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小百合と雄介の交際は順調に続いている。――ように見えただろう。だがそれは小百合が雄介に嘘をついているから成り立っているものだ。
最近は小百合は毎日、雄介と一緒にいる。とはいってもいかがわしいことをしているわけではなく、八月の頭に模試があるからその勉強のために図書館に通っているのである。
「ここ、どうやって解くの?」
「ここはね……」
小百合は雄介の隣に座って、数学の問題集を教えている。
「なるほど……。そういうやり方もあるんだ」
「そうそう」
雄介は小百合の教え方を理解しようと真剣に聞いてくれる。その態度はとても嬉しかった。
「これでどうかな?」
「ん~……。惜しいけど、ちょっと違うかな」
「そっか……。じゃあこっちかな」
「そうそう。それで合ってるよ」
小百合は雄介に教えているうちに自分も理解してきたようで、問題を解くスピードも上がってきた。
「小百合って教えるのうまいよな」
「そうかな?自分ではわからないけど……」
「だってさ、俺にわかるように説明してくれてるし」
「それは雄介君の呑み込みが早いだけだよ」
「そんなことないって」
小百合は雄介に褒められると嬉しくなってしまう。そんな小百合の横顔を見ていると、雄介はふと思った。
(小百合ってやっぱり美人だよな……。綺麗だし、可愛いし、それに性格もいいし……)
雄介は小百合に見惚れていた。
「ねぇ、雄介君」
「なに?」
「さっきからどこ見てるの?顔赤いけど」
「えっ?べ、別になんでもないよ」
雄介は慌てて視線を逸らした。小百合はそんな雄介を見て、クスッと笑う。
「変なの」
小百合は楽しげに微笑んだ。
「そういえば、やっぱり千里も勝負に参加することにしたらしいよ」
小百合にそう言われて雄介は少しだけ安心した。
「そっか、よかった。あいつは負けず嫌いだからなぁ。でも、今回は彰久にも勝てるかもしれないからな!気合を入れて臨まないと!」
雄介は拳を握って意気込む。彰久は学年でも上位レベルの成績の持ち主ではあるが、空手の全国大会に出たり格闘技の大会に出たりとなにかと忙しく、まともに勉強をする時間は少ないはずだ。
「そうだね。彰久君、いつも成績トップクラスだもんね」
「まぁ、彰久のことは心配してないし。それより小百合の方だよ。小百合は成績良いんだろ?大丈夫なの?」
「私は結構自信あるよ!頑張って勉強したから!」
「すごいなぁ、小百合は。俺はテスト前になったらいつも徹夜だよ」
「無理しない方がいいよ。体調崩したら大変だし」
「うーん、でもなぁ……」
雄介は納得できないようだ。すると小百合は雄介の手を握った。
「ゆ、ゆうすけくん?」
「どうせなら一緒に頑張ろうよ!一人より二人の方が効率いいと思うよ」
「う、うん……。わかった」
小百合の積極的な行動に雄介は戸惑いながらも、しっかりと手を握り返した。
(やばい……。すげードキドキする……。って、小百合も顔真っ赤にしてるじゃんか……)
雄介は小百合の顔を見ると、小百合も顔を赤らめていることに気づいた。
(小百合も俺と同じように緊張してるのか?)
そう思うと雄介は少し緊張が和らぎ、そして勇気が出た。
(よしっ……。もっと積極的にいこう。小百合に俺のこと意識させてやる!)
