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二人しか知らない秘密・中編(此木視点)
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「敬久さん、すみません……」
「え、遥君、どうしたの」
敬久さんがトレイの上にあるマグカップを机に置きながら、驚いたように言った。トレイには個別包装されたクッキーが入った皿もあり、それも机に置かれた。
「肩、噛んだ所、痒いのかなって……」
「ああ、見ていたんだ」
敬久さんはふっと笑い、オレの隣に座り距離を詰めてきた。そのまま肩を抱かれたので、ドキドキしてしまう。
「全然平気だからね。気にせずこれからもどんどん噛んだり、痕をつけてくれて良いんだよ?」
「い、いや、どんどんはちょっと……」
「君にしか頼めないお願いなんだけどな……ねえ……遥君、ダメかな?」
切なげに眉をひそめ、伏し目がちに言われた。
「……そ、そんな顔、しないでくださいよ。努力しますからっ……」
「うん、ありがとう」
オレがそう言うと、敬久さんはパッと明るい表情になった。
――くっ……やはり、さっきのはわざとだったか……オレが敬久さんの『お願い』に弱いのを、完全に見抜かれているな……彼のこういう、少しあざとい所も可愛いから、別に良いけれど……
オレは顔が熱くなってきたのを感じながら、マグカップを手に取りお茶を啜った。敬久さんはそんなオレを見つめて、満足そうに頷くと肩から手を離した。
「貰い物のクッキーがあったから、食べてね」
「ありがとうございます。頂きます……」
クッキーは和風の物で、個別包装に抹茶味やきなこ味と記載されている。敬久さんはお茶を飲んで一息つくと、クッキーに手を伸ばした。
「色々種類がありますね」
オレもマグカップを一旦机に置き、クッキーを手に取り個別包装の袋を破いた。敬久さんは甘い物が好きだからか、嬉しそうにサクサクと食べている。そんな姿がほほえましくて、ついクッキーを持ったまま見つめてしまった。
「遥君のは、何味?」
敬久さんは早速クッキーを一枚ペロリと食べ終えて、お茶を啜っている。
「僕のはごま味だったよ。こういう甘い物にも、ごまって合うよね」
「えーと、オレのはきなこ味ですね。あ、半分食べますか?」
オレはクッキーをパキッと半分に割り、敬久さんの口元に持っていった。
「ありがとう。頂くよ」
敬久さんはオレの手を掴み、パクリとクッキーを食べた。
――今、自然に……オレの手からクッキーを食べさせてしまった……オレも、慣れてきたのかな……本当、ごく自然にやってしまった……
「うん、きなこ味も美味しいね」
「そ、そうですか……」
「……遥君、自分でやっておいて照れないでよ」
敬久さんが目を細めながら、オレの肩に身を寄せてきた。
「……あー、いや、あまりにも、普通にやってしまったので……」
「良いことだよ」
そう言うとオレの髪の毛に唇を落とした。
「もう……」
オレはもう半分のクッキーを口に放り込み咀嚼した。ドキドキしているせいか、味はほとんど感じることができなかった。
「え、遥君、どうしたの」
敬久さんがトレイの上にあるマグカップを机に置きながら、驚いたように言った。トレイには個別包装されたクッキーが入った皿もあり、それも机に置かれた。
「肩、噛んだ所、痒いのかなって……」
「ああ、見ていたんだ」
敬久さんはふっと笑い、オレの隣に座り距離を詰めてきた。そのまま肩を抱かれたので、ドキドキしてしまう。
「全然平気だからね。気にせずこれからもどんどん噛んだり、痕をつけてくれて良いんだよ?」
「い、いや、どんどんはちょっと……」
「君にしか頼めないお願いなんだけどな……ねえ……遥君、ダメかな?」
切なげに眉をひそめ、伏し目がちに言われた。
「……そ、そんな顔、しないでくださいよ。努力しますからっ……」
「うん、ありがとう」
オレがそう言うと、敬久さんはパッと明るい表情になった。
――くっ……やはり、さっきのはわざとだったか……オレが敬久さんの『お願い』に弱いのを、完全に見抜かれているな……彼のこういう、少しあざとい所も可愛いから、別に良いけれど……
オレは顔が熱くなってきたのを感じながら、マグカップを手に取りお茶を啜った。敬久さんはそんなオレを見つめて、満足そうに頷くと肩から手を離した。
「貰い物のクッキーがあったから、食べてね」
「ありがとうございます。頂きます……」
クッキーは和風の物で、個別包装に抹茶味やきなこ味と記載されている。敬久さんはお茶を飲んで一息つくと、クッキーに手を伸ばした。
「色々種類がありますね」
オレもマグカップを一旦机に置き、クッキーを手に取り個別包装の袋を破いた。敬久さんは甘い物が好きだからか、嬉しそうにサクサクと食べている。そんな姿がほほえましくて、ついクッキーを持ったまま見つめてしまった。
「遥君のは、何味?」
敬久さんは早速クッキーを一枚ペロリと食べ終えて、お茶を啜っている。
「僕のはごま味だったよ。こういう甘い物にも、ごまって合うよね」
「えーと、オレのはきなこ味ですね。あ、半分食べますか?」
オレはクッキーをパキッと半分に割り、敬久さんの口元に持っていった。
「ありがとう。頂くよ」
敬久さんはオレの手を掴み、パクリとクッキーを食べた。
――今、自然に……オレの手からクッキーを食べさせてしまった……オレも、慣れてきたのかな……本当、ごく自然にやってしまった……
「うん、きなこ味も美味しいね」
「そ、そうですか……」
「……遥君、自分でやっておいて照れないでよ」
敬久さんが目を細めながら、オレの肩に身を寄せてきた。
「……あー、いや、あまりにも、普通にやってしまったので……」
「良いことだよ」
そう言うとオレの髪の毛に唇を落とした。
「もう……」
オレはもう半分のクッキーを口に放り込み咀嚼した。ドキドキしているせいか、味はほとんど感じることができなかった。
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