38 / 48
38
しおりを挟む
「これが表紙? 全然チンケじゃん」
蓮がヘアメイクしている横を通ってぼそっと聞こえるように呟く。
銀色の髪に紫の瞳、透きとおるような白い肌、首には蓮も知っている高級ブランドのロゴ入りのチョーカーをしている。小柄だが顔が小さく手足が長くスラッとしている。ぞっとするような美少年だ。
蓮がスタジオ入りしてヘアメイクしている横で慣れている感じで何着も服を着てカメラマンに撮影されている。洗練されており服の着こなしも上手い。
「気にしないでね。嫉妬だから」
蓮のヘアメイクしてくれる女性が蓮にだけ聞こえるように囁く。ヘアは邪魔にならないようお団子1つにして自分はメイクっ気のない人である。
「お肌つやつやだからテカらないようパウダーだけにしておくわね。素肌感出したいから。唇も色味のないリップで艶だけ出すわね。眉、少し整えさせてね」
ヘアメイクさんに顔をいじってもらいながら、「嫉妬も何も、向こうの方が本職さんなんでしょ。僕は素人だから」と蓮は言う。
ヘアメイクさんは囁く。
「RYOさんはオメガ風俗のナンバーワンキャストなのよ。美しいのは最も。でもモデルとしてブランドの顔にはなれないの。だって愛しい番のオメガにオメガ風俗の子と同じ格好させたいアルファがいると思う?」
(オメガ風俗のナンバーワン! 確かにすごい美貌)
「オメガ風俗の子に自立の機会をあげようと美樹さんがモデルとして何人か雇ってるの。でもRYOさん位、オメガ風俗で人気があると顔バレしちゃうのでカタログには顔出せないのよ。今までの表紙はAzuさんで女性だったから仕方ないと思ってたんでしょうけど、今回オメガ男性が表紙と決まって自分が負けたとショックなんでしょうね」
蓮は3着衣装を着る予定。イメージは新婚の可愛い番でお金持ちのアルファの心をくすぐるライン。
1着目はテレビで人気が出たエプロンスタイル。テレビで着た物よりカジュアルにコットン素材で日常的に着用できる形。蓮はフライパンを持ってポーズを取った。
2着目は番とパーティに出たり、ディナーに行くためのフォーマルなスーツ姿。襟にレースを重ね、ラインをしなやかにし、ネクタイの柄を可愛くしてフォーマルな中に遊び心を加えたスーツ。
3着目はパジャマ。上に大き目のフワモコのパーカーを羽織る。フードには耳が付いているあざとい仕様。蓮はパーカーを羽織っている可愛い姿で写真が撮られる。中のタンクトップはシースルーになっていて、総レースのパンツも付いている。
番の1日というシリーズで2着目のフォーマルスーツが春夏カタログの表紙になるらしい。
蓮はかちんこちんで他のモデルのように上手くできなかった。しかし、カメラマンは注文も付けずにぱしゃぱしゃ撮影しあっさりと終わってしまった。呆気なさすぎて驚いたがあまり期待もされていないのかと拍子抜けした。
宝条美樹さんもやってきて「ありがとう。良かったわ。お疲れ様」と労ってくれた。
「あ、いいえ、あまり上手にポーズ取れなくてごめんなさい」
「そお? 初々しくて良かったわよ」
美樹がカメラマンの所に行って写真を見る。蓮も見せてもらった。
RYOの写真は目力も強く、魅力的な物が多かった。
自分は……七五三か? という感じ。RYOに皮肉言われても仕方ない。
「いいわね。服の良さが引き立っている。これは売れそう」
美樹はご満悦。
カメラマンも「可愛く撮れて新鮮でした」とにこにこしてた。
後日、送られてきたMiki Hojoのカタログを優斗と見た。表紙の自分は緊張しているように見えた。
それを見た優斗が頭を抱える。
「何これ、可愛すぎ」
蓮が慌てる。
「いやいや、それは優斗の贔屓目だよ。同じオメガ男性のRYOさんとか、すごかったんだよ」
後ろのページのRYOの写真を探す。RYOの写真は顔がカットされて首から下の物が多かった。
「そうかなぁ」
優斗はまた蓮のページに戻る。
「うわ……このパジャマ……猫耳? あざとすぎる……これ買いたい。買ったら着てくれる?」
「モデルのお礼で着用した3着はもらったよ」
「是非着てください」と何故か敬語でお願いされる。
蓮がヘアメイクしている横を通ってぼそっと聞こえるように呟く。
銀色の髪に紫の瞳、透きとおるような白い肌、首には蓮も知っている高級ブランドのロゴ入りのチョーカーをしている。小柄だが顔が小さく手足が長くスラッとしている。ぞっとするような美少年だ。
蓮がスタジオ入りしてヘアメイクしている横で慣れている感じで何着も服を着てカメラマンに撮影されている。洗練されており服の着こなしも上手い。
「気にしないでね。嫉妬だから」
蓮のヘアメイクしてくれる女性が蓮にだけ聞こえるように囁く。ヘアは邪魔にならないようお団子1つにして自分はメイクっ気のない人である。
「お肌つやつやだからテカらないようパウダーだけにしておくわね。素肌感出したいから。唇も色味のないリップで艶だけ出すわね。眉、少し整えさせてね」
ヘアメイクさんに顔をいじってもらいながら、「嫉妬も何も、向こうの方が本職さんなんでしょ。僕は素人だから」と蓮は言う。
ヘアメイクさんは囁く。
「RYOさんはオメガ風俗のナンバーワンキャストなのよ。美しいのは最も。でもモデルとしてブランドの顔にはなれないの。だって愛しい番のオメガにオメガ風俗の子と同じ格好させたいアルファがいると思う?」
(オメガ風俗のナンバーワン! 確かにすごい美貌)
「オメガ風俗の子に自立の機会をあげようと美樹さんがモデルとして何人か雇ってるの。でもRYOさん位、オメガ風俗で人気があると顔バレしちゃうのでカタログには顔出せないのよ。今までの表紙はAzuさんで女性だったから仕方ないと思ってたんでしょうけど、今回オメガ男性が表紙と決まって自分が負けたとショックなんでしょうね」
蓮は3着衣装を着る予定。イメージは新婚の可愛い番でお金持ちのアルファの心をくすぐるライン。
1着目はテレビで人気が出たエプロンスタイル。テレビで着た物よりカジュアルにコットン素材で日常的に着用できる形。蓮はフライパンを持ってポーズを取った。
2着目は番とパーティに出たり、ディナーに行くためのフォーマルなスーツ姿。襟にレースを重ね、ラインをしなやかにし、ネクタイの柄を可愛くしてフォーマルな中に遊び心を加えたスーツ。
3着目はパジャマ。上に大き目のフワモコのパーカーを羽織る。フードには耳が付いているあざとい仕様。蓮はパーカーを羽織っている可愛い姿で写真が撮られる。中のタンクトップはシースルーになっていて、総レースのパンツも付いている。
番の1日というシリーズで2着目のフォーマルスーツが春夏カタログの表紙になるらしい。
蓮はかちんこちんで他のモデルのように上手くできなかった。しかし、カメラマンは注文も付けずにぱしゃぱしゃ撮影しあっさりと終わってしまった。呆気なさすぎて驚いたがあまり期待もされていないのかと拍子抜けした。
宝条美樹さんもやってきて「ありがとう。良かったわ。お疲れ様」と労ってくれた。
「あ、いいえ、あまり上手にポーズ取れなくてごめんなさい」
「そお? 初々しくて良かったわよ」
美樹がカメラマンの所に行って写真を見る。蓮も見せてもらった。
RYOの写真は目力も強く、魅力的な物が多かった。
自分は……七五三か? という感じ。RYOに皮肉言われても仕方ない。
「いいわね。服の良さが引き立っている。これは売れそう」
美樹はご満悦。
カメラマンも「可愛く撮れて新鮮でした」とにこにこしてた。
後日、送られてきたMiki Hojoのカタログを優斗と見た。表紙の自分は緊張しているように見えた。
それを見た優斗が頭を抱える。
「何これ、可愛すぎ」
蓮が慌てる。
「いやいや、それは優斗の贔屓目だよ。同じオメガ男性のRYOさんとか、すごかったんだよ」
後ろのページのRYOの写真を探す。RYOの写真は顔がカットされて首から下の物が多かった。
「そうかなぁ」
優斗はまた蓮のページに戻る。
「うわ……このパジャマ……猫耳? あざとすぎる……これ買いたい。買ったら着てくれる?」
「モデルのお礼で着用した3着はもらったよ」
「是非着てください」と何故か敬語でお願いされる。
1
お気に入りに追加
327
あなたにおすすめの小説
初心者オメガは執着アルファの腕のなか
深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。
オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。
オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。
穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。
転生するにしても、これは無いだろ! ~死ぬ間際に読んでいた小説の悪役に転生しましたが、自分を殺すはずの最強主人公が逃がしてくれません~
槿 資紀
BL
駅のホームでネット小説を読んでいたところ、不慮の事故で電車に撥ねられ、死んでしまった平凡な男子高校生。しかし、二度と目覚めるはずのなかった彼は、死ぬ直前まで読んでいた小説に登場する悪役として再び目覚める。このままでは、自分のことを憎む最強主人公に殺されてしまうため、何とか逃げ出そうとするのだが、当の最強主人公の態度は、小説とはどこか違って――――。
最強スパダリ主人公×薄幸悪役転生者
R‐18展開は今のところ予定しておりません。ご了承ください。
森の中の華 (オメガバース、α✕Ω、完結)
Oj
BL
オメガバースBLです。
受けが妊娠しますので、ご注意下さい。
コンセプトは『受けを妊娠させて吐くほど悩む攻め』です。
ちょっとヤンチャなアルファ攻め✕大人しく不憫なオメガ受けです。
アルファ兄弟のどちらが攻めになるかは作中お楽しみいただけたらと思いますが、第一話でわかってしまうと思います。
ハッピーエンドですが、そこまで受けが辛い目に合い続けます。
菊島 華 (きくしま はな) 受
両親がオメガのという珍しい出生。幼い頃から森之宮家で次期当主の妻となるべく育てられる。囲われています。
森之宮 健司 (もりのみや けんじ) 兄
森之宮家時期当主。品行方正、成績優秀。生徒会長をしていて学校内での信頼も厚いです。
森之宮 裕司 (もりのみや ゆうじ) 弟
森之宮家次期当主。兄ができすぎていたり、他にも色々あって腐っています。
健司と裕司は二卵性の双子です。
オメガバースという第二の性別がある世界でのお話です。
男女の他にアルファ、ベータ、オメガと性別があり、オメガは男性でも妊娠が可能です。
アルファとオメガは数が少なく、ほとんどの人がベータです。アルファは能力が高い人間が多く、オメガは妊娠に特化していて誘惑するためのフェロモンを出すため恐れられ卑下されています。
その地方で有名な企業の子息であるアルファの兄弟と、どちらかの妻となるため育てられたオメガの少年のお話です。
この作品では第二の性別は17歳頃を目安に判定されていきます。それまでは検査しても確定されないことが多い、という設定です。
また、第二の性別は親の性別が反映されます。アルファ同士の親からはアルファが、オメガ同士の親からはオメガが生まれます。
独自解釈している設定があります。
第二部にて息子達とその恋人達です。
長男 咲也 (さくや)
次男 伊吹 (いぶき)
三男 開斗 (かいと)
咲也の恋人 朝陽 (あさひ)
伊吹の恋人 幸四郎 (こうしろう)
開斗の恋人 アイ・ミイ
本編完結しています。
今後は短編を更新する予定です。
夢見がちオメガ姫の理想のアルファ王子
葉薊【ハアザミ】
BL
四方木 聖(よもぎ ひじり)はちょっぴり夢見がちな乙女男子。
幼少の頃は父母のような理想の家庭を築くのが夢だったが、自分が理想のオメガから程遠いと知って断念する。
一方で、かつてはオメガだと信じて疑わなかった幼馴染の嘉瀬 冬治(かせ とうじ)は聖理想のアルファへと成長を遂げていた。
やがて冬治への恋心を自覚する聖だが、理想のオメガからは程遠い自分ではふさわしくないという思い込みに苛まれる。
※ちょっぴりサブカプあり。全てアルファ×オメガです。
貴方の事を心から愛していました。ありがとう。
天海みつき
BL
穏やかな晴天のある日の事。僕は最愛の番の後宮で、ぼんやりと紅茶を手に己の生きざまを振り返っていた。ゆったり流れるその時を楽しんだ僕は、そのままカップを傾け、紅茶を喉へと流し込んだ。
――混じり込んだ××と共に。
オメガバースの世界観です。運命の番でありながら、仮想敵国の王子同士に生まれた二人が辿る数奇な運命。勢いで書いたら真っ暗に。ピリリと主張する苦さをアクセントにどうぞ。
追記。本編完結済み。後程「彼」視点を追加投稿する……かも?
【続篇完結】第四皇子のつがい婚―年下皇子は白百合の香に惑う―
熾月あおい
BL
嶌国の第四皇子・朱燎琉(α)は、貴族の令嬢との婚約を前に、とんでもない事故を起こしてしまう。発情して我を失くし、国府に勤める官吏・郭瓔偲(Ω)を無理矢理つがいにしてしまったのだ。
その後、Ωの地位向上政策を掲げる父皇帝から命じられたのは、郭瓔偲との婚姻だった。
納得いかないながらも瓔偲に会いに行った燎琉は、そこで、凛とした空気を纏う、うつくしい官吏に引き合わされる。漂うのは、甘く高貴な白百合の香り――……それが燎琉のつがい、瓔偲だった。
戸惑いながらも瓔偲を殿舎に迎えた燎琉だったが、瓔偲の口から思ってもみなかったことを聞かされることになる。
「私たちがつがってしまったのは、もしかすると、皇太子位に絡んだ陰謀かもしれない。誰かの陰謀だとわかれば、婚約解消を皇帝に願い出ることもできるのではないか」
ふたりは調査を開始するが、ともに過ごすうちに燎琉は次第に瓔偲に惹かれていって――……?
※「*」のついた話はR指定です、ご注意ください。
※第11回BL小説大賞エントリー中。応援いただけると嬉しいです!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる