闇黒の少年と光の少女

如月 八雲

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第一章 ギルド登録

四話

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「どちら様ですか? というか、お断りします!」
男達は青筋立てる。
「黄泉様、ギルドに貼り出してありました、賞金首のかかっている連中です」
「死体でも報酬貰えるみたいですよ?」
「わかった」
僕は小太刀を抜き、構える。美菜は弓矢を構え、佳奈はダガーに手をかける。
「僕達を脅した事……、後悔しても遅いですよ?」
僕は瞬時に距離を詰め、鳩尾に突き刺す。美菜は矢を放ち、佳奈はダガーを投げる。
「ギャア!」
「グアッ!」
次々と倒れる男達。

「何なんだ、おまえ達は!?」
後は親分と思われる男だけだ。
「黄泉様、ここは格好良く収めるところですよ?」
「そうですよ。ここは、暗殺・隠密集団夜神子爵家四番隊、字の通り待っているのは四(死)だけさ……、みたいな」
緊張感ないよな、僕達。佳奈……、何、その台詞は?
「馬鹿にしやがって! 夜神子爵家四番隊……? まさか、お前は‘暗黒の仕置き人’!?」
わなわな震える男。
「よくご存知で」
というか、誰が付けたの、そんな中二病的なネーミング?
「ギャア……!」
男の胸に小太刀を突き刺した。
「ふっ…。ごめん、返り血で大分汚しちゃった」
「構いません」
「仕方ないですね。とりあえず、血糊だけ流しましょう。“クリーンウォーター”!」
水属性魔法の水で汚れだけ流す。微妙な加減が必要なのだけれど、エルフの血を引いているせいか上手いよな……。下手すると、服がびしょぬれになってしまうから。
「さて、この人達どうしようか?」
「とりあえず縛って、ベルフェゴルの重力操作で運びましょう」
「そうだね。天道大公家も近いし、処理は彼らに任せよう」
「「そうしましょう」」

天道大公家の門前に着いた。
「でかいな……」
「「そうですね……」」
東京ドーム3個分位は敷地があり、門から屋敷迄百メートルはある。呼び鈴を鳴らし、
「どちら様でしょうか?」
近くにあるスピーカーから聞こえる。
「ギルドで依頼を受けまして、お届け物をお持ちしました」
「しばらくお待ちください」

「“搬出”!」
収納していた荷物を出し、五分位待った。
「お待たせしました。天道大公家第一執事を務めさせて頂いております、山中と申します」
執事の男性が挨拶する。
「自分は黄泉と申します。こちらは美菜、佳奈です」
僕達も挨拶し、礼をする。
「こちらがお届け物です」
僕は届け物を執事さんに渡した。
「わざわざありがとうございます」

「ギルドにお渡しする書類をご用意させていただきますので、中でお待ちください」
「わざわざありがとうございます。後、申し訳ないのですが、こちらの強盗、‘紅の鉄爪’の身柄を警備隊にお渡ししていただきたいのです」
「ほぉ…、なるほど、かしこまりました。こちらで処理させていただきます」
「ありがとうございます」
「いえいえ。それでは、こちらへどうぞ」
僕達は執事さんの後について、屋敷の中に入った。

「それでは、こちらにかけてお待ちください」
「「「はい」」」
執事さんは奥の方に入っていった。
「こちらを召し上がりお待ちください。」
「「「ありがとうございます」」」
メイドさんがお茶と茶菓子を置いて、礼をして去った。

「あら! 黄泉君じゃない!?」
執事さんを待っていると、見たことある女性が声をかけて来た。
「天宮光樹さんですか?」
「そうよ。お久しぶりね」
「はい、お久しぶりです」
僕は立ち上がり、礼をする。
「晴菜もいるから呼んできますね。」
「はい」
光樹さんは奥の方に消えた。
「晴菜さんって」
「誰ですか?」
嫉妬の気が出ているよ、二人とも。
「使い魔召喚の儀式で逢った女の子で、美菜、佳奈と同い年だよ」
「ふぅん……」
「そうですか……」
ジト眼でこちらを見る二人…、ギルドの時と言い、何なん……?

 しばらく待ち、天宮さんが晴菜を連れて来た。
「それではごゆっくり♪」
天宮さんは晴菜を置いて、去って行った。
「黄泉君、久しぶり♪」
「晴菜、久しぶり……」
と言い切る前に抱きついて来た。
「黄泉君、寂しかったよ……」
涙目で上目遣い…、最凶だね、心に対する破壊力が。
「僕も晴菜に会いたかったさ」
うん、満更嘘でもない。
「本当? 嬉しいな♪ それで…、そちらの方々は?」
美菜、佳奈の方を見やる晴菜。
「お初にお目にかかります。黄泉様のメイド兼お目付役をさせて頂いております、美菜です」
「同じく佳奈です」
礼をする美菜、佳奈。
「そうなんだ。よろしくね」
「「こちらこそよろしくお願いします」」

「黄泉君、あれ以来、婚約と言って付き合い迫って来る人達ばかり来るんだ……」
涙目で見上げる晴菜。
「それは、晴菜はかわいいし、優しそうだからさ」
「それだけじゃあなくて……、お父様の地位が狙いみたい……、というか、それが狙いみたい」
確かに、大公という地位を狙う人は多いよな……。僕?どうでも良いや!
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