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第六章
第九話 どうしてプルタルコスまで尻の話に混ざる!
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オルテガの指示に従い、バニーガールの女性たちは俺に尻を向けてくる。
「さぁ、シロウ。胸は好みの娘がいなかったみたいだが、尻のほうはどうだ? 気に入った尻はいるか?」
ギルドマスターの言葉に、俺はバニーガールたちに対して申し訳ない気持ちになった。
本当にこのエロオヤジが迷惑をかけてごめんなさい!
心の中で謝罪をしつつ、俺は酔っぱらっているオルテガを見る。
「オルテガいい加減にしないか! 口では言わないが、彼女たちは困っているはずだぞ」
これ以上バニーガールたちに迷惑はかけられない。その一心で、俺は彼を叱った。
「いえ、別に私は嫌がってはいないので全然大丈夫ですよ」
「私も」
「逆に英雄様の好みのお尻を知りたいよね」
「そうだね」
あれ?
「ほらみろ! 彼女たちも乗り気じゃないか。英雄様の好みを知り、それに近づけることこそが女を磨くということだ。彼女たちのために教えてやりな」
酔っ払いの言葉は無視しておいて、彼女たちが嫌がっていないのであればそれでいい。だけど困ったな。さっき以上に難易度の高い問題を出された。
はっきり言って俺は、尻にはそこまで拘りがない。よく形だの張りだのという言葉を聞くが、俺にはそこまで尻の良さが分かっていない。
さて、どうしたものか。さっきと同じように正直に言ってもいいのだが、それだと彼女たちを傷つけてしまうかもしれないし。うーん、困った。
どうしたものかと考えていると、酒場の扉が開かれた。
あれ? 今日は貸し切りのはずだけど誰が来た?
店内に入ってきたのは鎧を着た男だ。彼は俺たちのところにやってくる。
「噂どおりに酒場にいたか」
「プルタルコスじゃないか。どうした? 俺に用でもあるのか?」
「ああ、実はお前にお願いしたいことがあってな」
彼は真剣な表情で俺を見た。
これはどう考えても真面目な話だよな。なら、無下に扱うわけにもいかないだろう。それに彼の登場で、尻の件はあやふやになりそうだ。このまま話題を変えて話を忘れさせよう。
「わかった。話を伺う。そこに座ってくれ」
俺の正面にプルタルコスが座ると、彼は真直ぐにこちらを見る。
「担当直入に言おう。シロウよ宮廷魔術師として、ブリタニア城に住まないか?」
「断る」
彼の提案に俺は即答した。
どうして俺が、宮廷魔術師のような面倒臭い職業に就かないといけないんだ。俺はやりたい仕事だけをする冒険者が性に合っている。
「やっぱり断るよな。勇者になることを断るぐらいなんだから」
彼はどうやら、俺が断ることがわかっている上で誘いをかけてきたようだ。一か八かの行動に出るということは、よほどの事情があるのだろうな。
「とりあえずは詳しいことを話してくれないか? もしかしたらやり方を変えれば力になることはできるかもしれない」
「すまない。そう言ってもらえると助かる。実は今度、隣国であるデンバーと親善試合をすることになってな。王様がシロウを我が国の代表として出場してほしいそうだ」
「だから宮廷魔術師になってほしいと」
俺の問いに、プルタルコスは無言で頷く。
なるほどな。王様の気持ちもわかる。何せ国の誇りをかけた戦いだ。できることなら勝利で終わらせたいと思うに決まっている。だからこそ、この国で英雄と言われている俺を国の代表として戦わせたいと言うわけだ。
俺が国の代表として戦えば、負ける可能性が低いと考えたのだろうな。
「国の代表として親善試合に参加してもいいが条件がある」
「なんだ? 言ってみろ」
「ギルドを通しての依頼であれば引き受ける。俺はあくまでも冒険者だ。宮廷魔術師なんかには興味はない」
「わかった。王様にはそう伝えておこう」
これでよし、王様には勇者になる件を断ってしまったからな。少しぐらいは協力してあげないと申し訳ない。それにギルドを通しての依頼であれば、俺は断らないからな。
親善試合に参加することになったし、次に話しを進めるとするか。
「それで、報酬のほうはどれくらい出せそうなんだ?」
「急に報酬の話か」
「そりゃそうだろう。報酬金額で俺のやる気が変わるってものだ」
