9 / 96
本編
国境に向かう
しおりを挟む
早朝から、1台の場所が国境へ向かっていた。
一昨日、隣国の革命が勃発してから、増えた馬車の1台のように見えた。
その周りには、それと気づかぬよう側近の乗る馬車や警備の私兵が馬に騎乗して走っている。
いつもは側近と書類を持ち込んで馬車に乗っているリヒトール・マクレンジーも
今日は、妻を膝に乗せて二人きりだ。
結婚式の後、初夜に無理をさせたのはわかっている。
初めてだというのに、止められなかった。
これが、愛する人と身体をつなぐということか。
出血量が多かった、とても痛かっただろうに。
「リヒト様と一つになれたのですね。うれしい。
かなわぬ夢と思ってました。」
痛さに耐えながら、表情をほころばせた彼女のなんと愛らしいことか。
乱れるシーリアに夢中になった、情事の後のけだるさも甘いと初めて感じた。
意識を失っているがごとく、眠っているシーリアの髪をなでる。
つらい身体で、馬車での長距離移動の負担は大きいだろうが、今が一番国境を通過しやすい。
どんなに借金させても、所詮は商人、国相手では踏みつぶされてお終いだ。
そうはさせないのが、商人の手管だが、事情が違う。
王家に執着される娘、今は逃げるしかない。
この女を奪う者がいれば、地獄の底まで追いかけるだろう自分がいる。
国に対抗するには、その国より強い国になるしかない。
どうやって、国を手に入れるかは準備は整ってる、手に入れた国をセルジオ王国より強い国にすればいいのだ。
王になるなど、面倒なものでしかない、すでにマクレンジー商会という一大帝国があるのだから。
だが、シーリアのお妃教育、せっかくだから役に立たせてやろう。
有能な人材はすでに育て上げているが、これからさらに必要だ、いくらいてもいい、金のために裏切らない人間はたくさんいる。
その前に革命をどうするか。
この1週間、あまり仕事ができなかった。
それより大事なものを手に入れたから、いいのだが、仕事の方は待ってくれない。
滞った分はすでに采配してあるが、このまま武器支援だけでは足りまい。
革命を先導させたシュバルツもまだ呼び出せないだろうから、こちらから行くしかあるまい。
自分の目で確認しないと今後の手筈も違ってこよう。
忍ばせている者達は上手くやっているようだ、あれらが国の中枢として動くようになれば、落ち着くだろう。
もっと危険なところにも行った。
それが、今はシーリアの側を離れがたいと気が付く、置いていくこともできないし、
危険とわかってる場所に連れて行きたくない。
そこを安全にさせるしかない。
後宮を作った王様の気持ちがわかると思う、寵妃を数多く集めるということではなく、誰の目にも触れないように奥深く隠しておく。
私より12も年下の女、自分は17の頃、留学生だった。あの頃に作った人脈が役にたってる。
あのアラン王太子も、この美しさではシーリアを嫌うことはなかったのだろう。
齢12歳で24歳の男を虜にした美しさだ、これからもっと華咲くことだろう、私の手で。
シーリアの側にいるのが、誰か知らしめてやりたい、と意図せぬ願望に気づく。
こんな楽しいことになるとは思いもしなかった。
私はなんでもできる子供時代を過ごし、ほっといても女が寄ってくる風貌、金儲けは才能があったと思う、時代が俺の思う通りになった。
何でもできるってのは、当人にとってつまんないものだ、できない人間の気持ちなんてもの、もちろんわからないし、わかろうとも思わない。
これが、人間として問題があるのはわかっているが、不便はない。
これからも、私の時代にしてみせよう、私のクイーンの側に置くのは、ビショップかナイトか、切り込み隊長はシュバルツだろう、あいつの時を読む感はたいしたものだ、切り込み隊長なのに、保身能力がすごい、逃げることへのプライドを持ってないので、使える。
まずはブリューダルの革命が終わってからだ。
マクレンジー商会が支援した革命を失敗させることはできない。
王の首を取るのは簡単だが、その後が革命の正否を決める。
首を取るのは王と王妃だけでは足りないな、5歳の孫王子もいたな。
王と王妃、王太子、孫王子、第2王子、王太子妃と王女はどうする、売るか、どこに売る?
やはり、現地に行かねばなるまい、国民の感情も満たせてやらないとな。
革命に投資した資金の回収はどこでしようか。
一昨日、隣国の革命が勃発してから、増えた馬車の1台のように見えた。
その周りには、それと気づかぬよう側近の乗る馬車や警備の私兵が馬に騎乗して走っている。
いつもは側近と書類を持ち込んで馬車に乗っているリヒトール・マクレンジーも
今日は、妻を膝に乗せて二人きりだ。
結婚式の後、初夜に無理をさせたのはわかっている。
初めてだというのに、止められなかった。
これが、愛する人と身体をつなぐということか。
出血量が多かった、とても痛かっただろうに。
「リヒト様と一つになれたのですね。うれしい。
かなわぬ夢と思ってました。」
痛さに耐えながら、表情をほころばせた彼女のなんと愛らしいことか。
乱れるシーリアに夢中になった、情事の後のけだるさも甘いと初めて感じた。
意識を失っているがごとく、眠っているシーリアの髪をなでる。
つらい身体で、馬車での長距離移動の負担は大きいだろうが、今が一番国境を通過しやすい。
どんなに借金させても、所詮は商人、国相手では踏みつぶされてお終いだ。
そうはさせないのが、商人の手管だが、事情が違う。
王家に執着される娘、今は逃げるしかない。
この女を奪う者がいれば、地獄の底まで追いかけるだろう自分がいる。
国に対抗するには、その国より強い国になるしかない。
どうやって、国を手に入れるかは準備は整ってる、手に入れた国をセルジオ王国より強い国にすればいいのだ。
王になるなど、面倒なものでしかない、すでにマクレンジー商会という一大帝国があるのだから。
だが、シーリアのお妃教育、せっかくだから役に立たせてやろう。
有能な人材はすでに育て上げているが、これからさらに必要だ、いくらいてもいい、金のために裏切らない人間はたくさんいる。
その前に革命をどうするか。
この1週間、あまり仕事ができなかった。
それより大事なものを手に入れたから、いいのだが、仕事の方は待ってくれない。
滞った分はすでに采配してあるが、このまま武器支援だけでは足りまい。
革命を先導させたシュバルツもまだ呼び出せないだろうから、こちらから行くしかあるまい。
自分の目で確認しないと今後の手筈も違ってこよう。
忍ばせている者達は上手くやっているようだ、あれらが国の中枢として動くようになれば、落ち着くだろう。
もっと危険なところにも行った。
それが、今はシーリアの側を離れがたいと気が付く、置いていくこともできないし、
危険とわかってる場所に連れて行きたくない。
そこを安全にさせるしかない。
後宮を作った王様の気持ちがわかると思う、寵妃を数多く集めるということではなく、誰の目にも触れないように奥深く隠しておく。
私より12も年下の女、自分は17の頃、留学生だった。あの頃に作った人脈が役にたってる。
あのアラン王太子も、この美しさではシーリアを嫌うことはなかったのだろう。
齢12歳で24歳の男を虜にした美しさだ、これからもっと華咲くことだろう、私の手で。
シーリアの側にいるのが、誰か知らしめてやりたい、と意図せぬ願望に気づく。
こんな楽しいことになるとは思いもしなかった。
私はなんでもできる子供時代を過ごし、ほっといても女が寄ってくる風貌、金儲けは才能があったと思う、時代が俺の思う通りになった。
何でもできるってのは、当人にとってつまんないものだ、できない人間の気持ちなんてもの、もちろんわからないし、わかろうとも思わない。
これが、人間として問題があるのはわかっているが、不便はない。
これからも、私の時代にしてみせよう、私のクイーンの側に置くのは、ビショップかナイトか、切り込み隊長はシュバルツだろう、あいつの時を読む感はたいしたものだ、切り込み隊長なのに、保身能力がすごい、逃げることへのプライドを持ってないので、使える。
まずはブリューダルの革命が終わってからだ。
マクレンジー商会が支援した革命を失敗させることはできない。
王の首を取るのは簡単だが、その後が革命の正否を決める。
首を取るのは王と王妃だけでは足りないな、5歳の孫王子もいたな。
王と王妃、王太子、孫王子、第2王子、王太子妃と王女はどうする、売るか、どこに売る?
やはり、現地に行かねばなるまい、国民の感情も満たせてやらないとな。
革命に投資した資金の回収はどこでしようか。
20
お気に入りに追加
414
あなたにおすすめの小説
婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです
青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています
チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。
しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。
婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。
さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。
失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。
目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。
二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。
一方、義妹は仕事でミスばかり。
闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。
挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。
※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます!
※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。
国を滅ぼされた王女は国を盗り返す!
naturalsoft
恋愛
ゴゴゴゴッ!!!!
