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番外編
幸せの色Side天音
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腰が砕けるような口づけの後、私は思わず恨み言をつぶやいた。
「付き合う前は草食系だって思ってたけど、大貴君って結構がつがつくるよね…」
「え、あ……」
じと、とにらみつけると、みるみるうちに顔を真っ赤に染めて、可愛そうなほど大貴君が狼狽え始める。思わぬ罫線逆転に、うずうずと眠っていたS気が刺激された。
「今更恥ずかしがるふりしたって遅いんだから…」
つんつん、と脇腹をつつくと、うひぁ、と頓狂な悲鳴を上げて、背を向けてしまった。
「ちょっとー?」
「……が…です」
「んー、なぁに、はっきり言ってくれないと…」
大貴君の可愛い顔を見たくて、くるりと彼の正面に回って、その顔を覗き込む。
「あまねさんが、…いけないんですよ…っ…」
か細く泣くような声に、どきっとしてしまう。内心の動揺を押し隠して、「えー」と茶化すようにしていると、ひょっこりその潤んだ切ない瞳と視線がかち合う。
「あ、あんまりにも…かわい、すぎるから…」
可愛すぎるのはあなたでしょ!!声にならない叫びをあげ、私は口をぱくぱくさせた。破壊的なほど、色気を含んだ目線に、思わずくらりとする。おまけのこの台詞だ。彼は、私を殺す気なのか。
「あ、天音さんも顔赤くなった…」
ほわん、といつもの毒のない笑顔を向けられ、ますます私は混乱する。
「ばーか!!」
「えぇ、酷いよ、天音さん……」
照れ隠しで、慌てて歩き出した私の後ろを足音が追う。
「天音さんってば。」
冗談じゃない、こんなの完全にばかっぷるじゃないか。
「いいじゃない、ばかっぷるでも。天音さんが僕に余裕がないの、すごく嬉しい。」
「嬉しいって…」
私は思わずがっくりと脱力した。
「付き合う前は草食系だって思ってたけど、大貴君って結構がつがつくるよね…」
「え、あ……」
じと、とにらみつけると、みるみるうちに顔を真っ赤に染めて、可愛そうなほど大貴君が狼狽え始める。思わぬ罫線逆転に、うずうずと眠っていたS気が刺激された。
「今更恥ずかしがるふりしたって遅いんだから…」
つんつん、と脇腹をつつくと、うひぁ、と頓狂な悲鳴を上げて、背を向けてしまった。
「ちょっとー?」
「……が…です」
「んー、なぁに、はっきり言ってくれないと…」
大貴君の可愛い顔を見たくて、くるりと彼の正面に回って、その顔を覗き込む。
「あまねさんが、…いけないんですよ…っ…」
か細く泣くような声に、どきっとしてしまう。内心の動揺を押し隠して、「えー」と茶化すようにしていると、ひょっこりその潤んだ切ない瞳と視線がかち合う。
「あ、あんまりにも…かわい、すぎるから…」
可愛すぎるのはあなたでしょ!!声にならない叫びをあげ、私は口をぱくぱくさせた。破壊的なほど、色気を含んだ目線に、思わずくらりとする。おまけのこの台詞だ。彼は、私を殺す気なのか。
「あ、天音さんも顔赤くなった…」
ほわん、といつもの毒のない笑顔を向けられ、ますます私は混乱する。
「ばーか!!」
「えぇ、酷いよ、天音さん……」
照れ隠しで、慌てて歩き出した私の後ろを足音が追う。
「天音さんってば。」
冗談じゃない、こんなの完全にばかっぷるじゃないか。
「いいじゃない、ばかっぷるでも。天音さんが僕に余裕がないの、すごく嬉しい。」
「嬉しいって…」
私は思わずがっくりと脱力した。
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