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第十三章

第六話 とある人妻と娘の会話

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~とある人妻視点~





「うーん、今日はなかなか釣れないわね。ポイントが悪いのかしら?」

 釣りを始めてから約1時間、まだ一回も当たりが来ていない。

「そろそろ、場所を変えた方が良いかもしれないわね……って、嘘! 場所を変えようと思った途端にヒットなんて」

 場所を移そうと思った瞬間、握っている竿がビクビクと動き出す。

 力一杯引き上げようとするも、食らいついた獲物は抵抗しており、中々水面から飛び出してくれない。

「そんなに我慢しても無駄よ。私のテクニックで、すぐに出してあげるから」

 時にはゆっくりと、そして時には早く竿を動かし、獲物の体力を奪っていく。

「思っていたよりも体力があるわね。でも、我慢は良くないわよ。早く出しなさい」

 握っている竿に力を込める。すると、とうとう我慢の限界に達した様で、海面から獲物が飛び出した。

 その勢いで私はその場で尻もちを付いてしまい、海面から飛び出した水飛沫が服や顔、そして髪にも付いてしまう。

「こんなに海面から水飛沫を出してしまうなんて、いけない子ね。あら、こんな獲物、初めて見るわね」

 陸に釣り上げられた獲物は、黒い短髪の人形で、推定16歳くらいの少年のように見える。

 セイレーン? でも、人魚の足ではないわね。でも、人間は海の中に生息している訳がないし。海水浴中に事故で釣り針が引っかかっただけなら、意識はあるはず。

 念の為に獲物の胸に耳を当てると、心臓の鼓動は規則正しく動いていることが分かった。

 どうやら気を失っているだけで、死んではいないみたい。

「うーん、せっかく釣った訳だし、釣った段階で私の所有物よね。今夜この子を頂いちゃいましょう。場合によっては、娘と一緒に食べるのも良いわね」

 釣った獲物をお持ち帰りすることにした私は、持って来た荷台に獲物を乗せ、家に帰る。

 家に帰ると、家事と夕飯の支度を行い、娘が帰って来るのを待つ。

「ただいま」

 リビングで寛いでいると、娘の声が聞こえてきた。

 私は、玄関に向かい、娘を出迎える。

「おかえり、今日の学校はどうだった?」

「どうだったって、いつも通りタイだよ。マッスル先生のマッスル授業から逃げるコールドシーフのせいで、いつもの倍は扱かれたタイ

「あらあら、大変だったわね。ご飯にする? お風呂にする?」

「そうね、なら、先にお風呂にするタイ」

「あら、良いわね。食べる前には体を綺麗にするべきだもの。それじゃ、お母さんも一緒に入ろうかしら?」

「いや、どうしてそうなるとね。別にウチは1人で入るタイ

「別に良いじゃない。親子なのだから。同じ女同士じゃない」

「ま、まぁ、そこまで言うのなら、しかたがナカない。今日だけタイ」

 こうして、私は娘と久しぶりにお風呂入り、体を綺麗にする。

「今日はね、ご飯の後にメインディッシュを用意したのよ」

「ほう、それは楽しみタイ」

 親子らしい会話をした後、私たちは浴室から出た。

「あ、そこに新しい下着を用意しておいたから」

「あ、ありがとう……って、なんでこんな下着タイとよ!」

「あら? 不満だったかしら?」

 私は小首を傾げる。

 娘に渡したのは、透明感のある下着で布越しでも肌の色が見えてしまうほど、とてもエロティックな素晴らしい下着なのに、どこが不満なのかしら?

「こんなものを着ては、明日の授業の時に恥ずかしくって、着替えられなくなるタイ

「これで男子はあなたに釘付けね」

「そんなの嫌タイ!」

 不満を漏らした娘は、いつもの下着を取り出すと、それを身に着ける。

 そんなのでは、男を興奮させられないのに。

 そんな会話のやり取りをしながら、私たちは脱衣所から出て行く。

「そう言えば、今日はメインディッシュを用意したとか言っていたな。どんなの?」

「新鮮で取りたてよ。こっちにあるの」

 私は獲物を保管している部屋へと案内し、娘に今日の成果を見せる。

「シ、シャカール!」

 獲物を見た瞬間、娘は声を上げた。

「もしかして、知っているの?」

「知っているも何も、今年の夏の強化合宿で暫くの間一緒に過ごしていたタイだよ

「あ、この子が、以前あなたが言っていた子ね」

 私はシャカールと呼ばれた少年に視線を向ける。

「今夜この子を食べるわよ」

「はぁ? なんば何を冗談を言っているとタイ。シャカールを食べることなんてできる訳がナカない

「どうして食べないの?」

「いや、普通に考えて道徳的にもあり得ないタイ。どうして人肉を食べることになると」

 娘の言葉に、小さくため息を吐く。

 どうやら、この子は勘違いをしているようね。

「ここは……どこだ?」

 あら? どうやら目が覚めてしまったようね。目が覚めたら、食べられていたなんて言う展開も面白いと思ったのだけど。
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