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35 石化

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「これで……終わり!」
「ぐげぇぇっぇ」

 小愛はいつものようにダンジョンで魔物を狩っていた。

「よし、この階層のボスは倒したから……っと、もうその手には乗らないからね!」

 壁から現れた魔法陣を小愛はドヤ顔で避けた。以前罠にかかった経験から常に注意を張っていたのだ。そのかいあって今こうして罠を避けることが出来たのだった。そこまでは良かったのだ。そこまでは。

「……あ」

 避けた先にもう一つ罠があったことに、彼女は気付いていなかったのだ。




(うーん……? あれ、体が動かない……?)

 意識を取り戻した小愛は体が動かないことに疑問を持った。力を入れても動かないと言うよりかはそもそも力が入らない。そんな状態になっていたのだが、彼女はそこまでは気にしていなかったようだ。どちらにしろ動けないという事に変わりはないのだから問題は無いと考えたのかもしれない。

(でも前は見えているし、この前みたいに壁の中にいる訳では無いのかな……?)

 今の彼女にはしっかりと視界があった。となると、少なくとも壁の中に埋め込まれていると言う訳では無いだろう。しかしそうなると体が動かないことへの説明がつかないのだが、残念ながらそれを導き出せるほどの情報を彼女はまだ持っていなかった。

(一体何が起こったんだろう……。ってあれは……誰か来た……? すみません、助けてください!)

 小愛は遠くから近づいてくる冒険者に気付き、助けを求めた。しかしその冒険者は小愛の前を素通りしてそのまま奥へと進んで行ってしまった。

(あ、あれ……? 聞こえなかったのかな……。あ、あの……!)

 小愛は声が届いていないのだと思い、もう一度冒険者を呼んだ。しかし今回もその冒険者に声が届くことは無かった。

(な、何かおかしい……?)

 冒険者の様子から小愛は違和感を覚えたようだった。その冒険者は決して無視をしているといった風では無かったのだ。ダンジョン内で人の声がしたのにも関わらず、ほんの少しの反応も見せないのはおかしいだろう。それにもし仮にそれが人の声で無いにしても何かしらの情報が得られる可能性は高い。そういったものを一切無視すると言うことは、ダンジョン内を探索する上ではデメリットにしかなり得ないのだ。

 しかし、その冒険者には一切の問題は無かった。そもそも小愛は声が出ていなかったのだから。

(おかしい……声が聞こえていない……? 動かない体に声が出ない状態……もしかして!?)

 そこでやっと小愛は気付いた。自身が置かれている状況に。

(石化……!)

 得られた数少ない情報からそう判断した小愛だったが、実際その判断は正しかった。彼女は石化の罠を踏んでしまったのだ。

(まさかこんな状態異常もあるなんて……でもレジスト魔法やスキルを使えば……)

 そう考えた小愛は脳内でスキルウィンドウを表示する。しかしそこには彼女にとって絶望的な文字が表示されていたのだった。

(嘘……でしょ……?)

 表示されていたのは解除不可能の文字。そしてその下には解除までの時間が書かれていた。

(72……時間?)

 72時間。それが解除までの時間だった。

(魔法でもスキルでも解除できないなんて……三日間もこのままなの……?)

 小愛は恐怖に侵食されていく。一切体が動かせず、声も出せない。そんな状態が三日も続くのだから無理も無かった。

「グゲゲ……」
(ま、魔物!? こんな時に……!)

 彼女は忘れていた。ここはダンジョンの中なのだ。当然魔物だって生息している。無防備に立っていればいつ魔物に襲われてもおかしくは無いのだ。むしろ今まで魔物に出会わなかった方が奇跡のようなものだ。 

(だ、駄目……来ないで……)

 今襲われればひとたまりも無い。それは小愛自身が何よりもわかっていた。そんな彼女の事など全く気にせず、魔物は少しずつ石化している彼女へと近づいて行く。

(もう……そこまで……ってあれ?)

 もう駄目かと感情を昂らせる小愛とは対照的に、魔物は何の反応も示さずにその場を去って行った。

(もしかして……石化状態だと魔物に狙われない……?)

 今目の前で起こった事象から小愛はそう考える。確証は無いものの状況的にそうとしか言えなかった。

 それからしばらくして再び冒険者がやってきたのだが……。

「お、何だこの石像……エロすぎだろ」

 石化した小愛に興味津々のようだった。

「女性の曲線美が見事に表現されている……」
(え、ちょっと……!?)

 冒険者は手袋を脱ぎ、小愛の体に触れる。

(だ、駄目……くすぐったいよ……)

 触られた感覚はあるようで小愛はくすぐったがっていた。しかしそれから逃れることも出来なければやめてもらうようにお願いすることも出来ない。ただ耐えることしか彼女には出来ないのだ。

「ふむふむ。肉付きが良いな……モデルは貴族の令嬢か何かだろうか」

 冒険者は小愛のお腹の辺りを撫でていたかと思うと、そのまま腰へと手を下ろしていく。そして太ももからふくらはぎに向かって撫でまわした。

「足の指先まで精巧に作られている……これほどの石像が存在していたとは」
(くっ……ふふっ……だめっ足の裏触らないでぇっ)

 冒険者は小愛の足を観察しながら撫でまわす。それによるくすぐったさを小愛はひたすらに耐えていた。その後も足回りを見ていた彼だったが、顔を上げた際に何かに気付いたのか少し驚いていた。

「これはまさか……こんな所まで作り込んであるとは……!」
(ひぅっ……!?)

 小愛の秘部へと手を伸ばす冒険者。彼はそのまま小愛の小さな突起からその下の穴まで、ゆっくりと人差し指でなぞった。

(そこ、触っちゃだめなのにぃっ……んぅっ)

 敏感な部分を触られてしまい、小愛はだんだんと欲情していく。しかし自分で動けない以上、絶頂を迎えるには外から誰かしらに触ってもらうしか無いのだ。

「女性器まで精巧に作られているとは予想外だ……この石像を作った者は相当な変態のようだな」
(変態なのは貴方だよ……!?) 

 小愛は心の中でそう思うが、当然冒険者には届かない。と言っても、そもそも小愛に変態と言われる筋合いは無いのかもしれないが。

「おっと、こういったところばかり見るのは不味いか」
(ま、待って……もっと触ってお願い……♡ ってこれじゃあ私も変態だぁ……)

 石像とは言え女性器をまじまじと見続けているのは不味いと思った冒険者は立ち上がる。それは今の小愛にとってはお預けに等しいのだった。

(こんなにムラムラしてるのに……気持ちよくなりたいのに……。ここでお預けなんて耐えられないよぉ……ぉぉ゛っ!?)

 絶望しかけていた小愛だったが、冒険者が胸を触ったことで軽く絶頂したのだった。自分で触ることが出来ず限界まで昂っていた彼女の性感帯は、ほんの少し触られただけで絶頂する程に鋭敏になっていた。

(んぐぅっっぅぅう゛ぅ゛♡ ふぅ……ふぅ……♡)
「とても美しい形をしている……」

 何も知らない冒険者が小愛の胸を触るたびに、彼女は今までの昂りを全て解放するかの如くイキ狂う。

「おや……? 先ほどまでこんなに乳首が大きかっただろうか」
(はぅぁ゛っぁあっぁ゛♡)
 
 いつのまにか大きくなっていた小愛の乳首を冒険者は不思議そうに摘まむ。その瞬間、小愛の体中に快楽の稲妻が駆け巡った。

「いや、見落としていただけか。石像が姿を変えるなどありえん……」

 冒険者はただの見間違いだと判断したようだ。普通に考えれば石像が後天的にその姿を変えることなどありえないのだから当然と言えば当然の考えだろう。

「それにしても、もう少し胸が大きければな……」
(はぁ……はぁ……失礼な……! それなら……!)

 悪気は無かったのだろうが、冒険者のその一言が小愛に突き刺さった。

(これでどう? たぷんたぷんのおっぱいだよ……!)

 小愛はウィンドウから膨乳体質スキルを使用し、胸を大きくさせたのだった。だが、それは今この状況においては悪手となった。

「うぇぁ!? え、何が……さっきまでこんなに大きくは無かったはず……」

 少し目を離した隙に石像の胸が大きくなっていたのだから当然の反応だった。

「な、なんなんだこれは……!」
(あ、待って……!)

 目の前で起こった不可思議な現象に恐怖した冒険者は逃げるようにして小愛の元を去って行った。こうして小愛は二日間以上もの時間を欲情したまま、発散させることも出来ずに過ごすこととなったのだった。

[石化体質を習得しました]
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