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プレイヤーキラーキラー

第187話 ひろし、助けられる

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 おじいさんたちは取り囲まれると、大熊笹が笑いながらおじいさんに言った。

「はっはっは。これは不利な戦いになりそうですな」

「そのようですね……」

 茂雄もファイティングポーズをとりながら笑った。

「敵は12人。しかも強そうですね。ははは」

 大熊笹は冷静に敵を観察するとおじいさんに言った。

「ひろしさん。相手は騎士ばかりですので、わたしと茂雄さんで倒していきます。そこへ石で援護をお願いします」

「はい」

 おじいさんは返事をすると見晴らしの良い荷台に上がって石の入った麻の袋を出現させた。

 すると袴姿はかますがたに日本刀を腰に差した若い女性の騎士が前に出て、仲間に尋ねた。

「ライブ配信、始めた?」

「はい。完璧です」

 それを聞くと、若い女性の騎士は頭を下げておじいさんたちに言った。

「ご迷惑をおかけします。大変申し訳ありません。今どうしてもお金が必要なんです。ライブ配信させていただきます」

 若い女性の騎士はそう言うと腰に差した日本刀に手をかけた。

 すると、若い女性の手下の騎士たちが一斉におじいさんたちに襲いかかった。

 しかしその瞬間、

「ほい」
 ズバン!

「はい、あなたも」
 ズシャァア

「じゃあ、こちらも」
 バン!

 シャァァアアアアア……、バン!
 シャァァアアアアア……、ガン!
 シャァァアアアアア……、ドガン!

 大熊笹が次々と騎士たちを投げ捨てると、おじいさんが石を投げつけてダメージを与えていった。

 そして軽トラの裏では、2人の騎士が同時に茂雄に斬りかかっていた。

「おりゃぁああ!」
「死ねぇ!」

 ズバン!
「ぶふっ!」

 ドスッ、バチン!
「え……!?」

 ドシャァ

 茂雄は斬りかかってきた2人の剣をかわしながらパンチを繰り出し、騎士たちを吹き飛ばした。

 騎士の1人は慌てて立ち上がって剣を振りかぶると、叫びながら茂雄に突っ込んでいった。

「この野郎! 調子にのり……」

 ズバン!!!
「へぶっ!!!」

 そこへ茂雄の右ストレートが炸裂すると、騎士はゆっくりと後ろに倒れながら消滅していった。

「えっ! ええっ!? な、なに? なんなの?」

 残された騎士は狼狽うろたえると、突然走り出して逃げていった。

「あっ!!」

 その時、軽トラの荷台に居たおじいさんが大きな声をあげた。

 茂雄が荷台を振り返ると、なんと2人の騎士が荷台に上がっておじいさんを斬ろうとしていた。

「ひろしさん!」

 茂雄は急いで荷台に飛び上がると、素早く1人の騎士の懐に飛び込みアッパーカットを炸裂させた。

 バチン!
「えっ!?」

 騎士は驚きながらも後ろ足で踏ん張ると、体勢を立て直して茂雄に斬りかかった。

「くそっ! このじじ……ぃぶっ!!」
 ズバン!!

 騎士が剣を振り下ろした瞬間、騎士の顔は茂雄の右フックで歪んでいた。

「え……? 何も……、見えなかった……」

 シュゥゥウウ

 右フックを食らった騎士は消滅していき、もう1人の大熊笹が荷台から地面に投げ捨てていた。

 おじいさんは新しい石を握ると、大熊笹と茂雄にお礼をした。

「大熊笹さん、茂雄さん、助かりました!」

「いえいえ、荷台に上がらせてしまったのは、僕の不覚です」
「ひろしさんは遠距離攻撃ですから、仕方ありません」

 大熊笹と茂雄が荷台の上でファイティングポーズをとると、残りの騎士たちが軽トラを囲んだ。

 大熊笹と茂雄はそれを見て笑いながら言った。

「はっはっは。これで逃げ場はありませんな」
「そのようですね。ははは」

 おじいさんは石を握りしめてひたいに汗をにぎませると、騎士たちが一斉に荷台に上がってきた。

「じじぃたちを倒せ!」
「一気に片付けろー!」
「調子に乗りやがって!」

 大熊笹と茂雄はおじいさんを守るように立ちはだかると、騎士たちを次々と攻撃していった。

「よいしょ!」
「まだまだ!」
「はい、よいしょ!」

「「うわぁあああ!」」

 騎士たちが大熊笹に投げ飛ばされると、

「シュシュッ!!」

 バチン、バチン!
 ドスッ! ドドッ!

 バチン!!!

「「ぎゃぁああ!」」

 茂雄が騎士たちを吹き飛ばしていった。

 シャァァアアアアア……、バン!
 シャァァアアアアア……、ガン!
 シャァァアアアアア……、ドガン!

 そこへ、おじいさんが石で追い打ちをかけると、騎士たちはHPを減らされて次々と消滅していった。

 そして、おじいさんたちの連携攻撃で数を減らした騎士たちは、とうとう3人だけになってしまった。

 すると日本刀を差した若い女性の騎士が一礼して前に出て、おじいさんたちに話し始めた。

「想像を絶する方々を相手にしてしまったようですね。腹をくくります。尋常じんじょう勝負願しょうぶねがいいます」

 そう言うと、日本刀の騎士は静かに刀を抜いた。

 そして中段の構えで静止すると、その時突然、横にいた騎士が荷台に飛び上がりながら言った。

「じいさんたちは、おれが!」

 その瞬間、

 シュピン!
 ズバッ!

「えっ……?」
「尋常に勝負と言ったのが聞こえませんでしたか?」

 なんと日本刀の騎士が、荷台に飛び乗ろうとした騎士を切り裂いていた。

 シュゥゥウウ

 騎士が消滅すると、もう1人の騎士は驚いて逃げ出した。

「うっ、裏切った!!!」

 ダダダダダダダダ

 日本刀の騎士は静かに中段の構えに戻ると、大熊笹が日本刀の騎士に言った。

「ほぅ、そこまでして勝負をご希望ですか。では、わたしがお相手いたしましょう」

 大熊笹はそう言って荷台から飛び降りると、日本刀の騎士は大熊笹に静かに話し始めた。

「ご老人。私は剣道世界選手権で準決勝まで行きました。剣には自信があります。ですが、あなたのその余裕と笑顔。とても恐怖を感じます」

「はっはっは。恐怖はあなたの心が作り出すのです。もう、あなたは負けていますな」

「……」

 ブーーーーン!! ザザァ

 大熊笹と日本刀の騎士が話していると、一台のスポーツカーのモービルがやってきておじいさんたちの近くに止まった。

 そしてモービルの中から、きらびやかな服を着た人物が降りてきた。

 それを見た日本刀の騎士は思わず声をあげた。

「ア! アーボンさん!」

 アーボンはモービルから降りてドアを閉めると、おじいさんたちに言った。

「いやぁ、ライブ配信してたからぁ~。気になってきちゃったよ~」

 アーボンはそう言いながら両手剣を手に持つと、日本刀の騎士をにらみつけて話を続けた。

「ライブ配信してた騎士、逃げたでしょ? 配信止まっちゃってたよ」

「あ、す、すみませんアーボンさん!」

「謝って済まないでしょ。先に金渡かね、わたししてんだからさぁ」

 アーボンは素早く剣を振り上げると、日本刀の騎士を斬りつけた、

 ブワッ! キン!

 ドスッ

 しかし日本刀の騎士は反射的に刀で剣を受け流すと、アーボンの剣は地面に突き刺さった。
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