11 / 84
第十一話 冷たい人々
しおりを挟む
「わたしは、それが嫌だとルアンソワ様に言ったのです。わたしは、ルアンソワ様に尽くそうと思っていました。それなのに、ルアンソワ様は他の女性に心を動かしていた。それがわたしには理解ができなかったのです。そうしたら、婚約を破棄されてしまったのです。わたしはただ、ルアンソワ様と結婚へ進んで行きたかっただけなのに。どうしても婚約を破棄されたことが納得できないのです」
わたしはそう言った。
少しは理解してくれただろうか……。
そう思っていると、
「あなたが婚約破棄されたのは、あなたに魅力がなかったから。ただそれだけのことよ。あなたに魅力があれば、ルアンソワ様が浮気をすることなどなかったと思う」
と異母姉が言うと、
「これについては同意見だわ。あなたに魅力がないから、浮気をされてしまったのだろうね。あなたより我が娘の方が、はるかに魅力がある。我が娘だったら、こんなことにはならなかっただろうね。まあ、我が娘は、もっといいところに嫁がせることができるけど」
と継母は言う。
「まあ、お母様、恥ずかしいです」
もじもじしながら言う異母妹。先程の態度とは百八十度違う。
苦笑いをせざるをえない。
「ルアンソワ様は、もともと女性関係についてはいろいろ言われていた方です。でも一生懸命ルアンソワ様の為に尽くそうと努力していけば、きっとわたしに振り向いてくれるだろうと思っていたんです」
「でも結局、婚約を破棄された。あなたがどんなに努力しようと、結果的に、我が子爵家にダメージを与えたことには変わりはない。そんな努力には意味はない」
冷たく言う継母。
「わたしもお継母様に賛成するわ。我が子爵家にダメージを与えたこと、これがすべて。それに、あなたがいくら努力しようと、もともとない魅力が上がることはないのよ。どうして、そういうこともわからないのかしら。あきれてものが言えないわ」
異母姉はそう言うと、あざけるように笑い出した。
それにしても、幼少でずっと黙っている異母弟以外は、みなわたしのことを攻撃してくる。
よくまあ続くものだと思う。
「まあ、それはあなたにも言えることだけどね。努力しても魅力的な女性になれないのは。その点は同じね」
「お継母様、なんでこの子と一緒にするんですか? せっかくお継母様の意見に賛成してあげたのに」
「わたしの意見に賛成しようとしまいと、本当のことを言って何が悪いの?」
「お継母様の性格って本当に悪いと思います」
「あなたの方がよっぽど悪いじゃない」
「全く、なんでこんな人が継母とはいえ、わたしの母を名乗っているのかしら。本当はお継母様と敬称をつける呼び方はしたくない。お継母様と呼ぶだけありがたいと思ってほしいものだわ」
「それはこっちが言いたいことだわ。なんで、あなたのような人が、わたしの娘なのかしら。これほど嫌なことはない」
二人はまたにらみ合う。
やがて、
「いい加減、母親の実家に帰ったらどうなの? その方があなたにとっては幸せでしょう?」
と継母が怒りながら言う。
「どうしてわたしが帰れなければならないの?」
「だって、ここに居たってしょうがないでしょう。あちらにはあなたの母親がいるんだし、よっぽど過ごしやすいと思うけど」
わたしはそう言った。
少しは理解してくれただろうか……。
そう思っていると、
「あなたが婚約破棄されたのは、あなたに魅力がなかったから。ただそれだけのことよ。あなたに魅力があれば、ルアンソワ様が浮気をすることなどなかったと思う」
と異母姉が言うと、
「これについては同意見だわ。あなたに魅力がないから、浮気をされてしまったのだろうね。あなたより我が娘の方が、はるかに魅力がある。我が娘だったら、こんなことにはならなかっただろうね。まあ、我が娘は、もっといいところに嫁がせることができるけど」
と継母は言う。
「まあ、お母様、恥ずかしいです」
もじもじしながら言う異母妹。先程の態度とは百八十度違う。
苦笑いをせざるをえない。
「ルアンソワ様は、もともと女性関係についてはいろいろ言われていた方です。でも一生懸命ルアンソワ様の為に尽くそうと努力していけば、きっとわたしに振り向いてくれるだろうと思っていたんです」
「でも結局、婚約を破棄された。あなたがどんなに努力しようと、結果的に、我が子爵家にダメージを与えたことには変わりはない。そんな努力には意味はない」
冷たく言う継母。
「わたしもお継母様に賛成するわ。我が子爵家にダメージを与えたこと、これがすべて。それに、あなたがいくら努力しようと、もともとない魅力が上がることはないのよ。どうして、そういうこともわからないのかしら。あきれてものが言えないわ」
異母姉はそう言うと、あざけるように笑い出した。
それにしても、幼少でずっと黙っている異母弟以外は、みなわたしのことを攻撃してくる。
よくまあ続くものだと思う。
「まあ、それはあなたにも言えることだけどね。努力しても魅力的な女性になれないのは。その点は同じね」
「お継母様、なんでこの子と一緒にするんですか? せっかくお継母様の意見に賛成してあげたのに」
