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第十七章
第七話 飲み会翌日の膝枕は天国だ
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翌日、俺は二日酔いで頭が痛かった。
まったく、オルテガのやつ本当に朝まで付き合わせやがって。これじゃあ、少し依頼に支障が出てしまうじゃないか。
「マリーたちを先に帰して正解だったよ」
とにかく、この頭痛の原因を取り除かないといけないな。昨日作った新魔法を使うとするか。
「ファンクショナル・インプルーブメント」
魔法を唱え、肝臓の処理機能を向上させる。すると、頭痛と吐き気が収まり、気分がよくなった。
ふう、なんとかこれで二日酔いを回避できたな。
宿屋に向かうと、入り口の前でマリーたちが待っていた。
「遅くなってごめんな」
「シロウ大丈夫ですの? オルテガに無理やり酒を飲まされていましたけれど」
「ああ、大丈夫だ。酒は完全に抜けているから支障はない」
「シロウさん本当に大丈夫? あんまり眠っていないのでしょう?」
「なんなら、私の胸を枕にして寝るかい?」
「ミラーカさん、シロウさんを困らせるようなことを言わないでくださいます?」
「エリーザの言うとおりだワン。ご主人様には、キャッツの作った貝のスープがあれば十分だワン」
キャッツが手に持っていたスープを俺に渡す。
「ありがとう。キャッツ」
彼女に礼を言うと、スープの入った器を受け取る。そして縁に口をつけると飲み干した。
「よし、それじゃあ出発しようか」
「馬車の手配は既に済ませていますわ」
「ありがとう。助かった」
マリーに礼を言い、馬車が停めてある場所に行く。
御者に運賃を払って馬車に乗ると、次の目的地に向かった。
あー、眠い。自分の足で歩かないでいい分、気が緩んでしまって一気に眠気が襲ってきた。
「シロウ、眠いのでしたら少し寝ていてもいいですわよ」
「私も、魔物を討伐する前に眠っていたほうがいいと思う」
「スピーディーに依頼を終わらせるには、シロウの頭の良さが必要だ。一度眠って頭をすっきりさせていた方がいい」
「わたしもみなさんと同じ意見ですわ」
「そうだワン! ご主人様はお昼寝をすべきだワン」
眠気と戦っていると、マリーたちが眠るように言ってくる。
確かに彼女たちの言うとおりだよな。ここはお言葉に甘えて、少しの間だけ眠らせてもらうとしよう。
「ありがとう。目的地に着いたのなら、起こしてくれ」
両の瞼を閉じると、少しの間眠ることにする。
俺はどれくらい眠っていたのだろうか。
目が覚めると、目の前にマリーの顔があることに気づく。
「あら、目が覚めたようですわね」
あれ、目の前にマリーの顔がある。どうしてだ? 俺は座った体勢で眠っていたはずだよな。
眠気眼のまま、眼球だけを動かして周囲を見る。すると、マリーに膝枕をされていることに気付いた。
「どうして膝枕をしている?」
「座って眠るより、こっちの方がしっかり眠れると思いましたの。いやでしたか?」
「いやではない」
まともに頭が働いていない俺は、素直に答える。
俺たちが座っている座席には、マリーの他にクロエも座っている。つまり、彼女の膝にも足を置いているということになる。
「クロエもありがとうな」
「いえ、全然構いませんよ。ジャンケンで負けて、頭を乗せる権利はマリーさんに取られましたが、一応シロウさんの枕にはなっているので」
マリーたち、俺が眠っている間にそんなことをしていたのかよ。
とにかく、そろそろ起き上がったほうがいいだろう。さすがにこれ以上、彼女たちに気を使わせるのは申し訳ない。
「マリー、クロエ、ありがとう。膝枕はもうしなくていいから」
起き上がろうとすると、なぜかマリーとクロエは、俺の身体を抑えた。
「もう少し寝ておいてください」
「そうだよ。目的地までは、まだ時間があるから」
本音を言えば、少し恥ずかしいから身体を起こしたい。だけど、彼女たちの気持ちを無下にするわけにはいかないよな。
「わかった。それじゃあ、もう少しだけ寝かせてもらうよ」
俺はもう一度瞼を閉じ、再度眠りに就く。
「シロウ、シロウ、起きてください」
「シロウさん。着きましたよ」
マリーとクロエの声が聞こえ、目を覚ます。
「着いたか」
起こされた俺は、上体を起こしてマリーたちの上から降りる。
身体はスッキリしているが、まだ頭のほうが働いていない。
馬車から降りたら、魔法で頭の中をスッキリさせるか。
一番に馬車から降りると、自身に魔法を使う。
「アクティブブレイン」
アクティブブレインは、脳の処理速度を早める。これで三十分ほど時間が経過すれば、起床二時間後くらいの脳の状態になるだろう。
それにしても、ここも懐かしいな。エリーザを、婚約者のところに送り届けるために通ったジュラの森だ。
この森で野盗が襲ってきたんだったよな。あの時はまさか、召喚石を使ってデスファンゴが現れるとは、思ってもいなかった。
えーと、ここでの依頼はなんだったっけ?