そう決心すると、雄介は握っていた手に力を込めた。すると小百合もギュッと強く握り返してくる。
「なんかこうしてると恋人同士みたいだな」
「そ、そうだね……」
小百合は俯きながら答える。雄介はそんな小百合の様子にドキッとした。
(小百合ってこんなに可愛かったっけ……)
小百合の顔はほんのりと赤くなっている。
「ゆうすけくん……」
「ど、どうした?」
小百合は顔をゆっくりと上げ、そして言った。
「大好き……」
「えっ……」
突然の小百合からの告白に雄介は動揺してしまう。だがすぐに冷静になり、返事をした。
「俺も小百合が好きだ……。本当に大好きなんだよ!」
雄介は力強く言うと、小百合はニコッと笑って言った。
「ありがとう……。私も同じ気持ちだから!」
二人はお互いの顔を見て笑い合う。
(小百合……。俺はお前のことが……)
この瞬間を永遠に忘れることはないだろう。雄介は心の中でそう思った。
「な、なあ小百合。模試が終わったらデートしようぜ?」
「えっ!?デ、デート?」
「うん。嫌だったらいいんだけど……」
「全然嫌じゃないよ!行きたい!」
「じゃあさ、どこに行くか考えとくよ。あとで連絡するから」
「うん!楽しみ!」
小百合は嬉しそうに笑顔を見せた。そんな小百合の姿を見て、雄介はまた好きという感情が強くなった。
最近は小百合は毎日、雄介と一緒にいる。とはいってもいかがわしいことをしているわけではなく、八月の頭に模試があるからその勉強のために図書館に通っているのである。
「ここ、どうやって解くの?」
「ここはね……」
小百合は雄介の隣に座って、数学の問題集を教えている。
「なるほど……。そういうやり方もあるんだ」
「そうそう」
雄介は小百合の教え方を理解しようと真剣に聞いてくれる。その態度はとても嬉しかった。
「これでどうかな?」
「ん~……。惜しいけど、ちょっと違うかな」
「そっか……。じゃあこっちかな」
「そうそう。それで合ってるよ」
小百合は雄介に教えているうちに自分も理解してきたようで、問題を解くスピードも上がってきた。
「小百合って教えるのうまいよな」
「そうかな?自分ではわからないけど……」
「だってさ、俺にわかるように説明してくれてるし」
「それは雄介君の呑み込みが早いだけだよ」
「そんなことないって」
小百合は雄介に褒められると嬉しくなってしまう。そんな小百合の横顔を見ていると、雄介はふと思った。
(小百合ってやっぱり美人だよな……。綺麗だし、可愛いし、それに性格もいいし……)
雄介は小百合に見惚れていた。
「ねぇ、雄介君」
「なに?」
「さっきからどこ見てるの?顔赤いけど」
「えっ?べ、別になんでもないよ」
雄介は慌てて視線を逸らした。小百合はそんな雄介を見て、クスッと笑う。
「変なの」
小百合は楽しげに微笑んだ。
「そういえば、やっぱり千里も勝負に参加することにしたらしいよ」
小百合にそう言われて雄介は少しだけ安心した。
「そっか、よかった。あいつは負けず嫌いだからなぁ。でも、今回は彰久にも勝てるかもしれないからな!気合を入れて臨まないと!」
雄介は拳を握って意気込む。彰久は学年でも上位レベルの成績の持ち主ではあるが、空手の全国大会に出たり格闘技の大会に出たりとなにかと忙しく、まともに勉強をする時間は少ないはずだ。
「そうだね。彰久君、いつも成績トップクラスだもんね」
「まぁ、彰久のことは心配してないし。それより小百合の方だよ。小百合は成績良いんだろ?大丈夫なの?」
「私は結構自信あるよ!頑張って勉強したから!」
「すごいなぁ、小百合は。俺はテスト前になったらいつも徹夜だよ」
「無理しない方がいいよ。体調崩したら大変だし」
「うーん、でもなぁ……」
雄介は納得できないようだ。すると小百合は雄介の手を握った。
「ゆ、ゆうすけくん?」
「どうせなら一緒に頑張ろうよ!一人より二人の方が効率いいと思うよ」
「う、うん……。わかった」
小百合の積極的な行動に雄介は戸惑いながらも、しっかりと手を握り返した。
(やばい……。すげードキドキする……。って、小百合も顔真っ赤にしてるじゃんか……)
雄介は小百合の顔を見ると、小百合も顔を赤らめていることに気づいた。
(小百合も俺と同じように緊張してるのか?)
そう思うと雄介は少し緊張が和らぎ、そして勇気が出た。
(よしっ……。もっと積極的にいこう。小百合に俺のこと意識させてやる!)
そう決心すると、雄介は握っていた手に力を込めた。すると小百合もギュッと強く握り返してくる。
「なんかこうしてると恋人同士みたいだな」
「そ、そうだね……」
小百合は俯きながら答える。雄介はそんな小百合の様子にドキッとした。
(小百合ってこんなに可愛かったっけ……)
小百合の顔はほんのりと赤くなっている。
「ゆうすけくん……」
「ど、どうした?」
小百合は顔をゆっくりと上げ、そして言った。
「大好き……」
「えっ……」
突然の小百合からの告白に雄介は動揺してしまう。だがすぐに冷静になり、返事をした。
「俺も小百合が好きだ……。本当に大好きなんだよ!」
雄介は力強く言うと、小百合はニコッと笑って言った。
「ありがとう……。私も同じ気持ちだから!」
二人はお互いの顔を見て笑い合う。
(小百合……。俺はお前のことが……)
この瞬間を永遠に忘れることはないだろう。雄介は心の中でそう思った。
「な、なあ小百合。模試が終わったらデートしようぜ?」
「えっ!?デ、デート?」
「うん。嫌だったらいいんだけど……」
「全然嫌じゃないよ!行きたい!」
「じゃあさ、どこに行くか考えとくよ。あとで連絡するから」
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小百合は嬉しそうに笑顔を見せた。そんな小百合の姿を見て、雄介はまた好きという感情が強くなった。
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