「そうだな。俺が勝手に決めることはできないが、おそらく期待していていいと思うぞ。王様はお前を気に入っているからな」
今回の依頼は個人やギルドではなく国からのものになる。彼の言うとおり金額に関しては期待してもいいだろう。親善試合が待ち遠しいな。
「そうだ。プルタルコスはこれから時間があるか? 良かったらお前も一緒に飲めよ」
「そうだな。一応今日は非番で明日は休みだし、一杯だけつき合うとしよう」
プルタルコスも加わり、俺たちは酒飲みを再開させる。
「そうだ。騎士団長よ、お前さんは女の尻はどんなのが好きなんだ?」
「いきなりどうした! ギルドマスター」
プルタルコスが驚く。それも当然の反応だろう。急に話かけるような話題ではないのだから。
「いやな、お前さんが来る前にシロウと女の尻について語っていたところなんだよ」
おい、オルテガ! そんな言い方をしたら、まるで俺が女の尻が好きな変態のように聞こえるじゃないか!
「で、どうなんだ?」
「フフ」
オルテガの言葉に、プルタルコスは一笑した。
きっと俺と同じで、何をバカげたことを言っていると思っているのだろうな。
「愚問だな。そんなの俺の嫁の尻そのものに決まっているだろう。愛した者の身体すべてが俺は好きだ」
「グハッ! さすが妻子持ちの言う言葉は破壊力が違う! 確かに好みはそれぞれあろうが、最終的には愛した者の身体が一番だな。聞いたかシロウ! 今の言葉を肝に銘じておけよ!」
何だよ! その好きになった娘が好きなタイプみたいな言い方は! それに肝に銘じておくほどのものではないだろう!
「まぁ、お前もいずれ好きな人ができてその人と結ばれれば、俺が言っていることも分かるだろうよ。ところで、シロウの好みの女の子は、ここにいるバニーガールたちに近い人はいるのか?」
「どうしてプルタルコスまでそんなことを聞く! 一杯だけで酔ってしまったのか!」
「いや、俺は素面だ。お前の好みのタイプさえ知っておけば、その子を養子として迎え入れ、シロウと結婚させれば俺の義理の息子になるからな」
騎士団長の言葉に、俺は苦笑いを浮かべる。
この男、まだ俺を息子にする計画を諦めていなかったのかよ。
「前にも言っただろう。レオと義理の兄弟になるつもりはない」
「ふむ。レオが原因なら、一層のことあいつを勘当するか。そうすればシロウが我が子になる障がいはなくなる」
プルタルコスよ、冗談であったとしても声に出して言うなよ。レオがあまりにも可哀想ではないか。
「さすがに本気ではないと思いますが、冗談でもそんなことを言わないでくださいよ」
「いや、俺は真面目に考えているのだが」
「もし、本当にあいつを勘当したら、俺はあんたとの縁も切るからな!」
「それは困るな。わかった。レオを勘当させるのは止めることにしよう」
騎士団長の言葉に、俺はホッとした。
それにしてもそこまでして俺を息子にしたいのかよ。俺を息子にしてもあんまり変わらないと思うのだが。
「なあ、どうしてプルタルコスはそんなに俺を息子にしたがるんだ? 子どもを英雄にしたいのなら、俺じゃなくてもたくさんいるだろう?」
「何を言っている。シロウこそが最高の英雄だ。お前のような息子がいれば鼻が高いし、誇りに思う。俺ではなくとも、お前を義理の息子にしたいと思う人間はたくさんいるとおもうぞ。なぁ、ギルドマスター?」
「ああ、実は俺もお前を養子にしたいと内心思っていたんだ」
「それは丁重にお断りさせてもらう」
「少しは悩む素振りぐらいみせやがれ! くそう、シロウにフラれた。こうなったらやけ酒だ。酒のお代わりを持ってきてくれ」
即答したことがよくなかったようで、オルテガは落ち込みだした。
まぁ、たまにはいいだろう。どうせ朝になったら忘れているだろうし。それに正直に言って、酒を飲むと下ネタトークをするような男の息子にはなりたくないからな。
そんなことを思いつつも、俺たち三人は酒を酌み交わすのであった。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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これ以上バニーガールたちに迷惑はかけられない。その一心で、俺は彼を叱った。
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「私も」
「逆に英雄様の好みのお尻を知りたいよね」
「そうだね」
あれ?
