63 / 360
第八話
1
しおりを挟む
それは、祝日を含めた三連休を迎える週の出来事だった。
香奈姉ちゃんが、僕を誘ってきたのだ。
「ねぇ、楓」
「何? 香奈姉ちゃん」
「今度の三連休さ。私たちのパジャマパーティーに参加しない?」
「え? パジャマパーティー? それって女の子同士がよくやるお泊まり会だよね?」
「うん、そうだよ。…それで、どうかな? 参加できる?」
何言ってるんだろうって率直に思ったし、パジャマパーティーって、美沙さんたちが許すはずがないと思うんだけど……。
そうだとしたら、安易に『うん』って頷けないよ。
「僕は別に構わないけど、美沙先輩や奈緒さんは何て言ってるの?」
「美沙ちゃんたちのことなら、心配しなくていいよ。楓が参加することはもう話してあるし──」
僕が参加って、話が早いな。
そもそも、僕は参加するってまだ言ってないし。
「そうなんだ。…でも、そういうことはホントなら女の子同士で楽しんだ方がいいんじゃ……」
「何言ってるの。楓が参加することに意味があるんだよ」
香奈姉ちゃんは、微笑を浮かべてそう言う。
僕が参加することに意味があるって、どういうことなんだろうか。色々と気になるんだけど。
「…わかった。それじゃ、その日の予定は空けておくね」
「うん。お願いね。あ、そうそう。今回のパジャマパーティーは、私の家でするから、しっかりと準備しておいてね」
「オッケー」
僕は、笑顔でそう返事をした。
あんまり香奈姉ちゃんの家に行ったことはないんだけどな。
何かトラブルにあった時に備えて準備はしておかないとな。
一応、ベースは持っていこう。
香奈姉ちゃんは、何を思ったのかいきなり僕の腕を掴み、グイッと香奈姉ちゃんの顔前まで引き寄せる。
「まさかとは思うけど、変なことは考えていないよね?」
「ん? 変なことって?」
僕は、何のことかさっぱりわからず、思案げに首を傾げていた。
すると香奈姉ちゃんは、頬を赤らめて言う。
「それはその……。例えば、エッチなことをするとか……」
「ただのパジャマパーティーなのに、エッチなことをするの?」
「それは、あれよ。場の流れで、楓が私と不純異性交友を──」
「なるほど。僕が香奈姉ちゃんとエッチなことをね」
「た、例えばの話よ。例えばの──」
「うん。例えばの話だよね」
みんながいる前でそんなことする余裕は、絶対にないかと思うんだけど。
まぁ、メンバー同士の交流を深めたいっていうことは、よくわかったし。いいんじゃないかな。
「とりあえず楓は強制参加なんだからね。約束を破ったら承知しないんだから!」
「え~。強制参加なの? この場合は、女の子同士で仲良くするっていうのが、本来の流れだと思うけど」
「私がいいって言ってるんだから、いいの! 楓は、私たちのパジャマパーティーに参加しなきゃダメなんだよ」
「そう言われてもなぁ。女の子同士の中に男が入るのって、結構難しいんだよ」
「楓なら大丈夫だよ。女の子同士って言ったって、美沙ちゃんや奈緒ちゃんの相手だよ。いつもどおりに接するといいよ」
「わかってはいるんだけどさ。女の子同士のお泊まり会の参加となると、無言のプレッシャーが……」
「そんなに心配しなくても……」
香奈姉ちゃんは、神妙な表情を浮かべる。
ホントは何かと理由をつけて、不参加にしようと思ってたんだけどな……。
香奈姉ちゃんには、通用しないか。
女の子同士のパジャマパーティーに僕が参加するのって、ホントにどうなんだろう。
香奈姉ちゃんは『いい』って言うけど、僕としては十分に引いてしまう内容だよな。
「…とにかく、私の家にはちゃんと来てよね」
香奈姉ちゃんは、頬を赤らめてそう言って、僕の部屋を後にした。
女の子同士のお泊まり会に男が入るなんてデリカシーが無さすぎだと思うんだけど。
香奈姉ちゃんは、何を考えているんだろうか。
香奈姉ちゃんが、僕を誘ってきたのだ。
「ねぇ、楓」
「何? 香奈姉ちゃん」
「今度の三連休さ。私たちのパジャマパーティーに参加しない?」
「え? パジャマパーティー? それって女の子同士がよくやるお泊まり会だよね?」
「うん、そうだよ。…それで、どうかな? 参加できる?」
何言ってるんだろうって率直に思ったし、パジャマパーティーって、美沙さんたちが許すはずがないと思うんだけど……。
そうだとしたら、安易に『うん』って頷けないよ。
「僕は別に構わないけど、美沙先輩や奈緒さんは何て言ってるの?」
「美沙ちゃんたちのことなら、心配しなくていいよ。楓が参加することはもう話してあるし──」
僕が参加って、話が早いな。
そもそも、僕は参加するってまだ言ってないし。
「そうなんだ。…でも、そういうことはホントなら女の子同士で楽しんだ方がいいんじゃ……」
「何言ってるの。楓が参加することに意味があるんだよ」
香奈姉ちゃんは、微笑を浮かべてそう言う。
僕が参加することに意味があるって、どういうことなんだろうか。色々と気になるんだけど。
「…わかった。それじゃ、その日の予定は空けておくね」
「うん。お願いね。あ、そうそう。今回のパジャマパーティーは、私の家でするから、しっかりと準備しておいてね」
「オッケー」
僕は、笑顔でそう返事をした。
あんまり香奈姉ちゃんの家に行ったことはないんだけどな。
何かトラブルにあった時に備えて準備はしておかないとな。
一応、ベースは持っていこう。
香奈姉ちゃんは、何を思ったのかいきなり僕の腕を掴み、グイッと香奈姉ちゃんの顔前まで引き寄せる。
「まさかとは思うけど、変なことは考えていないよね?」
「ん? 変なことって?」
僕は、何のことかさっぱりわからず、思案げに首を傾げていた。
すると香奈姉ちゃんは、頬を赤らめて言う。
「それはその……。例えば、エッチなことをするとか……」
「ただのパジャマパーティーなのに、エッチなことをするの?」
「それは、あれよ。場の流れで、楓が私と不純異性交友を──」
「なるほど。僕が香奈姉ちゃんとエッチなことをね」
「た、例えばの話よ。例えばの──」
「うん。例えばの話だよね」
みんながいる前でそんなことする余裕は、絶対にないかと思うんだけど。
まぁ、メンバー同士の交流を深めたいっていうことは、よくわかったし。いいんじゃないかな。
「とりあえず楓は強制参加なんだからね。約束を破ったら承知しないんだから!」
「え~。強制参加なの? この場合は、女の子同士で仲良くするっていうのが、本来の流れだと思うけど」
「私がいいって言ってるんだから、いいの! 楓は、私たちのパジャマパーティーに参加しなきゃダメなんだよ」
「そう言われてもなぁ。女の子同士の中に男が入るのって、結構難しいんだよ」
「楓なら大丈夫だよ。女の子同士って言ったって、美沙ちゃんや奈緒ちゃんの相手だよ。いつもどおりに接するといいよ」
「わかってはいるんだけどさ。女の子同士のお泊まり会の参加となると、無言のプレッシャーが……」
「そんなに心配しなくても……」
香奈姉ちゃんは、神妙な表情を浮かべる。
ホントは何かと理由をつけて、不参加にしようと思ってたんだけどな……。
香奈姉ちゃんには、通用しないか。
女の子同士のパジャマパーティーに僕が参加するのって、ホントにどうなんだろう。
香奈姉ちゃんは『いい』って言うけど、僕としては十分に引いてしまう内容だよな。
「…とにかく、私の家にはちゃんと来てよね」
香奈姉ちゃんは、頬を赤らめてそう言って、僕の部屋を後にした。
女の子同士のお泊まり会に男が入るなんてデリカシーが無さすぎだと思うんだけど。
香奈姉ちゃんは、何を考えているんだろうか。
0
お気に入りに追加
59
あなたにおすすめの小説
僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた
楠富 つかさ
恋愛
ある朝、目覚めたら女の子になっていた主人公と主人公に恋をしていたが、女の子になって主人公を見て百合に目覚めたヒロインのドタバタした日常。
この作品はハーメルン様でも掲載しています。
学園の美人三姉妹に告白して断られたけど、わたしが義妹になったら溺愛してくるようになった
白藍まこと
恋愛
主人公の花野明莉は、学園のアイドル 月森三姉妹を崇拝していた。
クールな長女の月森千夜、おっとり系な二女の月森日和、ポジティブ三女の月森華凛。
明莉は遠くからその姿を見守ることが出来れば満足だった。
しかし、その情熱を恋愛感情と捉えられたクラスメイトによって、明莉は月森三姉妹に告白を強いられてしまう。結果フラれて、クラスの居場所すらも失うことに。
そんな絶望に拍車をかけるように、親の再婚により明莉は月森三姉妹と一つ屋根の下で暮らす事になってしまう。義妹としてスタートした新生活は最悪な展開になると思われたが、徐々に明莉は三姉妹との距離を縮めていく。
三姉妹に溺愛されていく共同生活が始まろうとしていた。
※他サイトでも掲載中です。
クラスの双子と家族になりました。~俺のタメにハーレム作るとか言ってるんだがどうすればいい?~
いーじーしっくす
恋愛
ハーレムなんて物語の中の事。自分なんかには関係ないと思っていた──。
橋本悠聖は普通のちょっとポジティブな陰キャ。彼女は欲しいけど自ら動くことはなかった。だがある日、一人の美少女からの告白で今まで自分が想定した人生とは大きくかわっていく事になった。 悠聖に告白してきた美少女である【中村雪花】。彼女がした告白は嘘のもので、父親の再婚を止めるために付き合っているフリをしているだけの約束…の、はずだった。だが、だんだん彼に心惹かれて付き合ってるフリだけじゃ我慢できなくなっていく。
互いに近づく二人の心の距離。更には過去に接点のあった雪花の双子の姉である【中村紗雪】の急接近。冷たかったハズの実の妹の【奈々】の危険な誘惑。幼い頃に結婚の約束をした従姉妹でもある【睦月】も強引に迫り、デパートで助けた銀髪の少女【エレナ】までもが好意を示し始める。
そんな彼女達の歪んだ共通点はただ1つ。
手段を問わず彼を幸せにすること。
その為だけに彼女達は周りの事など気にせずに自分の全てをかけてぶつかっていく!
選べなければ全員受け入れちゃえばいいじゃない!
真のハーレムストーリー開幕!
この作品はカクヨム等でも公開しております。
アニラジロデオ ~夜中に声優ラジオなんて聴いてないでさっさと寝な!
坪庭 芝特訓
恋愛
女子高生の零児(れいじ 黒髪アーモンドアイの方)と響季(ひびき 茶髪眼鏡の方)は、深夜の声優ラジオ界隈で暗躍するネタ職人。
零児は「ネタコーナーさえあればどんなラジオ番組にも現れ、オモシロネタを放り込む」、響季は「ノベルティグッズさえ貰えればどんなラジオ番組にもメールを送る」というスタンスでそれぞれネタを送ってきた。
接点のなかった二人だが、ある日零児が献結 (※10代の子限定の献血)ルームでラジオ番組のノベルティグッズを手にしているところを響季が見つける。
零児が同じネタ職人ではないかと勘付いた響季は、献結ルームの職員さん、看護師さん達の力も借り、なんとかしてその証拠を掴みたい、彼女のラジオネームを知りたいと奔走する。
ここから第四部その2⇒いつしか響季のことを本気で好きになっていた零児は、その熱に浮かされ彼女の核とも言える面白さを失いつつあった。
それに気付き、零児の元から走り去った響季。
そして突如舞い込む百合営業声優の入籍話と、みんな大好きプリント自習。
プリントを5分でやっつけた響季は零児とのことを柿内君に相談するが、いつしか話は今や親友となった二人の出会いと柿内君の過去のこと、更に零児と響季の実験の日々の話へと続く。
一学年上の生徒相手に、お笑い営業をしていた少女。
夜の街で、大人相手に育った少年。
危うい少女達の告白百人組手、からのKissing図書館デート。
その少女達は今や心が離れていた。
ってそんな話どうでもいいから彼女達の仲を修復する解決策を!
そうだVogue対決だ!
勝った方には当選したけど全く行く気のしない献結啓蒙ライブのチケットをプレゼント!
ひゃだ!それってとってもいいアイデア!
そんな感じでギャルパイセンと先生達を巻き込み、ハイスクールがダンスフロアに。
R15指定ですが、高濃度百合分補給のためにたまにそういうのが出るよというレベル、かつ欠番扱いです。
読み飛ばしてもらっても大丈夫です。
検索用キーワード
百合ん百合ん女子高生/よくわかる献血/ハガキ職人講座/ラジオと献血/百合声優の結婚報告/プリント自習/処世術としてのオネエキャラ/告白タイム/ギャルゲー収録直後の声優コメント/雑誌じゃない方のVOGUE/若者の缶コーヒー離れ
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
W-score
フロイライン
恋愛
男に負けじと人生を仕事に捧げてきた山本 香菜子は、ゆとり世代の代表格のような新入社員である新開 優斗とペアを組まされる。
優斗のあまりのだらしなさと考えの甘さに、閉口する香菜子だったが…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる