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第一章
第一話 ユニークスキル【魔学者】
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自分の家に帰ると、ベッドで横になった。
マリーたちのパーティーを追放された以上は、この町には居辛い。だから、明日はこの家から出て、隣町のギルドに向おう。そこで新しい生活を送ればいい。
そんなことを考えながら、俺は眠りに就いた。
あんなできごとが起きたからなのだろう。
俺は初めてマリーたちと出会ったときの夢を見ていた。
成人の儀を終えた俺は、両親が経営している鑑定屋に来ていた。俺以外にも成人の儀を終えた人たちが集まっており、それなりに賑わっている。
この町の方針として、スキルの鑑定は成人したときに行われることになっている。そのため、大人になるまでは自分にどんな能力が備わっているのかがわからない。
「成人の儀お疲れ様でした。これより、皆さんがどんなスキルを持っているのかを鑑定させてもらいます。1列に並んでください」
鑑定士の母さんが1列に並ぶように言う。すると、成人したばかりの若者たちが、我先にと列に並ぶ。
早く自分に備わっている能力が、どんなものなのかを知りたくてたまらないのだろう。
皆みんなバカだな。遅かれ早かれ、いずれはこの場にいる全員が、スキルの鑑定をしてもらえる。それのに、ケガをするリスクを負ってまで早く知ろうとするなんて。
他の人が並ぶ中、壁に背中を預けて列を眺める。
俺も成人したので並ぶ必要がある。けれど、母さんとの約束をしているために、並ぶ訳にはいかなかった。
どうやら息子の鑑定は最後にしたいらしい。
ぼーと眺めていると、母さんが成人した人にスキル名を言う声が耳に入る。
スキル名を言われ、喜ぶ人も入れば、がっかりしている人の姿も当然いた。
そろそろみんな並び終わったころだろう。
ゆっくりと歩き、列の最後に並ぶ。
「ッツ!」
最後尾に並んでいると、急に頭が痛くなり、右手で額を抑える。
こんなときに頭痛かよ。最近は減って来たと思ったのに、久しぶりに起きやがった。
俺は物心がついたころから頭痛もちだ。幼いころは頻繁に起きていたのだが、身体が成長すると収まってきた。それなのに、今回の頭痛はいつものよりも酷かった。
まるで何日分もの痛みが、一斉に襲いかかってきたかのように。
これはマズイな。鑑定が終わったら、さっさと2階に上がって自室で寝よう。ひと眠りすれば、この痛みからも解放されるはずだ。
そんなことを考えつつ、列が進むのを待つ。
列に並んで十分ほどは経っただろうか? やっと俺の番になる。
「シロウ大丈夫? なんだか顔色が悪いような気がするわ」
俺の顔を見るなり、母さんが心配そうな表情をする。
「長い間列に並ばされたからだよ。母さんも、鑑定の速度を速める努力をしたらどうだ? 客を待たせるのはよくないぞ」
「もう、せっかく心配してあげているのに、そんなことを言うんだ。母さん悲しい」
頭が痛いせいで、つい悪態をついてしまう。そんな俺に対して、母さんは両手を丸めて目元にもって行くと、泣きまねを始めた。
ぜんぜんそんなことは思っていないだろうに。白々しい。
「泣きまねなんかするなよ、年を考えろ、年を」
小さく溜息を吐く。どうして俺の母親は、こんな感じなのだろう。
「いいから、早くしてくれ!」
「はい、はーい! わかりました! では、この水晶に手を触れてください!」
母さんの声は上擦っていた。高揚しているようで、若干鼻息が荒いような気がする。
俺より楽しみにしてどうするんだよ。
これが親という生き物なのだろうか?
色々な意味で疲れを感じ、早く終わらせたかった。なので、水晶に手を触れる。
手が触れると水晶が光り、虹色に輝き出した。
こんな光景は初めてだ。親が鑑定士であるため、鑑定の瞬間を幼いころから何度も見た。
多くの人は普通に光るだけで終わり、ときどき凄いスキルを持った人は金色に光る。
だけど、虹色に光るなんてことは1回も起きなかった。
何なんだ? この光は?
