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第九話
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やっぱり、今日一日付き合うって言ったのは、失敗だったかな。
香奈姉ちゃんの家にたどり着くと、香奈姉ちゃんは迷わず家の中に入ろうとする。
「どうしたの、楓? 入らないの?」
途中で立ち止まる僕に、香奈姉ちゃんは思案げにそう聞いてきた。
「いや、その……。服を着替えたいなって思って……」
「それは、私も同じだよ」
「うん、だから自分の家に──」
「着替えなら、貸してあげるよ」
「だから、その……」
「いいから。遠慮しないで中に入って」
僕は、強引に香奈姉ちゃんに家に入れられてしまう。
あ……。
これは、何を言っても聞かないパターンだ。
こういう時は、逆らわずに言うこと聞いたほうがいい。
香奈姉ちゃんは、怒らせるとあとが怖いから。
香奈姉ちゃんは、自分の家に入るなり、真っ直ぐに浴室へと向かっていく。
「とりあえず、着替える前にシャワー浴びようかな。ちょっと寒気が……」
「行ってらっしゃい」
僕は、そう言って香奈姉ちゃんを見送る。
シャワーを浴びたいのは、僕も一緒なんだけどな。
あの水しぶきが降りかかってきたわけじゃないんだけど、水族館から帰ってきたらなんとなくシャワーを浴びたいって気持ちになったのは、香奈姉ちゃんと同じだ。
僕が黙って立っていると、香奈姉ちゃんがひょこっと浴室から頭を出してきて、こんな提案をしてくる。
「そうだ、楓。一緒に入ろうよ」
「え?」
一緒に入るって、シャワーに?
冗談…だよね。
香奈姉ちゃんは、なぜか心配そうな表情を浮かべて言う。
「楓も寒い思いをしたよね? それだったら、この香奈お姉さんが一緒に入って温めてあげるよ」
「いや……。遠慮しておくよ」
さすがに、それは遠慮しておいた。
香奈姉ちゃんとスキンシップがとれるのは嬉しいことだけれど、お互いが裸でスキンシップをとったら、一線を越えそうな気がする。
香奈姉ちゃんは、それがわかっていないのか、さらに言ってくる。
「遠慮なんかしなくてもいいんだよ。今は、私と楓しかいないんだから──」
「それは…そうだけど……」
──たしかに。
今は、香奈姉ちゃんの家には母親の姿はない。
香奈姉ちゃんは、服を脱いでいたのか下着姿のまま僕のところにやってきて、僕の腕を掴む。
「ほら。さっさと入ってしまおうよ。そうすれば、着替えだってはやく済むんだから」
「う…うん……」
こうなると仕方ないか。
香奈姉ちゃんは、言いだすと聞かないし。
僕は、素直に頷いた。
香奈姉ちゃんの裸はもう見慣れてしまったから、今さら何かが起こるわけでもないし、大丈夫だろう。
さすがに恥ずかしかったのか、香奈姉ちゃんは身体にバスタオルを巻いていた。
別に裸でも構わなかったんだけど、香奈姉ちゃんのことを考えると、それもやむなしだと思う。
きっと、香奈姉ちゃんの母親が帰ってきたときのことを考えたら、今の状況をどう説明すればいいかわからないし。
それに、二人で一緒にシャワーを浴びるこの状況は、どう考えてもおかしいし。
もし間違いが起きてしまったら、大変である。
しかし、そんなこととは関心が無いかのように、香奈姉ちゃんは言う。
「さぁ、楓。先にあなたの身体から、洗っちゃおうか」
「あ、うん……。そうだね」
僕は、香奈姉ちゃんの顔を見てそう答えた。
香奈姉ちゃんは、ボディスポンジを持って待ち構えている。
順番的には、間違いではない。
間違いではないけど、そのボディスポンジを持ってどこから洗うつもりなんだ。
「あー、やっぱり自分で洗うから──」
僕は、香奈姉ちゃんの手からボディスポンジを取り上げようとする。
「ダメ!」
しかし香奈姉ちゃんは、そう言ってボディスポンジを手放そうとしない。