依頼内容を確認するために紙に目を通す。
『ジュラの森で野盗が現れた。俺は野盗と戦ったが、そいつらには全然攻撃が通用しない。これはいったいどういうことだ? 頼む。謎の盗賊集団の壊滅と、不思議な現象を解明してくれ!』
なるほどなぁ、また野盗がこの森を縄張りにしているのか。それにしても、攻撃が通じないってどう言うことだ?
まぁ、そいつらと出会して戦えば分かることか。
「それじゃあ奥に進もう」
十分ほど山道を歩いていると、奥の方で男性二人組が首を左右に振りながら、辺りを警戒しているのが見えた。
あいつらが噂の野盗だな。手には斧が握られているし、間違いないだろう。
『グオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!』
『グオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!』
野盗の二人は、人間のものとは思えない雄叫びを上げながら、俺たちに向かって走ってくる。
まったく、オルテガのやつ本当に朝まで付き合わせやがって。これじゃあ、少し依頼に支障が出てしまうじゃないか。
「マリーたちを先に帰して正解だったよ」
とにかく、この頭痛の原因を取り除かないといけないな。昨日作った新魔法を使うとするか。
「ファンクショナル・インプルーブメント」
魔法を唱え、肝臓の処理機能を向上させる。すると、頭痛と吐き気が収まり、気分がよくなった。
ふう、なんとかこれで二日酔いを回避できたな。
宿屋に向かうと、入り口の前でマリーたちが待っていた。
「遅くなってごめんな」
「シロウ大丈夫ですの? オルテガに無理やり酒を飲まされていましたけれど」
「ああ、大丈夫だ。酒は完全に抜けているから支障はない」
「シロウさん本当に大丈夫? あんまり眠っていないのでしょう?」
「なんなら、私の胸を枕にして寝るかい?」
「ミラーカさん、シロウさんを困らせるようなことを言わないでくださいます?」
「エリーザの言うとおりだワン。ご主人様には、キャッツの作った貝のスープがあれば十分だワン」
キャッツが手に持っていたスープを俺に渡す。
「ありがとう。キャッツ」
彼女に礼を言うと、スープの入った器を受け取る。そして縁に口をつけると飲み干した。
「よし、それじゃあ出発しようか」
「馬車の手配は既に済ませていますわ」
「ありがとう。助かった」
マリーに礼を言い、馬車が停めてある場所に行く。
御者に運賃を払って馬車に乗ると、次の目的地に向かった。
あー、眠い。自分の足で歩かないでいい分、気が緩んでしまって一気に眠気が襲ってきた。
「シロウ、眠いのでしたら少し寝ていてもいいですわよ」
「私も、魔物を討伐する前に眠っていたほうがいいと思う」
「スピーディーに依頼を終わらせるには、シロウの頭の良さが必要だ。一度眠って頭をすっきりさせていた方がいい」
「わたしもみなさんと同じ意見ですわ」
「そうだワン! ご主人様はお昼寝をすべきだワン」
眠気と戦っていると、マリーたちが眠るように言ってくる。
確かに彼女たちの言うとおりだよな。ここはお言葉に甘えて、少しの間だけ眠らせてもらうとしよう。
「ありがとう。目的地に着いたのなら、起こしてくれ」
両の瞼を閉じると、少しの間眠ることにする。
俺はどれくらい眠っていたのだろうか。
目が覚めると、目の前にマリーの顔があることに気づく。
「あら、目が覚めたようですわね」
あれ、目の前にマリーの顔がある。どうしてだ? 俺は座った体勢で眠っていたはずだよな。
眠気眼のまま、眼球だけを動かして周囲を見る。すると、マリーに膝枕をされていることに気付いた。
「どうして膝枕をしている?」
「座って眠るより、こっちの方がしっかり眠れると思いましたの。いやでしたか?」
「いやではない」
まともに頭が働いていない俺は、素直に答える。
俺たちが座っている座席には、マリーの他にクロエも座っている。つまり、彼女の膝にも足を置いているということになる。
「クロエもありがとうな」
「いえ、全然構いませんよ。ジャンケンで負けて、頭を乗せる権利はマリーさんに取られましたが、一応シロウさんの枕にはなっているので」
マリーたち、俺が眠っている間にそんなことをしていたのかよ。
とにかく、そろそろ起き上がったほうがいいだろう。さすがにこれ以上、彼女たちに気を使わせるのは申し訳ない。
「マリー、クロエ、ありがとう。膝枕はもうしなくていいから」
起き上がろうとすると、なぜかマリーとクロエは、俺の身体を抑えた。
「もう少し寝ておいてください」
「そうだよ。目的地までは、まだ時間があるから」
本音を言えば、少し恥ずかしいから身体を起こしたい。だけど、彼女たちの気持ちを無下にするわけにはいかないよな。
「わかった。それじゃあ、もう少しだけ寝かせてもらうよ」
俺はもう一度瞼を閉じ、再度眠りに就く。
「シロウ、シロウ、起きてください」
「シロウさん。着きましたよ」
マリーとクロエの声が聞こえ、目を覚ます。
「着いたか」
起こされた俺は、上体を起こしてマリーたちの上から降りる。
身体はスッキリしているが、まだ頭のほうが働いていない。
馬車から降りたら、魔法で頭の中をスッキリさせるか。
一番に馬車から降りると、自身に魔法を使う。
「アクティブブレイン」
アクティブブレインは、脳の処理速度を早める。これで三十分ほど時間が経過すれば、起床二時間後くらいの脳の状態になるだろう。
それにしても、ここも懐かしいな。エリーザを、婚約者のところに送り届けるために通ったジュラの森だ。
この森で野盗が襲ってきたんだったよな。あの時はまさか、召喚石を使ってデスファンゴが現れるとは、思ってもいなかった。
えーと、ここでの依頼はなんだったっけ?
依頼内容を確認するために紙に目を通す。
『ジュラの森で野盗が現れた。俺は野盗と戦ったが、そいつらには全然攻撃が通用しない。これはいったいどういうことだ? 頼む。謎の盗賊集団の壊滅と、不思議な現象を解明してくれ!』
なるほどなぁ、また野盗がこの森を縄張りにしているのか。それにしても、攻撃が通じないってどう言うことだ?
まぁ、そいつらと出会して戦えば分かることか。
「それじゃあ奥に進もう」
十分ほど山道を歩いていると、奥の方で男性二人組が首を左右に振りながら、辺りを警戒しているのが見えた。
あいつらが噂の野盗だな。手には斧が握られているし、間違いないだろう。
『グオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!』
『グオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!』
野盗の二人は、人間のものとは思えない雄叫びを上げながら、俺たちに向かって走ってくる。
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