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第六十一話 ダンスは続いていく
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オクタヴィノール殿下とわたしのダンスは続いていた。
この時間がずっと続くといいなあ、と思っていた。
気がついてみると、今踊っているのは、わたしたちだけになっていた。
どうしたのだろう?
なぜ皆、ダンスを止めているのだろう?
そう思っていると、どうもわたしたちのダンスをチェックしているような気がする。
それだけではなく、出席者たちもわたしたちのダンスをチェックしているようだ。
「つらい思いをしてきた少女は、素敵な人に出会い、溺愛されていく」でのオクタヴィノール殿下ルートの場合、オディナティーヌとは普通に踊り、その後おしゃべりをするという展開になっていて、このようにほぼ全員がわたしたちの方を向くという展開はなかった。
なぜこういう展開になっているのだろう?
もしかするとわたしのダンスがオクタヴィノール殿下と一緒に踊るほどのレベルに達していないと思われているのではないのだろうか?
みな黙り込んでしまっているのだけれど、内心はわたしのことを笑っている可能性がある。
そんなにわたしのダンスはよくないのだろうか?
これでも幼い頃から一生懸命練習をしてきた。
自信はあったし、少なくとも、この舞踏会の中では平均レベルの力はあると思っていた。
それは自分のただの思い込みだったということだろうか?
もし、そうだとすれば、オディナティーヌに対して、ダンスのことをうるさく言っていた転生の記憶が戻る前のリディテーヌは、自分のことを棚に上げてリディテーヌに小言を言っていたことになる。
転生の記憶が戻ってからも、わたしのダンスの腕前はオディナティーヌより上だと内心は思っていた。
でもそれは、むなしい自慢でしかなかったということなのだろう。
とは言っても、オクタヴィノール殿下に恥をかかせるわけにはいかない。
今はとにかく一生懸命踊ろう。
全力を尽くそう!
オクタヴィノール殿下の方は、最初から微笑みを絶やさない。
しかし、それでいて、ダンスは芸術品とも呼べるほどのうまさだ。
いや、この舞踏会の場ですら楽しむことのできる心の大きさが、ダンスをより良いものにしているような気がする。
オクタヴィノール殿下の域に到達していくには、まだまだ努力が必要だと思う。
出席者の中には、
「わたしがオクタヴィノール殿下と踊ることができれば、二人でもっと良いダンスを踊ることができるのに……。なぜあんな女性と……」
と思っている人たちもいる気がする。
その中でも、継母は、
「ボードリックス公爵家の恥さらし!」
と思っているかもしれない。
わたしの方はいろいろ言われても仕方がない。
しかし、オクタヴィノール殿下には迷惑をかけているし、申し訳ない気持ちで一杯だ。
ダンスが終わってから、オクタヴィノール殿下には、
「わたしの力が足りず、ご迷惑をおかけしました」
と言って、誠心誠意謝ろう。
そうすればオクタヴィノール殿下は許してくれるはず。
仲良くなるという目標からは少し遠ざかってしまうかもしれないけれど、それは仕方がないと思う。
名前だけは、最低覚えてもらえるだろう。
その後の学校行事か、次の舞踏会でまたチャンスをつかめばいい。
わたしは、マイナスの心をプラス方向に変えていく。
王室楽団が今演奏している曲は、もうそろそろ終わりを迎えようとしていた。
この曲が終われば、もう踊るチャンスはないかもしれない。
いや、あると信じたい。
しかし、わたしは思い直す。
今はこのチャンスにかける時だ。
望みは少なくなっているかもしれない。
オクタヴィノール殿下の心を少しもつかむことはできないかもしれない。
それでもわたしはここで、オクタヴィノール殿下の心を少しでもつかみたい!
わたしは、最後の力を振り絞って、ダンスを踊り続けるのだった。
この時間がずっと続くといいなあ、と思っていた。
気がついてみると、今踊っているのは、わたしたちだけになっていた。
どうしたのだろう?
なぜ皆、ダンスを止めているのだろう?
そう思っていると、どうもわたしたちのダンスをチェックしているような気がする。
それだけではなく、出席者たちもわたしたちのダンスをチェックしているようだ。
「つらい思いをしてきた少女は、素敵な人に出会い、溺愛されていく」でのオクタヴィノール殿下ルートの場合、オディナティーヌとは普通に踊り、その後おしゃべりをするという展開になっていて、このようにほぼ全員がわたしたちの方を向くという展開はなかった。
なぜこういう展開になっているのだろう?
もしかするとわたしのダンスがオクタヴィノール殿下と一緒に踊るほどのレベルに達していないと思われているのではないのだろうか?
みな黙り込んでしまっているのだけれど、内心はわたしのことを笑っている可能性がある。
そんなにわたしのダンスはよくないのだろうか?
これでも幼い頃から一生懸命練習をしてきた。
自信はあったし、少なくとも、この舞踏会の中では平均レベルの力はあると思っていた。
それは自分のただの思い込みだったということだろうか?
もし、そうだとすれば、オディナティーヌに対して、ダンスのことをうるさく言っていた転生の記憶が戻る前のリディテーヌは、自分のことを棚に上げてリディテーヌに小言を言っていたことになる。
転生の記憶が戻ってからも、わたしのダンスの腕前はオディナティーヌより上だと内心は思っていた。
でもそれは、むなしい自慢でしかなかったということなのだろう。
とは言っても、オクタヴィノール殿下に恥をかかせるわけにはいかない。
今はとにかく一生懸命踊ろう。
全力を尽くそう!
オクタヴィノール殿下の方は、最初から微笑みを絶やさない。
しかし、それでいて、ダンスは芸術品とも呼べるほどのうまさだ。
いや、この舞踏会の場ですら楽しむことのできる心の大きさが、ダンスをより良いものにしているような気がする。
オクタヴィノール殿下の域に到達していくには、まだまだ努力が必要だと思う。
出席者の中には、
「わたしがオクタヴィノール殿下と踊ることができれば、二人でもっと良いダンスを踊ることができるのに……。なぜあんな女性と……」
と思っている人たちもいる気がする。
その中でも、継母は、
「ボードリックス公爵家の恥さらし!」
と思っているかもしれない。
わたしの方はいろいろ言われても仕方がない。
しかし、オクタヴィノール殿下には迷惑をかけているし、申し訳ない気持ちで一杯だ。
ダンスが終わってから、オクタヴィノール殿下には、
「わたしの力が足りず、ご迷惑をおかけしました」
と言って、誠心誠意謝ろう。
そうすればオクタヴィノール殿下は許してくれるはず。
仲良くなるという目標からは少し遠ざかってしまうかもしれないけれど、それは仕方がないと思う。
名前だけは、最低覚えてもらえるだろう。
その後の学校行事か、次の舞踏会でまたチャンスをつかめばいい。
わたしは、マイナスの心をプラス方向に変えていく。
王室楽団が今演奏している曲は、もうそろそろ終わりを迎えようとしていた。
この曲が終われば、もう踊るチャンスはないかもしれない。
いや、あると信じたい。
しかし、わたしは思い直す。
今はこのチャンスにかける時だ。
望みは少なくなっているかもしれない。
オクタヴィノール殿下の心を少しもつかむことはできないかもしれない。
それでもわたしはここで、オクタヴィノール殿下の心を少しでもつかみたい!
わたしは、最後の力を振り絞って、ダンスを踊り続けるのだった。
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