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買い物3

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「ひゃひゃ、自分で言うのも何だけど、良い買い物だと思うよ? この地図は所有者の位置を表示してくれてね。自分の現在位置がわかる優れものさ」

「え……っ! すごい! じゃあ、自分がどこにいるのか迷わずにすみますね!」

「それだけじゃぁないよ。お嬢さんが連れているその魔獣の位置もわかるからね。はぐれても簡単に見つけられるのさ」

「うわぁっ!! すごい! すごいです!! そんなことが出来るなんて!!」

「しかも拡大と縮小が出来るんだ。自分のいる国から街や村の場所まで詳しくわかるのさ!」

「……っ! 天才!! この地図を作った人は天才かも!!」

「うひゃひゃひゃひゃっ!! お嬢ちゃんも見る目があるねぇ! この地図を即決で買うなんて客は初めてだよ!」

 ティナと店主のテンションが高くなっていく。ティナは地図の性能に感動し、ティナに心からの賛辞を贈られた店主はとても誇らしげだ。

「他にいる物はあるのかい? これから旅に出るんだろう? 準備は万全にしないとねぇ」

「えっと、じゃあ何かおすすめはありますか? ある程度装備は揃っているんですけど、便利なものがあれば買いたいです」

 ベルトルドが揃えてくれた装備はどれも一級品で、使い勝手がとても良いので、できれば使い潰したいとティナは思っている。

「そうかい。なら、その獣魔に認識阻害の首輪を付けるのはどうだい? <金眼>持ちの、ましてや子供の獣魔なんて悪い奴らの格好の餌食だよ」

「あっ、そうだった! じゃあ、首輪を見せて貰って良いですか?」

 ティナは入国審査場の審査官から言われた言葉を思い出した。彼も注意するように言っていたし、この機会に買っておこうと思ったのだ。

「そうだねぇ。首輪というのも無粋だから……ああ、これが良い」

 首輪を探していた店主が見付けたのは、綺麗な魔石が付いた銀のブレスレットだ。

「これは装着者のサイズに合わせて大きさが変化するからね。獣魔が成長しても問題ないよ。首輪よりは見た目も良いだろう?」

「わぁ! 本当だ! これすごく可愛いですね! これにします!」

「おやおや、わたしゃまだ値段を言っていないよ? そんな簡単に決めて大丈夫なのかい?」

「え? そんなに高いんですか? 金貨十枚とかは流石に無理なんですけど……」

 魔道具の相場を知らないティナは、このブレスレット兼首輪の値段が全くわからない。でも店主のお婆さんなら、暴利を貪らないだろうと思ったのだ。

「あんたねぇ……流石にそこまでしやしないよ。全く、どこのご令嬢か知らないけど、金銭感覚が普通じゃないね」

「いや、私は平民なんですけど……。金銭感覚は……自覚ありますね」

「ひゃひゃ、ずいぶん正直だねぇ。わたしがぼったくったらどうするんだい?」

「それは私の見る目がないだけですよね。提示された値段に納得したのなら文句は言えないと思いますし」

 店主はティナの言葉が面白かったようで再び笑い出した。

「うひゃひゃひゃひゃっ! 面白いお嬢ちゃんだねぇ! 気に入ったよ! お嬢ちゃんには特別に小銀貨三枚で売ってあげるよ」

「えっ!? 良いんですか?! 有難うございます!!」

 ティナは素直にお礼を言った。小銀貨三枚は決して安い金額ではないが、ティナはこのブレスレット兼首輪が十分金額に見合う価値があると思ったのだ。

 実際、ティナが提示された金額は材料費で、そこに付与する術式や魔法の加工代などの手間賃は含まれていない。魔道具に詳しい人間が見たら、破格の値段に驚くだろう。
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