18 / 48
18*
しおりを挟む
蓮は優斗を誘導し階段を昇る。
「あ、エプロン付けたままだった」
部屋に入り、エプロンを外そうとした。
「ちょっと待って。そのままで、こっち向いて」
優斗がエプロンを付けた蓮をじーっと見つめる。
「……恥ずかしいので、そろそろいいですか?」と蓮がもじもじする。
「本当は写真撮りたい。でも形に残せないから心のシャッター切ってる」
優斗が訳の分からないことを言い出す。
「今日なんて普段着でエプロン付けっぱで、写真ならもうちょっときちんとした格好で撮った方が……」
「きちんとした格好も欲しいけど、結婚したらこうなるのかな、て妄想できる写真も欲しい」
(結婚?!)
蓮は真っ赤になってしまう。
「本当にもう無理。可愛すぎる」
優斗が蓮を抱き締める。
ドキンドキンドキン
蓮と優斗の心臓の音が響き合っている。
優斗が少し体を離して蓮の顔を見つめる。ちゅっとおでこにキスされる。頬を撫ぜる。ちゅっと右頬に、そして左頬にキスする。優斗の茶色がかった瞳が欲望でとろりと溶けている。蓮も優斗の熱に浮かされる。
「口には?」
震える声で蓮は問いかける。蓮の中で何かが爆発しそうだった。
優斗の瞳が蓮の瞳を捉える。蓮はすっと目を閉じた。それを合図に優斗は蓮に口付けた。ちゅっと軽く触れ、離れる。蓮は目を開き、優斗を見つめる。優斗は蓮に伺うような、縋るような目をしている。
「もっと」
蓮は両腕を優斗の首に回す。目をまたつむり、唇を近付けた。優斗は蓮の小さな唇に強く口付け吸った。蓮は陶然とした気持ちになり足の力が入らなくなった。優斗を軽く引き、そばのソファーに倒れこむ。優斗も抵抗せず一緒にソファーに倒れ込んだ。口付けしながら優斗の手が蓮の背中や腰をなぞる。触れられた場所から快感が生まれる。ひとしきり口付けし合い「ふう」と一息つく。ソファーに横たわったままお互いに見つめ合う。
「今日のオムライス美味しかった。蓮君は料理上手なんだね」
「僕の通ってた桜華学園って一番力を入れている授業が家庭科だったの」
「俺の友人で東拓哉っていうのいるんだけど『さくゆり』の大ファンだって言ってたよ」
「僕もアシスタントしてたよ」
蓮はぴょこんとソファーから降り『さくゆり』の1巻を持って、また優斗の隣に寝転ぶ。当然のようにくっついてくる蓮が愛しくて、ソファーから落ちないよう腰を腕で支えた。
「ここのね、学校は僕描いたの。あと、この体育館をステージにして演奏したら電気系統がショートするシーン。ここの配線も描いたんだけど苦労したんだよ」
「上手いね。人物は描かなかったの?」
「人物は先輩アシスタントが描いてた。背景は僕が一番得意だったから」
「俺、漫画とか本あんまり読まないから知らなかったけど有名なんだよね。すごい先輩だね。東から勧められて『さくゆり』の音ゲーは一時やってたけどね」
「『さくゆり』の音ゲーの曲ってあず先輩の旦那さんの如月瞬さんが作ったんだよ」
「如月瞬は知ってる。カラオケでよく歌う」
「僕、カラオケ行ったことない」
「外デートできるようになったら行こうね」
ソファーでごろごろして、お互いの体温を感じながら他愛のないお喋りをした。あっという間に3時間経ってしまった。時計を見ると蓮は寂しくなった。誰かにスマホ見られたら困るから電話もメールもできない。
「ごめんね」
涙が滲んだ蓮の目に優斗が口付け、涙を舐め取る。蓮は涙すら甘い。
「キスして」
蓮がねだる。深い口付けを心に刻む。
「また来週くるね」
優斗が階段を降りていく足音を蓮はソファーの上でぼんやり聞いていた。
「あ、エプロン付けたままだった」
部屋に入り、エプロンを外そうとした。
「ちょっと待って。そのままで、こっち向いて」
優斗がエプロンを付けた蓮をじーっと見つめる。
「……恥ずかしいので、そろそろいいですか?」と蓮がもじもじする。
「本当は写真撮りたい。でも形に残せないから心のシャッター切ってる」
優斗が訳の分からないことを言い出す。
「今日なんて普段着でエプロン付けっぱで、写真ならもうちょっときちんとした格好で撮った方が……」
「きちんとした格好も欲しいけど、結婚したらこうなるのかな、て妄想できる写真も欲しい」
(結婚?!)
