上 下
25 / 154
熱帯夜を君と・前編(柊山視点)

※4

しおりを挟む
「敬久さん、お風呂先に頂きました……」
「お帰り、遥君…………わあ、それ良いね」

 浴室の扉が開いて遥君が出てきたので上体を起こしてそちらを見ると、バスローブ姿の彼が目に飛び込んで来た。

――そうか、こういったホテルはバスローブも用意してあるから……遥君が着ているとすごくグッと来てしまうな……

 遥君は緊張した面持ちでベッドに上がって来たので、引き寄せて軽く唇を合わせた。

「……あ」
「ふふっ……遥君のそういう格好新鮮だなあ」
「変じゃないですかね……」
「変じゃないよ。何ていうか、すごく……そそられるっていうのかな……ドキドキするよ」
「そ、そうですか。敬久さんにそう言われるのは嬉しいです」

 彼は照れたようにそう言うと、唇を優しく食んできた。

「はぁ……オレ、敬久さんとこういう所にいるの……何だか、すごく興奮しちゃって」

 唇を離すと遥君は僕の太腿に跨った。

「遥君? あの、僕もシャワー浴びに行こうかなと思うんだけれど……」
「敬久さんは、そのままで良いですよ。オレがここに連れ込んだんですから……」
「……え?」

 熱っぽい眼差しでそう言いながら、着ていたTシャツを脱がされた。それから僕のベルトを外してズボンの前を開けると下着の中で硬くなったそこをそっと撫でた。

「はぁ……」
「……ん……ちょっと、遥君」

 下着の上から指を這わしてツッとなぞられる。

「く……汗かいてるから、あんまり、触ったらダメだよ」
「そんなの気にしません。それに、いつもの敬久さんこそ……オレが汗かいてるって言っても、気にせず舐めたり噛んだりしてくるじゃないですか……」

 遥君は僕を非難するような目で見た。そして何かを思い出したのか頬が赤くなる。今まで彼にやったことを振り返っても、確かに身に覚えしかない。

「オレ……もう、あなたに触りたくて……我慢できなくて……ダメですか?」
「……その顔は……ズルいよ……」

 あの遥君に『我慢できない』と熱い息を吐きながら言われると、断われるわけがなかった。

「……分かったよ。でも、僕も触るからね?」
「……ぅ、手加減してくださいね。じゃないと、オレ、すぐにイッちゃう……」

 遥君は僕の頭を枕に沈めるように優しく押し倒してきた。それから僕の頭の横に片手をついて唇を重ねると、下着の中に空いた方の手を入れ硬くなったそこを扱いた。
 積極的な遥君に堪らなくなってきたので、彼のバスローブの裾から手を入れて太腿を撫で上げた。撫でる度に遥君は重ねた唇から吐息を漏らす。

「ぅ……ぁ……はぁ……敬久さんはゆっくりしていてくださいよ……」
「……気持ちよくなっちゃった?」
「あなたに触られるのは気持ち良いから、ダメなんです……はぁ……今日はオレがしますから……」

 ついばむようにキスをしながら、僕のズボンと下着を脱がせようとしてきたので自分で腰を浮かせて脱いだ。そして彼は剥き出しになった僕のものを手で包むように擦り始めた。
 
「はぁ……もう、敬久さんのこんなになってる……」
「ん……君にそんな風にされたら……僕だって気持ち良くなるんだから……」

 太腿を撫でる手を彼の尻臀に這わすと、両手で揉みしだくように触る。彼の手触りの良い肌が手に馴染んで心地良い。

「んっ、あっ……あっ、も、敬久さん……」

 ビクビクと震えながら潤んだ瞳で抗議するように言われ、僕のものを擦る手の動きを強くされた。

「……はぁ……遥君の舌にもキスしたいな、ねえ口開けてよ」
「……ぅ」

 重ねられた唇を舌でつつくと、遥君は赤い顔で仕方ないといった風に口を開けて舌を絡めた。

「う……はぁ……はぁ……も、敬久さん……んむ……」
「はぁ……」

 遥君の絡まった熱い舌を吸ったり舐めたりしながら、彼の熱い吐息ごと飲み込んだ。気持ち良いのか、僕のものを擦る手が止まり始めた。

「……ふふっ、遥君、手が止まっているよ。僕とキスするのそんなに気持ち良い?」
「……はぁ……はぁ……あんまり、意地悪言わないでくださいよ」

 彼はハッとしてまた手で擦りはじめた。時折、先端を覆うように擦り上げてくる。

「……ん、君の手、気持ち良いよ」
「はぁ……オレで興奮しているの嬉しい……敬久さん好きです……」

 唾液を絡ませて舌を吸うと遥君が震えながらも、手を止めないように動かすのが健気だった。

「僕も、君が好きだよ……」

 もう彼の中に入りたいなと思いながら、尻臀を揉む手を彼の中に這わせるとそこはヌルヌルと濡れていた。

「……遥君、ここ自分で解したのかな」

 そこを指でなぞると、ヒクヒクと収縮していやらしかった。なぞる度に遥君の体が跳ねる。

「ん……、さ、さっき、浴室で……あっちにも、潤滑剤があったから……すぐ、入るようにしておこうと思って……あっ」

 触り方がじれったいのか、彼は身をよじって指から逃れようとした。

「もっ、ダメですって……」
「……本当だ、もう、こんな……」
「あっ、あっ、んん……ゔぁッ」

 ズブズブと指を彼の中に沈めると、入口は柔らかく中はうねっていた。僕のものを擦る彼の手の動きが止まる。片手で尻臀を揉みながら、彼の中に入れる指を二本に増やしてゆっくりと広げるように出し入れする。

「た、敬久さん、んんっ……も、そんなにしたらダメです……」
「君のここ……広げるの好きなんだ……」

 潤滑剤に濡れたそこは、触るとクチュッと水音がして指が飲み込まれて行く。

「はぁ……はぁ……、ダメですって……も、んっ……」

 遥君が力の入っていない手でまた僕のものをゆるゆると擦った。

「……敬久さんのも、もう、先走りで濡れてる……んっ……あっ、中、それっ、ダメっ……!」
「ん……君が、やらしいから……」

 指を中に沈めて内壁をスリスリと擦ると遥君の息が更に荒くなった。

「はぁ……ホテルで僕とどんな風にセックスするか考えながら、自分で広げたの?」
「ぅ……も、そういう言い方っ……」
「ねえ、教えてよ遥君……」

 開いた口に舌をねじこみながら、中に指を出し入れすると彼の体はさっきより激しく震える。

「んむっ、あっ、んん……今日はオレが、誘ったから……オレが全部したくて……」
「はぁ……可愛いなぁ……」

 尻臀を触っていた方の手を離して彼のバスローブの腰紐に手をかけ解いた。バスローブの前を広げると、彼の中心も起き上がっていて身をよじる度に僕の腹に擦れる。彼は快感に流されそうになりながら、僕のものを扱いた。

「……くぅ……あ」

 指を動かして三本に増やすと彼は小さな悲鳴を上げた。

「も、ダメです……そんなグチュグチュされたら……後ろ気持ち良くなり過ぎちゃうからっ」
「…………ッ。ねえ、もう、君の中に入りたいな」

 遥君のあられもない言葉遣いに理性が飛びそうになる。指をズルリと引き抜くと彼がビクッ震えながら肩で息をする。手を僕のものから離すと軽くキスされた。

「もう……こんなにしたら、ダメですよ……今日、敬久さんはゆっくりしていて良いんですから……」

 諭すような口調で頬や額に唇を落とされ、熱っぽい瞳で僕を見つめた。そんな風に優しく言われると胸が締め付けられるような愛しさを感じてしまう。

「遥君……」
「……はぁ……も、敬久さんのが欲しい……」

 彼は髪を掻き上げながら上体を起こすとヘッドボードにあるコンドームを取ってパッケージを破った。

「……今日は……敬久さんのを中に挿れてもらってオレがこのまま動くので、そのままゆっくり寝ていてくださいね」

 遥君はやはり予想外に大胆な所があるなと思いながら、その艶っぽい表情に目を奪われてしまう。彼はコンドームを僕の起き上がったものに着けると、腰を浮かして自分の中にそれをゆっくりと沈めていく。前の開いた白いバスローブから遥君の火照った体が露わになっていて綺麗だった。

「……ん、も……ここ、いっぱい……はぁ……全部挿入りました……」

 腰を落として熱い息をハァッと吐くと、少しだけ仰反るような姿勢になり僕の太腿に手を置いて体を支えた。

「……今から、動きますから……敬久さんは、動いちゃダメですからね……?」
「……ん……分かったよ……」

 彼と繋がっている所がキュウキュウと僕のものを締め付けていて心地良い。
 遥君は息を吸い込むと、腰をうねるように前後に動かした。僕のものが彼の中で揺らされて快感を感じる。視覚的にも遥君が跨って開脚しているような姿勢なので、繋がっている所や彼のものの先端から先走りが溢れる所、蕩けたような表情など全てが見えてひどく婬靡だ。
 彼の太腿を撫でるように触りながら、与えられる快楽に身を任せた。

「…………くっ………あっ、あっ、もっ、あッ……んんっ……はぁ……んッ!」

 いつもと違う場所やこの体勢のせいか、遥君の喘ぎ声が普段より切羽詰まっていて神経が昂る。

「はぁ……はぁ……敬久さんの、硬くて……当たって……もっ、ダメッ……んんっ」

 彼自身でも中のイイ所に当たっているのか、熱い息を吐いて身をよじりながら腰を揺らしている。

「んっ……遥君て今、当たっている所好きなの?」
「……ぁ、オレ、ここ、ゴリゴリするの……好きです……ぅあっ……」

 腰の動きに合わせて自分もそこを下から突き上げてしまいたくなる。

「あっ、あっ、あっ、あっ、中、きもちいっ……んんっ」
「はぁ……僕も気持ち良いよ……ねぇ、遥君、手繋ごうよ」
「……え、あ、は、はい……んっ」

 遥君が僕の太腿から手を離すと、両手を前に出して来た。指を絡めるように手を繋ぐ。

「はぁ……さっきもホテルに着いた時、君が手を繋いで引っ張って来てくれたの、嬉しかったよ……」
「んんっ……オレも敬久さんと手を繋ぐの嬉しい……ですっ……」

 彼は荒い息を履きながら、うっとりとした表情で繋いだ手を見た。

「もっと、敬久さんに……嬉しくなってもらえるように頑張りますから……」

 遥君は僕の手をギュッと握りしめながら、腰を浮かせてベッドに足の裏をつけた。そしてそのまま上下に出し入れするように腰を動かした。彼の中に出し入れする部分がさっきよりも良く見える。

「……ゔぁっ、あっ、あっ……これ、深いとこ……当たって……ひぁっ」
「くっ……そんな締め付けられたら……」

――これは目のやり場に困るな。このまま搾り取られそうにキツくて熱い……

 あの遥君に腰の上で跳ねられている状況は正直とても興奮する。このまま遥君にされるがままも良いなという気持ちもあったけれど、跳ねる彼の体を見ていると触りたいという欲望がふつふつと湧いて来てしまう。 

「アッ……ゔっ、あっ、あぅっ、あぁ……」
「……うっ」

 遥君の腰の動きが激しくなったせいか、彼の中からズルリと僕のものが抜け出てしまった。

「……ぅあ……はぁ……はぁ……すみません。敬久さん、抜けちゃったので挿れ直したいんですが……」

 息を整え僕の胴体に腰を下ろすとそう言った。

「……はぁ……ねえ遥君、ちょっと君を抱きしめたいんだけれど、お願いしても良いかな?」
「え……? は、はい。分かりました」

 遥君は一瞬きょとんとしたけれど、すんなりと僕のお願いを聞き入れてくれた。
 毎度のことながら『お願い』をすんなりと受け入れてくれる遥君が心配になってしまう。
 彼は繋いだ手を解くと僕の体の上に乗るように身を預けてきた。バスローブから露出している遥君の肌はしっとりとしていて熱くなっている。そのまま彼の体を抱きしめた。

「はぁ……」
「敬久さん……?あ、もしかして、ちょっと疲れちゃいましたか。少し休んでから、また続きしますか……?オレ達休憩しに来たわけですし……」

 照れくさそうに僕を見つめて、優しく笑いながらそう言った。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

壁穴奴隷No.19 麻袋の男

猫丸
BL
壁穴奴隷シリーズ・第二弾、壁穴奴隷No.19の男の話。 麻袋で顔を隠して働いていた壁穴奴隷19番、レオが誘拐されてしまった。彼の正体は、実は新王国の第二王子。変態的な性癖を持つ王子を連れ去った犯人の目的は? シンプルにドS(攻)✕ドM(受※ちょっとビッチ気味)の組合せ。 前編・後編+後日談の全3話 SM系で鞭多めです。ハッピーエンド。 ※壁穴奴隷シリーズのNo.18で使えなかった特殊性癖を含む内容です。地雷のある方はキーワードを確認してからお読みください。 ※No.18の話と世界観(設定)は一緒で、一部にNo.18の登場人物がでてきますが、No.19からお読みいただいても問題ありません。

『 ゆりかご 』 

設樂理沙
ライト文芸
" 揺り篭 " 不倫の後で 2016.02.26 連載開始 の加筆修正有版になります。 2022.7.30 再掲載          ・・・・・・・・・・・  夫の不倫で、信頼もプライドも根こそぎ奪われてしまった・・  その後で私に残されたものは・・。            ・・・・・・・・・・ 💛イラストはAI生成画像自作  

とろけてなくなる

瀬楽英津子
BL
ヤクザの車を傷を付けた櫻井雅(さくらいみやび)十八歳は、多額の借金を背負わされ、ゲイ風俗で働かされることになってしまった。 連れて行かれたのは教育係の逢坂英二(おうさかえいじ)の自宅マンション。 雅はそこで、逢坂英二(おうさかえいじ)に性技を教わることになるが、逢坂英二(おうさかえいじ)は、ガサツで乱暴な男だった。  無骨なヤクザ×ドライな少年。  歳の差。

男女比の狂った世界で愛を振りまく

キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。 その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。 直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。 生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。 デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。 本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。 ※カクヨムにも掲載中の作品です。

女装男子だけどね?

ここクマ
BL
 可愛いものが好きで女装している男の華宮 真琴。そんな真琴を女の子の花宮 琴と紹介されて一目惚れしてしまったイケメンで天然な片岡 秋桐。 「俺は、男だよ?」 「あなたは、そんなに可愛いのに?」 女装男子(バイ)と天然イケメン男子(女の子が好き)の恋のお話?! そしてそして、 真琴を女の子として紹介した楽しい事優先主義の朔弥。 大人っぽいのに恋がわからないミステリアスな梓暮。 2人にも、何か恋の秘密があるようで…? 至らない点があると思いますが、よろしくお願いします!

くんか、くんか Sweet ~甘くて堪らない、君のフェロモン~

天埜鳩愛
BL
爽やかスポーツマンα × 妄想巣作りのキュートΩ☆ お互いのフェロモンをくんかくんかして「甘い❤」ってとろんっとする、可愛い二人のもだきゅんラブコメ王道オメガバースです。 オメガ性を持つ大学生の青葉はアルバイト先のアイスクリームショップの向かいにあるコーヒーショップの店員、小野寺のことが気になっていた。 彼に週末のデートを誘われ浮かれていたが、発情期の予兆で休憩室で眠ってしまう。 目を覚ますと自分にかけられていた小野寺のパーカーから香る彼のフェロモンに我慢できなくなり、発情を促進させてしまった! 他の男に捕まりそうになった時小野寺が駆けつけ、彼の家の保護される。青葉はランドリーバスケットから誘われるように彼の衣服を拾い集めるが……。 ハッピーな気持ちになれる短編Ωバースです

元妻の血縁ナシDK息子と2週間発情同居性活

BL
欲求不満メスおじさんの「あきら」(受)が、別れた元妻の「ほのか」と現夫との息子を家で預かることになり、その息子で童貞高校生の「カズくん」(攻)に発情し発情され、悶々ムラムラなすれ違い性活をした末、ドスケベラブハメ性活を送る話。 おにショタ、ショタおにの逆転ありをゆるく反復横跳びする内容(挿入はカズくん×あきらのみ)で、攻めが山ほど喘ぎ、数行程度ですが受けの攻めに対するアナル舐め描写が含まれます。表紙画像はネタバレのため読後にご覧ください(タイトルなしverはTwitterに有)  【祝】ついに人物へ名前がつきました シリーズタグ→カズあき pixiv/ムーンライトノベルズにも同作品を投稿しています。 なにかありましたら(web拍手)  http://bit.ly/38kXFb0 Twitter垢・拍手返信はこちらから行っています  https://twitter.com/show1write

処理中です...