「わたしの意見に賛成しようとしまいと、本当のことを言って何が悪いの?」
「お継母様の性格って本当に悪いと思います」
「あなたの方がよっぽど悪いじゃない」
「全く、なんでこんな人が継母とはいえ、わたしの母を名乗っているのかしら。本当はお継母様と敬称をつける呼び方はしたくない。お継母様と呼ぶだけありがたいと思ってほしいものだわ」
「それはこっちが言いたいことだわ。なんで、あなたのような人が、わたしの娘なのかしら。これほど嫌なことはない」
二人はまたにらみ合う。
やがて、
「いい加減、母親の実家に帰ったらどうなの? その方があなたにとっては幸せでしょう?」
と継母が怒りながら言う。
「どうしてわたしが帰れなければならないの?」
「だって、ここに居たってしょうがないでしょう。あちらにはあなたの母親がいるんだし、よっぽど過ごしやすいと思うけど」
0
お気に入りに追加
87
あなたにおすすめの小説
婚約破棄をしてくれた王太子殿下、ありがとうございました
hikari
恋愛
オイフィア王国の王太子グラニオン4世に婚約破棄された公爵令嬢アーデルヘイトは王国の聖女の任務も解かれる。
家に戻るも、父であり、オルウェン公爵家当主のカリオンに勘当され家から追い出される。行き場の無い中、豪商に助けられ、聖女として平民の生活を送る。
ざまぁ要素あり。
性悪という理由で婚約破棄された嫌われ者の令嬢~心の綺麗な者しか好かれない精霊と友達になる~
黒塔真実
恋愛
公爵令嬢カリーナは幼い頃から後妻と義妹によって悪者にされ孤独に育ってきた。15歳になり入学した王立学園でも、悪知恵の働く義妹とカリーナの婚約者でありながら義妹に洗脳されている第二王子の働きにより、学園中の嫌われ者になってしまう。しかも再会した初恋の第一王子にまで軽蔑されてしまい、さらに止めの一撃のように第二王子に「性悪」を理由に婚約破棄を宣言されて……!? 恋愛&悪が報いを受ける「ざまぁ」もの!! ※※※主人公は最終的にチート能力に目覚めます※※※アルファポリスオンリー※※※皆様の応援のおかげで第14回恋愛大賞で奨励賞を頂きました。ありがとうございます※※※
すみません、すっきりざまぁ終了したのでいったん完結します→※書籍化予定部分=【本編】を引き下げます。【番外編】追加予定→ルシアン視点追加→最新のディー視点の番外編は書籍化関連のページにて、アンケートに答えると読めます!!
実在しないのかもしれない
真朱
恋愛
実家の小さい商会を仕切っているロゼリエに、お見合いの話が舞い込んだ。相手は大きな商会を営む伯爵家のご嫡男。が、お見合いの席に相手はいなかった。「極度の人見知りのため、直接顔を見せることが難しい」なんて無茶な理由でいつまでも逃げ回る伯爵家。お見合い相手とやら、もしかして実在しない・・・?
※異世界か不明ですが、中世ヨーロッパ風の架空の国のお話です。
※細かく設定しておりませんので、何でもあり・ご都合主義をご容赦ください。
※内輪でドタバタしてるだけの、高い山も深い谷もない平和なお話です。何かすみません。
未来予知できる王太子妃は断罪返しを開始します
もるだ
恋愛
未来で起こる出来事が分かるクラーラは、王宮で開催されるパーティーの会場で大好きな婚約者──ルーカス王太子殿下から謀反を企てたと断罪される。王太子妃を狙うマリアに嵌められたと予知したクラーラは、断罪返しを開始する!
真実の愛がどうなろうと関係ありません。
希猫 ゆうみ
恋愛
伯爵令息サディアスはメイドのリディと恋に落ちた。
婚約者であった伯爵令嬢フェルネは無残にも婚約を解消されてしまう。
「僕はリディと真実の愛を貫く。誰にも邪魔はさせない!」
サディアスの両親エヴァンズ伯爵夫妻は激怒し、息子を勘当、追放する。
それもそのはずで、フェルネは王家の血を引く名門貴族パートランド伯爵家の一人娘だった。
サディアスからの一方的な婚約解消は決して許されない裏切りだったのだ。
一ヶ月後、愛を信じないフェルネに新たな求婚者が現れる。
若きバラクロフ侯爵レジナルド。
「あら、あなたも真実の愛を実らせようって仰いますの?」
フェルネの曾祖母シャーリンとレジナルドの祖父アルフォンス卿には悲恋の歴史がある。
「子孫の我々が結婚しようと関係ない。聡明な妻が欲しいだけだ」
互いに塩対応だったはずが、気づくとクーデレ夫婦になっていたフェルネとレジナルド。
その頃、真実の愛を貫いたはずのサディアスは……
(予定より長くなってしまった為、完結に伴い短編→長編に変更しました)
婚約破棄してくださって結構です
二位関りをん
恋愛
伯爵家の令嬢イヴには同じく伯爵家令息のバトラーという婚約者がいる。しかしバトラーにはユミアという子爵令嬢がいつもべったりくっついており、イヴよりもユミアを優先している。そんなイヴを公爵家次期当主のコーディが優しく包み込む……。
※表紙にはAIピクターズで生成した画像を使用しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる