47 / 84
第四十七話 新しい生活の始まり
しおりを挟む
翌日の朝。
目が覚めると、わたしは身支度をする。
今日も晴れているようだ。
服については、昨日の内にリデーヌさんが用意をしてくれていて、収納されている。
普段着からパーティー用のドレスまで、一通りの服がそろっていた。
ありがたいことだ。
わたしは、その中から仕事に行くのにふさわしそうな服を取り出し、着替えを終わると、ベッドの上に座る。
すると、ドアがノックされ、
「お嬢様、おはようございます。お目覚めでしょうか? お食事をお持ちいたしましたが、入ってよろしいでしょうか?」
という声が聞こえてくる。
リデーヌさんだ。
「おはようございます。どうぞお入りください」
わたしがそう言うと、
「失礼します」
と言ってリデーヌさんは部屋に入り、朝食をテーブルの上に置いた。
「朝食を食べ終わられたら、殿下のところへ伺うご準備をお願いします。またわたしがご案内しますので、それまでお待ちください」
「ありがとうございます」
「それではまた後ほどまいります」
そう言うと、リデーヌさんは部屋を去っていった。
リデーヌさんは、仕事をテキパキとこなすタイプで頼もしいと思う。
わたしのことを嫌っているところもなさそうだ。
少し話しづらそうなところはあるが、これから少しずつ打ち解けていけばいいと思う。
わたしはテーブルの前の席に座り、朝食を食べ、紅茶を飲んだ。
そして、出かける準備をする。
身だしなみも、もう一度整えた。自分なりに、きれいに整えたつもりだ。
殿下はどう思うだろう。
ルアンソワ様のようにゴージャスさが足りないというのだろうか?
それが理由で、嫌になったりしないだろうか?
昨日までは、旅先だったし、王宮に来たところだったので、そこまでわたしの細かいところは気にしなかったと思う。
今日からは違う。
毎日のように接していくので、ゴージャスなところが好きな女性のタイプであれば、わたしのようにゴージャスさがない女性は嫌われてしまうに違いない。
いや、殿下はそういうところで嫌いになる人では思っているけど……。
殿下に少なくとも嫌われなければいいなあ、と思う。
ただ、もっと好きになってもらえる可能性もないとはいえない。
そうだったとしたらうれしい。
そして、もしかすると殿下に、
「あなたのことが好きです。あなたのことをもっと教えてください」
と言われて、仕事をしているところで求められたりするかもしれない。
殿下に求められたら、それに応えなければいけない。
心の準備をしっかりしておかなくては。
そういうことを思ってしまう。
いや、わたしったら、どうしてこういう恥ずかしいことを想ってしまうのだろう。
しっかりと殿下の為に、助言をしていかなくてはいけないのに。
心を仕事モードに切り替えよう。
そうしないと、殿下の心は離れていってしまうと思う。
殿下の為、王国の為、働くという気持ちをもう一度きちんと持つ必要がある。
わたしはそう思い、紅茶をまた飲む。
やがて、ドアをノックする音が聞こえてきた。
「お嬢様、そろそろお出かけの時間です。よろしくお願いします」
リデーヌさんが呼びにきた。
「ありがとう。すぐに向かいます」
わたしはそう言った。
目が覚めると、わたしは身支度をする。
今日も晴れているようだ。
服については、昨日の内にリデーヌさんが用意をしてくれていて、収納されている。
普段着からパーティー用のドレスまで、一通りの服がそろっていた。
ありがたいことだ。
わたしは、その中から仕事に行くのにふさわしそうな服を取り出し、着替えを終わると、ベッドの上に座る。
すると、ドアがノックされ、
「お嬢様、おはようございます。お目覚めでしょうか? お食事をお持ちいたしましたが、入ってよろしいでしょうか?」
という声が聞こえてくる。
リデーヌさんだ。
「おはようございます。どうぞお入りください」
わたしがそう言うと、
「失礼します」
と言ってリデーヌさんは部屋に入り、朝食をテーブルの上に置いた。
「朝食を食べ終わられたら、殿下のところへ伺うご準備をお願いします。またわたしがご案内しますので、それまでお待ちください」
「ありがとうございます」
「それではまた後ほどまいります」
そう言うと、リデーヌさんは部屋を去っていった。
リデーヌさんは、仕事をテキパキとこなすタイプで頼もしいと思う。
わたしのことを嫌っているところもなさそうだ。
少し話しづらそうなところはあるが、これから少しずつ打ち解けていけばいいと思う。
わたしはテーブルの前の席に座り、朝食を食べ、紅茶を飲んだ。
そして、出かける準備をする。
身だしなみも、もう一度整えた。自分なりに、きれいに整えたつもりだ。
殿下はどう思うだろう。
ルアンソワ様のようにゴージャスさが足りないというのだろうか?
