163 / 191
第十七章
第九話 幽霊野盗たちは、過去に俺が倒したあの野盗たちでした。
しおりを挟む
俺は苦笑いを浮かべながらしばらく硬直していた。
まさか、本当に装飾品を見せ合っていたとはな。キャッツが言っていた言葉が頭から離れないせいで、こいつらが井戸端会議をしているおばちゃんにしか見えない。
頭の中で想像すると、笑いが込み上げてきた。
まずい。今は笑っているような状態ではない。俺よ、我慢しろ!
なんとか自身を落ち着かせ、笑いを堪える。
『グオオオオオオ、グオオオオオオオオ』
『グオ、グオ、グオ』
『グオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!』
体格のデカイ幽霊野盗が叫ぶと、残りの二人が足元に置いてある斧を握り、俺たちに襲いかかる。
多分、あの一番大きいやつが、こいつらのリーダーなんだろうな。
「ウエポンカーニバル!」
魔法を唱えて周辺に得物を展開させる。
「クラウ・ソラス、クルージーン・カザド・ヒャン。放て!」
空中に展開されている武器の中、浄化の効果を持つ二本の剣を放つ。
『グオオオオオオオオオオオオオン』
『グオオオオオオオオオン』
光の剣に貫かれた幽霊野盗たちは、剣に備わっている効果により、消え去った。
『グオオオ、グオオオン、グオ、グオ、グオ。グオオン』
部下たちがやられ、幽霊野盗の頭が一歩後退した。その際に何かを言っているようだが、俺にはさっぱりわからない。
「ご主人様、こいつらを知っているのか?」
「キャッツ、いきなりどうした?」
「いや、この魔物が『お前は、あの時の冒険者! 今度は俺の宝を奪いに来たのか』と言っているのだワン」
あの時の冒険者? もしかして。
幽霊野盗の頭を見る。
よく見れば、こいつの顔には見覚えがある。昔、ジュラの森を縄張りにしていたあの野盗の頭だ。
召喚石から現れたデスファンゴに殺されたが、亡霊となって蘇ったのか。
『グオオオオオオオオオングオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォ!』
「ご主人様! こいつ『宝はやらない! 皆殺しだと言っているワン』
キャッツが通訳をした瞬間、幽霊野盗の頭が斧を振り上げる。
「ウエポンアロー!」
もう一度、クラウ・ソラスとクルージーン・カザド・ヒャンを敵に放つ。
しかし二本の剣は、斧で弾かれた。
やつの肉体が霊体であっても、斧は実在している。物体でガードされると、光の剣の効果が発揮されない。
まぁ、斧を破壊さえしてしまえば、やつの身を守るものは何一つなくなるけどな。
「ゼイレゾナンス・バイブレーション」
音の魔法を唱え、斧の破壊を試みる。
この魔法は、物質の固有振動数と同じ周波数の音を浴びせることにより、対象を破壊することを可能にする。
斧と同じ周波数の音を出して振動を加え続けたことで、斧が疲労破壊を起こし、砕け散る。
「さぁ、さっさと浄化されて神にでも謝っておけ! ウエポンアロー」
三度、光の剣を放つ。
防ぐものを失った幽霊野盗の頭に、二本の剣が突き刺さる。
『グオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!』
やつは叫び声を上げると、光の粒子となってこの場から消え去った。
「ふう、これでこの依頼は完了だな」
魔物の討伐を終え、部屋を見渡す。
それにしてもこの部屋は、宝物庫だったみたいだな。棚には高価そうな品物が飾られてあるし、あの袋の中には札束が溢れているじゃないか。どこかの役所から強盗でもしたのか?
「シロウ、ここにある宝物の数々はどうしましょう?」
「さすがに持ち主に返すとしても、骨が折れそうだよね」
「私たちが貰ってしまえばいい。私が持ち出した魔族チームの軍資金だって、シロウが持って帰ったじゃないか」
「シロウさん、そんなことをしていましたの!」
「ご主人様、意外と悪の道を行っていたのかワン」
「いや、あの時は千体の魔物が来ると言う話を聞いて、冒険者たちの心を動かすには、宝を使うしかないと思ったんだよ」
エリーザとキャッツに言い訳を言いつつ、どうしたものかと考える。
この部屋にある宝の一割くらいなら貰う権利はある。流石に全部を自分のものにしてしまっては、野盗と同じだからな。
「一応全部回収してから王様にでも渡すか。王様なら、持ち主を調べて返すことくらいできそうだからな」
「それでは引き返すことになりますわね」
「一旦依頼を止めることになるけど、仕方がないね」
「それじゃあ、早速宝物の数々を回収するとしようか。シロウ、宝物とは関係なく、実験に使えそうなものがあったら、私が貰ってもいいかい?」
まぁ、持ち主がいなさそうなものであればいいかな。
「まぁ、金目のもの以外ならいいんじゃないか」
「ありがとう。それじゃあ、エリーザにキャッツ。私の手伝いをしてくれ」
「わたしはシロウさんと共同作業をしたいですわ」
「キャッツもだワン」
「文句を言っていると終わるのに時間がかかるだろう。さぁ、やるよ」
ミラーカは二人の手を引っ張ると無理やり連れて行く。
「それじゃあ、俺たちも始めるとするか」
俺たちは協力して宝の回収を始めた。
まさか、本当に装飾品を見せ合っていたとはな。キャッツが言っていた言葉が頭から離れないせいで、こいつらが井戸端会議をしているおばちゃんにしか見えない。
頭の中で想像すると、笑いが込み上げてきた。
まずい。今は笑っているような状態ではない。俺よ、我慢しろ!
なんとか自身を落ち着かせ、笑いを堪える。
『グオオオオオオ、グオオオオオオオオ』
『グオ、グオ、グオ』
『グオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!』
体格のデカイ幽霊野盗が叫ぶと、残りの二人が足元に置いてある斧を握り、俺たちに襲いかかる。
多分、あの一番大きいやつが、こいつらのリーダーなんだろうな。
「ウエポンカーニバル!」
魔法を唱えて周辺に得物を展開させる。
「クラウ・ソラス、クルージーン・カザド・ヒャン。放て!」
空中に展開されている武器の中、浄化の効果を持つ二本の剣を放つ。
『グオオオオオオオオオオオオオン』
『グオオオオオオオオオン』
光の剣に貫かれた幽霊野盗たちは、剣に備わっている効果により、消え去った。
『グオオオ、グオオオン、グオ、グオ、グオ。グオオン』
部下たちがやられ、幽霊野盗の頭が一歩後退した。その際に何かを言っているようだが、俺にはさっぱりわからない。
「ご主人様、こいつらを知っているのか?」
「キャッツ、いきなりどうした?」
「いや、この魔物が『お前は、あの時の冒険者! 今度は俺の宝を奪いに来たのか』と言っているのだワン」
あの時の冒険者? もしかして。
幽霊野盗の頭を見る。
よく見れば、こいつの顔には見覚えがある。昔、ジュラの森を縄張りにしていたあの野盗の頭だ。
召喚石から現れたデスファンゴに殺されたが、亡霊となって蘇ったのか。
『グオオオオオオオオオングオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォ!』
「ご主人様! こいつ『宝はやらない! 皆殺しだと言っているワン』
キャッツが通訳をした瞬間、幽霊野盗の頭が斧を振り上げる。
「ウエポンアロー!」
もう一度、クラウ・ソラスとクルージーン・カザド・ヒャンを敵に放つ。
しかし二本の剣は、斧で弾かれた。
やつの肉体が霊体であっても、斧は実在している。物体でガードされると、光の剣の効果が発揮されない。
まぁ、斧を破壊さえしてしまえば、やつの身を守るものは何一つなくなるけどな。
「ゼイレゾナンス・バイブレーション」
音の魔法を唱え、斧の破壊を試みる。
この魔法は、物質の固有振動数と同じ周波数の音を浴びせることにより、対象を破壊することを可能にする。
斧と同じ周波数の音を出して振動を加え続けたことで、斧が疲労破壊を起こし、砕け散る。
「さぁ、さっさと浄化されて神にでも謝っておけ! ウエポンアロー」
三度、光の剣を放つ。
防ぐものを失った幽霊野盗の頭に、二本の剣が突き刺さる。
『グオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!』
やつは叫び声を上げると、光の粒子となってこの場から消え去った。
「ふう、これでこの依頼は完了だな」
魔物の討伐を終え、部屋を見渡す。
それにしてもこの部屋は、宝物庫だったみたいだな。棚には高価そうな品物が飾られてあるし、あの袋の中には札束が溢れているじゃないか。どこかの役所から強盗でもしたのか?
