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「お母さん、今日のご飯何?」
女の子が母親と手を繋いで歩いている。
ああ、この女の子は私だ。
これは夢だ。
私は――鏑木千里は、まだ幼い少女だった頃の自分を眺めているのだと気付く。
「今日はハンバーグよ」
「ほんと!? やったぁ!」
嬉しそうにぴょんぴょん跳ねる少女を見て、母親は微笑む。
「ふふっ、そんなにはしゃぐとお洋服汚れちゃうわよ?」
「あ……えへへ……」
はしゃぎ過ぎた事を指摘されて恥ずかしくなったのか、少女は照れ笑いを浮かべた。
その笑顔を見た母親は満足げな表情を浮かべた後、優しく語りかける。
「さ、早く帰りましょう?お父さんも待ってるからね」
「うん!お姉ちゃんにも教えないと!」
その光景は千里にとっての何よりの幸せだった。
「ねえ、お母さん!早く行こうよ!」
急いで駆け出そうとする千里の腕を母親が引いた。
「だめよ、千里。赤信号でしょ。赤信号はどうするんだっけ?」
「気を付けて渡る!」
「違うでしょ!もう、お父さんみたいなこと言わないの!」
呆れたように笑う母親の姿を見て千里は嬉しく思った。
自分を愛してくれる人がいる。それだけで十分だった。
信号が青に変わり、千里は母親と手を繋ぎながら横断歩道を渡り始めた。
その時――大きなクラクションが聞こえたかと思うと、目の前にトラックが迫っていた。
「え……?」
突然の出来事に千里は動く事が出来なかった。
そのまま千里は轢かれてしまうかと思われたのだが、母親が咄嵯の判断で千里を突き飛ばしたのだ。
しかし、それは無駄に終わる事となる。
何故なら千里の代わりに母親がトラックに撥ねられてしまったからだ。
全身を強く打ち付けられた母親は、地面に横たわり動かなかった。
「お母さん!!」
千里は慌てて母親の元へと駆け寄った。
「どうしてこんな事に……ごめんなさい、私がちゃんとしていれば……」
泣きじゃくる千里を慰めるように母親が優しく抱きしめる。
「大丈夫だから……。ちょっと怪我しただけだから……」
母親は弱々しく笑みを浮かべるが、その顔色は蒼白となっていた。
「いやだよぉ……死んじゃヤダよぉ……」
泣き叫ぶ千里の頬に手を当てて、母親が言う。
「泣かないで……あなたは強い子なんだから……」
「でも……だってぇ……」
「あなたのせいじゃないわ。それにね、私は嬉しいの。こうして愛する娘を守ることが出来たんだもの……」
そう言って母は力なく微笑む。
「お母さん!!ダメだよ!!死なないで!!」
必死に訴えかけるが、既に手遅れなのは明白であった。
「お母さんはずっと千里の事を愛してるわ……」
それが最期の言葉となった。
母の温もりが消えていく。
そして、千里の世界もまた色を失っていくようだった。
全てが真っ暗になり、何も見えなくなった時――誰かの声が聞こえた気がした。
「……さと!千里!起きろ!」
自分の名を呼ぶ声に千里は目を覚ます。
すると、そこには心配そうな表情をした男性の姿があった。
鼻筋がとおっていて、堀が深い整った顔をしている。目つきは鋭くて、一見怖そうに見えるがその瞳には慈愛のようなものを感じた。
(あれ……この人は誰だろう?)
寝ぼけた頭でぼんやりと考える。
「大丈夫か?だいぶうなされていたぞ?」
心配そうに声をかけてくる男に対して、千里は自分の置かれた状況を把握した。
(そうだ……ここは教室だ。授業の後に眠くなって、それで……)
「ごめん、彰久。起こしてくれてありがとう」
目の前にいる男性が自分の幼馴染である千葉彰久であることを思い出すと同時に、先ほどまで見ていた夢を思い出してしまい少しだけ胸が痛む。
「礼を言う必要はないさ。それよりも体調が悪いようなら保健室に行こうぜ?」
「ううん、大丈夫。ちょっと怖い夢を見ちゃっただけだから……」
「夢?」
不思議そうにする彰だが、すぐに何かに気が付いたように呟いた。
「そうか……もうそんな季節だったな」
「うん……」
二人の間に沈黙が流れる。
普段は賑やかな筈の放課後だというのに、まるで別世界のように静まり返っていた。
千里の母親が交通事故で亡くなったのは七月の終わりだ。その時期が近付くと必ずと言っていい程、彼女は悪夢に苛まれる。
「千里、おいで」
それを知っている彰久は、両腕を広げて千里を迎え入れる。千里は無言のまま彰の腕の中に飛び込んだ。
「大丈夫、俺がいるから……」
「うん……」
千里は彰の腕の中で涙を流し続ける。
そんな千里の頭を彰は優しく撫で続けた。
彰久の体はたくましい。空手の有段者であり、全国大会に出場を決めたほどに鍛えている。お腹はきれいなシックスパックであり、その肉体美に憧れる女子生徒は多いらしい。
また、面倒見が良くて優しい性格のため男子からも人気があるようだ。
「もう落ち着いたか?」
「……ん」
まだ涙は止まらないものの、千里は落ち着きを取り戻しつつあった。
「そっか。じゃあ、そろそろ帰るか」
「帰る……。あっ、あたし今日は部活がある日じゃん!時間は……!やだ、もうすぐ一時じゃん!」
慌てて立ち上がった千里は鞄を手に取り、帰り支度を始める。
その背後から急に彰久が抱き着いてきた。
「ちょっ!?いきなり何するの、彰久!」
「嫌なら振り払えば良いじゃないか」
「それは……無理だよ……恥ずかしいし……ってか暑いんだけど?」
七月に入り、外は蒸し暑くなっている。そんな中で密着されれば当然汗をかくわけで、千里は不快さに眉をひそめた。
しかし、当の本人は全く気にしていないのか、離れようとしない。
「ねえ、聞いてる?暑いって……」
「千里。今日がなんの日か覚えてるよな?」
耳元で囁かれた甘い言葉に千里の顔が赤くなる。
「もしかして……忘れちゃった?」
「う……あ、彰久ぁ……離れてぇ……」
「答えてくれたら離してやるよ。今日は何の日かな~?」
「あうぅ……」
楽しげに問い詰める彰久に対し、千里は観念したように小さな声で答える。
「今日は彰久の県大会優勝のお祝いの日、だよね……」
「正解!よくできました」
彰久は千里から離れる。その顔には満面の笑みが浮かんでいた。
「もう……!彰久、そういうのやめてよね!」
「はほは。悪い悪い。でも、千里ってば忘れてるみたいだからさ」
たしかに忘れていた。今日は部活を休んで彰久のお祝いの準備を姉である真理と一緒する予定になっているのだ。
「だからって……あんな事する必要ないじゃない……」
先ほどの事を思い出したのか、再び頬を赤く染めた千里は小さく呟いた。
そんな千里の様子を見て彰は苦笑しながら言う。
「悪い悪い。おまえ、昔っから耳弱かったもんな」「うるさい……」
そう、昔からこうなのだ。
千里と彰久の家庭は先祖の頃から同じ土地に暮らしており、所謂幼なじみという関係だった。
物心つく前から一緒に過ごしてきた二人は家族同然の存在だったのだが、千里はある時から彰久に特別な感情を抱くようになった。
「よし、行くぞ千里!」
「え?ちょっと待って!準備がまだ……!」
「早くしろよー!」
「わかってる!」
千里は慌てて机の中の教科書を鞄に突っ込み、彰久の後を追った。
「遅いぞ、千里!」
「ごめん!今、終わった!」
廊下に出ると、すでに昇降口に向かっている彰久の姿があった。彰久は千里を振り返ると、
「すっかり元通りだな」
そう言って優しく頭を撫でる。
千里が悪夢を見た時はいつもこうしてくれる。千里にとって、とても安心できる瞬間だった。
だから、なのだろう。千里が彰久を意識しだしたのは。
(こんなの……勘違いするに決まってるじゃん!)
