。そして煙霧のようなものが立ち昇り、次第に人型を象ると、私が逢いたくて堪らなかった愛しい人の姿になった。
(エル……!! 本当にエルだ……!!)
神殿から出てこられないはずのエルが、どうして此処にいるのかは分からないけれど、それでもエルの無事な姿が見られてとても嬉しい。
「……サラっ!! 大丈夫ですか!?」
完全に人の姿になったエルが私の元へ駆けつけて、私の顔を心配そうに覗き込んでくる。その顔には焦燥感が滲んでいて、無理をして私を助けに来てくれた事が窺える。
「私は平気だよ。でもエルの方が大変だったでしょ? 神殿に閉じ込められていたのに大丈夫だったの?」
私の心配してくれるのはすっごく嬉しいけれど、今は自分の事よりエルの体調が心配だ。そんな私の言葉にエルは驚いた表情を浮かべると、「どうしてそれを……」と呟いた。神殿の入り口が塞がれた事を私は知らないと思っていたのかもしれない。
久しぶりのエルと会話出来た事に私が安堵していると、お頭がエルに向かって叫んだ。
「その黒髪……いや、帝国皇太子ではないな……! ならばお前は一体何者だっ!? どうやって俺の結界を解いた!? それに<影移動>なんて超位魔法を使える者なんて、このく──……!!」
お頭がエルにいくつもの質問を投げかけるけれど、お頭は最後まで言葉を発する事が出来なかった。何故なら──……
「今、僕は彼女と話をしているんです。邪魔をしないでいただけますか」
「……ぐぅっ……!」
──エルの凄まじい威圧に、お頭の身体は硬直して動けないからだ。
何時も私に接する時の穏やかな雰囲気とは全く違うエルに、きっとこっちが本来のエルの姿なのかな、と思う。ただでさえ綺麗な顔なのに、エルの紅玉のような瞳に冷たく睨まれると凄みがあってかなり怖い。もし私がエルにこんな視線を向けられたら泣く自信がある……かも。
「本当はもっと早く助けに来たかったのですが、神殿の奴らがしつこくて。遅くなってすみませんでした」
エルの言葉に、はて? と思う。「神殿の奴ら」って誰だろう? 使い魔達の事だろうか。
「エルはどうやって此処が分かったの? ずっと神殿にいたはずなのに……」
「……その事についてはまた日を改めてお話をしましょう。貴女にもお聞きしたい事がありますし」
私からも色々聞きたい事はあったけれど、エルの言う通り此処でする話では無いな、と納得する。それにエルが話してくれると言っているのだから、その時に根掘り葉掘り聞き出してしまおう。でもエルが私に聞きたい事って何だろう? ……疑問は色々残るけれど、今は全部後回しにしてしまえ。
「うん、分かった。じゃあまずはテオと盗賊達の身柄確保かな?」
「そうですね、では取り敢えず……『我が力の源よ 黒き鎖となり 彼の者を捕らえる戒めとなれ リガートゥル!!』」
エルが呪文を唱えるとテオと盗賊達の足元に影が現れ、そこから伸びた黒い鎖の形のようなモノがテオ達を拘束する。
「うわぁっ!! な、何だよこれ……!? サ、サラ!! 助けてくれ……!!」
「く……っそ!! 解けねぇぞ……!!」
「何だこれ!? 全然動けねぇ!! お、お頭ー!! 解呪してくれ!!」
かなり強い力で拘束された盗賊達は半分パニックになっている。闇魔法の使い手であるお頭もこの魔法を解く事は出来ないらしく、悔しそうに唇を噛んでいる。
私がエルの魔法に感心していると、エルがこっちを振り向いてニッコリと笑うので、「?」と思いつつ、私もニッコリと笑い返すと「サラにお見せできるのはここまでですよ」と言われ、私の視界はまたもや真っ暗になった。
──ええー!? エルの奴、私にまで魔法を!? ちょって待てー!!
