上 下
25 / 48

25*

しおりを挟む
 ピンポーン
 たたた……と足音がして勢いよくドアが開く。
「こんにちは」
 優斗が微笑む。
「いらっしゃいませ」
 蓮が笑顔で迎える。
 あの濃密なヒート期間から1週間ぶりの訪問である。2人ともお互いを見たり、赤くなったり、ニヤニヤしたりと間に挟まれた柊里には居心地の悪い状況である。お昼を食べ終わると早々に柊里は仕事部屋に逃げてしまった。

 蓮は優斗を連れて急いで部屋に入る。部屋のドアを閉めるや否や、優斗は蓮を抱き締めた。蓮は軽く背伸びして優斗の唇を迎えにいく。唇が触れ合うと、蓮も優斗もすぐ口を開け、お互いの舌を絡め合った。夢中でキスし合う。今まで不足していた分を補った。
 蓮は唇を離し「ベッド……行こ……」と誘う。奥のベッドに優斗を連れていく。そして、またキス。キスしながら優斗は蓮のシャツのボタンを外していく。シャツを脱がせて白い滑らかな肌の感触を楽しむ。ピンクの小さな胸の突起に指を軽く掠める。ビクンと蓮の体が震え、キスしてる唇が離れる。優斗は唇を今度は蓮の胸に寄せ、突起にキスを落とす。ビリビリした快感が走り「あ……ん……」と甘い声が出る。
(変な声出た)
 蓮が慌てて口を覆う。優斗が蓮の口を覆った手にちゅっと口付ける。優斗の瞳は欲望でとろりと溶けている。見つめられると蓮の体の力が抜ける。力の抜けた蓮の手を口から除け、蓮の唇にちゅっと口付けた。蓮の手を押さえたまま優斗の顔は蓮の胸に降りる。蓮の胸の突起はすっかり尖ってしまっていた。右のピンクの突起を舌で転がす。左の突起は指で捏ねる。
「あ……両方しちゃ……!!」
 蓮の下半身から甘い香りがする。胸の刺激で蜜を出してしまった。
「敏感なんだ。可愛い」と優斗はまた蓮に深いキスをする。キスしながらズボンのファスナーを降ろしズボンを脱がせる。唇を離すと蓮は少し涙目になりながら喘いでいる。
「僕ばっかり……。優斗も脱いで」
 優斗はにこっと笑うと脱ぎ始めた。筋肉が綺麗についた肌を蓮はうっとりと眺める。腹筋をそっと触った。
「くすぐったい」
 優斗は笑い、蓮を抱き締める。肌が直接触れ合い気持ち良かった。蓮は優斗にキスしながら、背中を撫で回した。優斗はしばらく蓮のしたいようにさせて自分の手を止めていたが、啄むような軽いキスやぎこちなく撫でられるのに煽られて我慢できなくなってきた。
「もう、いい?」
 優斗が切羽詰まった顔で言う。気持ちが良くほわほわした蓮は(なにがいいんだろ?)とあまり理解できず、とろんとした顔でこくんと頷く。了承された途端、優斗は蓮に噛みつくようなキスをし出した。口の中を優斗の舌が動き回る。荒々しい動きに少しびっくりしたが、優斗の目が欲望で潤んでいるのを見て蓮も欲情する。
 優斗はキスを止め頭を下に下げる。ディープキスで感じてしまった蓮の前が屹立している。先端をぺろんと舐めて、ぱくんと咥えた。急な刺激に蓮の体がびくつく。
「優斗、汚いよ」
 優斗が蓮を下から見つめ口を離す。
「蓮の体に汚い所なんて無いよ」
 また咥え、じゅぶじゅぶと舐め始める。口で奉仕する優斗は壮絶に色っぽく、蓮は視覚的にも、また前への直接の強い刺激であっという間にイカされそうになる。
「だめ……出ちゃう」
 優斗は情け容赦なく吸った。
「ん……」
 優斗の口の中に出してしまい、蓮の力は抜けた。優斗は口の中の蜜を手に受け、力の抜けた蓮の後孔に指を入れる。
「あ……ん……」
 蓮はびくつくが後孔は快感で潤い始め、優斗の指を飲み込んでいく。指はゆっくりとうごめきながら入っていった。ある所を擦ると「きゃっ」と蓮の体が震えた。
「ここ気持ちいいね」
 優斗は蓮の耳に囁きながら、指を2本に増やしトントンと刺激する。先ほど蜜を吐いた蓮の前がまたゆるりと力を持つ。気づいた優斗が前も同時に扱き始める。
「あ……両方しちゃ……だめ……」
 蓮は強すぎる快感でくらくらした。
