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第七章 テロリスト襲撃
十一話
しおりを挟む「(黄泉様が戦っていたのは龍の類でしょう……。通常、こんな所に現れる様な魔物ではございません)」
「(強力な召喚魔法師がいるか、数を集めて、魔物の数でなく、一体の強い魔物の召喚に充てた、という処でしょうね……)」
「(黄泉様は規格外な方ではございますが、少々、一人で無茶し過ぎる傾向がありますね……)」
「(龍種と言えば、最低、Bランクで5人のパーティーを組んでやっと倒せる様なものです……。しかも、あれは遠くから見た限りですが、災害級でAランクがパーティーを組んで倒せるかどうかというものですね。月詠様がいるとはいえ……、無茶苦茶ですね)」
「黄泉君は、あの魔物を私達に被害が及ばない様に遠ざけたんだよね?」
「そうですね。黄泉様は背後の事気にしないで戦いたかったと思います」
「黄泉様は出来るだけ無関係な方々に被害を与えたくないと考える方ですからね。特に、晴菜さん、貴女には、ね?」
晴菜は頬を赤く染めた。
「……!でも! 美菜ちゃん、佳奈ちゃんの方が近くでよく任務行っているじゃない?下手したら……」
「まあ、そうですけど、黄泉様は私達を無茶と思える相手には近付かせませんし、私達は騎士達みたいに乱戦する訳ではありませんから」
「私達は隠密・暗殺・一撃離脱で、且つ遠距離からが主で、相手に出来るだけ見つからず、敵の死角や射程から離れた所から攻撃することが多いので、そんなに危険な任務をこなす訳ではありません」
「ふぅん……。ああ、そうだ! 前から思って居たんだけど、私達同い年なんだから敬語やめようよ? 黄泉君は年下だけど、普通に話してもらっているし……」
「わかった。そうするわ」
「うん。良いよ」
「ん……?」
頭の下には柔らかい感触……。ああ、そうだ、僕は寝ていたのだった。
「マスター、お目覚めですか?」
眼前には月詠の顔が見える。
「どれ位寝てた?」
「四半日位です」
「そうか……。そろそろ戻るよ、ありがとう、月詠」
「いえ」
僕は身体を起こす。月詠はもの欲しげに見つめている。
「ああ、気が付かなくてごめん」
「いえ、気を遣わせてしまい、申し訳ございません」
僕は月詠の頬に手を添えて唇を重ねる。
「(今日はありがとう、月詠)」
「(いえ、お呼びいただきありがとうございます、マスター。お困りの時はいつでもお呼び下さい)」
僕は唇を離した。
「(それではマスター、失礼致します)」
「(ありがとう)」
「(さて、戻るかな。それにしても、僕はキスを簡単にしてしまっているな……。しかし、何故にキス……? 晴菜は付き合っているから不思議ではないけど……。気にしていてもわからないものはわからない。“転移”!)」
僕は闘技場の東門前に転移した。あそこからでは距離が離れていて、気配探知が難しかった。
「‘漆黒の閻魔’様、お疲れさまです」
警備隊の人が頭を下げる。
「お疲れさまです。あれから、問題はなかったですか?」
「はっ! 黒い龍以外は問題ございませんでした!」
「ありがとう。引き続き、警備の任務お願いします」
「はっ、ありがとうございます」
僕は挨拶を交わして闘技場内に入った。
「(さて、美菜や佳奈は……、と。居た!南ブロックに居る。少し離れるな……。仕方ない、歩きで行くかな)」
「ん……! 晴菜の想い人がここに入って来たみたいだよ?」
「私達の主人でもあるけどね♪」
美菜ちゃん、佳奈ちゃんが、黄泉君の気配を探知したみたい。
「本当?」
テンションが上がり、飛び出しそうな私……
「「まあまあ、晴菜、待っていようね?」」
二人に肩を抑えられた。
「そうだよ、晴菜?」
「はやる気持ちはわからないでもないけど……」
「「大人しく待ってようね?」」
光樹や奈月にも抑えられた。
「美菜ちゃん、佳奈ちゃんに、光樹や奈月まで……?」
「お姫様に何かあったら」
「私達が見せる顔ないじゃない?」
「そうだね……」
「(もうすぐだな……。ああ、もう1回ギルドに行かないといけないな……)」
僕は現在南東ブロックを歩いている。ギルドの奴らは毎度毎度、僕に絡んで来る。主に美菜、佳奈絡みで絡んで来る。彼らは暴虐の三鬼の事を忘れているのだろうか……?脳筋だから仕方ないのか?
南ブロックに入った。思うに、僕は、この闘技場は無駄に広く、税金の無駄遣いではないか……?
「お偉いさんの考えることはようわからん。ん? 晴菜が4人に抑えられているし、手を振ってるわ。晴菜が膨れているし……?」
僕も手を振り返した。光樹さんと奈月さんが笑って晴菜の頬を指で突っついた。晴菜もこちらに気付き笑顔になり、叫んだ。
「黄泉君!」
「晴菜!」
僕も答えて手を振った。晴菜は飛び出しそうになっていたのを4人で抑えられていた。僕も走り寄りたい衝動抑え、ゆっくり近づいた。
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