そう思った瞬間、頭が先ほどよりも強く痛む。そして何かが頭の中に雪崩れ込んできたような感じになり、思わず悲鳴を上げた。
「うわああああああぁぁぁぁぁぁ」
両手で頭を押さえ、天井を見る。
どのくらいその態勢でいたのか分からないが、痛みが消えると立ち尽くしていたことに気づく。
「うそ! ……ま……が……く……しゃ……魔学者!」
母さんが鑑定の結果を言う。
「今、鑑定士が魔学者って言わなかったか?」
「まさか、聞き間違いだろう」
「でも、今虹色に光らなかったか?」
既に鑑定を終えている人たちが、口々に言う声が聞こえてきた。
「シロウ! もう一回水晶に触れて!」
驚きを隠せれない表情で、母さんはもう1回水晶に触れるように言う。
面倒だなと思いつつ、水晶に触れた。今度は先ほどのような痛みが起きない。
「やっぱり、魔学者って書いてある」
鑑定の結果に、母さんは唖然としていた。
魔学者ってなんだったけ? 昔、何かの本で読んだことがあるような気がする。
「やっぱり、今魔学者って言ったぞ」
「マジかよ。なら、あいつさえいれば勝ち確の人生じゃないか」
この場が一斉にどよめく。
どうしてみんなはあんなに騒いでいる? そんなに珍しいスキルなのか?
そんなことを考えた瞬間、一斉に俺のところに人が押し寄せてきた。
「俺たち、これから冒険者登録をしてパーティーを組むんだ。君も入らないか?」
「私たちは女性だけのパーティーを組むことにしていたのですが、よかったら入りませんか? 私たちのパーティーに入れば即ハーレムですよ」
「僕の実家は料理屋なんだ。僕のパーティーに入れば、毎日美味しいものを食べられるよ」
「おい、抜け駆けするなよ」
「そっちこそ」
おい、おい、何だよこの人気者振りは? 男も含めて、こんなにモテたことなんか俺の人生で1回もないぞ?
現状が呑み込めずに唖然としていると、みんなの表情が強張っていることに気づく。
目も血走っており、何が何でも手に入れたいという思いが伝わってきた。
おいおい、そんなに怖い顔をしないでくれよ。ビビッて小便を漏らすかもしれないじゃないか。
なんだかマズイような気がする。どうにかしてこの場から逃げたほうがいいかもしれない。
シュッ、バシ!
そんなことを考えていると、入り口のほうから甲高い衝撃音が聞こえる。
「皆さん。寄ってたかって、1人を囲むとはどういうおつもりなのですか! それにここは鑑定屋。こんなところで騒いでは、鑑定士さんにご迷惑をおかけすることになります」
女性の声が聞こえたかと思うと、俺を囲んでいた人たちが急に左右に別れる。
いったい何が起きたんだ?
そう思っていると、3人組が近づく。
1人は金髪の髪をゆる巻にしているロングヘアーの女性だ。肌がとても綺麗で美しい美貌をもっている。彼女からはバラの香りが漂っていた。きっと香水をつけているのだろう。手には鞭が握られている。さっきの衝撃音は、彼女が鞭で床を叩いた音だったようだ。
そしてもう1人は赤い髪のイケメン。身体に鎧を着ていることから、剣士であることが一目でわかる。
3人目は、先端に丸い球体がついた杖を持っている女性だ。杖を持っていることから、魔法使いなのだろう。
「おい、あれってマリーじゃないか。男爵家のご令嬢」
「本当だ。どうしてこんなところに? 確かあいつらは、去年成人しているはず。こんなところに来るなんて」
左右に別れて道を作った人たちが口々に言う。
「あら、ワタクシたちがこの場にいるのが可笑しいかしら? 今日は、今年16歳になった方々が、成人の儀を行う日ですわよ。パーティーを作っている以上は、有能な人材の確保をするために、ここに訪れますわ」
そう言うと、マリーと呼ばれた女の子は青い瞳で俺を見る。そして、俺の手を優しく包み込むようにして握った。
「あなたを、ワタクシの立ち上げたパーティー『赤いバラ』に招待いたしますわ」
まるで新しいオモチャを見た子どものように目を輝かせ、マリーは俺をパーティーに入れたいと言う。
「シロウ! あなたは冒険者なんかになってはダメよ! そのスキルは全知全能に近い能力、様々な知識を与えられ、他の人には一生かかっても習得できないような魔法を使うことができるわ。強力すぎるあまりに、力の使い道を誤れば、世界を亡ぼすかもしれない!」
加入させられそうになり、母さんが慌てて断るように言う。
だけど母さんよ、今の言葉は失言だぞ。
「へぇー、それほど強力な力をおもちなのですわね。ますます欲しくなりましたわ」
マリーの言葉に、母さんは両手で口元を隠す。
ほらみろ、母さんが余計なことを言ったから、マリーが獲物を目前にしたハンターのような目をしているじゃないか。
仕方がない。先ほど手に入れたスキルの試運転をしてみるとしよう。
「大丈夫だよ、母さん。俺はこの力をなかったことにするから」
母さんのほうを向いて笑みを浮かべる。そして軽く息を吸い、ある魔法を口にする。
「インピード・レコグニション」
試しに、認識を阻害する魔法を唱えた。
「それで、どうですの? ワタクシのパーティーに加わってくれますの?」
効果が出たのかはわからない。だけど、ここは彼女の誘いにのってみるとするか。しばらくしたら、成功したのかどうかがわかるだろう。
「ああ、宜しく頼む」
「では、明日からギルドに来てください。無能なあなたを、荷物持ちとしてこき使ってあげますわ」
マリーの言葉を聞いた瞬間、ニヤリと口角を上げる。
よし、初めての魔法は成功した。魔法の力で、この場にいる全員の記憶を書き換え、俺のことはスキルなしと思い込ませられたようだ。
冒険者とはどういうものなのだろうか。今から楽しみだな。
マリーたちのパーティーを追放された以上は、この町には居辛い。だから、明日はこの家から出て、隣町のギルドに向おう。そこで新しい生活を送ればいい。
そんなことを考えながら、俺は眠りに就いた。
あんなできごとが起きたからなのだろう。
俺は初めてマリーたちと出会ったときの夢を見ていた。
成人の儀を終えた俺は、両親が経営している鑑定屋に来ていた。俺以外にも成人の儀を終えた人たちが集まっており、それなりに賑わっている。
この町の方針として、スキルの鑑定は成人したときに行われることになっている。そのため、大人になるまでは自分にどんな能力が備わっているのかがわからない。
「成人の儀お疲れ様でした。これより、皆さんがどんなスキルを持っているのかを鑑定させてもらいます。1列に並んでください」
鑑定士の母さんが1列に並ぶように言う。すると、成人したばかりの若者たちが、我先にと列に並ぶ。
早く自分に備わっている能力が、どんなものなのかを知りたくてたまらないのだろう。
皆みんなバカだな。遅かれ早かれ、いずれはこの場にいる全員が、スキルの鑑定をしてもらえる。それのに、ケガをするリスクを負ってまで早く知ろうとするなんて。
他の人が並ぶ中、壁に背中を預けて列を眺める。
俺も成人したので並ぶ必要がある。けれど、母さんとの約束をしているために、並ぶ訳にはいかなかった。
どうやら息子の鑑定は最後にしたいらしい。
ぼーと眺めていると、母さんが成人した人にスキル名を言う声が耳に入る。
スキル名を言われ、喜ぶ人も入れば、がっかりしている人の姿も当然いた。
そろそろみんな並び終わったころだろう。
ゆっくりと歩き、列の最後に並ぶ。
「ッツ!」
最後尾に並んでいると、急に頭が痛くなり、右手で額を抑える。
こんなときに頭痛かよ。最近は減って来たと思ったのに、久しぶりに起きやがった。
俺は物心がついたころから頭痛もちだ。幼いころは頻繁に起きていたのだが、身体が成長すると収まってきた。それなのに、今回の頭痛はいつものよりも酷かった。
まるで何日分もの痛みが、一斉に襲いかかってきたかのように。
これはマズイな。鑑定が終わったら、さっさと2階に上がって自室で寝よう。ひと眠りすれば、この痛みからも解放されるはずだ。
そんなことを考えつつ、列が進むのを待つ。
列に並んで十分ほどは経っただろうか? やっと俺の番になる。
「シロウ大丈夫? なんだか顔色が悪いような気がするわ」
俺の顔を見るなり、母さんが心配そうな表情をする。
「長い間列に並ばされたからだよ。母さんも、鑑定の速度を速める努力をしたらどうだ? 客を待たせるのはよくないぞ」
「もう、せっかく心配してあげているのに、そんなことを言うんだ。母さん悲しい」
頭が痛いせいで、つい悪態をついてしまう。そんな俺に対して、母さんは両手を丸めて目元にもって行くと、泣きまねを始めた。
ぜんぜんそんなことは思っていないだろうに。白々しい。
「泣きまねなんかするなよ、年を考えろ、年を」
小さく溜息を吐く。どうして俺の母親は、こんな感じなのだろう。
「いいから、早くしてくれ!」
「はい、はーい! わかりました! では、この水晶に手を触れてください!」
母さんの声は上擦っていた。高揚しているようで、若干鼻息が荒いような気がする。
俺より楽しみにしてどうするんだよ。
これが親という生き物なのだろうか?
色々な意味で疲れを感じ、早く終わらせたかった。なので、水晶に手を触れる。
手が触れると水晶が光り、虹色に輝き出した。
こんな光景は初めてだ。親が鑑定士であるため、鑑定の瞬間を幼いころから何度も見た。
多くの人は普通に光るだけで終わり、ときどき凄いスキルを持った人は金色に光る。
だけど、虹色に光るなんてことは1回も起きなかった。
何なんだ? この光は?
そう思った瞬間、頭が先ほどよりも強く痛む。そして何かが頭の中に雪崩れ込んできたような感じになり、思わず悲鳴を上げた。
「うわああああああぁぁぁぁぁぁ」
両手で頭を押さえ、天井を見る。
どのくらいその態勢でいたのか分からないが、痛みが消えると立ち尽くしていたことに気づく。
「うそ! ……ま……が……く……しゃ……魔学者!」
母さんが鑑定の結果を言う。
「今、鑑定士が魔学者って言わなかったか?」
「まさか、聞き間違いだろう」
「でも、今虹色に光らなかったか?」
既に鑑定を終えている人たちが、口々に言う声が聞こえてきた。
「シロウ! もう一回水晶に触れて!」
驚きを隠せれない表情で、母さんはもう1回水晶に触れるように言う。
面倒だなと思いつつ、水晶に触れた。今度は先ほどのような痛みが起きない。
「やっぱり、魔学者って書いてある」
鑑定の結果に、母さんは唖然としていた。
魔学者ってなんだったけ? 昔、何かの本で読んだことがあるような気がする。
「やっぱり、今魔学者って言ったぞ」
「マジかよ。なら、あいつさえいれば勝ち確の人生じゃないか」
この場が一斉にどよめく。
どうしてみんなはあんなに騒いでいる? そんなに珍しいスキルなのか?
そんなことを考えた瞬間、一斉に俺のところに人が押し寄せてきた。
「俺たち、これから冒険者登録をしてパーティーを組むんだ。君も入らないか?」
「私たちは女性だけのパーティーを組むことにしていたのですが、よかったら入りませんか? 私たちのパーティーに入れば即ハーレムですよ」
「僕の実家は料理屋なんだ。僕のパーティーに入れば、毎日美味しいものを食べられるよ」
「おい、抜け駆けするなよ」
「そっちこそ」
おい、おい、何だよこの人気者振りは? 男も含めて、こんなにモテたことなんか俺の人生で1回もないぞ?
現状が呑み込めずに唖然としていると、みんなの表情が強張っていることに気づく。
目も血走っており、何が何でも手に入れたいという思いが伝わってきた。
おいおい、そんなに怖い顔をしないでくれよ。ビビッて小便を漏らすかもしれないじゃないか。
なんだかマズイような気がする。どうにかしてこの場から逃げたほうがいいかもしれない。
シュッ、バシ!
そんなことを考えていると、入り口のほうから甲高い衝撃音が聞こえる。
「皆さん。寄ってたかって、1人を囲むとはどういうおつもりなのですか! それにここは鑑定屋。こんなところで騒いでは、鑑定士さんにご迷惑をおかけすることになります」
女性の声が聞こえたかと思うと、俺を囲んでいた人たちが急に左右に別れる。
いったい何が起きたんだ?
そう思っていると、3人組が近づく。
1人は金髪の髪をゆる巻にしているロングヘアーの女性だ。肌がとても綺麗で美しい美貌をもっている。彼女からはバラの香りが漂っていた。きっと香水をつけているのだろう。手には鞭が握られている。さっきの衝撃音は、彼女が鞭で床を叩いた音だったようだ。
そしてもう1人は赤い髪のイケメン。身体に鎧を着ていることから、剣士であることが一目でわかる。
3人目は、先端に丸い球体がついた杖を持っている女性だ。杖を持っていることから、魔法使いなのだろう。
「おい、あれってマリーじゃないか。男爵家のご令嬢」
「本当だ。どうしてこんなところに? 確かあいつらは、去年成人しているはず。こんなところに来るなんて」
左右に別れて道を作った人たちが口々に言う。
「あら、ワタクシたちがこの場にいるのが可笑しいかしら? 今日は、今年16歳になった方々が、成人の儀を行う日ですわよ。パーティーを作っている以上は、有能な人材の確保をするために、ここに訪れますわ」
そう言うと、マリーと呼ばれた女の子は青い瞳で俺を見る。そして、俺の手を優しく包み込むようにして握った。
「あなたを、ワタクシの立ち上げたパーティー『赤いバラ』に招待いたしますわ」
まるで新しいオモチャを見た子どものように目を輝かせ、マリーは俺をパーティーに入れたいと言う。
「シロウ! あなたは冒険者なんかになってはダメよ! そのスキルは全知全能に近い能力、様々な知識を与えられ、他の人には一生かかっても習得できないような魔法を使うことができるわ。強力すぎるあまりに、力の使い道を誤れば、世界を亡ぼすかもしれない!」
加入させられそうになり、母さんが慌てて断るように言う。
だけど母さんよ、今の言葉は失言だぞ。
「へぇー、それほど強力な力をおもちなのですわね。ますます欲しくなりましたわ」
マリーの言葉に、母さんは両手で口元を隠す。
ほらみろ、母さんが余計なことを言ったから、マリーが獲物を目前にしたハンターのような目をしているじゃないか。
仕方がない。先ほど手に入れたスキルの試運転をしてみるとしよう。
「大丈夫だよ、母さん。俺はこの力をなかったことにするから」
母さんのほうを向いて笑みを浮かべる。そして軽く息を吸い、ある魔法を口にする。
「インピード・レコグニション」
試しに、認識を阻害する魔法を唱えた。
「それで、どうですの? ワタクシのパーティーに加わってくれますの?」
効果が出たのかはわからない。だけど、ここは彼女の誘いにのってみるとするか。しばらくしたら、成功したのかどうかがわかるだろう。
「ああ、宜しく頼む」
「では、明日からギルドに来てください。無能なあなたを、荷物持ちとしてこき使ってあげますわ」
マリーの言葉を聞いた瞬間、ニヤリと口角を上げる。
よし、初めての魔法は成功した。魔法の力で、この場にいる全員の記憶を書き換え、俺のことはスキルなしと思い込ませられたようだ。
冒険者とはどういうものなのだろうか。今から楽しみだな。
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