223 / 262
第十二章
第十五話 裏切る仲間たち
しおりを挟む
なんとかシェアハウスに辿り着くことができた。だが、時既に遅く、ルーナの弟が乗り込んでいた。だが、逆に考えれば自分から囚われに来てきるようなもの。ここで決着をつける。
「本当だ! シャカールトレーナーが2人!」
「あらあら、この目で見るまでは信じられませんでしたが、ママもビックリです」
「まるでシャカールちゃんのドッペルゲンガーみたいだね」
「対策を取らないと、本当にゼロナ兄を見分けるのは大変そうだね」
俺の登場にアイリン、クリープ、マーヤ、ナナミが驚きの声を上げる。ナナミが驚いているのは、カレンニサキホコルが表に出ている時に眠っていたからなのだろう。
「ルーナの弟よ、観念しろよ」
『観念? それはこっちのセリフだ。捕まるのはお前の方だ』
俺の口調を真似、まるで自身が俺であるかのようにルーナの弟は言葉を連ねる。
「そうかよ。なら、捕まえてみろ」
やつに背を向け、一目散に玄関へと向かっていく。
このままこの建物で争う訳にはいかないからな。俺が外に出れば、広い場所で戦うことができる。
「バインウイップ!」
「何!」
玄関へと向かって走っていると、突如足に何かが絡み、その場で転倒してしまう。
くそう。いったい何なんだ?
足元を見ると、蔓が足に絡まっている。このせいで転倒したのだろう。
「やりましたよ! シャカールトレーナー! 偽者を捕らえました」
「アイリン、ふざけやがって! 何が偽者だ! アイスニードル」
氷の針を魔法で出現させ、絡まった蔓を切断する。
炎の魔法では建物を燃やして火事に発展するかもしれない。なので、被害の少ない氷魔法で蔓を切った。
アイリンのあの反応、完全に俺のことを偽者だと思っているな。
一度見極めることができたタマモが何も言わないところを見るに、どうやら細かいところに気をつけて俺に成りきったようだな。
とにかく今は、外に出るのが先決だ。
起き上がると一目散に駆け出し、玄関から外に飛び出す。
当然、みんなが俺のことを追いかけてくる。
『外に出たのに逃げないとは、どうやら諦めたようだな』
「いや、俺は諦めてはいないぞ。外に出たのは誘導するためだ」
シェアハウスのメンバー全員が俺のことを敵だと認識している以上、彼女たちからの援護は期待できない。寧ろ俺が攻撃を受けてしまう。
彼女たちを魔法で拘束させれば済むが、拘束魔法のリストレイントはランダムだ。ハズレを引いた場合、あられもない姿で拘束されてしまうリスクがある。
ハズレを引いた場合は、俺の気が散ることになるだろう。
そうなると、彼女たちが攻撃したくともできない状況へと陥られせば良い。
「来いよ! ルーナの弟、それとも、女の子の近くに居ないと怖くて近付けないのか?」
『誰がそんな挑発に乗るか……と言いたいところではあるが、敢えてお前の挑発に乗ってやる。お前の作戦は既に破られているのだからな』
ルーナの弟が地を蹴って駆け、俺との距離を縮めてきた。
『エンハンスドボティ』
やつは肉体強化の魔法を発動し、拳を放つ。
肉弾戦でインファイトをしてきたのは、なるべく肉体を傷付けないためだろうか?
やつの目的は俺を倒して魔術回路を奪い返し、その後ルーナを連れ去ることのはず。
下手な魔法で肉体に損傷を与え、肉体内部にある魔術回路を破壊するようなことになれば目も当てられないからな。
「スピードスター」
俊足の魔法を発動してやつの拳を躱し、時には反撃としてこちらも拳を放つ。
そして前後左右に動き、時には円を描くように移動をする。
互いに激しい攻防を行えば、タマモたちはどっちが俺で、どっちがルーナの弟なのか見失うはずだ。
判別ができなくさせれば、彼女たちは下手に攻撃をすることはできない。
「ロックアモォウ」
ルーナの弟に集中していると、後方からクリープの声が聞こえ、背後を見る。
彼女の前に複数の石が出現し、礫のように放たれてくる。
嘘だろう。
横に跳躍してクリープの攻撃を避ける。俺が飛び退いたことで、その攻撃は対面にいるルーナの弟に向かってくるが、彼も横に跳躍して回避する。
『クリープ! お前な』
「シャカール君ごめんなさい。まさか敵が避けるとは思っていませんでした。ですが、ケガの巧妙です。距離が離れたことで、正確に偽者を攻撃することができます」
敵だと認識している俺を狙った。つまり、彼女は凄まじい動体視力を持っていると言うことなのか?
いや、そんなはずはない。俺は俊足の魔法を唱えた。あの動きは強化されていない肉眼では追えない。彼女は動体視力を強化する魔法を使用していない以上、あり得ないことだ。
つまり、別の方法を用いて、俺とやつを見極めたことになる。
くそう。どんな手品を使いやがったんだ。ルーナの弟は。
思考を巡らせる。だが、多人数対個人の戦いである以上、そんな余裕は与えてはくれなかった。
「ファイヤーボール」
「ロック」
「アクアショット」
「ウインドカッター」
「サンダースネーク」
炎、岩、水、風、雷、様々な属性の魔法が一斉に俺に向けて襲い掛かってくる。
どうしてタマモたちは正確に俺のことだけを狙っている? 普通であるなら、見極めることは困難だ。
きっと何かしらの絡繰は存在しているはず。まずはそれを見つけないと、現状を変えることはできないだろう。
攻撃を避けつつも、俺は思考を巡らせ、状況の打開策を思案した。
「本当だ! シャカールトレーナーが2人!」
「あらあら、この目で見るまでは信じられませんでしたが、ママもビックリです」
「まるでシャカールちゃんのドッペルゲンガーみたいだね」
「対策を取らないと、本当にゼロナ兄を見分けるのは大変そうだね」
俺の登場にアイリン、クリープ、マーヤ、ナナミが驚きの声を上げる。ナナミが驚いているのは、カレンニサキホコルが表に出ている時に眠っていたからなのだろう。
「ルーナの弟よ、観念しろよ」
『観念? それはこっちのセリフだ。捕まるのはお前の方だ』
俺の口調を真似、まるで自身が俺であるかのようにルーナの弟は言葉を連ねる。
「そうかよ。なら、捕まえてみろ」
やつに背を向け、一目散に玄関へと向かっていく。
このままこの建物で争う訳にはいかないからな。俺が外に出れば、広い場所で戦うことができる。
「バインウイップ!」
「何!」
玄関へと向かって走っていると、突如足に何かが絡み、その場で転倒してしまう。
くそう。いったい何なんだ?
足元を見ると、蔓が足に絡まっている。このせいで転倒したのだろう。
「やりましたよ! シャカールトレーナー! 偽者を捕らえました」
「アイリン、ふざけやがって! 何が偽者だ! アイスニードル」
氷の針を魔法で出現させ、絡まった蔓を切断する。
炎の魔法では建物を燃やして火事に発展するかもしれない。なので、被害の少ない氷魔法で蔓を切った。
アイリンのあの反応、完全に俺のことを偽者だと思っているな。
一度見極めることができたタマモが何も言わないところを見るに、どうやら細かいところに気をつけて俺に成りきったようだな。
とにかく今は、外に出るのが先決だ。
起き上がると一目散に駆け出し、玄関から外に飛び出す。
当然、みんなが俺のことを追いかけてくる。
『外に出たのに逃げないとは、どうやら諦めたようだな』
「いや、俺は諦めてはいないぞ。外に出たのは誘導するためだ」
シェアハウスのメンバー全員が俺のことを敵だと認識している以上、彼女たちからの援護は期待できない。寧ろ俺が攻撃を受けてしまう。
彼女たちを魔法で拘束させれば済むが、拘束魔法のリストレイントはランダムだ。ハズレを引いた場合、あられもない姿で拘束されてしまうリスクがある。
ハズレを引いた場合は、俺の気が散ることになるだろう。
そうなると、彼女たちが攻撃したくともできない状況へと陥られせば良い。
「来いよ! ルーナの弟、それとも、女の子の近くに居ないと怖くて近付けないのか?」
『誰がそんな挑発に乗るか……と言いたいところではあるが、敢えてお前の挑発に乗ってやる。お前の作戦は既に破られているのだからな』
ルーナの弟が地を蹴って駆け、俺との距離を縮めてきた。
『エンハンスドボティ』
やつは肉体強化の魔法を発動し、拳を放つ。
肉弾戦でインファイトをしてきたのは、なるべく肉体を傷付けないためだろうか?
やつの目的は俺を倒して魔術回路を奪い返し、その後ルーナを連れ去ることのはず。
下手な魔法で肉体に損傷を与え、肉体内部にある魔術回路を破壊するようなことになれば目も当てられないからな。
「スピードスター」
俊足の魔法を発動してやつの拳を躱し、時には反撃としてこちらも拳を放つ。
そして前後左右に動き、時には円を描くように移動をする。
互いに激しい攻防を行えば、タマモたちはどっちが俺で、どっちがルーナの弟なのか見失うはずだ。
判別ができなくさせれば、彼女たちは下手に攻撃をすることはできない。
「ロックアモォウ」
ルーナの弟に集中していると、後方からクリープの声が聞こえ、背後を見る。
彼女の前に複数の石が出現し、礫のように放たれてくる。
嘘だろう。
横に跳躍してクリープの攻撃を避ける。俺が飛び退いたことで、その攻撃は対面にいるルーナの弟に向かってくるが、彼も横に跳躍して回避する。
『クリープ! お前な』
「シャカール君ごめんなさい。まさか敵が避けるとは思っていませんでした。ですが、ケガの巧妙です。距離が離れたことで、正確に偽者を攻撃することができます」
敵だと認識している俺を狙った。つまり、彼女は凄まじい動体視力を持っていると言うことなのか?
いや、そんなはずはない。俺は俊足の魔法を唱えた。あの動きは強化されていない肉眼では追えない。彼女は動体視力を強化する魔法を使用していない以上、あり得ないことだ。
つまり、別の方法を用いて、俺とやつを見極めたことになる。
くそう。どんな手品を使いやがったんだ。ルーナの弟は。
思考を巡らせる。だが、多人数対個人の戦いである以上、そんな余裕は与えてはくれなかった。
「ファイヤーボール」
「ロック」
「アクアショット」
「ウインドカッター」
「サンダースネーク」
炎、岩、水、風、雷、様々な属性の魔法が一斉に俺に向けて襲い掛かってくる。
どうしてタマモたちは正確に俺のことだけを狙っている? 普通であるなら、見極めることは困難だ。
きっと何かしらの絡繰は存在しているはず。まずはそれを見つけないと、現状を変えることはできないだろう。
攻撃を避けつつも、俺は思考を巡らせ、状況の打開策を思案した。
0
お気に入りに追加
27
あなたにおすすめの小説
分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活
SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。
クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。
これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
頭にきたから異世界潰す
ネルノスキー
ファンタジー
気ままな高校生活を送っていた葉山弓弦は不良で名が通った荒くれ者だった。
気に入らない奴は拳で黙らせ、筋が通らない事は許さない。
例えそれが間違った方法であっても彼は決して止まらず己が道を進み続けた。
そんなある日。
突如彼は彼を含めた友人とクラスメイトと共に異世界への転移を果たしてしまう。
異世界へと転移してきた彼らは『勇者一行』と呼ばれ魔王復活により、血みどろの戦争が行われようとする世界から生き抜き、皆で地球に戻るために奔走する。
しかし葉山弓弦は早々にクラスメイト達から抜け出す事となった。
他のものとは比べられないほどの圧倒的脆弱なステータス。
名称だけでも危険すぎるスキルや称号によって彼は一人生き抜く術を磨いて行くことに決めた。
ヒューマンテイム ~人間を奴隷化するスキルを使って、俺は王妃の体を手に入れる~
三浦裕
ファンタジー
【ヒューマンテイム】
人間を洗脳し、意のままに操るスキル。
非常に希少なスキルで、使い手は史上3人程度しか存在しない。
「ヒューマンテイムの力を使えば、俺はどんな人間だって意のままに操れる。あの美しい王妃に、ベッドで腰を振らせる事だって」
禁断のスキル【ヒューマンテイム】の力に目覚めた少年リュートは、その力を立身出世のために悪用する。
商人を操って富を得たり、
領主を操って権力を手にしたり、
貴族の女を操って、次々子を産ませたり。
リュートの最終目標は『王妃の胎に子種を仕込み、自らの子孫を王にする事』
王家に近づくためには、出世を重ねて国の英雄にまで上り詰める必要がある。
邪悪なスキルで王家乗っ取りを目指すリュートの、ダーク成り上がり譚!
ごめんみんな先に異世界行ってるよ1年後また会おう
味噌汁食べれる
ファンタジー
主人公佐藤 翔太はクラスみんなより1年も早く異世界に、行ってしまう。みんなよりも1年早く異世界に行ってしまうそして転移場所は、世界樹で最強スキルを実でゲット?スキルを奪いながら最強へ、そして勇者召喚、それは、クラスのみんなだった。クラスのみんなが頑張っているときに、主人公は、自由気ままに生きていく
Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
ゲームのモブに転生したと思ったら、チートスキルガン積みのバグキャラに!? 最強の勇者? 最凶の魔王? こっちは最驚の裸族だ、道を開けろ
阿弥陀乃トンマージ
ファンタジー
どこにでもいる平凡なサラリーマン「俺」は、長年勤めていたブラック企業をある日突然辞めた。
心は晴れやかだ。なんといってもその日は、昔から遊んでいる本格的ファンタジーRPGシリーズの新作、『レジェンドオブインフィニティ』の発売日であるからだ。
「俺」はゲームをプレイしようとするが、急に頭がふらついてゲーミングチェアから転げ落ちてしまう。目覚めた「俺」は驚く。自室の床ではなく、ゲームの世界の砂浜に倒れ込んでいたからである、全裸で。
「俺」のゲームの世界での快進撃が始まる……のだろうか⁉
偽勇者扱いされて冤罪をかぶせられた俺は、ただひたすらに復讐を続ける
大沢 雅紀
ファンタジー
勇者の血を引きながら、戦闘力がないせいで偽勇者扱いされ、照明師として新たに召喚された勇者光司にこきつかわれていたライト。やっとの思いで魔王を倒し、国に凱旋したとき、身に覚えのない冤罪をかけられて奴隷に落とされてしまう。偽勇者として国中を引き回された後、故郷の村にもどされるが、そこには新たなダンジョンができていた……。勇者が魔王に転生するとき、すさまじい復讐の嵐が王国を襲う。魔王になってしまった勇者による復讐記
目次
連載中 全53話
2022年11月15日 08:51 更新
冤罪編
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる