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第四章「幽霊と告白大作戦」
「壁紙」
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呆れた俺は、下ネタ全開で絶好調な幽子を置いてさっさとみんなの元へ帰る。
説教中からこのメンツにしてはやけに静かだと思っていたが、まだ写真を見ているらしい。
よっぽど自分たちの写真うつりが気になったのだろうか。
全員同じ浴衣姿だし、かわいいからそんなに気にすることもないと思うけど……。
不思議に思ってると、固まってカメラを覗いていた三人のうち、木ノ葉が駆けてくる。
「お兄ちゃんお兄ちゃん! この写真、壁紙にしていい⁉」
「いや、成瀬の……ぱ、パンツが写ってるわけだし、もう一枚撮り直す方でいいだろ」
「うーん……まあ、そうなんだけどね。お兄ちゃんが面白い顔してたから」
「面白画像として⁉」
その後も木ノ葉が面白い面白いと失礼なことを言うので、確認してみる。
すると、成瀬のパンツの衝撃と同じくらい衝撃的な俺の変顔が写り込んでいた。
……っていうか、ゴリラと合成したみたいな写真になっていた。
「あははははは! 怜太さん、ゴリラー!」
しれっと近くまで来ていた幽子が、腹を抱えて笑っている。
どうやら、こいつが自分が間に合わなかったことを気にしてNGになるよう加工したらしい。
そんなことも知らず、自然に撮れた写真だと思ってはしゃいでいる木ノ葉がまた言ってくる。
「お兄ちゃん、壁紙にしていい?」
「…………ちょっとだけな」
本当は嫌だが、SNSに載せられるよりはマシだ。
みんなが言う通り実際面白い写真だし、仕方ないだろう。
と思って許可したわけだが――
「ええと、どのくらいの大きさで何枚にしたらちょうどいいのかな……」
木ノ葉が、なにやら計算している。
壁紙にするのに縦横比とか、そういった計算があるんだろうか。
「木ノ葉、ええと……何の計算を?」
その辺の機械事情は分からないため、比較的機械に強い本人に訊いてみた。
すると、木ノ葉はスマートフォンで電卓をたたきながら口を開いて――
「いやぁ、うちの壁の大きさだとお兄ちゃんの変顔が何枚貼れるかと思って」
「パソコンやスマホじゃなくて本物の部屋の壁紙かよ!」
すごくアナログな方法で、壁紙を発注しようとしていた。
もちろん、遊びに行ったときに不快になるし、阻止させてもらいました。
*
「それじゃあ撮りますね……ここ見てください……ハイ、グヴィナー」
――数分後。
パンチラと変顔が写り込むハプニングのせいでさっきの写真はもちろん削除となり。
改めて、副所長さんに集合写真を撮影してもらうこととなった。
ちなみに、副所長さんの掛け声は先ほどのイタリア語から、ヘブライ語に変わっている。
……いや、誰が気づくんだこんな小ボケ。
呆れながら、今度こそとカメラを持った副所長に近づく。
すると、彼の表情はまたも険しいものに変わってしまっていた。
そのまま彼は、開いた口が塞がらないといった風に立ち尽くしている。
そんな様子に、アイコンタクトを交わす俺たち文芸部。
「えっと……また、どうかされたんですか?」
代表して俺が訊ねると、彼は黙ってカメラの画面を俺たちに向けた。
そこには、清々しい顔をした俺たちの姿が写っているのだが……。
俺が見たところ、別におかしなところは何もない。
いつも通り、五人とも普通に写って――――――――あ。
「 」
お分かり頂けただろうか。
俺たち文芸部の人数は、四人。
部長と、成瀬と、俺と、木ノ葉。
つまり、ここには存在しないはずのもう一人がこの写真には写っていて――
「 」 ←琴音
「 」 ←成瀬
「 」 ←木ノ葉
文芸部のメンバーが、こんな感じでモノも言えなくなっている。
それもそのはず。
だって、この写真にはくっきりと、本物の幽霊が写り込んでいて――
「おおっ、怜太さん。私、写真には写れるみたいですね! 新発見です!」
――白装束で、アへ顔ダブルピースを晒しているのだから。
説教中からこのメンツにしてはやけに静かだと思っていたが、まだ写真を見ているらしい。
よっぽど自分たちの写真うつりが気になったのだろうか。
全員同じ浴衣姿だし、かわいいからそんなに気にすることもないと思うけど……。
不思議に思ってると、固まってカメラを覗いていた三人のうち、木ノ葉が駆けてくる。
「お兄ちゃんお兄ちゃん! この写真、壁紙にしていい⁉」
「いや、成瀬の……ぱ、パンツが写ってるわけだし、もう一枚撮り直す方でいいだろ」
「うーん……まあ、そうなんだけどね。お兄ちゃんが面白い顔してたから」
「面白画像として⁉」
その後も木ノ葉が面白い面白いと失礼なことを言うので、確認してみる。
すると、成瀬のパンツの衝撃と同じくらい衝撃的な俺の変顔が写り込んでいた。
……っていうか、ゴリラと合成したみたいな写真になっていた。
「あははははは! 怜太さん、ゴリラー!」
しれっと近くまで来ていた幽子が、腹を抱えて笑っている。
どうやら、こいつが自分が間に合わなかったことを気にしてNGになるよう加工したらしい。
そんなことも知らず、自然に撮れた写真だと思ってはしゃいでいる木ノ葉がまた言ってくる。
「お兄ちゃん、壁紙にしていい?」
「…………ちょっとだけな」
本当は嫌だが、SNSに載せられるよりはマシだ。
みんなが言う通り実際面白い写真だし、仕方ないだろう。
と思って許可したわけだが――
「ええと、どのくらいの大きさで何枚にしたらちょうどいいのかな……」
木ノ葉が、なにやら計算している。
壁紙にするのに縦横比とか、そういった計算があるんだろうか。
「木ノ葉、ええと……何の計算を?」
その辺の機械事情は分からないため、比較的機械に強い本人に訊いてみた。
すると、木ノ葉はスマートフォンで電卓をたたきながら口を開いて――
「いやぁ、うちの壁の大きさだとお兄ちゃんの変顔が何枚貼れるかと思って」
「パソコンやスマホじゃなくて本物の部屋の壁紙かよ!」
すごくアナログな方法で、壁紙を発注しようとしていた。
もちろん、遊びに行ったときに不快になるし、阻止させてもらいました。
*
「それじゃあ撮りますね……ここ見てください……ハイ、グヴィナー」
――数分後。
パンチラと変顔が写り込むハプニングのせいでさっきの写真はもちろん削除となり。
改めて、副所長さんに集合写真を撮影してもらうこととなった。
ちなみに、副所長さんの掛け声は先ほどのイタリア語から、ヘブライ語に変わっている。
……いや、誰が気づくんだこんな小ボケ。
呆れながら、今度こそとカメラを持った副所長に近づく。
すると、彼の表情はまたも険しいものに変わってしまっていた。
そのまま彼は、開いた口が塞がらないといった風に立ち尽くしている。
そんな様子に、アイコンタクトを交わす俺たち文芸部。
「えっと……また、どうかされたんですか?」
代表して俺が訊ねると、彼は黙ってカメラの画面を俺たちに向けた。
そこには、清々しい顔をした俺たちの姿が写っているのだが……。
俺が見たところ、別におかしなところは何もない。
いつも通り、五人とも普通に写って――――――――あ。
「 」
お分かり頂けただろうか。
俺たち文芸部の人数は、四人。
部長と、成瀬と、俺と、木ノ葉。
つまり、ここには存在しないはずのもう一人がこの写真には写っていて――
「 」 ←琴音
「 」 ←成瀬
「 」 ←木ノ葉
文芸部のメンバーが、こんな感じでモノも言えなくなっている。
それもそのはず。
だって、この写真にはくっきりと、本物の幽霊が写り込んでいて――
「おおっ、怜太さん。私、写真には写れるみたいですね! 新発見です!」
――白装束で、アへ顔ダブルピースを晒しているのだから。
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