それが理由で、嫌になったりしないだろうか?
昨日までは、旅先だったし、王宮に来たところだったので、そこまでわたしの細かいところは気にしなかったと思う。
今日からは違う。
毎日のように接していくので、ゴージャスなところが好きな女性のタイプであれば、わたしのようにゴージャスさがない女性は嫌われてしまうに違いない。
いや、殿下はそういうところで嫌いになる人では思っているけど……。
殿下に少なくとも嫌われなければいいなあ、と思う。
ただ、もっと好きになってもらえる可能性もないとはいえない。
そうだったとしたらうれしい。
そして、もしかすると殿下に、
「あなたのことが好きです。あなたのことをもっと教えてください」
と言われて、仕事をしているところで求められたりするかもしれない。
殿下に求められたら、それに応えなければいけない。
心の準備をしっかりしておかなくては。
そういうことを思ってしまう。
いや、わたしったら、どうしてこういう恥ずかしいことを想ってしまうのだろう。
しっかりと殿下の為に、助言をしていかなくてはいけないのに。
心を仕事モードに切り替えよう。
そうしないと、殿下の心は離れていってしまうと思う。
殿下の為、王国の為、働くという気持ちをもう一度きちんと持つ必要がある。
わたしはそう思い、紅茶をまた飲む。
やがて、ドアをノックする音が聞こえてきた。
「お嬢様、そろそろお出かけの時間です。よろしくお願いします」
リデーヌさんが呼びにきた。
「ありがとう。すぐに向かいます」
わたしはそう言った。
0
お気に入りに追加
87
あなたにおすすめの小説
【完結】辺境の白百合と帝国の黒鷲
もわゆぬ
恋愛
美しく可憐な白百合は、
強く凛々しい帝国の黒鷲に恋をする。
黒鷲を強く望んだ白百合は、運良く黒鷲と夫婦となる。
白百合(男)と黒鷲(女)の男女逆転?の恋模様。
これは、そんな二人が本当の夫婦になる迄のお話し。
※小説家になろう、ノベルアップ+様にも投稿しています。
ヒロインと呼ばれても〜自称悪役令嬢に王子をお勧めされましたが、私の好みは貴女の従者様です
春日千夜
恋愛
私シャルラは母と二人暮らしの平民の女の子。そんな私は、とあるご令嬢の従者だという青年イールトに出会い、恋をした。
でも実は私、貴族の娘だったらしい!
初めて会う父たちにいっぱいいっぱいなのに、イールトさんの主人だという令嬢がやって来て……。
「ここは乙女ゲームの世界なの。あなたがヒロインで、わたくしは悪役令嬢なのよ。お願いだから、王子を選んで!」と言ってきた。
私が王子様と結婚⁉︎ 冗談じゃない! 私が好きなのはあなたの従者様です!
告白もせずに彼を諦めるなんてしたくない。乙女ゲームとかいう意味の分からないものに振り回されるのはお断りです。
え? あなたも本当は王子が好きなの? それに王子もあなたの事が好き⁉︎
そういうことなら、私は私の幸せを掴んでみせるから、あなたも諦めないで!
***元気と明るさが取り柄の主人公が、悪役令嬢と王子の仲を取り持ち、自分の恋も叶えるお話
*小説家になろう様にも投稿しています。
婚約破棄されて無職、家無しになったので、錬金術師になって研究ライフを送ります
かざはなよぞら
恋愛
ソフィー・ド・セイリグ。
彼女はジュリアン王子との婚約発表のパーティー会場にて、婚約破棄を言い渡されてしまう。
理由は錬金術で同じ学園に通うマリオンに対し、危険な嫌がらせ行為を行っていたから。
身に覚えのない理由で、婚約破棄を言い渡され、しかも父親から家から追放されることとなってしまう。
王子との婚約から一転、ソフィーは帰る家もないお金もない、知り合いにも頼れない、生きていくことも難しいほど追い詰められてしまう。
しかし、紆余曲折の末、ソフィーは趣味であった錬金術でお金を稼ぐこととなり、自分の工房を持つことが出来た。
そこからソフィーの錬金術師としての人生が始まっていくのだ――
政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~
つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。
政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。
他サイトにも公開中。
公爵子息に気に入られて貴族令嬢になったけど姑の嫌がらせで婚約破棄されました。傷心の私を癒してくれるのは幼馴染だけです
エルトリア
恋愛
「アルフレッド・リヒテンブルグと、リーリエ・バンクシーとの婚約は、只今をもって破棄致します」
塗装看板屋バンクシー・ペイントサービスを営むリーリエは、人命救助をきっかけに出会った公爵子息アルフレッドから求婚される。
平民と貴族という身分差に戸惑いながらも、アルフレッドに惹かれていくリーリエ。
だが、それを快く思わない公爵夫人は、リーリエに対して冷酷な態度を取る。さらには、許嫁を名乗る娘が現れて――。
お披露目を兼ねた舞踏会で、婚約破棄を言い渡されたリーリエが、失意から再び立ち上がる物語。
著者:藤本透
原案:エルトリア
果たされなかった約束
家紋武範
恋愛
子爵家の次男と伯爵の妾の娘の恋。貴族の血筋と言えども不遇な二人は将来を誓い合う。
しかし、ヒロインの妹は伯爵の正妻の子であり、伯爵のご令嗣さま。その妹は優しき主人公に密かに心奪われており、結婚したいと思っていた。
このままでは結婚させられてしまうと主人公はヒロインに他領に逃げようと言うのだが、ヒロインは妹を裏切れないから妹と結婚して欲しいと身を引く。
怒った主人公は、この姉妹に復讐を誓うのであった。
※サディスティックな内容が含まれます。苦手なかたはご注意ください。
あなたの妻にはなりません
風見ゆうみ
恋愛
幼い頃から大好きだった婚約者のレイズ。
彼が伯爵位を継いだと同時に、わたしと彼は結婚した。
幸せな日々が始まるのだと思っていたのに、夫は仕事で戦場近くの街に行くことになった。
彼が旅立った数日後、わたしの元に届いたのは夫の訃報だった。
悲しみに暮れているわたしに近づいてきたのは、夫の親友のディール様。
彼は夫から自分の身に何かあった時にはわたしのことを頼むと言われていたのだと言う。
あっという間に日にちが過ぎ、ディール様から求婚される。
悩みに悩んだ末に、ディール様と婚約したわたしに、友人と街に出た時にすれ違った男が言った。
「あの男と結婚するのはやめなさい。彼は君の夫の殺害を依頼した男だ」
我慢するだけの日々はもう終わりにします
風見ゆうみ
恋愛
「レンウィル公爵も素敵だけれど、あなたの婚約者も素敵ね」伯爵の爵位を持つ父の後妻の連れ子であるロザンヌは、私、アリカ・ルージーの婚約者シーロンをうっとりとした目で見つめて言った――。
学園でのパーティーに出席した際、シーロンからパーティー会場の入口で「今日はロザンヌと出席するから、君は1人で中に入ってほしい」と言われた挙げ句、ロザンヌからは「あなたにはお似合いの相手を用意しておいた」と言われ、複数人の男子生徒にどこかへ連れ去られそうになってしまう。
そんな私を助けてくれたのは、ロザンヌが想いを寄せている相手、若き公爵ギルバート・レンウィルだった。
※本編完結しましたが、番外編を更新中です。
※史実とは関係なく、設定もゆるい、ご都合主義です。
※独特の世界観です。
※中世〜近世ヨーロッパ風で貴族制度はありますが、法律、武器、食べ物など、その他諸々は現代風です。話を進めるにあたり、都合の良い世界観となっています。
※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる