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日本神話篇

第2話 酒と恋で明かす夜

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王様からの命令で訪れた地域、ジッパンで幼なじみのモネちゃんに再会してしまった僕。偶像アイドルとして輝いてくれるその姿はかつてと何も変わらないように思えたけど、やっぱり僕はあの日・・・のことが気がかりだった。モネちゃんの誘いでベルゼブブによる打ち上げ会にみんなで参加できることになったけど…。

「シドラくん、ついたよ。」
「ここは?」
「ベルゼブブさんが経営してるお店で、すっごい美味しいんだよ。ベルゼブブさんは私がデビューする前から応援してくれてるスポンサーさんなんだよ。72柱の魔神だって言ってるけど優しいし…」
「どうしてモネちゃんは偶像になろうと思ったの?」
「私?私はシドラくんに教えてもらった歌の影響だったかな?でも、一番の理由はシドラくんにまた会いたくって、その為には有名になったりしなくちゃいけないと思ってたからだね。結果としてあんな化け物に引き裂かれた私たちがこうやってもう一度会うことができたし…」
「じゃあ、僕と会えたから偶像は辞めるの?」
「え…?それは…、シ、シドラくんが望んでくれるなら続けるけど」
「そっか。僕らもあと何日かはここにとどまるつもりだから…」
「じゃあ、それが終わっちゃったらシドラくんはまたどっか行っちゃうの?」
「一応、今は王都で王様に仕えてる形で、本当は王様が僕らの72柱討伐に協力してくれるってことなんだ」
「じゃあ、もしもその時が来たらベルゼブブさんも殺しちゃうの?」
「いや、その時はまた別で対処するよ。実際、僕の仲間には72柱だったり72柱に召喚されたりしたもいるし…」

自分ジブンたち、いつまで話しとるん?はよ注文せぇや」
「あ、ベルゼブブさん。『いつもの』、お願いします」
「そう来ると思っとったで。豚玉やろ?」
「さすがです、本当に常連の好きなものは全部覚えてるんですね」
「はよいたいやろおもて作り始めとったわ。ほれ」
「ありがとうございます。シドラくん、ちょっと待っててね」

そして、モネちゃんはベルゼブブから差し出された野菜や肉の入った小麦粉を水と合わせたものを焼いたソースのかかった物体を見たことのない器具で切り始めた。

「ほら、シドラくん。あーん」
「あ、あーん」

急なことに思わず赤面してしまったが、モネちゃんが食べさせてくれたアツアツのソレはとても美味しかった。

「どう?おいしい?」
「うん、おいしい」
「よかった、シドラくんにも気に入ってもらえて」

「モネ子、あれ要るか?」
「まあ、シドラくんも居るけど…もらっちゃおうかな」
「『秋鹿 霙もよう』水割り3:7でええな?」
「はい」

「モネちゃん、確か今年でまだ14歳だよね?お酒って、呑んでも大丈夫なの?」
「この業界でやっていくには『ミュニケーション』も大事らしぃからつい手を出したら美味しくて」
「だったら、僕も呑むか。ベルゼブブ、僕にも適当にワインを…」

「自分、シドラ言うたか?何愛人のスポンサーにふてこい態度とってんねん?普段は敵同士やけど、今くらいは腹割ってくれや。で、ワイン言うてもどんなんや?」
「だったら、葡萄酒で」
「ウチと同じやな、葡萄酒好きやなんて」

「ベルぜブブさン、シドラくんぁわらひのモノれすよ!!」
「おう、酔っとるなぁ。大人ぶってあんな強い酒呑むからやて。ホンマ弱いんやな」

「シドラくん、何れあんらおんぁの子ばっか連れれるんれぇすか!?浮気者!」
「お、落ち着いて、僕はそんなつもりで…」
「言い訳はいいれす!!とにかく、わらひらけを愛ひてくらさぃよ~!!」
「うん、今でも好きだよ、だから…」
「本当にわらひが好きなぁベルゼブブさんみらいに言っれくらさい!!」
「モ、モネちゃんのこと、め、ねっちゃ好きやねん…(?)」
「おっけーれす!…ちゅーしよっか?」
「え?ひ、人前だよ!?それに、アオイも居るし…」
「周りなんか気にしちゃらめれす!ほら、目ーろ(閉)じて」

僕は思わず目をつむってしまった。すると、モネちゃんは僕を思いっきり抱きしめてキスをした。呆気にとられた僕はそのまま床に横転、そのままキスをし続けた。


外から聞こえるスズメの鳴く声で僕は目を覚ました。昨日、何があったかはあまり覚えていない。モネちゃんとキスをしたことだけは覚えているけど…。
モネちゃんはまだ僕に抱き着いたまま寝ていた。その寝顔はとても微笑ましく、つい頭を撫でてしまった。

「おー、やっと起きたか。この居酒屋で朝チュンなんてしたヤツは初めてやわ」
「ベルゼブブ!?居たのか」
「昨日、お前の仲間の1人がめっちゃ泣いとったで。色恋沙汰で女泣かせることになるとか自分も大変やな」
「う、うるさい。…え?泣いてた?」
「ああ、ずっと自分らのこと見とった吸血族ヴァンパイアの…」
「そうか。それで、みんなは今どこに?」
「迎えに来るまで待っとるんやな。もうそろ来るはずやけど…」

「お兄ちゃんのバカ!!結局、私のことなんかどうでもいいんでしょ!?」

迎えに来たアオイから放たれた強烈な一言は、僕を刺し貫いた。

続く
※関西弁、ちゃうやろか?ちゃうで、ってとこあったら感想で教えてくれや。
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