そう思う千里だったが、同時に嬉しくもあった。
「どうした?千里?」
「なんでもない!」
首を傾げる彰に千里はそう言い放つと、急いで靴を履き替えて校門へと向かった。
「まったく……。彰久は本当に変わらないね」
「そうか?まあ、変わるつもりはないけどな」
そう言った後、彰は再び歩き出す。その背中を見ながら千里は考える。
(きっと……いや、絶対にあたしの気持ちには気付いていないんだろうなぁ……)
もし、この想いを伝えたとしたら――
そう考えると胸が苦しくなる。なぜなら千里は彰久が誰を好きなのかを知っているからだ。
「彰久はすぐにうちにくるの?」
「いや、一回うちに帰るよ。ビール持ってかないといけないからさ」
彰久の家は酒屋をしている。千葉酒店。明治時代から続く歴史ある店で、地元では有名な店だ。
「そっか……」
「ん、どうかしたのか?」
「別に。何でもないよ」
「ふ~ん……」
何かを感じ取ったのか、彰久がニヤリとする。
「なんだよ?」
「べっつにぃ。ただ、千里は可愛いなと思っただけだよ」
「はぁ!?」
突然の事に驚き、千里は思わず大きな声を出してしまう。
「ちょ、バカじゃないの!?急に変なこと言わないでよ!!」
「はは、冗談だって。そんな怒んなよ。でも、千里は俺の大切な妹……みたいな存在なんだからさ。なにかあったらちゃんと言えよ?」
「……うん」
妹のよう。それが彰が千里に対して抱いている印象だ。千里はその事が悔しくて仕方がなかった。
本当はもっと近づきたい。恋人になりたい。だけど、彰に拒絶されるのが何よりも怖かった。だから、今の距離を保とうとしている。そうすればずっと傍に居られる。そう信じているから。
女の子が母親と手を繋いで歩いている。
ああ、この女の子は私だ。
これは夢だ。
私は――鏑木千里は、まだ幼い少女だった頃の自分を眺めているのだと気付く。
「今日はハンバーグよ」
「ほんと!? やったぁ!」
嬉しそうにぴょんぴょん跳ねる少女を見て、母親は微笑む。
「ふふっ、そんなにはしゃぐとお洋服汚れちゃうわよ?」
「あ……えへへ……」
はしゃぎ過ぎた事を指摘されて恥ずかしくなったのか、少女は照れ笑いを浮かべた。
その笑顔を見た母親は満足げな表情を浮かべた後、優しく語りかける。
「さ、早く帰りましょう?お父さんも待ってるからね」
「うん!お姉ちゃんにも教えないと!」
その光景は千里にとっての何よりの幸せだった。
「ねえ、お母さん!早く行こうよ!」
急いで駆け出そうとする千里の腕を母親が引いた。
「だめよ、千里。赤信号でしょ。赤信号はどうするんだっけ?」
「気を付けて渡る!」
「違うでしょ!もう、お父さんみたいなこと言わないの!」
呆れたように笑う母親の姿を見て千里は嬉しく思った。
自分を愛してくれる人がいる。それだけで十分だった。
信号が青に変わり、千里は母親と手を繋ぎながら横断歩道を渡り始めた。
その時――大きなクラクションが聞こえたかと思うと、目の前にトラックが迫っていた。
「え……?」
突然の出来事に千里は動く事が出来なかった。
そのまま千里は轢かれてしまうかと思われたのだが、母親が咄嵯の判断で千里を突き飛ばしたのだ。
しかし、それは無駄に終わる事となる。
何故なら千里の代わりに母親がトラックに撥ねられてしまったからだ。
全身を強く打ち付けられた母親は、地面に横たわり動かなかった。
「お母さん!!」
千里は慌てて母親の元へと駆け寄った。
「どうしてこんな事に……ごめんなさい、私がちゃんとしていれば……」
泣きじゃくる千里を慰めるように母親が優しく抱きしめる。
「大丈夫だから……。ちょっと怪我しただけだから……」
母親は弱々しく笑みを浮かべるが、その顔色は蒼白となっていた。
「いやだよぉ……死んじゃヤダよぉ……」
泣き叫ぶ千里の頬に手を当てて、母親が言う。
「泣かないで……あなたは強い子なんだから……」
「でも……だってぇ……」
「あなたのせいじゃないわ。それにね、私は嬉しいの。こうして愛する娘を守ることが出来たんだもの……」
そう言って母は力なく微笑む。
「お母さん!!ダメだよ!!死なないで!!」
必死に訴えかけるが、既に手遅れなのは明白であった。
「お母さんはずっと千里の事を愛してるわ……」
それが最期の言葉となった。
母の温もりが消えていく。
そして、千里の世界もまた色を失っていくようだった。
全てが真っ暗になり、何も見えなくなった時――誰かの声が聞こえた気がした。
「……さと!千里!起きろ!」
自分の名を呼ぶ声に千里は目を覚ます。
すると、そこには心配そうな表情をした男性の姿があった。
鼻筋がとおっていて、堀が深い整った顔をしている。目つきは鋭くて、一見怖そうに見えるがその瞳には慈愛のようなものを感じた。
(あれ……この人は誰だろう?)
寝ぼけた頭でぼんやりと考える。
「大丈夫か?だいぶうなされていたぞ?」
心配そうに声をかけてくる男に対して、千里は自分の置かれた状況を把握した。
(そうだ……ここは教室だ。授業の後に眠くなって、それで……)
「ごめん、彰久。起こしてくれてありがとう」
目の前にいる男性が自分の幼馴染である千葉彰久であることを思い出すと同時に、先ほどまで見ていた夢を思い出してしまい少しだけ胸が痛む。
「礼を言う必要はないさ。それよりも体調が悪いようなら保健室に行こうぜ?」
「ううん、大丈夫。ちょっと怖い夢を見ちゃっただけだから……」
「夢?」
不思議そうにする彰だが、すぐに何かに気が付いたように呟いた。
「そうか……もうそんな季節だったな」
「うん……」
二人の間に沈黙が流れる。
普段は賑やかな筈の放課後だというのに、まるで別世界のように静まり返っていた。
千里の母親が交通事故で亡くなったのは七月の終わりだ。その時期が近付くと必ずと言っていい程、彼女は悪夢に苛まれる。
「千里、おいで」
それを知っている彰久は、両腕を広げて千里を迎え入れる。千里は無言のまま彰の腕の中に飛び込んだ。
「大丈夫、俺がいるから……」
「うん……」
千里は彰の腕の中で涙を流し続ける。
そんな千里の頭を彰は優しく撫で続けた。
彰久の体はたくましい。空手の有段者であり、全国大会に出場を決めたほどに鍛えている。お腹はきれいなシックスパックであり、その肉体美に憧れる女子生徒は多いらしい。
また、面倒見が良くて優しい性格のため男子からも人気があるようだ。
「もう落ち着いたか?」
「……ん」
まだ涙は止まらないものの、千里は落ち着きを取り戻しつつあった。
「そっか。じゃあ、そろそろ帰るか」
「帰る……。あっ、あたし今日は部活がある日じゃん!時間は……!やだ、もうすぐ一時じゃん!」
慌てて立ち上がった千里は鞄を手に取り、帰り支度を始める。
その背後から急に彰久が抱き着いてきた。
「ちょっ!?いきなり何するの、彰久!」
「嫌なら振り払えば良いじゃないか」
「それは……無理だよ……恥ずかしいし……ってか暑いんだけど?」
七月に入り、外は蒸し暑くなっている。そんな中で密着されれば当然汗をかくわけで、千里は不快さに眉をひそめた。
しかし、当の本人は全く気にしていないのか、離れようとしない。
「ねえ、聞いてる?暑いって……」
「千里。今日がなんの日か覚えてるよな?」
耳元で囁かれた甘い言葉に千里の顔が赤くなる。
「もしかして……忘れちゃった?」
「う……あ、彰久ぁ……離れてぇ……」
「答えてくれたら離してやるよ。今日は何の日かな~?」
「あうぅ……」
楽しげに問い詰める彰久に対し、千里は観念したように小さな声で答える。
「今日は彰久の県大会優勝のお祝いの日、だよね……」
「正解!よくできました」
彰久は千里から離れる。その顔には満面の笑みが浮かんでいた。
「もう……!彰久、そういうのやめてよね!」
「はほは。悪い悪い。でも、千里ってば忘れてるみたいだからさ」
たしかに忘れていた。今日は部活を休んで彰久のお祝いの準備を姉である真理と一緒する予定になっているのだ。
「だからって……あんな事する必要ないじゃない……」
先ほどの事を思い出したのか、再び頬を赤く染めた千里は小さく呟いた。
そんな千里の様子を見て彰は苦笑しながら言う。
「悪い悪い。おまえ、昔っから耳弱かったもんな」「うるさい……」
そう、昔からこうなのだ。
千里と彰久の家庭は先祖の頃から同じ土地に暮らしており、所謂幼なじみという関係だった。
物心つく前から一緒に過ごしてきた二人は家族同然の存在だったのだが、千里はある時から彰久に特別な感情を抱くようになった。
「よし、行くぞ千里!」
「え?ちょっと待って!準備がまだ……!」
「早くしろよー!」
「わかってる!」
千里は慌てて机の中の教科書を鞄に突っ込み、彰久の後を追った。
「遅いぞ、千里!」
「ごめん!今、終わった!」
廊下に出ると、すでに昇降口に向かっている彰久の姿があった。彰久は千里を振り返ると、
「すっかり元通りだな」
そう言って優しく頭を撫でる。
千里が悪夢を見た時はいつもこうしてくれる。千里にとって、とても安心できる瞬間だった。
だから、なのだろう。千里が彰久を意識しだしたのは。
(こんなの……勘違いするに決まってるじゃん!)
そう思う千里だったが、同時に嬉しくもあった。
「どうした?千里?」
「なんでもない!」
首を傾げる彰に千里はそう言い放つと、急いで靴を履き替えて校門へと向かった。
「まったく……。彰久は本当に変わらないね」
「そうか?まあ、変わるつもりはないけどな」
そう言った後、彰は再び歩き出す。その背中を見ながら千里は考える。
(きっと……いや、絶対にあたしの気持ちには気付いていないんだろうなぁ……)
もし、この想いを伝えたとしたら――
そう考えると胸が苦しくなる。なぜなら千里は彰久が誰を好きなのかを知っているからだ。
「彰久はすぐにうちにくるの?」
「いや、一回うちに帰るよ。ビール持ってかないといけないからさ」
彰久の家は酒屋をしている。千葉酒店。明治時代から続く歴史ある店で、地元では有名な店だ。
「そっか……」
「ん、どうかしたのか?」
「別に。何でもないよ」
「ふ~ん……」
何かを感じ取ったのか、彰久がニヤリとする。
「なんだよ?」
「べっつにぃ。ただ、千里は可愛いなと思っただけだよ」
「はぁ!?」
突然の事に驚き、千里は思わず大きな声を出してしまう。
「ちょ、バカじゃないの!?急に変なこと言わないでよ!!」
「はは、冗談だって。そんな怒んなよ。でも、千里は俺の大切な妹……みたいな存在なんだからさ。なにかあったらちゃんと言えよ?」
「……うん」
妹のよう。それが彰が千里に対して抱いている印象だ。千里はその事が悔しくて仕方がなかった。
本当はもっと近づきたい。恋人になりたい。だけど、彰に拒絶されるのが何よりも怖かった。だから、今の距離を保とうとしている。そうすればずっと傍に居られる。そう信じているから。
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