高い丘の上から眼の前で燃えている王城を呆然と見つめている少女がいた。
長年の同盟国に裏切られ城を落とされて命からがら脱出したのだ。
「姫様!ここは危険です!早くお逃げ下さい!」
崩れ落ちる城を見つめながら少女は誓った。
必ず取り戻すと。
そして必ずこの代価を払わせると誓うのだった。
ふしだらな悪役令嬢として公開処刑される直前に聖女覚醒、婚約破棄の破棄?ご冗談でしょ(笑)
青の雀
恋愛
病弱な公爵令嬢ビクトリアは、卒業式の日にロバート王太子殿下から婚約破棄されてしまう。病弱なためあまり学園に行っていなかったことを男と浮気していたせいだ。おまけに王太子の浮気相手の令嬢を虐めていたとさえも、と勝手に冤罪を吹っかけられ、断罪されてしまいます。
父のストロベリー公爵は、王家に冤罪だと掛け合うものの、公開処刑の日時が決まる。
断頭台に引きずり出されたビクトリアは、最後に神に祈りを捧げます。
ビクトリアの身体から突然、黄金色の光が放たれ、苛立っていた観衆は穏やかな気持ちに変わっていく。
慌てた王家は、処刑を取りやめにするが……という話にする予定です。
お気づきになられている方もいらっしゃるかと存じますが
この小説は、同じ世界観で
1.みなしごだからと婚約破棄された聖女は実は女神の化身だった件について
2.婚約破棄された悪役令嬢は女神様!? 開国の祖を追放した国は滅びの道まっしぐら
3.転生者のヒロインを虐めた悪役令嬢は聖女様!? 国外追放の罪を許してやるからと言っても後の祭りです。
全部、話として続いています。ひとつずつ読んでいただいても、わかるようにはしています。
続編というのか?スピンオフというのかは、わかりません。
本来は、章として区切るべきだったとは、思います。
コンテンツを分けずに章として連載することにしました。
かわいがっているネズミが王子様だと知ったとたんに可愛くなくなりました
ねむ太朗
恋愛
伯爵令嬢のアネモネは金色のネズミを見つけ、飼う事にした。
しかし、金色のネズミは第三王子のロイアン殿下だった。
「頼む! 俺にキスをしてくれ」
「えっ、無理です」
真実の愛のキスで人間に戻れるらしい……
そんなおとぎ話みたいな事ある訳ないわよね……?
作者おばかの為、設定ゆるめです。
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
神のいとし子は追放された私でした〜異母妹を選んだ王太子様、今のお気持ちは如何ですか?〜
星河由乃(旧名:星里有乃)
恋愛
「アメリアお姉様は、私達の幸せを考えて、自ら身を引いてくださいました」
「オレは……王太子としてではなく、一人の男としてアメリアの妹、聖女レティアへの真実の愛に目覚めたのだ!」
(レティアったら、何を血迷っているの……だって貴女本当は、霊感なんてこれっぽっちも無いじゃない!)
美貌の聖女レティアとは対照的に、とにかく目立たない姉のアメリア。しかし、地味に装っているアメリアこそが、この国の神のいとし子なのだが、悪魔と契約した妹レティアはついに姉を追放してしまう。
やがて、神のいとし子の祈りが届かなくなった国は災いが増え、聖女の力を隠さなくなったアメリアに救いの手を求めるが……。
* 2023年01月15日、連載完結しました。
* ヒロインアメリアの相手役が第1章は精霊ラルド、第2章からは隣国の王子アッシュに切り替わります。最終章に該当する黄昏の章で、それぞれの関係性を決着させています。お読みくださった読者様、ありがとうございました!
* 初期投稿ではショートショート作品の予定で始まった本作ですが、途中から長編版に路線を変更して完結させました。
* この作品は小説家になろうさんとアルファポリスさんに投稿しております。
* ブクマ、感想、ありがとうございます。
【完結】悪役令嬢に転生したのでこっちから婚約破棄してみました。
ぴえろん
恋愛
私の名前は氷見雪奈。26歳彼氏無し、OLとして平凡な人生を送るアラサーだった。残業で疲れてソファで寝てしまい、慌てて起きたら大好きだった小説「花に愛された少女」に出てくる悪役令嬢の「アリス」に転生していました。・・・・ちょっと待って。アリスって確か、王子の婚約者だけど、王子から寵愛を受けている女の子に嫉妬して毒殺しようとして、その罪で処刑される結末だよね・・・!?いや冗談じゃないから!他人の罪で処刑されるなんて死んでも嫌だから!そうなる前に、王子なんてこっちから婚約破棄してやる!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる