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第十七章
第一話 全裸の女の娘とベッドインしていました
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「うーん。もう朝か?」
目が覚めた俺は、頭がスッキリしない中、今日の予定を思い出す。
今日は、コヤンさんとスカーヤさんと別れの挨拶をして、サザークに戻る日だったよな。
魔大陸から離れてケモノ族の町で一泊することになったけれど、アッテラは今頃、魔族たちを説得しているのだろうか?
頼むから、俺を邪神として崇めるようなことはしないでほしい。
「とりあえず起きるとするか」
起き上がろうとして身体をずらしたその時、俺の手に何かが当たった。
キャッツか? いや、全然毛深くないから違うな。
それにとても弾力があって、触っていると気持ちがいい。
うん? なんか突起物のようなものがないか?
指先で触れると、少し大きくなっているような? こんなもの、俺のベッドの中に入れた記憶はない。
「あん!」
「な、何だ今の声は!」
いったいどこから聞こえてきた! しかも女性の喘ぎ声のような感じではなかったか?
耳を澄ませて聞き耳を立てる。しかし、先ほどのような声は聞こえてこなかった。
「聞き間違い……か?」
まぁ、そうだよな。いくらケモノ族であったとしても、こんな朝っぱらから、いかがわしいことはしないはず。
それにしても、俺が掴んでいるこれはいったい何なのだろうか?
もう一度軽く握ってみる。
「あん!」
今度は間違いなく聞こえた! しかもこのベッドの中で!
女性の喘ぎ声、そして俺が握っている柔らかく、弾力がある物体。そして膨張する突起物。
まさか! いやいやいや、こんなことあり得ねえ! 俺は全然そのようなことをした記憶はない! 確かに昨日の夜は、久しぶりに酒を飲んでほろ酔いにはなっていた。だけど、酔った勢いで女性をベッドに連れ込むようなことは、多分しないはず。
酒を飲んだせいで記憶が曖昧なのがムカつく。どうして詳細を覚えていないんだよ!
いや、今はそんなことよりも事実を確かめることが大事だ。
俺はいったい誰を部屋に連れてきた? マリーか? クロエか? ミラーカか? エリーザなのか? それともスカーヤさんかコヤンさんなのか?
取り敢えず握っている物体から手を離すと、ゆっくりと布団を剥がす。
「君は誰だ?」
ベッドで全裸になっている女性は、マリーたちではなかった。
頭に獣の耳と尻尾がついているところを見る限り、ケモノ族の女の子で間違いない。だけど、俺にはこの女の子に関する記憶が一切なかった。
落ち着け。まずは冷静になろう。女の子の裸を見たのは、これで二回目だ。
それにしても、大きいな。いったいどれだけあるんだ……って、そんな冷静さは今はいらないだろうが!
脳内にツッコミを入れつつ、今度こそ冷静に物事を考える。
とにかく俺は、この子に関して全く記憶がない。こんなところをマリーたちに見られたら、どう考えても俺が悪者扱いにされる。
最悪の場合、マリーのスイッチが入って鞭打ちされるかもしれないな。
ベッドから起き上がると、扉を調べてみた。
「ちゃんと鍵はかかっているよな。今度は窓を調べてみるか」
次に窓を調べてみるが、窓から侵入された形跡がどこにもない。
「つまり、この部屋は密室だったと言うわけだ。密室の中、どうしてケモノ族の女の子が、全裸で俺のベッドに寝ていたのか。この事件を解決する鍵はいったいどこにあるんだろう」
そう言えば、キャッツの姿がどこにも見えないな。どこかに隠れているのか?
「おーい、キャッツ。どこにいるんだ? 隠れていないで出てきてくれ」
「どうかしたのかワン? ご主人様?」
え? ワン? ご主人様?
後方から女性の声が聞こえ、ゆっくりと振り返る。
全裸のケモノ族の女の子が、俺を見ていた。しかもおすわりの体勢でだ。
「どうやら目を覚ましたようだな。ちょうどいい。お前には色々と訊かなければならないことがある。まずはこれでも着てくれ」
荷物の中から予備の服を取り出して彼女に渡す。
最初に上着を渡すと、彼女は首を傾げた。
「ご主人様? どうやって着るのだワン?」
はぁ? 服の着方を知らない? いやいやいや、そんな訳がないだろう。いくら何でも、服の着方を知らないケモノ族は幼児くらいだ。彼女の見た目はどう考えても成人している。
きっと俺をからかっているのだろうな。
「お前なぁ、俺が人族だからってからかうなよ」
「ご主人様、お腹でも痛いのかワン? 今日はやけに冷たいワン」
「別にお腹は痛くないし、冷たくはしていない。って『今日は』はおかしいだろう。俺たち初めて会ったじゃないか?」
「ご主人様、頭大丈夫かワン? これまで何日もともに行動していたではないかワン」
「そう言う夢でもみていたのか? 残念ながら、俺は君のようなケモノ族と一緒にいる記憶はない……って、どうして泣く!」
キッパリと断ると、彼女は突然目から涙を流す。
「酷いワン。キャッツはこれまでご主人様のお役に立とうとして、トーマンのキャスパークと戦ったり、ケモノ族の町まで案内したりしたのに、そんな態度を取るなんてあんまりだワン」
彼女の言葉に、俺は背筋がゾクゾクした。そして身体が僅かに揺れ、小刻みに震える指を女性に向ける。
「お前、もしかしてキャッツなのか」
目が覚めた俺は、頭がスッキリしない中、今日の予定を思い出す。
今日は、コヤンさんとスカーヤさんと別れの挨拶をして、サザークに戻る日だったよな。
魔大陸から離れてケモノ族の町で一泊することになったけれど、アッテラは今頃、魔族たちを説得しているのだろうか?