それどころか、僕に背を向かせて
「遠慮しなくていいんだよ。私が隅々まで洗ってあげるからね」
と言って、石鹸でボディスポンジを泡立てた。
よく見ると、香奈姉ちゃんの表情は、何かに取り憑かれてしまったかのように、はぁはぁと息を吐いている。
僕は、そんな香奈姉ちゃんに恐怖を覚え、思ったことを言った。
「いや……。香奈姉ちゃん。目が怖いんだけど……」
「大丈夫だよ。痛くないから」
「痛くないのはわかるけど……」
そりゃ、痛かったら嫌だろうに。
「だからね。もう少しだけジッとしてて。…すぐに終わらせるから」
「いやいや、ちょっと待って。やっぱり自分でやるから、そのスポンジを僕に──」
「だからダメだってば。これは、私がやるの!」
香奈姉ちゃんから、スポンジを奪おうとするも失敗。
こうなったら、身体に巻いているタオルを外してしまおうか。
いや、そんなことしたら、さすがの香奈姉ちゃんも怒るよな。
それは、論外。
他にいい方法はないかなぁ。
「それじゃ、香奈姉ちゃんの身体はどうするの?」
「それは当然、私が自分でやるよ」
「それって、ズルくない? 僕の身体を洗いたい、香奈姉ちゃん自身の身体も自分で洗うってさ」
「う~。…ズルくないもん! 女の子の特権だもん!」
ここで女の子の特権と言いだすか。
さすが香奈姉ちゃんだ。
しかし、僕も負けてられない。
「それなら、昔みたいに流しっこにするっていうのはどうかな?」
「それって──」
「もちろん、洗うのは背中のみで…だけどね」
さすがに、この状況で香奈姉ちゃんの裸を見るわけにはいかないし。
香奈姉ちゃんは、やや警戒していたが
「楓がそこまで言うのなら……。仕方ないなぁ」
そう言って納得していた。
「そういうことだから、先に洗うのは──」
「私が先にやるね」
僕が最後まで言い切る前に、香奈姉ちゃんはボディスポンジをギュッと握る。
そこだけは、絶対に引かないんだね。
まぁ、言い出したら聞かないのはもうわかっているので、ここは香奈姉ちゃんに任せるか。
「…お願いします」
「それじゃ、いくよ」
香奈姉ちゃんは、そう言って僕の背中を洗い始めた。
慣れているのか、すごく手際よく僕の背中を洗っていく。
「ゴシ…ゴシっと……」
そこに香奈姉ちゃんのそんな声が聞こえてきたら、『最高』と言うしかないじゃないか。…ていうか、もう洗い終わったみたいだし、そろそろ振り返ってもいいよね。
「もう終わったかな?」
「…まだだよ。もう少しだけだから」
香奈姉ちゃんは、そう言ってまだ僕の背中を洗う。
気のせいか、香奈姉ちゃんのぬくもりが感じられるんだけど。
ここは思い切って、振り返ってみようかな。
そう思って振り返ろうとしたら、香奈姉ちゃんに頭部を押さえられる。
「ダメだよ、楓。振り返っちゃダメ」
「だけど……」
「とにかく。今は、振り返ったらダメなんだよ」
「それだと、僕が香奈姉ちゃんの背中を流せないんだけど」
「うぅ……。それを言われると……」
そこまで見られるのが嫌な理由としては、一つしかない。
まさかとは思うけど。
「もしかして香奈姉ちゃん。今、裸なんじゃ──」
「これ以上、言っちゃダメ!」
香奈姉ちゃんは、それを指摘されるのが嫌だったのか、悲鳴のようにそう言った。
仕方ないので、僕は後ろを振り向く。
するとそこには、タオルを巻いていない生まれたままの姿の香奈姉ちゃんがいた。
「香奈姉ちゃん……」
「うぅ……。今、見られちゃうと、とっても恥ずかしい」
香奈姉ちゃんは、恥ずかしそうに胸を隠す。
もう見てしまったから、遅いんだけどね。
…ていうか、今じゃなくても、それは恥ずかしいだろうに。
「今度は、僕の番だよ。…背中を向けてよ」
僕は、香奈姉ちゃんの手からボディスポンジを取り上げる。
「う、うん……」
香奈姉ちゃんは、素直に僕に背中を向けた。
やっぱり、綺麗なんだよな。香奈姉ちゃんの背中って。
おっぱいもなかなかに大きいし、スタイルも抜群なんだよね。
「楓? …何してるの?」
「今、石鹸で泡立てているところなんだ」
僕は、そう言ってボディスポンジを泡立てる。
香奈姉ちゃんは、寒そうに身体をふるわせて言う。
「そうなんだ。なるべく、はやくしてね」
「わかった」
あぶないあぶない。
香奈姉ちゃんの裸にすっかり見惚れてしまっていたよ。
こんな僕でも、女の子の裸やエッチなことには興味があるからね。
とりあえず、僕は香奈姉ちゃんの背中をやさしく洗っていった。
「ん……」
香奈姉ちゃんは、何かに反応したかのように敏感に身体をふるわせる。
「大丈夫?」
僕は、心配そうな面持ちでそう聞いていた。
すると香奈姉ちゃんは、頬を赤くして言う。
「大丈夫だよ。ちょっとくすぐったくて変な感じがしただけ……」
「そう。それならいいんだけど」
「もう少しだけ弱めにしてくれるかな?」
「わかった」
僕は、香奈姉ちゃんに言われたとおり、『弱め』に背中を流す。
「あん……。そこ…気持ちいい」
お願いだから、変な声を出さないでほしいな。
それに、香奈姉ちゃんの言う『そこ』って、どこのことを言ってるんだろうか。
香奈姉ちゃんの背中以外、どこにも触れていないんだけど……。
背中をやさしく洗ってあげているだけだというのに、どこかに性感帯でもあるのかな。
「とりあえず、終わったよ」
そう言うと、僕はボディスポンジを香奈姉ちゃんに返した。
「う…うん。ありがとう……」
香奈姉ちゃんは、はぁはぁと息を吐きながらボディスポンジを受け取り、礼を言ってくる。
今の状態なら、確実に落とせそうな感じだ。
まぁ、そんなことはしないけど。
あとは身体の正面の方を洗うだけだけど、それなら自分でもできるだろう。
そう思って、香奈姉ちゃんを待っていると──
香奈姉ちゃんは、恥ずかしそうに頬を赤くして
「前の方もだけど……。洗ってくれるかな?」
そう言ってきた。
もう見ちゃってるから、香奈姉ちゃん的には構わないと思ったんだろうな。
だけど香奈姉ちゃんのおっぱいを見るのは、精神衛生上、良くないことだ。
「それはさすがに……。自分でやってよ」
僕は、丁重にお断りする。
「え~。せっかく姉弟みたいなスキンシップをとろうと思ったのに~」
香奈姉ちゃんは、ムッとした表情を浮かべてそう言った。
そんな顔をされても……。
無理なものは無理だよ。
僕には、香奈姉ちゃんの身体の前の方をボディスポンジで洗うことはできません。
香奈姉ちゃんの家にたどり着くと、香奈姉ちゃんは迷わず家の中に入ろうとする。
「どうしたの、楓? 入らないの?」
途中で立ち止まる僕に、香奈姉ちゃんは思案げにそう聞いてきた。
「いや、その……。服を着替えたいなって思って……」
「それは、私も同じだよ」
「うん、だから自分の家に──」
「着替えなら、貸してあげるよ」
「だから、その……」
「いいから。遠慮しないで中に入って」
僕は、強引に香奈姉ちゃんに家に入れられてしまう。
あ……。
これは、何を言っても聞かないパターンだ。
こういう時は、逆らわずに言うこと聞いたほうがいい。
香奈姉ちゃんは、怒らせるとあとが怖いから。
香奈姉ちゃんは、自分の家に入るなり、真っ直ぐに浴室へと向かっていく。
「とりあえず、着替える前にシャワー浴びようかな。ちょっと寒気が……」
「行ってらっしゃい」
僕は、そう言って香奈姉ちゃんを見送る。
シャワーを浴びたいのは、僕も一緒なんだけどな。
あの水しぶきが降りかかってきたわけじゃないんだけど、水族館から帰ってきたらなんとなくシャワーを浴びたいって気持ちになったのは、香奈姉ちゃんと同じだ。
僕が黙って立っていると、香奈姉ちゃんがひょこっと浴室から頭を出してきて、こんな提案をしてくる。
「そうだ、楓。一緒に入ろうよ」
「え?」
一緒に入るって、シャワーに?
冗談…だよね。
香奈姉ちゃんは、なぜか心配そうな表情を浮かべて言う。
「楓も寒い思いをしたよね? それだったら、この香奈お姉さんが一緒に入って温めてあげるよ」
「いや……。遠慮しておくよ」
さすがに、それは遠慮しておいた。
香奈姉ちゃんとスキンシップがとれるのは嬉しいことだけれど、お互いが裸でスキンシップをとったら、一線を越えそうな気がする。
香奈姉ちゃんは、それがわかっていないのか、さらに言ってくる。
「遠慮なんかしなくてもいいんだよ。今は、私と楓しかいないんだから──」
「それは…そうだけど……」
──たしかに。
今は、香奈姉ちゃんの家には母親の姿はない。
香奈姉ちゃんは、服を脱いでいたのか下着姿のまま僕のところにやってきて、僕の腕を掴む。
「ほら。さっさと入ってしまおうよ。そうすれば、着替えだってはやく済むんだから」
「う…うん……」
こうなると仕方ないか。
香奈姉ちゃんは、言いだすと聞かないし。
僕は、素直に頷いた。
香奈姉ちゃんの裸はもう見慣れてしまったから、今さら何かが起こるわけでもないし、大丈夫だろう。
さすがに恥ずかしかったのか、香奈姉ちゃんは身体にバスタオルを巻いていた。
別に裸でも構わなかったんだけど、香奈姉ちゃんのことを考えると、それもやむなしだと思う。
きっと、香奈姉ちゃんの母親が帰ってきたときのことを考えたら、今の状況をどう説明すればいいかわからないし。
それに、二人で一緒にシャワーを浴びるこの状況は、どう考えてもおかしいし。
もし間違いが起きてしまったら、大変である。
しかし、そんなこととは関心が無いかのように、香奈姉ちゃんは言う。
「さぁ、楓。先にあなたの身体から、洗っちゃおうか」
「あ、うん……。そうだね」
僕は、香奈姉ちゃんの顔を見てそう答えた。
香奈姉ちゃんは、ボディスポンジを持って待ち構えている。
順番的には、間違いではない。
間違いではないけど、そのボディスポンジを持ってどこから洗うつもりなんだ。
「あー、やっぱり自分で洗うから──」
僕は、香奈姉ちゃんの手からボディスポンジを取り上げようとする。
「ダメ!」
しかし香奈姉ちゃんは、そう言ってボディスポンジを手放そうとしない。
それどころか、僕に背を向かせて
「遠慮しなくていいんだよ。私が隅々まで洗ってあげるからね」
と言って、石鹸でボディスポンジを泡立てた。
よく見ると、香奈姉ちゃんの表情は、何かに取り憑かれてしまったかのように、はぁはぁと息を吐いている。
僕は、そんな香奈姉ちゃんに恐怖を覚え、思ったことを言った。
「いや……。香奈姉ちゃん。目が怖いんだけど……」
「大丈夫だよ。痛くないから」
「痛くないのはわかるけど……」
そりゃ、痛かったら嫌だろうに。
「だからね。もう少しだけジッとしてて。…すぐに終わらせるから」
「いやいや、ちょっと待って。やっぱり自分でやるから、そのスポンジを僕に──」
「だからダメだってば。これは、私がやるの!」
香奈姉ちゃんから、スポンジを奪おうとするも失敗。
こうなったら、身体に巻いているタオルを外してしまおうか。
いや、そんなことしたら、さすがの香奈姉ちゃんも怒るよな。
それは、論外。
他にいい方法はないかなぁ。
「それじゃ、香奈姉ちゃんの身体はどうするの?」
「それは当然、私が自分でやるよ」
「それって、ズルくない? 僕の身体を洗いたい、香奈姉ちゃん自身の身体も自分で洗うってさ」
「う~。…ズルくないもん! 女の子の特権だもん!」
ここで女の子の特権と言いだすか。
さすが香奈姉ちゃんだ。
しかし、僕も負けてられない。
「それなら、昔みたいに流しっこにするっていうのはどうかな?」
「それって──」
「もちろん、洗うのは背中のみで…だけどね」
さすがに、この状況で香奈姉ちゃんの裸を見るわけにはいかないし。
香奈姉ちゃんは、やや警戒していたが
「楓がそこまで言うのなら……。仕方ないなぁ」
そう言って納得していた。
「そういうことだから、先に洗うのは──」
「私が先にやるね」
僕が最後まで言い切る前に、香奈姉ちゃんはボディスポンジをギュッと握る。
そこだけは、絶対に引かないんだね。
まぁ、言い出したら聞かないのはもうわかっているので、ここは香奈姉ちゃんに任せるか。
「…お願いします」
「それじゃ、いくよ」
香奈姉ちゃんは、そう言って僕の背中を洗い始めた。
慣れているのか、すごく手際よく僕の背中を洗っていく。
「ゴシ…ゴシっと……」
そこに香奈姉ちゃんのそんな声が聞こえてきたら、『最高』と言うしかないじゃないか。…ていうか、もう洗い終わったみたいだし、そろそろ振り返ってもいいよね。
「もう終わったかな?」
「…まだだよ。もう少しだけだから」
香奈姉ちゃんは、そう言ってまだ僕の背中を洗う。
気のせいか、香奈姉ちゃんのぬくもりが感じられるんだけど。
ここは思い切って、振り返ってみようかな。
そう思って振り返ろうとしたら、香奈姉ちゃんに頭部を押さえられる。
「ダメだよ、楓。振り返っちゃダメ」
「だけど……」
「とにかく。今は、振り返ったらダメなんだよ」
「それだと、僕が香奈姉ちゃんの背中を流せないんだけど」
「うぅ……。それを言われると……」
そこまで見られるのが嫌な理由としては、一つしかない。
まさかとは思うけど。
「もしかして香奈姉ちゃん。今、裸なんじゃ──」
「これ以上、言っちゃダメ!」
香奈姉ちゃんは、それを指摘されるのが嫌だったのか、悲鳴のようにそう言った。
仕方ないので、僕は後ろを振り向く。
するとそこには、タオルを巻いていない生まれたままの姿の香奈姉ちゃんがいた。
「香奈姉ちゃん……」
「うぅ……。今、見られちゃうと、とっても恥ずかしい」
香奈姉ちゃんは、恥ずかしそうに胸を隠す。
もう見てしまったから、遅いんだけどね。
…ていうか、今じゃなくても、それは恥ずかしいだろうに。
「今度は、僕の番だよ。…背中を向けてよ」
僕は、香奈姉ちゃんの手からボディスポンジを取り上げる。
「う、うん……」
香奈姉ちゃんは、素直に僕に背中を向けた。
やっぱり、綺麗なんだよな。香奈姉ちゃんの背中って。
おっぱいもなかなかに大きいし、スタイルも抜群なんだよね。
「楓? …何してるの?」
「今、石鹸で泡立てているところなんだ」
僕は、そう言ってボディスポンジを泡立てる。
香奈姉ちゃんは、寒そうに身体をふるわせて言う。
「そうなんだ。なるべく、はやくしてね」
「わかった」
あぶないあぶない。
香奈姉ちゃんの裸にすっかり見惚れてしまっていたよ。
こんな僕でも、女の子の裸やエッチなことには興味があるからね。
とりあえず、僕は香奈姉ちゃんの背中をやさしく洗っていった。
「ん……」
香奈姉ちゃんは、何かに反応したかのように敏感に身体をふるわせる。
「大丈夫?」
僕は、心配そうな面持ちでそう聞いていた。
すると香奈姉ちゃんは、頬を赤くして言う。
「大丈夫だよ。ちょっとくすぐったくて変な感じがしただけ……」
「そう。それならいいんだけど」
「もう少しだけ弱めにしてくれるかな?」
「わかった」
僕は、香奈姉ちゃんに言われたとおり、『弱め』に背中を流す。
「あん……。そこ…気持ちいい」
お願いだから、変な声を出さないでほしいな。
それに、香奈姉ちゃんの言う『そこ』って、どこのことを言ってるんだろうか。
香奈姉ちゃんの背中以外、どこにも触れていないんだけど……。
背中をやさしく洗ってあげているだけだというのに、どこかに性感帯でもあるのかな。
「とりあえず、終わったよ」
そう言うと、僕はボディスポンジを香奈姉ちゃんに返した。
「う…うん。ありがとう……」
香奈姉ちゃんは、はぁはぁと息を吐きながらボディスポンジを受け取り、礼を言ってくる。
今の状態なら、確実に落とせそうな感じだ。
まぁ、そんなことはしないけど。
あとは身体の正面の方を洗うだけだけど、それなら自分でもできるだろう。
そう思って、香奈姉ちゃんを待っていると──
香奈姉ちゃんは、恥ずかしそうに頬を赤くして
「前の方もだけど……。洗ってくれるかな?」
そう言ってきた。
もう見ちゃってるから、香奈姉ちゃん的には構わないと思ったんだろうな。
だけど香奈姉ちゃんのおっぱいを見るのは、精神衛生上、良くないことだ。
「それはさすがに……。自分でやってよ」
僕は、丁重にお断りする。
「え~。せっかく姉弟みたいなスキンシップをとろうと思ったのに~」
香奈姉ちゃんは、ムッとした表情を浮かべてそう言った。
そんな顔をされても……。
無理なものは無理だよ。
僕には、香奈姉ちゃんの身体の前の方をボディスポンジで洗うことはできません。
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