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地球篇
2話
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「小明、体調はどうや?」
小明が入院して翌日、僕は病院へ見舞いに行った。昨日、帰ってきたおやじ、お袋、小明の父さん、母さんの様子を見るに、これは簡単な病気やない!って感じ取った。
「ホンマか……? ほな、尚、行かなアカンやろ!」
学校で、優君に昨日の様子を話した。
「ホヤな!」
「今んとこ大丈夫や……、凌君」
小明は、気だるそうだが、心配させまいって思っているのか、空元気に見える感じで答えた。
「まあ、病気ん時は大人しくしときや……。俺が神様に、早う小明の病気治したって!ってお願いして来るわ!」
「ありがとう……。気持ちだけでも嬉しいわぁ……! 私は、凌君が傍に居ったらそれでええねん!」
小明は、本気にしてないみたいやな……。僕は、小明が死んでもうたらアカンねん! 小明が良かったとしても、小明がこの世からいなくなって、二度と会えなくなる事、それが一番避けたい事なんや! 小明の病気さえ治るなら、小明が生きてさえいれば、例え、命を捧げたって僕にはどうって事無いと本気で思っていたんだ……。
「凌! 小明ちゃんの具合が悪くならん内に、な。今週末が良いやろ!」
優君が提案して来た。
「せやな! 善は急げ!っていう諺もあるしな……」
「せや! 後な、神様にはお供え物が付き物や……、稲荷さんには油揚げ持って行くやろ?」
「確かに……。ほやけど、今度の神様には、何をお供え物にしたらええんやろか?」
「わからんわ……」
僕達は、しばらく、唸っていた……。
「凌君、神様にお願いして来る! って言うてたな……。私は凌君が傍に居れば、それだけでええんやけど……。凌君は、昔から言い出したらやってしまう質だし、私の事となると、自分を犠牲にしても厭わないから、心配やわ……」
私は、父さん、母さんが来ているのも気付かず、呟いていた……。
「小明、凌君の事が心配か?」
父さんが話しかけて来た。
「父さん! 母さん! 居ったん!?」
私はビックリしてしまった。
「凌君、朝早うから出かけて行ったで! 神様にお願いして来ますわ! って言うとったな……。何処まで行くんや? 聞いたら、出雲迄行きますわ! ってな……」
「小明はわかってもうてると思うけど、凌君も私達の状態を見てわかってしまったみたいやわ……。大層な荷物背負って行ったわね……。神様へのお供え物です! って言ってたわ……。そんなに、想われている小明は、羨ましいわ……」
「何言うとん! 俺かて、海菜やったら、そんぐらいの事するで!」
脱線して、痴話喧嘩する二人……。
「とにかく、傍に居て、且つ小明に生きていて欲しい思うとるっちゅう事や! どれだけ、神様に供え物してもええっちゅう位な!」
「うん……」
「それだけ、凌夜君が小明の事想うとるっちゅう事忘れたらアカンで? 忘れてまうっちゅう事は、小明の、凌夜君に対する気持ちは、それまでやっちゅう事になるで? たとえ、何があったとしてもやで……?」
「うん!」
彼らを含めて皆、この後に起きる悲劇は予想だにしていなかった。わかっていたとしても、僕がこの選択をしないという事は無かったやろうけど……。
小明が入院して翌日、僕は病院へ見舞いに行った。昨日、帰ってきたおやじ、お袋、小明の父さん、母さんの様子を見るに、これは簡単な病気やない!って感じ取った。
「ホンマか……? ほな、尚、行かなアカンやろ!」
学校で、優君に昨日の様子を話した。
「ホヤな!」
「今んとこ大丈夫や……、凌君」
小明は、気だるそうだが、心配させまいって思っているのか、空元気に見える感じで答えた。
「まあ、病気ん時は大人しくしときや……。俺が神様に、早う小明の病気治したって!ってお願いして来るわ!」
「ありがとう……。気持ちだけでも嬉しいわぁ……! 私は、凌君が傍に居ったらそれでええねん!」
小明は、本気にしてないみたいやな……。僕は、小明が死んでもうたらアカンねん! 小明が良かったとしても、小明がこの世からいなくなって、二度と会えなくなる事、それが一番避けたい事なんや! 小明の病気さえ治るなら、小明が生きてさえいれば、例え、命を捧げたって僕にはどうって事無いと本気で思っていたんだ……。
「凌! 小明ちゃんの具合が悪くならん内に、な。今週末が良いやろ!」
優君が提案して来た。
「せやな! 善は急げ!っていう諺もあるしな……」
「せや! 後な、神様にはお供え物が付き物や……、稲荷さんには油揚げ持って行くやろ?」
「確かに……。ほやけど、今度の神様には、何をお供え物にしたらええんやろか?」
「わからんわ……」
僕達は、しばらく、唸っていた……。
「凌君、神様にお願いして来る! って言うてたな……。私は凌君が傍に居れば、それだけでええんやけど……。凌君は、昔から言い出したらやってしまう質だし、私の事となると、自分を犠牲にしても厭わないから、心配やわ……」
私は、父さん、母さんが来ているのも気付かず、呟いていた……。
「小明、凌君の事が心配か?」
父さんが話しかけて来た。
「父さん! 母さん! 居ったん!?」
私はビックリしてしまった。
「凌君、朝早うから出かけて行ったで! 神様にお願いして来ますわ! って言うとったな……。何処まで行くんや? 聞いたら、出雲迄行きますわ! ってな……」
「小明はわかってもうてると思うけど、凌君も私達の状態を見てわかってしまったみたいやわ……。大層な荷物背負って行ったわね……。神様へのお供え物です! って言ってたわ……。そんなに、想われている小明は、羨ましいわ……」
「何言うとん! 俺かて、海菜やったら、そんぐらいの事するで!」
脱線して、痴話喧嘩する二人……。
「とにかく、傍に居て、且つ小明に生きていて欲しい思うとるっちゅう事や! どれだけ、神様に供え物してもええっちゅう位な!」
「うん……」
「それだけ、凌夜君が小明の事想うとるっちゅう事忘れたらアカンで? 忘れてまうっちゅう事は、小明の、凌夜君に対する気持ちは、それまでやっちゅう事になるで? たとえ、何があったとしてもやで……?」
「うん!」
彼らを含めて皆、この後に起きる悲劇は予想だにしていなかった。わかっていたとしても、僕がこの選択をしないという事は無かったやろうけど……。
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