頼むから、俺を邪神として崇めるようなことはしないでほしい。
「とりあえず起きるとするか」
起き上がろうとして身体をずらしたその時、俺の手に何かが当たった。
キャッツか? いや、全然毛深くないから違うな。
それにとても弾力があって、触っていると気持ちがいい。
うん? なんか突起物のようなものがないか?
指先で触れると、少し大きくなっているような? こんなもの、俺のベッドの中に入れた記憶はない。
「あん!」
「な、何だ今の声は!」
いったいどこから聞こえてきた! しかも女性の喘ぎ声のような感じではなかったか?
耳を澄ませて聞き耳を立てる。しかし、先ほどのような声は聞こえてこなかった。
「聞き間違い……か?」
まぁ、そうだよな。いくらケモノ族であったとしても、こんな朝っぱらから、いかがわしいことはしないはず。
それにしても、俺が掴んでいるこれはいったい何なのだろうか?
もう一度軽く握ってみる。
「あん!」
今度は間違いなく聞こえた! しかもこのベッドの中で!
女性の喘ぎ声、そして俺が握っている柔らかく、弾力がある物体。そして膨張する突起物。
まさか! いやいやいや、こんなことあり得ねえ! 俺は全然そのようなことをした記憶はない! 確かに昨日の夜は、久しぶりに酒を飲んでほろ酔いにはなっていた。だけど、酔った勢いで女性をベッドに連れ込むようなことは、多分しないはず。
酒を飲んだせいで記憶が曖昧なのがムカつく。どうして詳細を覚えていないんだよ!
いや、今はそんなことよりも事実を確かめることが大事だ。
俺はいったい誰を部屋に連れてきた? マリーか? クロエか? ミラーカか? エリーザなのか? それともスカーヤさんかコヤンさんなのか?
取り敢えず握っている物体から手を離すと、ゆっくりと布団を剥がす。
「君は誰だ?」
ベッドで全裸になっている女性は、マリーたちではなかった。
頭に獣の耳と尻尾がついているところを見る限り、ケモノ族の女の子で間違いない。だけど、俺にはこの女の子に関する記憶が一切なかった。
落ち着け。まずは冷静になろう。女の子の裸を見たのは、これで二回目だ。
それにしても、大きいな。いったいどれだけあるんだ……って、そんな冷静さは今はいらないだろうが!
脳内にツッコミを入れつつ、今度こそ冷静に物事を考える。
とにかく俺は、この子に関して全く記憶がない。こんなところをマリーたちに見られたら、どう考えても俺が悪者扱いにされる。
最悪の場合、マリーのスイッチが入って鞭打ちされるかもしれないな。
ベッドから起き上がると、扉を調べてみた。
「ちゃんと鍵はかかっているよな。今度は窓を調べてみるか」
次に窓を調べてみるが、窓から侵入された形跡がどこにもない。
「つまり、この部屋は密室だったと言うわけだ。密室の中、どうしてケモノ族の女の子が、全裸で俺のベッドに寝ていたのか。この事件を解決する鍵はいったいどこにあるんだろう」
そう言えば、キャッツの姿がどこにも見えないな。どこかに隠れているのか?
「おーい、キャッツ。どこにいるんだ? 隠れていないで出てきてくれ」
「どうかしたのかワン? ご主人様?」
え? ワン? ご主人様?
後方から女性の声が聞こえ、ゆっくりと振り返る。
全裸のケモノ族の女の子が、俺を見ていた。しかもおすわりの体勢でだ。
「どうやら目を覚ましたようだな。ちょうどいい。お前には色々と訊かなければならないことがある。まずはこれでも着てくれ」
荷物の中から予備の服を取り出して彼女に渡す。
最初に上着を渡すと、彼女は首を傾げた。
「ご主人様? どうやって着るのだワン?」
はぁ? 服の着方を知らない? いやいやいや、そんな訳がないだろう。いくら何でも、服の着方を知らないケモノ族は幼児くらいだ。彼女の見た目はどう考えても成人している。
きっと俺をからかっているのだろうな。
「お前なぁ、俺が人族だからってからかうなよ」
「ご主人様、お腹でも痛いのかワン? 今日はやけに冷たいワン」
「別にお腹は痛くないし、冷たくはしていない。って『今日は』はおかしいだろう。俺たち初めて会ったじゃないか?」
「ご主人様、頭大丈夫かワン? これまで何日もともに行動していたではないかワン」
「そう言う夢でもみていたのか? 残念ながら、俺は君のようなケモノ族と一緒にいる記憶はない……って、どうして泣く!」
キッパリと断ると、彼女は突然目から涙を流す。
「酷いワン。キャッツはこれまでご主人様のお役に立とうとして、トーマンのキャスパークと戦ったり、ケモノ族の町まで案内したりしたのに、そんな態度を取るなんてあんまりだワン」
彼女の言葉に、俺は背筋がゾクゾクした。そして身体が僅かに揺れ、小刻みに震える指を女性に向ける。
「お前、もしかしてキャッツなのか」
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