「ほらみろ! 彼女たちも乗り気じゃないか。英雄様の好みを知り、それに近づけることこそが女を磨くということだ。彼女たちのために教えてやりな」
酔っ払いの言葉は無視しておいて、彼女たちが嫌がっていないのであればそれでいい。だけど困ったな。さっき以上に難易度の高い問題を出された。
はっきり言って俺は、尻にはそこまで拘りがない。よく形だの張りだのという言葉を聞くが、俺にはそこまで尻の良さが分かっていない。
さて、どうしたものか。さっきと同じように正直に言ってもいいのだが、それだと彼女たちを傷つけてしまうかもしれないし。うーん、困った。
どうしたものかと考えていると、酒場の扉が開かれた。
あれ? 今日は貸し切りのはずだけど誰が来た?
店内に入ってきたのは鎧を着た男だ。彼は俺たちのところにやってくる。
「噂どおりに酒場にいたか」
「プルタルコスじゃないか。どうした? 俺に用でもあるのか?」
「ああ、実はお前にお願いしたいことがあってな」
彼は真剣な表情で俺を見た。
これはどう考えても真面目な話だよな。なら、無下に扱うわけにもいかないだろう。それに彼の登場で、尻の件はあやふやになりそうだ。このまま話題を変えて話を忘れさせよう。
「わかった。話を伺う。そこに座ってくれ」
俺の正面にプルタルコスが座ると、彼は真直ぐにこちらを見る。
「担当直入に言おう。シロウよ宮廷魔術師として、ブリタニア城に住まないか?」
「断る」
彼の提案に俺は即答した。
どうして俺が、宮廷魔術師のような面倒臭い職業に就かないといけないんだ。俺はやりたい仕事だけをする冒険者が性に合っている。
「やっぱり断るよな。勇者になることを断るぐらいなんだから」
彼はどうやら、俺が断ることがわかっている上で誘いをかけてきたようだ。一か八かの行動に出るということは、よほどの事情があるのだろうな。
「とりあえずは詳しいことを話してくれないか? もしかしたらやり方を変えれば力になることはできるかもしれない」
「すまない。そう言ってもらえると助かる。実は今度、隣国であるデンバーと親善試合をすることになってな。王様がシロウを我が国の代表として出場してほしいそうだ」
「だから宮廷魔術師になってほしいと」
俺の問いに、プルタルコスは無言で頷く。
なるほどな。王様の気持ちもわかる。何せ国の誇りをかけた戦いだ。できることなら勝利で終わらせたいと思うに決まっている。だからこそ、この国で英雄と言われている俺を国の代表として戦わせたいと言うわけだ。
俺が国の代表として戦えば、負ける可能性が低いと考えたのだろうな。
「国の代表として親善試合に参加してもいいが条件がある」
「なんだ? 言ってみろ」
「ギルドを通しての依頼であれば引き受ける。俺はあくまでも冒険者だ。宮廷魔術師なんかには興味はない」
「わかった。王様にはそう伝えておこう」
これでよし、王様には勇者になる件を断ってしまったからな。少しぐらいは協力してあげないと申し訳ない。それにギルドを通しての依頼であれば、俺は断らないからな。
親善試合に参加することになったし、次に話しを進めるとするか。
「それで、報酬のほうはどれくらい出せそうなんだ?」
「急に報酬の話か」
「そりゃそうだろう。報酬金額で俺のやる気が変わるってものだ」
「そうだな。俺が勝手に決めることはできないが、おそらく期待していていいと思うぞ。王様はお前を気に入っているからな」
今回の依頼は個人やギルドではなく国からのものになる。彼の言うとおり金額に関しては期待してもいいだろう。親善試合が待ち遠しいな。
「そうだ。プルタルコスはこれから時間があるか? 良かったらお前も一緒に飲めよ」
「そうだな。一応今日は非番で明日は休みだし、一杯だけつき合うとしよう」
プルタルコスも加わり、俺たちは酒飲みを再開させる。
「そうだ。騎士団長よ、お前さんは女の尻はどんなのが好きなんだ?」
「いきなりどうした! ギルドマスター」
プルタルコスが驚く。それも当然の反応だろう。急に話かけるような話題ではないのだから。
「いやな、お前さんが来る前にシロウと女の尻について語っていたところなんだよ」
おい、オルテガ! そんな言い方をしたら、まるで俺が女の尻が好きな変態のように聞こえるじゃないか!
「で、どうなんだ?」
「フフ」
オルテガの言葉に、プルタルコスは一笑した。
きっと俺と同じで、何をバカげたことを言っていると思っているのだろうな。
「愚問だな。そんなの俺の嫁の尻そのものに決まっているだろう。愛した者の身体すべてが俺は好きだ」
「グハッ! さすが妻子持ちの言う言葉は破壊力が違う! 確かに好みはそれぞれあろうが、最終的には愛した者の身体が一番だな。聞いたかシロウ! 今の言葉を肝に銘じておけよ!」
何だよ! その好きになった娘が好きなタイプみたいな言い方は! それに肝に銘じておくほどのものではないだろう!
「まぁ、お前もいずれ好きな人ができてその人と結ばれれば、俺が言っていることも分かるだろうよ。ところで、シロウの好みの女の子は、ここにいるバニーガールたちに近い人はいるのか?」
「どうしてプルタルコスまでそんなことを聞く! 一杯だけで酔ってしまったのか!」
「いや、俺は素面だ。お前の好みのタイプさえ知っておけば、その子を養子として迎え入れ、シロウと結婚させれば俺の義理の息子になるからな」
騎士団長の言葉に、俺は苦笑いを浮かべる。
この男、まだ俺を息子にする計画を諦めていなかったのかよ。
「前にも言っただろう。レオと義理の兄弟になるつもりはない」
「ふむ。レオが原因なら、一層のことあいつを勘当するか。そうすればシロウが我が子になる障がいはなくなる」
プルタルコスよ、冗談であったとしても声に出して言うなよ。レオがあまりにも可哀想ではないか。
「さすがに本気ではないと思いますが、冗談でもそんなことを言わないでくださいよ」
「いや、俺は真面目に考えているのだが」
「もし、本当にあいつを勘当したら、俺はあんたとの縁も切るからな!」
「それは困るな。わかった。レオを勘当させるのは止めることにしよう」
騎士団長の言葉に、俺はホッとした。
それにしてもそこまでして俺を息子にしたいのかよ。俺を息子にしてもあんまり変わらないと思うのだが。
「なあ、どうしてプルタルコスはそんなに俺を息子にしたがるんだ? 子どもを英雄にしたいのなら、俺じゃなくてもたくさんいるだろう?」
「何を言っている。シロウこそが最高の英雄だ。お前のような息子がいれば鼻が高いし、誇りに思う。俺ではなくとも、お前を義理の息子にしたいと思う人間はたくさんいるとおもうぞ。なぁ、ギルドマスター?」
「ああ、実は俺もお前を養子にしたいと内心思っていたんだ」
「それは丁重にお断りさせてもらう」
「少しは悩む素振りぐらいみせやがれ! くそう、シロウにフラれた。こうなったらやけ酒だ。酒のお代わりを持ってきてくれ」
即答したことがよくなかったようで、オルテガは落ち込みだした。
まぁ、たまにはいいだろう。どうせ朝になったら忘れているだろうし。それに正直に言って、酒を飲むと下ネタトークをするような男の息子にはなりたくないからな。
そんなことを思いつつも、俺たち三人は酒を酌み交わすのであった。
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