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【番外編】世界中で誰よりも
2.居候
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「なあ、覚、オレって仕事ってなにしてたんだっけ。さすがにこんなに休んだらマズイんじゃないか」
この一週間、仕事のことなど気にする素振もなく、覚のマンションでダラダラしておきながら、思いついたようにそんなことを言い出す。
覚は呆れながら答えた。
「君は雅治と結婚してからは仕事はしてなかったよ。専業主婦だったから」
「だからさ、それがおかしいって。オレ、掃除も料理も出来ねえもん。主婦なんかやれるわけない」
「ああ、そういうことは、してなかったんじゃないかな」
「掃除や料理しないで、主婦ってナニすんだよ」
「そうだねえ、君が雅治の奥さんとして、立派にこなしていた仕事って言ったら、夜のオツトメくらいなんじゃないの」
厭味たっぷりに言ってやっても、晶は意味がわからないという顔をしている。
「なんだよ、夜のオツトメって」
「夫婦生活のこと。つまり、セックス」
ぎょっとして、晶は身震いした。
「オレがオトコとセックスしていたって言うのか。ウソだろ?気持ち悪い!」
「よくそんなことが言えるね。呆れて言葉も出ないよ。あ、そうだ。そういえば雅治が『クイズミリオンダラー』に出るの、今日じゃなかったっけ。テレビで愛するご主人サマをよーく見て、とっとと思い出しな」
そう言って、覚がテレビをつけると、調度画面に色の黒い司会者と、雅治が映っていた。
すでにクイズは半分ほど終わっていて、雅治は500万円を獲得していた。
「この程度の問題なら一千万は楽勝じゃない。よかったね、臨時収入が入りそうだよ」
覚が言った通り、その後も雅治は正解を続けたが、最後の一千万円へのチャレンジクイズを間違えた。
「変だな、あんな問題、雅治なら答えられるはずなのに」
言いながら、まるで雅治の不正解が晶のせいであるように、横目で晶を見る。
「なんだよ、オレのせいかよ」
「さすがに、ショックなんだなあって思ってね。雅治も、まさか晶に忘れられるとは思ってもいなかったと思うよ。同情しちゃうなあ」
「覚えてねえもんは仕方ねえだろ」
「どうでもいいけどさ、そろそろ家に帰ってくれない?結構迷惑なんだよね。僕は一人の時間を大切にしているから」
「つめえてえヤツ!」
「僕だって、いつもの晶なら何日でも置いてあげるよ。それなりに、美味しい思いも期待できるし。でも、今の君はね…」
「ナンだよ、今のオレのどこが不満なんだ」
覚は不意に晶のすぐ側に座り直して、肩を抱きながら顔を寄せた。
はじめ、なにをされるのかわからない晶はじっとしてされるがままだったが、唇が触れる寸前に、掌で覚の顔をグイッと遠ざけた。
「なにすんだ、てめえもホモか!?オレの周りにはホモしかいねえのか?!」
覚はソファーの背もたれに突っ伏して
「頭を打って性癖が変わるなんて聞いたことないよ!ああもう、エロくない晶なんかつまらない!」
とヒステリックに嘆いた。
この一週間、仕事のことなど気にする素振もなく、覚のマンションでダラダラしておきながら、思いついたようにそんなことを言い出す。
覚は呆れながら答えた。
「君は雅治と結婚してからは仕事はしてなかったよ。専業主婦だったから」
「だからさ、それがおかしいって。オレ、掃除も料理も出来ねえもん。主婦なんかやれるわけない」
「ああ、そういうことは、してなかったんじゃないかな」
「掃除や料理しないで、主婦ってナニすんだよ」
「そうだねえ、君が雅治の奥さんとして、立派にこなしていた仕事って言ったら、夜のオツトメくらいなんじゃないの」
厭味たっぷりに言ってやっても、晶は意味がわからないという顔をしている。
「なんだよ、夜のオツトメって」
「夫婦生活のこと。つまり、セックス」
ぎょっとして、晶は身震いした。
「オレがオトコとセックスしていたって言うのか。ウソだろ?気持ち悪い!」
「よくそんなことが言えるね。呆れて言葉も出ないよ。あ、そうだ。そういえば雅治が『クイズミリオンダラー』に出るの、今日じゃなかったっけ。テレビで愛するご主人サマをよーく見て、とっとと思い出しな」
そう言って、覚がテレビをつけると、調度画面に色の黒い司会者と、雅治が映っていた。
すでにクイズは半分ほど終わっていて、雅治は500万円を獲得していた。
「この程度の問題なら一千万は楽勝じゃない。よかったね、臨時収入が入りそうだよ」
覚が言った通り、その後も雅治は正解を続けたが、最後の一千万円へのチャレンジクイズを間違えた。
「変だな、あんな問題、雅治なら答えられるはずなのに」
言いながら、まるで雅治の不正解が晶のせいであるように、横目で晶を見る。
「なんだよ、オレのせいかよ」
「さすがに、ショックなんだなあって思ってね。雅治も、まさか晶に忘れられるとは思ってもいなかったと思うよ。同情しちゃうなあ」
「覚えてねえもんは仕方ねえだろ」
「どうでもいいけどさ、そろそろ家に帰ってくれない?結構迷惑なんだよね。僕は一人の時間を大切にしているから」
「つめえてえヤツ!」
「僕だって、いつもの晶なら何日でも置いてあげるよ。それなりに、美味しい思いも期待できるし。でも、今の君はね…」
「ナンだよ、今のオレのどこが不満なんだ」
覚は不意に晶のすぐ側に座り直して、肩を抱きながら顔を寄せた。
はじめ、なにをされるのかわからない晶はじっとしてされるがままだったが、唇が触れる寸前に、掌で覚の顔をグイッと遠ざけた。
「なにすんだ、てめえもホモか!?オレの周りにはホモしかいねえのか?!」
覚はソファーの背もたれに突っ伏して
「頭を打って性癖が変わるなんて聞いたことないよ!ああもう、エロくない晶なんかつまらない!」
とヒステリックに嘆いた。
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