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第十一章
第十八話 ローレルの思惑
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ローレルの案に乗り、俺は学園の敷地の外にある物置小屋で身を隠していた。そしてローレルは様子を見て来ると言って一旦この場を離れたが、戻って来た時には全裸のタマモ付きと言う状態だった。
彼女は性欲を高める薬入りの菓子を食べたのではなく、自分の意思でタマモを連れてきたと言う。
いったい彼女は何を考えているんだ。
いきなりの裏切り行為に鼓動が早鐘を打つ中、俺は脱出方法を考える。
出入り口は、現在ローレルが塞いでいる。脱出するには、彼女を押し退けて飛び出さないといけない。だけど、メイドの前にはタマモがいる以上、彼女がそれを許すとは思えない。
他に脱出する場所はあるだろうか。他の逃げ道を見つけ出すためにも、まずは時間稼ぎが必要だな。
「ローレル、これはいったいどう言うことだ。どうしてタマモを連れてきた。お前は何を企んでいる」
「企んでいると言うのは人聞きが悪いですが、実際には思惑があっての行動ですので、企んでいるとも言えますね」
彼女の目的を知ろうと問い質すも、彼女ははぐらかそうとしてくる。
「正直に言わないと、フェインとの協力関係を断つぞ」
「そ、それは困ります。ご主人様がフェイン様に協力していただかないと、私の目的が……わ、分かりました。言いましょう。お嬢様を連れて来たのは保険のためです。あ、この場なので誤解してしまうかもしれませんが、保健体育の保健ではないですよ」
ちょっとした冗談も交えつつ、ローレルは保険のための行為だと告げる。
「私はメイドの仕事に誇りを持っています。そして一生メイドとして生きていく覚悟で、これまでスカーレット家のメイドとして働いて来ました。ですが、スカーレット家は風前の灯状態。スカーレット家が滅んでしまっては、メイドとして雇ってくれるところを再び探さなければなりません」
確かにローレルは俺のことをご主人様と言っているが、そう呼ぶようにフェインから言われているだけであり、彼女を雇用しているのはフェインだ。つまり、彼女は再就職先を危惧している。
だけど、その心配と、タマモをこの場に連れてくるのと、何の関係性があるんだ?
「最初はこのパンデミックに驚き、そして戸惑いもしましたが、考えを改めることにしました。すると、素晴らしいアイディアが思いついたのです。この混乱に乗じてご主人様とお嬢様が性行為を行い、孕ませることに成功すれば、ご主人様は責任を取るしかない。婚姻を結ばせれば、お嬢様のメイドとしてもれなく私も付いてくるので、再就職先の心配もせずに済むと言う訳です」
ローレルが企みを語る。
なるほど、彼女がどうしてこのような行動に出たのか、理由はわかった。
「お前の企みは分かった。だが、例え俺がタマモとの子を作ったとしても、認めなかったら、意味がないぞ」
「その心配はしておりません。ご主人様がいくら悪ぶっていても、心の奥底は善人です。お嬢様と性行為を行い、そして子が生まれたら責任を必ずとってくれます。ご主人様は快楽だけを楽しんで女性を道具のように扱うクソ鬼畜野郎ではないと、信じていますので」
メイドの言葉に、少しだけテレを感じてしまう。
ここまで信用されているとは思わなかった。けれど、まだ解決方法はある。
「なるほど、ならこうしよう。タマモをここから遠ざけて他の女子生徒を近づけさせることなく無事に朝を迎えることができたら、万が一スカーレット家が滅んでも、学園の卒業と共にお前を雇うと誓おう。契約書を書いてサインをしても良い」
どうだ? これならローレルも安心することができるはず。
「とても魅力的な提案ですね。ですが、お断りいたします」
即答するローレルの言葉に、衝撃が走った。
まさか、ここまでキッパリと言われるとは思わなかった。
「なぜ断る! お前にはデメリットが全然ないじゃないか!」
「確かにデメリットはないですね。ですが、その提案には重大な欠陥とも言える穴があります」
「穴だと?」
「はい。私がお嬢様をこの場から引き離すことは不可能なのです。ただのメイドと現役の走者、普通に考えても身体能力に差があるではないですか。私が取り押さえようとしても、簡単に振り解かれてしまいます」
ローレルの言葉に奥歯を噛む。
チッ、同じケモノ族なら、年上のローレルが取り押さえてくれるかと思ったが、予想と裏腹な展開となってしまったな。
「それよりも、お嬢様にはご主人様の子を孕んでもらった方が早いです。確か今日は危険日だったはずなので、可能性は高いですね。太陽が登ってお嬢様が正気に戻るまで、ご主人様の子種をお嬢様の中に出し続ければ、ほぼ確実に着床するでしょう」
正気を取り戻すまで性行為を続けるとか、そっちの方が鬼畜じゃないか。
こうなってくると、なんとしても捕まる訳にはいかないな。
「ローレル、長話はその辺で良いかしら? あたしは早くシャカールの子種をもらいたいのだけど?」
「ええ、ご主人様には悪いですが、今回はお嬢様の味方をさせていただきます。私がご主人様を押さえている間に満足するまでお楽しみください」
2対1か。レースならともかく、バトルのような感じになってしまうと、正直自信がない。
「ローレル、あたしがシャカールを取り押さえたとき、全然アレが反応しなかったのだけど?」
