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第八話 継母
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異母妹と異母弟は、お父様の三番目の夫人の子。
わたしのお母様がこの世を去ってから、一年後に再々婚。
異母姉の母と同じくらいの美人。異母姉の母もプライドが高く、わがままだったのに比べて、つつましい性格だと言われていた。
そうしたところをお父様が評価したこともあり、別の子爵家から嫁いできたのだけど……。
外に対してはつつましやかにしているし、お父様に対しても尊大なところはなかった。
しかし、異母姉やわたしには、毎日のように嫌味を言ってくるし、冷たい態度をとっている。
外での対応とは大違いだ。
それは幼い頃から。
我ながらよく耐えてこられたと思う。
ただ、異母姉の方は成長するに従って、それに真っ向から反撃するようになった。
一日中言い争いをしていたこともあるぐらいだ。
それに疲れたのか、最近は口をきかないことも多くなってきている。
ただ団結をすることもある。
それはわたしに対する対応。
もともと、継母は、異母姉よりわたしの方が嫌味を言いやすかったようだ。
継母がわたしに嫌味を言い出すと、異母姉も一緒になって言い出してくる。
こちらの方はたまらない。
相手をするのは嫌なので、相手が言い疲れるのを待つ毎日。
時には怒りたくなることもあったが、怒ってはそれこそ相手の思うつぼ。
耐えるしかなかった。
継母のわたしたちに対する冷たい態度について、お父様も注意はしていた。
わたしたちの目の前で言ってくれたこともある。
しかし、
「これは、この子たちの教育の一環なんです」
と継母は反論する。
お父様も継母には甘いところがあり、それ以上は言えなかった。
そして、継母は、結局態度を直そうとはしなかった。
今もまた、その牙をむき出しにして、わたしに向かってくる。
「あなたはリランテーヌ子爵家の恥さらしだわ。せっかくの縁談だったのに。何をやっているの、あなたは。情けない。こんな人は、この家から追放してもいいぐらいだわ」
わたしはただじっと耐える。
「全くどうしようもない。わたしの権限で、あなたをこの家から追放してしまおうかしら」
冷たい口調で言う継母。
継母は、ただの継母であればまだいいのだが、今の彼女はそうではない。
お父様がこの世を去った後は、彼女が産んだ異母弟が後継者になったのだが、何分まだ十歳と幼い。
まだ家のことを仕切るのは無理だ。
お父様の遺言で、継母がその後見役になった。
事実上、この子爵家のトップといっても過言ではない。
今は、この家のすべての権力を握っている。
ということは、わたしの処遇についても、その権限を握っていることになる。
悔しいが、お父様の遺言である以上、どうにもならない。
「それがいいわ、お継母様。追放してしまったらいいのでは」
異母姉が賛成する。
「お母様の思い通りにするといいと思います。この家の恥ですから。こんな姉を持ってしまって、わたしはつらいです」
異母妹も厳しい口調で賛成する。
異母妹とは言っても、こんなに冷たい態度はとれるものなのかしら……。
そう思わざるをえない。
異母妹は、異母姉と違い、やさしくて思いやりのある女性という評価を受けつつある。
しかし、それは外での話だ。
屋敷での彼女は、わがままを言うことが多く、家の人々も困っている。
わたしのお母様がこの世を去ってから、一年後に再々婚。
異母姉の母と同じくらいの美人。異母姉の母もプライドが高く、わがままだったのに比べて、つつましい性格だと言われていた。
そうしたところをお父様が評価したこともあり、別の子爵家から嫁いできたのだけど……。
外に対してはつつましやかにしているし、お父様に対しても尊大なところはなかった。
しかし、異母姉やわたしには、毎日のように嫌味を言ってくるし、冷たい態度をとっている。
外での対応とは大違いだ。
それは幼い頃から。
我ながらよく耐えてこられたと思う。
ただ、異母姉の方は成長するに従って、それに真っ向から反撃するようになった。
一日中言い争いをしていたこともあるぐらいだ。
それに疲れたのか、最近は口をきかないことも多くなってきている。
ただ団結をすることもある。
それはわたしに対する対応。
もともと、継母は、異母姉よりわたしの方が嫌味を言いやすかったようだ。
継母がわたしに嫌味を言い出すと、異母姉も一緒になって言い出してくる。
こちらの方はたまらない。
相手をするのは嫌なので、相手が言い疲れるのを待つ毎日。
時には怒りたくなることもあったが、怒ってはそれこそ相手の思うつぼ。
耐えるしかなかった。
継母のわたしたちに対する冷たい態度について、お父様も注意はしていた。
わたしたちの目の前で言ってくれたこともある。
しかし、
「これは、この子たちの教育の一環なんです」
と継母は反論する。
お父様も継母には甘いところがあり、それ以上は言えなかった。
そして、継母は、結局態度を直そうとはしなかった。
今もまた、その牙をむき出しにして、わたしに向かってくる。
「あなたはリランテーヌ子爵家の恥さらしだわ。せっかくの縁談だったのに。何をやっているの、あなたは。情けない。こんな人は、この家から追放してもいいぐらいだわ」
わたしはただじっと耐える。
「全くどうしようもない。わたしの権限で、あなたをこの家から追放してしまおうかしら」
冷たい口調で言う継母。
継母は、ただの継母であればまだいいのだが、今の彼女はそうではない。
お父様がこの世を去った後は、彼女が産んだ異母弟が後継者になったのだが、何分まだ十歳と幼い。
まだ家のことを仕切るのは無理だ。
お父様の遺言で、継母がその後見役になった。
事実上、この子爵家のトップといっても過言ではない。
今は、この家のすべての権力を握っている。
ということは、わたしの処遇についても、その権限を握っていることになる。
悔しいが、お父様の遺言である以上、どうにもならない。
「それがいいわ、お継母様。追放してしまったらいいのでは」
異母姉が賛成する。
「お母様の思い通りにするといいと思います。この家の恥ですから。こんな姉を持ってしまって、わたしはつらいです」
異母妹も厳しい口調で賛成する。
異母妹とは言っても、こんなに冷たい態度はとれるものなのかしら……。
そう思わざるをえない。
異母妹は、異母姉と違い、やさしくて思いやりのある女性という評価を受けつつある。
しかし、それは外での話だ。
屋敷での彼女は、わがままを言うことが多く、家の人々も困っている。
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