(すごい、すごすぎる。でも優斗は? 優斗は気持ちいいの?)
「ゆうとー」
 蓮は優斗を見つめる。優斗は「蓮、好きだよ」と甘く囁く。
「ゆうと、すき」
 蓮は甘い囁きにのぼせたようになる。優斗はまた蓮の愛撫に専念しようとしたのでぎゅっと抱きつく。
「ゆうともきもちよくなってほしい。ゆうとのちょうだい」と強請った。
 優斗は真っ赤になって、蓮の後孔から指を抜いた。
「もう、ヒートじゃないから、きちんと解してからと思って我慢してるのに。そんなこと言われたら限界」
 優斗はボクサーパンツを脱ぎ、ゴムを装着した。蓮をくるりと後ろ向きにして、後孔にずしりと重量感のある物体を当てがった。
(おおきい……はいるかな? がんばる。ゆうとにもきもちよくなってほしい)
 ずんと後ろに重さがくる。蓮は緊張で目をきつく閉じ、息を止めていたようだ。
「蓮、目を開けて……ゆっくり呼吸して」
 優斗の声に蓮は目を開けて振り向く。優斗が予想に反して余裕のない表情をしていた。蓮だけが必死で優斗は余裕なのかと勘違いしていた。優斗が必死で自分を欲していると分かると胸がきゅんきゅんと高なった。
(うけいれたい)
 意識して力を緩めると、ぐーっと侵入される。お腹の中がいっぱいになり上手く呼吸できなくなる。優斗の動きが止まる。
「はいった?」と蓮が聞く。
「うん、半分くらい」
(え? はんぶん?)
 蓮が驚く。優斗は微笑み「今日はこれで十分だよ」と優しく言う。
「そんなのいや」と蓮は自分の手でお尻をくぱあっと開いた。
(ゆうとにもきもちよくなってほしい)
 その拍子に優斗のペニスが蓮の中の気持ちよい所に当たった。
「あ……ん……」
 蓮はびくつく。優斗が気付き、そこをトントンと擦り始める。蓮は強い快感で喘ぎだした。後孔から粘液が溢れ出し、優斗のペニスが中に誘われる。気が付くと全部入っており、蓮は快感の渦にいた。優斗は蓮を気遣い動かずにいた。蓮の中はびくびくとうねり優斗のペニスを締め付けるので動かずに堪えるのが限界になってきた。
「蓮、ごめん」
 優斗は蓮を抱きかかえ、強く腰を打ち付けた。優斗の荒い息と汗の雫を背中に感じると、蓮はさらに高まり自分も腰を動かしていた。
「!……」
 優斗が強く腰を打ち付け、声にならない声を発し止まった。優斗の吐精をゴム超しに感じながら、蓮も蜜を吐いた。優斗は蓮の背中に頬を付け抱き締めた。優斗の肌は燃えるように熱く、荒い吐息も熱かった。
 アルファの長い吐精が終わる。ゴムの処理をし、ティッシュで後始末して2人でまた横たわった。
「なんか、ごめん。がっついちゃって。もう蓮を見たらそのことしか考えられなくて」
「僕も。早くくっつきたかった」
 腕を絡め合って、体を密着させた。お互いの体温を感じあえて嬉しい。
「俺、今度、公認会計士の資格とろうと思って」
「なんか難しそう」
「友人の会社に就職する予定なんだけど、ベンチャーだから、なんかあったとき資格あれば食っていけると思って。蓮に絶対苦労させたくないから」
 蓮の頬にキスする。
「僕も優斗に相応しいと言われるように頑張る」
「Azu先生みたいに有名になったら俺の方が楽させてもらう立場になっちゃう。負けずに頑張るよ」
 優斗は蓮の顔中にキスする。
「ところで、蓮って誕生日いつなの?」
「9月15日」
(9月15日? 聞いたことあるような、ないような)
「……て、もうすぐじゃん。ヨーロッパでは19歳の誕生日にシルバーのアクセサリーもらうと幸せな結婚できるんだって」
 優斗は蓮の左手を掴む。
「この指に合う指輪贈ったら重いかな?」
 薬指を撫でる。
「嬉しい」
「良かった。サイズ、分かる?」
「分かんない」
 糸を借り、左手の薬指をくるりと結んで輪を作り切った。
「優斗はいつなの?」
「11月29日」
「21歳の誕生日の言い伝えはあるの?」
「たぶん、ないかな。いい肉の日だから、美味しいお肉を食べよう」
 優斗が蓮のお尻をやわやわと揉むので、蓮は吹き出した。

 あっという間の3時間で優斗は別れを告げて帰った。
 歩きながら、9月15日は伊集院美月も誕生日だったと思い出した。奇妙な偶然だな、と不思議に思った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

初心者オメガは執着アルファの腕のなか

深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。 オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。 オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。 穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。

森の中の華 (オメガバース、α✕Ω、完結)

Oj
BL
オメガバースBLです。 受けが妊娠しますので、ご注意下さい。 コンセプトは『受けを妊娠させて吐くほど悩む攻め』です。 ちょっとヤンチャなアルファ攻め✕大人しく不憫なオメガ受けです。 アルファ兄弟のどちらが攻めになるかは作中お楽しみいただけたらと思いますが、第一話でわかってしまうと思います。 ハッピーエンドですが、そこまで受けが辛い目に合い続けます。 菊島 華 (きくしま はな)   受 両親がオメガのという珍しい出生。幼い頃から森之宮家で次期当主の妻となるべく育てられる。囲われています。 森之宮 健司 (もりのみや けんじ) 兄  森之宮家時期当主。品行方正、成績優秀。生徒会長をしていて学校内での信頼も厚いです。 森之宮 裕司 (もりのみや ゆうじ) 弟 森之宮家次期当主。兄ができすぎていたり、他にも色々あって腐っています。 健司と裕司は二卵性の双子です。 オメガバースという第二の性別がある世界でのお話です。 男女の他にアルファ、ベータ、オメガと性別があり、オメガは男性でも妊娠が可能です。 アルファとオメガは数が少なく、ほとんどの人がベータです。アルファは能力が高い人間が多く、オメガは妊娠に特化していて誘惑するためのフェロモンを出すため恐れられ卑下されています。 その地方で有名な企業の子息であるアルファの兄弟と、どちらかの妻となるため育てられたオメガの少年のお話です。 この作品では第二の性別は17歳頃を目安に判定されていきます。それまでは検査しても確定されないことが多い、という設定です。 また、第二の性別は親の性別が反映されます。アルファ同士の親からはアルファが、オメガ同士の親からはオメガが生まれます。 独自解釈している設定があります。 第二部にて息子達とその恋人達です。 長男 咲也 (さくや) 次男 伊吹 (いぶき) 三男 開斗 (かいと) 咲也の恋人 朝陽 (あさひ) 伊吹の恋人 幸四郎 (こうしろう) 開斗の恋人 アイ・ミイ 本編完結しています。 今後は短編を更新する予定です。

貴方の事を心から愛していました。ありがとう。

天海みつき
BL
 穏やかな晴天のある日の事。僕は最愛の番の後宮で、ぼんやりと紅茶を手に己の生きざまを振り返っていた。ゆったり流れるその時を楽しんだ僕は、そのままカップを傾け、紅茶を喉へと流し込んだ。  ――混じり込んだ××と共に。  オメガバースの世界観です。運命の番でありながら、仮想敵国の王子同士に生まれた二人が辿る数奇な運命。勢いで書いたら真っ暗に。ピリリと主張する苦さをアクセントにどうぞ。  追記。本編完結済み。後程「彼」視点を追加投稿する……かも?

虐げられ聖女(男)なので辺境に逃げたら溺愛系イケメン辺境伯が待ち構えていました【本編完結】(異世界恋愛オメガバース)

美咲アリス
BL
虐待を受けていたオメガ聖女のアレクシアは必死で辺境の地に逃げた。そこで出会ったのは逞しくてイケメンのアルファ辺境伯。「身バレしたら大変だ」と思ったアレクシアは芝居小屋で見た『悪役令息キャラ』の真似をしてみるが、どうやらそれが辺境伯の心を掴んでしまったようで、ものすごい溺愛がスタートしてしまう。けれども実は、辺境伯にはある考えがあるらしくて⋯⋯? オメガ聖女とアルファ辺境伯のキュンキュン異世界恋愛です、よろしくお願いします^_^ 本編完結しました、特別編を連載中です!

【本編完結】運命の番〜バニラとりんごの恋〜

みかん桜(蜜柑桜)
BL
バース検査でオメガだった岩清水日向。オメガでありながら身長が高いことを気にしている日向は、ベータとして振る舞うことに。 早々に恋愛も結婚も諦ていたのに、高校で運命の番である光琉に出会ってしまった。戸惑いながらも光琉の深い愛で包みこまれ、自分自身を受け入れた日向が幸せになるまでの話。 ***オメガバースの説明無し。独自設定のみ説明***オメガが迫害されない世界です。ただただオメガが溺愛される話が読みたくて書き始めました。

【完結・ルート分岐あり】オメガ皇后の死に戻り〜二度と思い通りにはなりません〜

ivy
BL
魔術師の家門に生まれながら能力の発現が遅く家族から虐げられて暮らしていたオメガのアリス。 そんな彼を国王陛下であるルドルフが妻にと望み生活は一変する。 幸せになれると思っていたのに生まれた子供共々ルドルフに殺されたアリスは目が覚めると子供の頃に戻っていた。 もう二度と同じ轍は踏まない。 そう決心したアリスの戦いが始まる。

虐げられた王の生まれ変わりと白銀の騎士

ありま氷炎
BL
十四年前、国王アルローはその死に際に、「私を探せ」と言い残す。 国一丸となり、王の生まれ変わりを探すが見つからず、月日は過ぎていく。 王アルローの子の治世は穏やかで、人々はアルローの生まれ変わりを探す事を諦めようとしていた。 そんな中、アルローの生まれ変わりが異世界にいることがわかる。多くの者たちが止める中、騎士団長のタリダスが異世界の扉を潜る。 そこで彼は、アルローの生まれ変わりの少年を見つける。両親に疎まれ、性的虐待すら受けている少年を助け、強引に連れ戻すタリダス。 彼は王の生まれ変わりである少年ユウタに忠誠を誓う。しかし王宮では「王」の帰還に好意的なものは少なかった。 心の傷を癒しながら、ユウタは自身の前世に向き合う。 アルローが残した「私を探せ」の意味はなんだったか。 王宮の陰謀、そして襲い掛かる別の危機。 少年は戸惑いながらも自分の道を見つけていく。

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】

彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』 高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。 その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。 そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

処理中です...