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第六十五話 打撃を受ける継母
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継母と妥協した場合は、これが前例となって、さらに継母を勢いづかせるだけだ。
妥協しなければ、さらに継母の怒りは増していくだろう。
それによって、わたしの評判は更に悪くなるかもしれない。
でもここで大切なことは、わたしのオクタヴィノール殿下への気持ちだ。
わたしはオクタヴィノール殿下が好きだ。
舞踏会で一緒に踊ってからは、さらにその想いは強くなっている。
このお茶会を機会に、もっと仲良くなっていきたい!
そして、オクタヴィノール殿下とわたしが仲良くなっていき、恋人どうしになる。
そのまま仲を深めて、婚約・結婚をしていけば、いくら継母でもさすがに何も言えなくなっていくはずだ。
わたしと話をする時、「ボードリックス公爵家の名誉」という言葉が口癖にしてわたしに嫌味を言う継母にとっては、わたしがオクタヴィノール殿下と婚約した後、さらに結婚までしていけば、「ボードリックス公爵家の名誉」ということになるので、嫌味を言う理由が失われるからだ。
今は一時的には、継母の怒りを増大させることにはなる。
でもこれからのことを考慮すると、わたし自身の怒りを抑えつつ、きちんと返事をしなければならないと思う。
わたしは、
「お母様がわたしのこと、ボードリックス公爵家のことを思ってくださることは理解します。そして、ありがたく思っております。しかし、わたしは大丈夫です。わたしは幼い頃から淑女になる為、一生懸命努力をしてまいりましたので、少なくとも、オクタヴィノール殿下にご迷惑をおかけすることはないと思っております。また、ボードリックス公爵家やお母様にご迷惑をおかけすることもなりと思っております」
と少し微笑みも交えながら、きちんと言うべきことを言った。
継母はしばしの間呆然としていた。
今までだと、
「わたしがどうしてお母様の言うことに従わなければならなのですか? ふざけるのもたいがいにしてください!」
と怒り全開で言っていたと思う。
継母はわたしにそう言わせることも、成果の一つと考えていたのだろう。
こう言わせれば、継母の最初の目的だった「お茶会の出席を断らせる」ことはできなくても、わたしが継母に対して厳しい言葉を使ったということで、またこれが悪評のもとになってしまう。
でもこの継母の策略もわたしは阻止した。
継母に敬意を言葉で伝えながら、ていねいな言葉で、継母の要求を断ることができた。
自分の策略がうまくいかなかったことで、精神的にダメージを受けたようだ。
やがて継母は、
「なんだかあなたは変わってしまった。今日のような場合、今までのあなただったら、わたしに対して闘志を燃やし、大いに怒っていたでしょう。そういうあなたが相手だったら、こちらも闘志を燃やすことができて、あなたと全力を持って戦うことができたでしょうし、勝つ自信は十分あった。でも今のあなたは、気品を持ちながら、しかも微笑んで、わたしに対応している。その今のあなたに、わたしは闘志を燃やすことができない。そしてあなたと戦う気力がなくなっていく。これではあなたに勝つことなどできない。それどころか、今の時点で、もう勝つのは無理になってしまった。悔しい。悔しくてたまらない……」
と言うと肩を落とし、うつむいていた。
そして、つらそうにこの場を去っていった。
妥協しなければ、さらに継母の怒りは増していくだろう。
それによって、わたしの評判は更に悪くなるかもしれない。
でもここで大切なことは、わたしのオクタヴィノール殿下への気持ちだ。
わたしはオクタヴィノール殿下が好きだ。
舞踏会で一緒に踊ってからは、さらにその想いは強くなっている。
このお茶会を機会に、もっと仲良くなっていきたい!
そして、オクタヴィノール殿下とわたしが仲良くなっていき、恋人どうしになる。
そのまま仲を深めて、婚約・結婚をしていけば、いくら継母でもさすがに何も言えなくなっていくはずだ。
わたしと話をする時、「ボードリックス公爵家の名誉」という言葉が口癖にしてわたしに嫌味を言う継母にとっては、わたしがオクタヴィノール殿下と婚約した後、さらに結婚までしていけば、「ボードリックス公爵家の名誉」ということになるので、嫌味を言う理由が失われるからだ。
今は一時的には、継母の怒りを増大させることにはなる。
でもこれからのことを考慮すると、わたし自身の怒りを抑えつつ、きちんと返事をしなければならないと思う。
わたしは、
「お母様がわたしのこと、ボードリックス公爵家のことを思ってくださることは理解します。そして、ありがたく思っております。しかし、わたしは大丈夫です。わたしは幼い頃から淑女になる為、一生懸命努力をしてまいりましたので、少なくとも、オクタヴィノール殿下にご迷惑をおかけすることはないと思っております。また、ボードリックス公爵家やお母様にご迷惑をおかけすることもなりと思っております」
と少し微笑みも交えながら、きちんと言うべきことを言った。
継母はしばしの間呆然としていた。
今までだと、
「わたしがどうしてお母様の言うことに従わなければならなのですか? ふざけるのもたいがいにしてください!」
と怒り全開で言っていたと思う。
継母はわたしにそう言わせることも、成果の一つと考えていたのだろう。
こう言わせれば、継母の最初の目的だった「お茶会の出席を断らせる」ことはできなくても、わたしが継母に対して厳しい言葉を使ったということで、またこれが悪評のもとになってしまう。
でもこの継母の策略もわたしは阻止した。
継母に敬意を言葉で伝えながら、ていねいな言葉で、継母の要求を断ることができた。
自分の策略がうまくいかなかったことで、精神的にダメージを受けたようだ。
やがて継母は、
「なんだかあなたは変わってしまった。今日のような場合、今までのあなただったら、わたしに対して闘志を燃やし、大いに怒っていたでしょう。そういうあなたが相手だったら、こちらも闘志を燃やすことができて、あなたと全力を持って戦うことができたでしょうし、勝つ自信は十分あった。でも今のあなたは、気品を持ちながら、しかも微笑んで、わたしに対応している。その今のあなたに、わたしは闘志を燃やすことができない。そしてあなたと戦う気力がなくなっていく。これではあなたに勝つことなどできない。それどころか、今の時点で、もう勝つのは無理になってしまった。悔しい。悔しくてたまらない……」
と言うと肩を落とし、うつむいていた。
そして、つらそうにこの場を去っていった。
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