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出会い

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 風呂から上がりニーナは下着だけの状態で頭にタオルを被り、同じ様な格好をしたカインの髪の毛をタオルを使って乾かしていた。ベッドに座らされ、されるがままのカインは大人しい大型犬そのものだ。

「顔には傷が無いんだね」

 ベッドに膝立ちになり、タオルで髪に残る水気を拭き取っていく。時折カインの素肌を尻尾で撫でると困った様に俯くのでニーナは面白がっていた。

「ああ、負傷がすぐ分かる場所は治癒魔法で」
「あ、でも額に細かい傷がある」

 カインが言い終わらない内にタオルを取り、額を優しく撫でた。

「カインは男前だから大きい傷じゃなくて良かったね」
「ニーナ……」

 カインは額を撫でるニーナの手を掴みこちらをジッと見つめた。手を取ったもののどうしたら良いのか分からないのだろうか、戸惑った表情をしている。

「触りたいの?」

 ニーナは色っぽく笑ってカインに抱きついた。二人とも上半身裸なので素肌が触れ合う感触を楽しむ様にカインの体を撫でた。

「君に『貪欲に』と言われて、考えていたんだ」
「君じゃなくて、ニーナだよ」
「すまない……ニーナ」

 引き攣れた傷跡を触るとその場所だけ盛り上がっている。体中にある古い傷をなぞるように触るとカインの頬がどんどん赤くなっていった。

(深い傷だったのかなあ。痛かっただろうに)

 優しくさわさわと傷跡を撫でるとカインは身をよじった。

「貪欲に、オレとどういうことしたいの?」

 ニーナが耳元で尋ねるとカインはギュッと抱きしめ返してきた。

「ニーナに沢山触れたい……」
「うんうん、そうなんだね」

 まだ水気の残るカインの髪の毛をよしよしと撫でた。カインはニーナの背中をおずおずと撫でてくる。ゴツゴツとした大きな手に撫でられるのは悪くないなとニーナは息を漏らした。

「じゃあ、しよっか」
「その……どういう風にすれば良いのか、分からないんだ」
「よしよし、そうなんだね」

 初心な若い男に色々教えるシチュエーションというのは楽しいかもしれないとニーナは思い、あやす様に撫でた。

「じゃあ、オレと楽しみながら勉強していこう」
「勉強……」

 カインの喉がゴクリと鳴った。ニーナは体を離してカインの目を見た。暗い色の瞳には欲望が滲んでいる。

(こういう顔も出来るんだな。これは教えがいがあってオレも楽しめそうだ)

 ニーナは微笑んでカインの頭をポンポンと撫でた。

「今日は夜の間ずっと一緒なんだからさ、したいことして良いし、分からなかったらオレが教えるからね」
「そんなにしてもらって良いのか?」
「初めてなんだからサービスだよ。それにうちの主ががめつくて迷惑かけたからさあ」
「迷惑だなんて思っていない」

 カインがグッとニーナを引き寄せるのでまたギュウギュウと抱きしめ合った。

「ニーナ、俺に君の触り方を教えて欲しい」
「君じゃなくてニーナ」
「ニーナ……」

 抱きしめられながら切なそうな声色で囁かれ、ニーナは少しだけ目を瞑った。

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