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第七章 テロリスト襲撃
九話
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「只今より武闘大会決勝戦を開始致します! それでは、選手入場です!」
アナウンスと共に観客席から歓声が起こり、選手達が入場する。この決勝戦自体に関心は無いし、優勝自体にも価値を感じない。テロ組織監視・討伐という任務がなければ、この場に居合わせる事は当然なかった。観客席満杯に埋まった大観衆の中からテロ組織の動きを探るというのは至難の業であり、観客に紛れ込んでのテロ行為は厄介である。
「(僕としては、最低、晴菜や美菜、佳奈、光樹さん、奈月さんの無事が確保出来れば問題なく、後は無関係な一般の観客に出来るだけ被害を与えないことだな……。索敵・魔力探知の魔法陣を張っているけれども、全部を潰すのは困難だ……。……!魔力上昇感知!)」
僕は魔力上昇を感知した。
「(陽動か? 標的はどこだ?)」
僕は思考を巡らせる。
「(とりあえず、中断させる! “鳴神”!)」
僕は魔力発動者に対し電撃を落とす。
「(魔法発動が消えた。他はいないか?)」
僕は意識を集中させる。
「(とりあえず、決勝戦終わる位迄だな。闘技場は広いし、人が多いから探しにくい。召喚魔法だったり、魔獣だったりすれば、探知魔法陣無しでも明らかに分かるのだが……。仕方ない、魔眼発動!)」
魔眼発動は魔力・体力負担は多くなるが、魔力・気配探知精度、魔法精度が高くなる。
「それでは、決勝戦開始です」
アナウンスと同時に魔力高まりを感じた。
「黄泉君、大丈夫?」
私が声かけをしても、黄泉君は何か集中しているのか反応が無い。決勝戦始まる前から何かに集中始めた黄泉君、瞳も黒から紅に変わり、途中から黄泉君の顔色が悪くなり、肩で息をする様になった。私は黄泉君を抱き締めた。
「黄泉君、私には何も出来ない、傍にいて抱きしめる事位しか出来ないけど、黄泉君には私がいる。美菜ちゃん、佳奈ちゃん、光樹、奈月だっている。一人で抱え込み過ぎないで……」
「うん、ありがとう、晴菜。でも、僕しか出来ない事だから……」
「(温かい……、とても安心する感覚だ……。僕が最近、一番感じて、一番安心する感覚だ。両親、兄弟、親戚、友人……、誰にも、僕の目の前で大事な人達の命を奪わせはしない、させる訳にはいかないんだ)」
背中には晴菜の温もりを感じた。
「(……! こちらに近づいて来ている!)」
こちらに向かって来る強大な気配を感じた。
「(美菜、佳奈、強大な気配感じる。多分、誰かが召喚したものだ。僕は月詠を連れて奴の討伐に向かう。佳奈は晴菜の護衛を頼む。場所は東ブロックだ)」
「「(了解)」」
「晴菜、こちらに向かって来る強大な魔物がいる。僕はそいつの討伐に向かう。直に、佳奈がこちらに来る」
「黄泉君は大丈夫なの?」
晴菜が心配そうにこちらを見つめる。
「大丈夫だよ。僕がこんな所で死ぬ訳ないじゃない?」
晴菜の髪を撫でながら答える。
「信じてるよ」
「じゃあ、行って来るよ。転移!」
僕は魔物の気配の近くへ転移した。
「黄泉君、無事で帰って来てね……」
「(月詠、お願い!)」
「(マスター、奴は黒龍。神級、天災級の次に当たる災害級の魔獣です)」
僕達の目の前にいるのは体長15m程の、一対の大きな翼を持つ黒い色の身体のドラゴンである。
「(月詠が奴の攻撃を引き付けて! 僕が魔法で攻撃をする)」
「(かしこまりました)」
「“サタン憑依”!」
僕の髪と瞳が深紅に染まり、身体能力・魔力精度が上昇、炎・暗黒属性が強くなるが、身体的負担も大きくなる。
「行くよ、月詠!」
「了解」
月詠は刀を構え、黒龍に接近する。
「グオオオ……!」
盛大な咆哮を上げ、黒龍は爪を振り下ろして相対、月詠は刀で爪を弾き、返す刀で斬りつける。
「((月詠、離れて!)“七獄煉獄火炎”!」
地獄の炎を思わせる灼熱の炎(想像)が黒龍に当たり、炎が黒龍に燃え移る。
「グオオオ……!」
悲鳴を上げる黒龍……。
アナウンスと共に観客席から歓声が起こり、選手達が入場する。この決勝戦自体に関心は無いし、優勝自体にも価値を感じない。テロ組織監視・討伐という任務がなければ、この場に居合わせる事は当然なかった。観客席満杯に埋まった大観衆の中からテロ組織の動きを探るというのは至難の業であり、観客に紛れ込んでのテロ行為は厄介である。
「(僕としては、最低、晴菜や美菜、佳奈、光樹さん、奈月さんの無事が確保出来れば問題なく、後は無関係な一般の観客に出来るだけ被害を与えないことだな……。索敵・魔力探知の魔法陣を張っているけれども、全部を潰すのは困難だ……。……!魔力上昇感知!)」
僕は魔力上昇を感知した。
「(陽動か? 標的はどこだ?)」
僕は思考を巡らせる。
「(とりあえず、中断させる! “鳴神”!)」
僕は魔力発動者に対し電撃を落とす。
「(魔法発動が消えた。他はいないか?)」
僕は意識を集中させる。
「(とりあえず、決勝戦終わる位迄だな。闘技場は広いし、人が多いから探しにくい。召喚魔法だったり、魔獣だったりすれば、探知魔法陣無しでも明らかに分かるのだが……。仕方ない、魔眼発動!)」
魔眼発動は魔力・体力負担は多くなるが、魔力・気配探知精度、魔法精度が高くなる。
「それでは、決勝戦開始です」
アナウンスと同時に魔力高まりを感じた。
「黄泉君、大丈夫?」
私が声かけをしても、黄泉君は何か集中しているのか反応が無い。決勝戦始まる前から何かに集中始めた黄泉君、瞳も黒から紅に変わり、途中から黄泉君の顔色が悪くなり、肩で息をする様になった。私は黄泉君を抱き締めた。
「黄泉君、私には何も出来ない、傍にいて抱きしめる事位しか出来ないけど、黄泉君には私がいる。美菜ちゃん、佳奈ちゃん、光樹、奈月だっている。一人で抱え込み過ぎないで……」
「うん、ありがとう、晴菜。でも、僕しか出来ない事だから……」
「(温かい……、とても安心する感覚だ……。僕が最近、一番感じて、一番安心する感覚だ。両親、兄弟、親戚、友人……、誰にも、僕の目の前で大事な人達の命を奪わせはしない、させる訳にはいかないんだ)」
背中には晴菜の温もりを感じた。
「(……! こちらに近づいて来ている!)」
こちらに向かって来る強大な気配を感じた。
「(美菜、佳奈、強大な気配感じる。多分、誰かが召喚したものだ。僕は月詠を連れて奴の討伐に向かう。佳奈は晴菜の護衛を頼む。場所は東ブロックだ)」
「「(了解)」」
「晴菜、こちらに向かって来る強大な魔物がいる。僕はそいつの討伐に向かう。直に、佳奈がこちらに来る」
「黄泉君は大丈夫なの?」
晴菜が心配そうにこちらを見つめる。
「大丈夫だよ。僕がこんな所で死ぬ訳ないじゃない?」
晴菜の髪を撫でながら答える。
「信じてるよ」
「じゃあ、行って来るよ。転移!」
僕は魔物の気配の近くへ転移した。
「黄泉君、無事で帰って来てね……」
「(月詠、お願い!)」
「(マスター、奴は黒龍。神級、天災級の次に当たる災害級の魔獣です)」
僕達の目の前にいるのは体長15m程の、一対の大きな翼を持つ黒い色の身体のドラゴンである。
「(月詠が奴の攻撃を引き付けて! 僕が魔法で攻撃をする)」
「(かしこまりました)」
「“サタン憑依”!」
僕の髪と瞳が深紅に染まり、身体能力・魔力精度が上昇、炎・暗黒属性が強くなるが、身体的負担も大きくなる。
「行くよ、月詠!」
「了解」
月詠は刀を構え、黒龍に接近する。
「グオオオ……!」
盛大な咆哮を上げ、黒龍は爪を振り下ろして相対、月詠は刀で爪を弾き、返す刀で斬りつける。
「((月詠、離れて!)“七獄煉獄火炎”!」
地獄の炎を思わせる灼熱の炎(想像)が黒龍に当たり、炎が黒龍に燃え移る。
「グオオオ……!」
悲鳴を上げる黒龍……。
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