「シロウ、ここにある宝物の数々はどうしましょう?」
「さすがに持ち主に返すとしても、骨が折れそうだよね」
「私たちが貰ってしまえばいい。私が持ち出した魔族チームの軍資金だって、シロウが持って帰ったじゃないか」
「シロウさん、そんなことをしていましたの!」
「ご主人様、意外と悪の道を行っていたのかワン」
「いや、あの時は千体の魔物が来ると言う話を聞いて、冒険者たちの心を動かすには、宝を使うしかないと思ったんだよ」
エリーザとキャッツに言い訳を言いつつ、どうしたものかと考える。
この部屋にある宝の一割くらいなら貰う権利はある。流石に全部を自分のものにしてしまっては、野盗と同じだからな。
「一応全部回収してから王様にでも渡すか。王様なら、持ち主を調べて返すことくらいできそうだからな」
「それでは引き返すことになりますわね」
「一旦依頼を止めることになるけど、仕方がないね」
「それじゃあ、早速宝物の数々を回収するとしようか。シロウ、宝物とは関係なく、実験に使えそうなものがあったら、私が貰ってもいいかい?」
まぁ、持ち主がいなさそうなものであればいいかな。
「まぁ、金目のもの以外ならいいんじゃないか」
「ありがとう。それじゃあ、エリーザにキャッツ。私の手伝いをしてくれ」
「わたしはシロウさんと共同作業をしたいですわ」
「キャッツもだワン」
「文句を言っていると終わるのに時間がかかるだろう。さぁ、やるよ」
ミラーカは二人の手を引っ張ると無理やり連れて行く。
「それじゃあ、俺たちも始めるとするか」
俺たちは協力して宝の回収を始めた。
12
お気に入りに追加
1,979
あなたにおすすめの小説

パークラ認定されてパーティーから追放されたから田舎でスローライフを送ろうと思う
ユースケ
ファンタジー
俺ことソーマ=イグベルトはとある特殊なスキルを持っている。
そのスキルはある特殊な条件下でのみ発動するパッシブスキルで、パーティーメンバーはもちろん、自分自身の身体能力やスキル効果を倍増させる優れもの。
だけどその条件がなかなか厄介だった。
何故ならその条件というのが────
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!
仁徳
ファンタジー
あらすじ
リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。
彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。
ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。
途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。
ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。
彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。
リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。
一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。
そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。
これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!
異世界召喚されたら無能と言われ追い出されました。~この世界は俺にとってイージーモードでした~
WING/空埼 裕@書籍発売中
ファンタジー
1~8巻好評発売中です!
※2022年7月12日に本編は完結しました。
◇ ◇ ◇
ある日突然、クラスまるごと異世界に勇者召喚された高校生、結城晴人。
ステータスを確認したところ、勇者に与えられる特典のギフトどころか、勇者の称号すらも無いことが判明する。
晴人たちを召喚した王女は「無能がいては足手纏いになる」と、彼のことを追い出してしまった。
しかも街を出て早々、王女が差し向けた騎士によって、晴人は殺されかける。
胸を刺され意識を失った彼は、気がつくと神様の前にいた。
そしてギフトを与え忘れたお詫びとして、望むスキルを作れるスキルをはじめとしたチート能力を手に入れるのであった──
ハードモードな異世界生活も、やりすぎなくらいスキルを作って一発逆転イージーモード!?
前代未聞の難易度激甘ファンタジー、開幕!
役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !
本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。
主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。
その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。
そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。
主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。
ハーレム要素はしばらくありません。

~最弱のスキルコレクター~ スキルを無限に獲得できるようになった元落ちこぼれは、レベル1のまま世界最強まで成り上がる
僧侶A
ファンタジー
沢山のスキルさえあれば、レベルが無くても最強になれる。
スキルは5つしか獲得できないのに、どのスキルも補正値は5%以下。
だからレベルを上げる以外に強くなる方法はない。
それなのにレベルが1から上がらない如月飛鳥は当然のように落ちこぼれた。
色々と試行錯誤をしたものの、強くなれる見込みがないため、探索者になるという目標を諦め一般人として生きる道を歩んでいた。
しかしある日、5つしか獲得できないはずのスキルをいくらでも獲得できることに気づく。
ここで如月飛鳥は考えた。いくらスキルの一つ一つが大したことが無くても、100個、200個と大量に集めたのならレベルを上げるのと同様に強くなれるのではないかと。
一つの光明を見出した主人公は、最強への道を一直線に突き進む。
土曜日以外は毎日投稿してます。

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います
しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~
くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】
その攻撃、収納する――――ッ!
【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。
理由は、マジックバッグを手に入れたから。
マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。
これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる