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3 第三話
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少ししてギルドから直接迎えが来たようだった。
「詳しい話はギルドでいたしますので」
「は、はぁ……」
とにもかくにも冒険者ギルドへ行かないと話は進まなそうだ。
そうしてギルドへたどり着くと数人の女性が出て来た。
服装からしてかなりのお偉いさんのようだな。
「どうぞこちらへ」
案内されるがままにどんどんギルドの奥へと進んでいく。
俺は一体どうなっちまうんだ。このまま身分証偽造の疑いで処刑とか無いよな……?
「来たか。入れ」
「……失礼します」
一番奥の部屋に入るように指示されたため、抵抗することなく入る。
と言うより抵抗した所でここは冒険者ギルドだ。勝ち目なんて無いしな。
部屋の中には少女……と言って良いのかわからない雰囲気を纏う人がいた。
「ほう、君が彼女の言っていた凄まじい魔力を持つ者か……」
「え、魔力ですか……?」
魔力? 何を言っているんだ……俺の魔力なんて……。
「どれ、少し見させてもらおう」
目の前の少女はそう言って、奥の戸棚から水晶を取り出して俺の前に置いた。
「この水晶に手をかざしてみてくれ」
「……わかりました」
この人の言っている意味がわからない。
いやもちろん魔力を測る水晶の存在は冒険者である以上知っている。
だがそれを俺に使わせる理由がわからない。
「こうですか……?」
「うむ」
とは言えやってくれと言われたならやるしかない。今ここで拒絶しても良いことは無さそうだしな。
「おぉ……やはりか……!」
なんだか妙な反応だ。俺が以前ギルドで測ってもらった時は周りの冒険者からゴミを見るような目で見られた。
でも今目の前にいる少女は目を輝かせている。
まるで高ランクの冒険者に匹敵する魔力を持っているかのように。
「質も量も段違いだ……。君さえ良ければだが、我がギルドの専属冒険者になってくれないか?」
「……はい!?」
え、なんて言ったんだこの人……俺を専属冒険者に……?
いやいや聞き間違いだろう。俺にはそんなポテンシャルなんて無いし実績も無い。
「いやそうか。待遇もわからないのでは判断出来んよな。よし、我がギルドが持つ小屋を一つやろう。それに依頼達成時の報酬も上乗せするぞ!」
聞き間違いでは無かったようだ。
少女は俺の答えを聞くことなくどんどんと付け加えて行く。
「ま、待ってください……どうして俺なんかにそんなにこだわるんですか!?」
「俺なんか……とな? よもや本気で言っている訳ではあるまい?」
「だって俺の魔力量なんて決して多い訳じゃ無いですし、質だって高くは……」
そう言いかけた俺の肩を少女は掴んだ。
「何を言っているのだ! 君の魔力量は間違いなく今まで見てきた中でも一番だ!」
「……は?」
今まで見て来た中で一番。確かにそう言っていた。俺が……?
「そんな訳ないじゃないですか……俺の魔力量なんてたかだか1200程度ですよ? 軽めの回復魔法ですら十発も使えないのに……」
「それがおかしいと言っているのだ。今まで私が見て来た中では一番高くても300程だった。回復魔法が十発も使えないなどと、それはもはや謙遜では無く嫌味では無いのか?」
おかしい。何かが確実におかしい。
高くて魔力量が300だって……?
普通の冒険者は魔法職で無くとも5000はあるはずだ。その十分の一だなんて普通に考えてありえない。
いや、おかしいと言えばそれ以外にもある。
さっきの吹き飛んだビッグボア……俺の腕に当たっただけであんなに奇麗に吹き飛ぶのはおかしい。
それと衛兵が折ろうとした親指だ。あれほどの大柄な男が全体重をかけて折れないことなんてあるのか?
……もしかしたらここは俺の知っているシステムと違うのか?
だとしたら少しでも情報が欲しい。それに安心して過ごせる場所も。それなら……。
「それで、どうだろうか。これほど色々と付ければ我がギルドに……」
「……わかりました」
「おおそうか! ではこれからよろしくな……っと、そういえば名乗り忘れておったな。私はアシュリーと言う。このギルドでギルドマスターをしている」
「俺はアルバートです。これからよろしくお願いします」
好待遇で受け入れてくれると言うんだ。それに甘えようじゃ無いか。
「詳しい話はギルドでいたしますので」
「は、はぁ……」
とにもかくにも冒険者ギルドへ行かないと話は進まなそうだ。
そうしてギルドへたどり着くと数人の女性が出て来た。
服装からしてかなりのお偉いさんのようだな。
「どうぞこちらへ」
案内されるがままにどんどんギルドの奥へと進んでいく。
俺は一体どうなっちまうんだ。このまま身分証偽造の疑いで処刑とか無いよな……?
「来たか。入れ」
「……失礼します」
一番奥の部屋に入るように指示されたため、抵抗することなく入る。
と言うより抵抗した所でここは冒険者ギルドだ。勝ち目なんて無いしな。
部屋の中には少女……と言って良いのかわからない雰囲気を纏う人がいた。
「ほう、君が彼女の言っていた凄まじい魔力を持つ者か……」
「え、魔力ですか……?」
魔力? 何を言っているんだ……俺の魔力なんて……。
「どれ、少し見させてもらおう」
目の前の少女はそう言って、奥の戸棚から水晶を取り出して俺の前に置いた。
「この水晶に手をかざしてみてくれ」
「……わかりました」
この人の言っている意味がわからない。
いやもちろん魔力を測る水晶の存在は冒険者である以上知っている。
だがそれを俺に使わせる理由がわからない。
「こうですか……?」
「うむ」
とは言えやってくれと言われたならやるしかない。今ここで拒絶しても良いことは無さそうだしな。
「おぉ……やはりか……!」
なんだか妙な反応だ。俺が以前ギルドで測ってもらった時は周りの冒険者からゴミを見るような目で見られた。
でも今目の前にいる少女は目を輝かせている。
まるで高ランクの冒険者に匹敵する魔力を持っているかのように。
「質も量も段違いだ……。君さえ良ければだが、我がギルドの専属冒険者になってくれないか?」
「……はい!?」
え、なんて言ったんだこの人……俺を専属冒険者に……?
いやいや聞き間違いだろう。俺にはそんなポテンシャルなんて無いし実績も無い。
「いやそうか。待遇もわからないのでは判断出来んよな。よし、我がギルドが持つ小屋を一つやろう。それに依頼達成時の報酬も上乗せするぞ!」
聞き間違いでは無かったようだ。
少女は俺の答えを聞くことなくどんどんと付け加えて行く。
「ま、待ってください……どうして俺なんかにそんなにこだわるんですか!?」
「俺なんか……とな? よもや本気で言っている訳ではあるまい?」
「だって俺の魔力量なんて決して多い訳じゃ無いですし、質だって高くは……」
そう言いかけた俺の肩を少女は掴んだ。
「何を言っているのだ! 君の魔力量は間違いなく今まで見てきた中でも一番だ!」
「……は?」
今まで見て来た中で一番。確かにそう言っていた。俺が……?
「そんな訳ないじゃないですか……俺の魔力量なんてたかだか1200程度ですよ? 軽めの回復魔法ですら十発も使えないのに……」
「それがおかしいと言っているのだ。今まで私が見て来た中では一番高くても300程だった。回復魔法が十発も使えないなどと、それはもはや謙遜では無く嫌味では無いのか?」
おかしい。何かが確実におかしい。
高くて魔力量が300だって……?
普通の冒険者は魔法職で無くとも5000はあるはずだ。その十分の一だなんて普通に考えてありえない。
いや、おかしいと言えばそれ以外にもある。
さっきの吹き飛んだビッグボア……俺の腕に当たっただけであんなに奇麗に吹き飛ぶのはおかしい。
それと衛兵が折ろうとした親指だ。あれほどの大柄な男が全体重をかけて折れないことなんてあるのか?
……もしかしたらここは俺の知っているシステムと違うのか?
だとしたら少しでも情報が欲しい。それに安心して過ごせる場所も。それなら……。
「それで、どうだろうか。これほど色々と付ければ我がギルドに……」
「……わかりました」
「おおそうか! ではこれからよろしくな……っと、そういえば名乗り忘れておったな。私はアシュリーと言う。このギルドでギルドマスターをしている」
「俺はアルバートです。これからよろしくお願いします」
好待遇で受け入れてくれると言うんだ。それに甘えようじゃ無いか。
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