「それは私にお任せください。様々なエッチな書物を読んで、その手の知識だけは豊富なので。どんなに抵抗しても、必ず勃たせてみせます」
さて、どうやってこの場を切り抜けようかな。
彼女は性欲を高める薬入りの菓子を食べたのではなく、自分の意思でタマモを連れてきたと言う。
いったい彼女は何を考えているんだ。
いきなりの裏切り行為に鼓動が早鐘を打つ中、俺は脱出方法を考える。
出入り口は、現在ローレルが塞いでいる。脱出するには、彼女を押し退けて飛び出さないといけない。だけど、メイドの前にはタマモがいる以上、彼女がそれを許すとは思えない。
他に脱出する場所はあるだろうか。他の逃げ道を見つけ出すためにも、まずは時間稼ぎが必要だな。
「ローレル、これはいったいどう言うことだ。どうしてタマモを連れてきた。お前は何を企んでいる」
「企んでいると言うのは人聞きが悪いですが、実際には思惑があっての行動ですので、企んでいるとも言えますね」
彼女の目的を知ろうと問い質すも、彼女ははぐらかそうとしてくる。
「正直に言わないと、フェインとの協力関係を断つぞ」
「そ、それは困ります。ご主人様がフェイン様に協力していただかないと、私の目的が……わ、分かりました。言いましょう。お嬢様を連れて来たのは保険のためです。あ、この場なので誤解してしまうかもしれませんが、保健体育の保健ではないですよ」
ちょっとした冗談も交えつつ、ローレルは保険のための行為だと告げる。
「私はメイドの仕事に誇りを持っています。そして一生メイドとして生きていく覚悟で、これまでスカーレット家のメイドとして働いて来ました。ですが、スカーレット家は風前の灯状態。スカーレット家が滅んでしまっては、メイドとして雇ってくれるところを再び探さなければなりません」
確かにローレルは俺のことをご主人様と言っているが、そう呼ぶようにフェインから言われているだけであり、彼女を雇用しているのはフェインだ。つまり、彼女は再就職先を危惧している。
だけど、その心配と、タマモをこの場に連れてくるのと、何の関係性があるんだ?
「最初はこのパンデミックに驚き、そして戸惑いもしましたが、考えを改めることにしました。すると、素晴らしいアイディアが思いついたのです。この混乱に乗じてご主人様とお嬢様が性行為を行い、孕ませることに成功すれば、ご主人様は責任を取るしかない。婚姻を結ばせれば、お嬢様のメイドとしてもれなく私も付いてくるので、再就職先の心配もせずに済むと言う訳です」
ローレルが企みを語る。
なるほど、彼女がどうしてこのような行動に出たのか、理由はわかった。
「お前の企みは分かった。だが、例え俺がタマモとの子を作ったとしても、認めなかったら、意味がないぞ」
「その心配はしておりません。ご主人様がいくら悪ぶっていても、心の奥底は善人です。お嬢様と性行為を行い、そして子が生まれたら責任を必ずとってくれます。ご主人様は快楽だけを楽しんで女性を道具のように扱うクソ鬼畜野郎ではないと、信じていますので」
メイドの言葉に、少しだけテレを感じてしまう。
ここまで信用されているとは思わなかった。けれど、まだ解決方法はある。
「なるほど、ならこうしよう。タマモをここから遠ざけて他の女子生徒を近づけさせることなく無事に朝を迎えることができたら、万が一スカーレット家が滅んでも、学園の卒業と共にお前を雇うと誓おう。契約書を書いてサインをしても良い」
どうだ? これならローレルも安心することができるはず。
「とても魅力的な提案ですね。ですが、お断りいたします」
即答するローレルの言葉に、衝撃が走った。
まさか、ここまでキッパリと言われるとは思わなかった。
「なぜ断る! お前にはデメリットが全然ないじゃないか!」
「確かにデメリットはないですね。ですが、その提案には重大な欠陥とも言える穴があります」
「穴だと?」
「はい。私がお嬢様をこの場から引き離すことは不可能なのです。ただのメイドと現役の走者、普通に考えても身体能力に差があるではないですか。私が取り押さえようとしても、簡単に振り解かれてしまいます」
ローレルの言葉に奥歯を噛む。
チッ、同じケモノ族なら、年上のローレルが取り押さえてくれるかと思ったが、予想と裏腹な展開となってしまったな。
「それよりも、お嬢様にはご主人様の子を孕んでもらった方が早いです。確か今日は危険日だったはずなので、可能性は高いですね。太陽が登ってお嬢様が正気に戻るまで、ご主人様の子種をお嬢様の中に出し続ければ、ほぼ確実に着床するでしょう」
正気を取り戻すまで性行為を続けるとか、そっちの方が鬼畜じゃないか。
こうなってくると、なんとしても捕まる訳にはいかないな。
「ローレル、長話はその辺で良いかしら? あたしは早くシャカールの子種をもらいたいのだけど?」
「ええ、ご主人様には悪いですが、今回はお嬢様の味方をさせていただきます。私がご主人様を押さえている間に満足するまでお楽しみください」
2対1か。レースならともかく、バトルのような感じになってしまうと、正直自信がない。
「ローレル、あたしがシャカールを取り押さえたとき、全然アレが反応しなかったのだけど?」
「それは私にお任せください。様々なエッチな書物を読んで、その手の知識だけは豊富なので。どんなに抵抗しても、必ず勃たせてみせます」
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