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第九章
第九章 第一話 レオニダスの結末
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俺はレオが最初に着てきたローブを掴むと、気を失っている彼の上に被せた。
魔神木の肉塊が下半身を隠しているが、彼は裸の状態だ。
彼の恥ずかしい格好をマリーたちに見せるわけにはいかないからな。
複数の足跡が聞こえ、振り返る。
マリーたちだけではなく、ブリタニア王やデンバー王たちもこちらに向かっていた。
デンバー王は一度レオに視線を送り、今度は俺を見る。
彼と顔を合わせるのは二回目だけど、最初の印象であまりいいイメージは持たなかったんだよな。
そんなことを思っていると、デンバー王が俺の肩に手を置く。
「さすがブリタニアの英雄と言われるだけのことはある。貴殿には助けられた。先日の非礼を詫びさせてくれ」
デンバー王は片膝を付いて頭を垂れる。まるで兵士が君主にするかのような振る舞いに、俺は唖然とさせられた。
「デ、デンバー王、どうしたのですか急に? そのようなことをせずに頭を上げてください」
戸惑ってしまった俺は、急いで立ち上がるように彼に言う。
「いや、こうでもしなければ余の気が済まない。レオの命令とは言え、王の立場を利用して、国民に貴殿を邪険に扱うように命令したのだ」
「それはどういうことですかデンバー王! 愚息が貴方様に失礼なことをしたと言うのですか!」
俺の代わりにプルタルコスが尋ねる。
確かに彼の言葉には聞き捨てならないところがある。
レオがデンバー王に命令を出していた? それはいったいどう言うことなんだ?
「最初余はレオを侮っておった。ブリタニア国出身の者はたいしたことはない。デンバーの戦士に比べれば弱い人間だと思っておった。しかし、我が国で一番強い戦士と戦わせ、レオが勝利した。その時点でデンバー国自体が敗北したのだ。武力で支配された余は、やつに逆らうことができずに言われるままに動くしかなかった」
「なんと、愚かな。このようなことをして申し訳ない。もし、デンバー王が許してくれるのであれば、俺と愚息の首を差し上げよう」
今度はプルタルコスの言葉に驚かされる。
いくら身内が悪行の数々を行なっていたとはいえ、プルタルコスが死ぬ必要はないだろう!
「プルタルコス! さすがにそれは言い過ぎだ」
「言い過ぎな訳があるか! 王に恥辱を味合わせたのだぞ! そんなやつに育ててしまった責任が親にはある。子の罪は親の罪だ」
「それは極端すぎるって! デンバー王、俺からお願いがある。彼の処罰は俺に任せてくれないか?」
感情が昂っていたからか、俺は王様に対して敬語を使うのを忘れていた。
「この国を救ってくれた救世主殿の頼みだ。貴殿の好きにするがいい」
レオの処遇を決める権利を譲ると言うと、デンバー王は立ち上がる。
ふぅ、どうにか血みどろな展開にならずにすみそうだ。でも、どうしようか? レオは確かに非道なことをした。だけどその裏には魔族が関与しており、いいように利用されたにすぎない。弱い心に付け込まれた彼にも非があるが、本当の悪は魔族たちだ。
「わかった。ではこうしよう。レオはデンバーに残り、ただ働きで闘技場の修復作業に当たらせる。その後は腐った根性を叩き直すために、プルタルコスがもう一度騎士道というものを叩き込んでくれ。それが親であるプルタルコスの罪滅ぼしだ」
「わかった。謹んでお受けしよう」
どうやらプルタルコスも納得してくれたようだ。人によっては甘いなんて思うかもしれないけれど、知り合いが死ぬような場面は見たくはないからな。これも俺が優しすぎるのがいけない。
「うーん? 俺はどうしちまったんだ? 途中から記憶が抜けていやがる」
「レオ、目が覚めたか?」
「レオ! お前というやつは、どれだけ親を心配させれば気が済むんだ! この親不孝ものが!」
目が覚めた彼に視線を向けた瞬間、プルタルコスが飛び出し、レオに拳を叩き込む。
「ぼ、ぼやじ、いっだいどうじだんだ! どうじておべをなぶる?」
間髪入れずにプルタルコスはレオを殴り続ける。
状況を理解していない彼は、説明するように言っているのだと思う。だけど、殴られているせいで上手く発音できないのか、聞き取るのが難しい。
「プ、プルタルコス? 気持ちは分からなくもないけど、それぐらいにしてやってくれないか? それ以上やってしまうと死んでしまう」
サンドバックのように殴られたレオは、痣ができて顔がパンパンに腫れ上がっていた。
「こんな恥知らずな息子はこれぐらいしなければ、自分がした罪の重さを認識できないからな! 既にスパルタ教育は始まっている!」
「あはは」
彼の言葉に、俺は思わず苦笑いを浮かべる。まぁ、死ななければ俺が回復魔法で治してやればいいか。親子の問題に部外者が首を突っ込むわけにはいかないものな。
「いいか! お前は本来死刑になるところを、シロウが穏便に済ますようにデンバー王に話をしてくれたのだぞ! シロウは命の恩人だ。今後は、シロウのために働き、シロウのために死ぬような心構えができるように、一から教育をし直してやる! わかったのなら返事をしろ!」
「ふ、ふぁい」
うーん、やっぱりプルタルコスの義理の息子にはなりたくはないな。もし、彼が養子をもらって俺と婚約させようとしてきたのなら、全力で断ろう。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
面白かった! この物語は期待できる! 続きが早く読みたい!
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何卒宜しくお願いします。
魔神木の肉塊が下半身を隠しているが、彼は裸の状態だ。
彼の恥ずかしい格好をマリーたちに見せるわけにはいかないからな。
複数の足跡が聞こえ、振り返る。
マリーたちだけではなく、ブリタニア王やデンバー王たちもこちらに向かっていた。
デンバー王は一度レオに視線を送り、今度は俺を見る。
彼と顔を合わせるのは二回目だけど、最初の印象であまりいいイメージは持たなかったんだよな。
そんなことを思っていると、デンバー王が俺の肩に手を置く。
「さすがブリタニアの英雄と言われるだけのことはある。貴殿には助けられた。先日の非礼を詫びさせてくれ」
デンバー王は片膝を付いて頭を垂れる。まるで兵士が君主にするかのような振る舞いに、俺は唖然とさせられた。
「デ、デンバー王、どうしたのですか急に? そのようなことをせずに頭を上げてください」
戸惑ってしまった俺は、急いで立ち上がるように彼に言う。
「いや、こうでもしなければ余の気が済まない。レオの命令とは言え、王の立場を利用して、国民に貴殿を邪険に扱うように命令したのだ」
「それはどういうことですかデンバー王! 愚息が貴方様に失礼なことをしたと言うのですか!」
俺の代わりにプルタルコスが尋ねる。
確かに彼の言葉には聞き捨てならないところがある。
レオがデンバー王に命令を出していた? それはいったいどう言うことなんだ?
「最初余はレオを侮っておった。ブリタニア国出身の者はたいしたことはない。デンバーの戦士に比べれば弱い人間だと思っておった。しかし、我が国で一番強い戦士と戦わせ、レオが勝利した。その時点でデンバー国自体が敗北したのだ。武力で支配された余は、やつに逆らうことができずに言われるままに動くしかなかった」
「なんと、愚かな。このようなことをして申し訳ない。もし、デンバー王が許してくれるのであれば、俺と愚息の首を差し上げよう」
今度はプルタルコスの言葉に驚かされる。
いくら身内が悪行の数々を行なっていたとはいえ、プルタルコスが死ぬ必要はないだろう!
「プルタルコス! さすがにそれは言い過ぎだ」
「言い過ぎな訳があるか! 王に恥辱を味合わせたのだぞ! そんなやつに育ててしまった責任が親にはある。子の罪は親の罪だ」
「それは極端すぎるって! デンバー王、俺からお願いがある。彼の処罰は俺に任せてくれないか?」
感情が昂っていたからか、俺は王様に対して敬語を使うのを忘れていた。
「この国を救ってくれた救世主殿の頼みだ。貴殿の好きにするがいい」
レオの処遇を決める権利を譲ると言うと、デンバー王は立ち上がる。
ふぅ、どうにか血みどろな展開にならずにすみそうだ。でも、どうしようか? レオは確かに非道なことをした。だけどその裏には魔族が関与しており、いいように利用されたにすぎない。弱い心に付け込まれた彼にも非があるが、本当の悪は魔族たちだ。
「わかった。ではこうしよう。レオはデンバーに残り、ただ働きで闘技場の修復作業に当たらせる。その後は腐った根性を叩き直すために、プルタルコスがもう一度騎士道というものを叩き込んでくれ。それが親であるプルタルコスの罪滅ぼしだ」
「わかった。謹んでお受けしよう」
どうやらプルタルコスも納得してくれたようだ。人によっては甘いなんて思うかもしれないけれど、知り合いが死ぬような場面は見たくはないからな。これも俺が優しすぎるのがいけない。
「うーん? 俺はどうしちまったんだ? 途中から記憶が抜けていやがる」
「レオ、目が覚めたか?」
「レオ! お前というやつは、どれだけ親を心配させれば気が済むんだ! この親不孝ものが!」
目が覚めた彼に視線を向けた瞬間、プルタルコスが飛び出し、レオに拳を叩き込む。
「ぼ、ぼやじ、いっだいどうじだんだ! どうじておべをなぶる?」
間髪入れずにプルタルコスはレオを殴り続ける。
状況を理解していない彼は、説明するように言っているのだと思う。だけど、殴られているせいで上手く発音できないのか、聞き取るのが難しい。
「プ、プルタルコス? 気持ちは分からなくもないけど、それぐらいにしてやってくれないか? それ以上やってしまうと死んでしまう」
サンドバックのように殴られたレオは、痣ができて顔がパンパンに腫れ上がっていた。
「こんな恥知らずな息子はこれぐらいしなければ、自分がした罪の重さを認識できないからな! 既にスパルタ教育は始まっている!」
「あはは」
彼の言葉に、俺は思わず苦笑いを浮かべる。まぁ、死ななければ俺が回復魔法で治してやればいいか。親子の問題に部外者が首を突っ込むわけにはいかないものな。
「いいか! お前は本来死刑になるところを、シロウが穏便に済ますようにデンバー王に話をしてくれたのだぞ! シロウは命の恩人だ。今後は、シロウのために働き、シロウのために死ぬような心構えができるように、一から教育をし直してやる! わかったのなら返事をしろ!」
「ふ、ふぁい」
うーん、やっぱりプルタルコスの義理の息子にはなりたくはないな。もし、彼が養子をもらって俺と婚約させようとしてきたのなら、全力で断ろう。
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