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第六章≪秘密≫

4.ケダモノ

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わたしはジュディスに抱えられるようにして車から降りて、ジュディスの部屋まで行った。

ソファに寝かされ、ジュディスに手伝ってもらいながら水を飲んで、やっと、震えが少し止まった。

「花音、いったい、何があったの?奏はなにを脅迫されているの?」
「…いえ…言えない…わ…」

ジュディスはとても悲しそうな顔をした。

「花音は、わたしを、信頼出来ない?」
わたしは首を振った。

「奏は強いから大丈夫。でも、あなたは、このままだと秘密に押し潰される。花音、わたしはあなたが心配なの」
「ジュディス…」

わたしは、泣いた。
堪えていたものが、堰を切ったように。
ジュディスにしがみついて、嗚咽を漏らしながら泣いた。
ジュディスはわたしの背中を優しく撫でてくれる。
温かい。

あのときも、わたしが、身体も心もズタズタに傷ついたときも、ジュディスはわたしを救ってくれた。
ジュディスがいなかったら、わたしは立ち直れなかったかもしれない。

大丈夫だと、わたしは思った。
ジュディスなら、わかってくれる。

「…盗撮されたの…わたしと、お兄ちゃん…」
わたしはジュディスの胸に顔を埋めながら、話した。

「盗撮ですって!?なんて卑怯なの!」
ジュディスは怒ってそう言ったあと、労わるように聞く。
「まさか、あなたの…裸とか?」
わたしは首を振った。

「わたしは、見てないから…わからない。でも、きっと、わたしとお兄ちゃんが…愛し合ってるところを、撮られたんだと思う」
「花音?あなた、なにを言ってるの?あなたと奏が、なんですって?」
「お兄ちゃんが好きなの…わたしたち、愛し合ってるの。ねえ、ジュディス、それって、いけないことなの?」

ジュディスに、否定して欲しかった。
そんなことない、人が人を愛することは間違いじゃない、と。

でも、ジュディスはゆっくりわたしの身体を離して、こわばった顔でわたしを見た。

「花音、奏とセックスしてるの?」

わたしは、小さく頷いた。
瞬間に、ジュディスはわたしの肩に置いていた手を離した。
まるで、汚いものを触っていた、というように。

「ジュディス、お願い、ジュディス…」

わたしは泣きながら、懇願した。

ジュディス、そんな顔、しないで。
軽蔑してる?
嫌悪してる?
わたしのこと、汚いって、思ってる?

「花音、間違ってるわ。兄妹でセックスするなんて、神を冒頭してる。穢らわしい。それは人のすることじゃない、獣と同じだわ」

獣?
わたしと兄は、人ではなく、獣なの?
そんなにも、いけないことだったの?

ジュディスに否定されて、目の前が真っ暗に、なった。




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