……と、エルに心の中で文句を言いながら、私の意識はまたもや深い眠りに落ちていったのだった。
結界を維持しようとして魔力を注ぎこんでいたお頭だったけれど、エルの結界への侵食の方が速かったらしく、部屋にピッタリと張られていた結界全体にヒビが入ったかと思うと、結界だったモノが木っ端微塵に砕け、光の粒子となって消えていった。
「お頭の結界が破られるなんて!!」
「まさか!? 冗談だろっ!?」
「お頭は上級魔法師だぞ!? そんなバカな事があるかよ!!」
「おいおいおいおい!! こんなヤバい奴がいるなんて聞いてねぇぞ!!」
お頭の張った結界が消失したのを察した子分達が慌てふためいている。お頭の腕前は余程信頼されていたのだろう、子分達全員が信じられないという表情をしている。
「一体何者だ!? 出て来い!!」
お頭が天に向かって叫んだ時に見えたその瞳には好戦的な色が滲んでいた。自分の結界を破った者をひと目見てみたいのか……もしくは戦ってみたいのかもしれない。
──けれど、そんな燃え上がった闘争心を一瞬で掻き消す程の、冷や水を全身に浴びせられたような、心臓を掴まれているような、そんな圧迫感が部屋中に満ちる。
お頭をはじめ子分達はその凄まじい威圧にガタガタと震え慄いている。先程までの威勢が嘘みたいだ。
私も盗賊達と同じように威圧を感じているけれど、不思議と恐怖は感じない。それはきっとエルの気配と薫りに包まれているから安心しているのかもしれない。
──そうして盗賊達が恐怖に震えている時、それは顕れた。
床に黒い影のようなものが出来たかと思うと、あっという間に広がっていく。そして煙霧のようなものが立ち昇り、次第に人型を象ると、私が逢いたくて堪らなかった愛しい人の姿になった。
(エル……!! 本当にエルだ……!!)
神殿から出てこられないはずのエルが、どうして此処にいるのかは分からないけれど、それでもエルの無事な姿が見られてとても嬉しい。
「……サラっ!! 大丈夫ですか!?」
完全に人の姿になったエルが私の元へ駆けつけて、私の顔を心配そうに覗き込んでくる。その顔には焦燥感が滲んでいて、無理をして私を助けに来てくれた事が窺える。
「私は平気だよ。でもエルの方が大変だったでしょ? 神殿に閉じ込められていたのに大丈夫だったの?」
私の心配してくれるのはすっごく嬉しいけれど、今は自分の事よりエルの体調が心配だ。そんな私の言葉にエルは驚いた表情を浮かべると、「どうしてそれを……」と呟いた。神殿の入り口が塞がれた事を私は知らないと思っていたのかもしれない。
久しぶりのエルと会話出来た事に私が安堵していると、お頭がエルに向かって叫んだ。
「その黒髪……いや、帝国皇太子ではないな……! ならばお前は一体何者だっ!? どうやって俺の結界を解いた!? それに<影移動>なんて超位魔法を使える者なんて、このく──……!!」
お頭がエルにいくつもの質問を投げかけるけれど、お頭は最後まで言葉を発する事が出来なかった。何故なら──……
「今、僕は彼女と話をしているんです。邪魔をしないでいただけますか」
「……ぐぅっ……!」
──エルの凄まじい威圧に、お頭の身体は硬直して動けないからだ。
何時も私に接する時の穏やかな雰囲気とは全く違うエルに、きっとこっちが本来のエルの姿なのかな、と思う。ただでさえ綺麗な顔なのに、エルの紅玉のような瞳に冷たく睨まれると凄みがあってかなり怖い。もし私がエルにこんな視線を向けられたら泣く自信がある……かも。
「本当はもっと早く助けに来たかったのですが、神殿の奴らがしつこくて。遅くなってすみませんでした」
エルの言葉に、はて? と思う。「神殿の奴ら」って誰だろう? 使い魔達の事だろうか。
「エルはどうやって此処が分かったの? ずっと神殿にいたはずなのに……」
「……その事についてはまた日を改めてお話をしましょう。貴女にもお聞きしたい事がありますし」
私からも色々聞きたい事はあったけれど、エルの言う通り此処でする話では無いな、と納得する。それにエルが話してくれると言っているのだから、その時に根掘り葉掘り聞き出してしまおう。でもエルが私に聞きたい事って何だろう? ……疑問は色々残るけれど、今は全部後回しにしてしまえ。
「うん、分かった。じゃあまずはテオと盗賊達の身柄確保かな?」
「そうですね、では取り敢えず……『我が力の源よ 黒き鎖となり 彼の者を捕らえる戒めとなれ リガートゥル!!』」
エルが呪文を唱えるとテオと盗賊達の足元に影が現れ、そこから伸びた黒い鎖の形のようなモノがテオ達を拘束する。
「うわぁっ!! な、何だよこれ……!? サ、サラ!! 助けてくれ……!!」
「く……っそ!! 解けねぇぞ……!!」
「何だこれ!? 全然動けねぇ!! お、お頭ー!! 解呪してくれ!!」
かなり強い力で拘束された盗賊達は半分パニックになっている。闇魔法の使い手であるお頭もこの魔法を解く事は出来ないらしく、悔しそうに唇を噛んでいる。
私がエルの魔法に感心していると、エルがこっちを振り向いてニッコリと笑うので、「?」と思いつつ、私もニッコリと笑い返すと「サラにお見せできるのはここまでですよ」と言われ、私の視界はまたもや真っ暗になった。
──ええー!? エルの奴、私にまで魔法を!? ちょって待てー!!
……と、エルに心の中で文句を言いながら、私の意識はまたもや深い眠りに落ちていったのだった。
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