蓮は真っ赤になってしまう。
「本当にもう無理。可愛すぎる」
優斗が蓮を抱き締める。
ドキンドキンドキン
蓮と優斗の心臓の音が響き合っている。
優斗が少し体を離して蓮の顔を見つめる。ちゅっとおでこにキスされる。頬を撫ぜる。ちゅっと右頬に、そして左頬にキスする。優斗の茶色がかった瞳が欲望でとろりと溶けている。蓮も優斗の熱に浮かされる。
「口には?」
震える声で蓮は問いかける。蓮の中で何かが爆発しそうだった。
優斗の瞳が蓮の瞳を捉える。蓮はすっと目を閉じた。それを合図に優斗は蓮に口付けた。ちゅっと軽く触れ、離れる。蓮は目を開き、優斗を見つめる。優斗は蓮に伺うような、縋るような目をしている。
「もっと」
蓮は両腕を優斗の首に回す。目をまたつむり、唇を近付けた。優斗は蓮の小さな唇に強く口付け吸った。蓮は陶然とした気持ちになり足の力が入らなくなった。優斗を軽く引き、そばのソファーに倒れこむ。優斗も抵抗せず一緒にソファーに倒れ込んだ。口付けしながら優斗の手が蓮の背中や腰をなぞる。触れられた場所から快感が生まれる。ひとしきり口付けし合い「ふう」と一息つく。ソファーに横たわったままお互いに見つめ合う。
「今日のオムライス美味しかった。蓮君は料理上手なんだね」
「僕の通ってた桜華学園って一番力を入れている授業が家庭科だったの」
「俺の友人で東拓哉っていうのいるんだけど『さくゆり』の大ファンだって言ってたよ」
「僕もアシスタントしてたよ」
蓮はぴょこんとソファーから降り『さくゆり』の1巻を持って、また優斗の隣に寝転ぶ。当然のようにくっついてくる蓮が愛しくて、ソファーから落ちないよう腰を腕で支えた。
「ここのね、学校は僕描いたの。あと、この体育館をステージにして演奏したら電気系統がショートするシーン。ここの配線も描いたんだけど苦労したんだよ」
「上手いね。人物は描かなかったの?」
「人物は先輩アシスタントが描いてた。背景は僕が一番得意だったから」
「俺、漫画とか本あんまり読まないから知らなかったけど有名なんだよね。すごい先輩だね。東から勧められて『さくゆり』の音ゲーは一時やってたけどね」
「『さくゆり』の音ゲーの曲ってあず先輩の旦那さんの如月瞬さんが作ったんだよ」
「如月瞬は知ってる。カラオケでよく歌う」
「僕、カラオケ行ったことない」
「外デートできるようになったら行こうね」
ソファーでごろごろして、お互いの体温を感じながら他愛のないお喋りをした。あっという間に3時間経ってしまった。時計を見ると蓮は寂しくなった。誰かにスマホ見られたら困るから電話もメールもできない。
「ごめんね」
涙が滲んだ蓮の目に優斗が口付け、涙を舐め取る。蓮は涙すら甘い。
「キスして」
蓮がねだる。深い口付けを心に刻む。
「また来週くるね」
優斗が階段を降りていく足音を蓮はソファーの上でぼんやり聞いていた。
2
お気に入りに追加
327
あなたにおすすめの小説
オメガ王子はごろつきアルファに密やかに愛される
須宮りんこ
BL
二十三歳のフォルカはルミナス王国の第三王子。十五歳の時「淫魔の呪い」として忌み嫌われるオメガと診断されてから王宮を追い出され、現在は隣国で暮らしている。
ある日、酒場で客に絡まれているとガイというアルファの男が助けてくれる。冗談か本気かわからないことばかり言う男の前でヒートになり、フォルカは男とセックスしてしまう。はじめは反発していたが、次第に優しいガイに惹かれていくが――。
※この作品はエブリスタとムーンライトノベルズにも掲載しています。
【完結】鉄のオメガ
志麻友紀
BL
お前との婚約を破棄する!と小太りの皇太子フィリップの言葉をアンドレアスは冷静に受けとめた。
皇太子と亡命王子という男同士の婚約は、アンドレアスがオメガだったからこそ成り立ったものだ。
一方的に婚約の破棄を宣言した、皇太子に博愛主義の伊達男ローラン子爵を弁護士として立て、多額の賠償金と地位の保証を請求したら、皇太子が逆上して斬りかかってきて……。
ローランにかばわれたアンドレアスだったが、みすぼらしいオメガと言われた、そのかつらと眼鏡の下からのぞいたアンドレアスの美貌に、ローランは思わずベッドにすぐに連れていきたいと不埒なことを言いだして。
「あなたオメガが嫌いでしょう?」
「嫌いではない。責任をとりたくないだけだ」
この男最低だな……とアンドレアスは思うのだった。
十九になっても来ない発情期に、彼との婚約破棄でフィリップは皇太子の地位を剥奪された顛末から、彼は「鉄のオメガ」と呼ばれるようになった。
※R18シーンには章タイトルの末尾に※つけてあります。
ムーンライトノベルズさんにも掲載しています。
花開かぬオメガの花嫁
朏猫(ミカヅキネコ)
BL
帝国には献上されたΩが住むΩ宮という建物がある。その中の蕾宮には、発情を迎えていない若いΩや皇帝のお渡りを受けていないΩが住んでいた。異国から来た金髪緑眼のΩ・キーシュも蕾宮に住む一人だ。三十になり皇帝のお渡りも望めないなか、あるαに下賜されることが決まる。しかしキーシュには密かに思う相手がいて……。※他サイトにも掲載
[高級官吏の息子α × 異国から来た金髪緑眼Ω / BL / R18]
これがおれの運命なら
やなぎ怜
BL
才能と美貌を兼ね備えたあからさまなαであるクラスメイトの高宮祐一(たかみや・ゆういち)は、実は立花透(たちばな・とおる)の遠い親戚に当たる。ただし、透の父親は本家とは絶縁されている。巻き返しを図る透の父親はわざわざ息子を祐一と同じ高校へと進学させた。その真意はΩの息子に本家の後継ぎたる祐一の子を孕ませるため。透は父親の希望通りに進学しながらも、「急いては怪しまれる」と誤魔化しながら、その実、祐一には最低限の接触しかせず高校生活を送っていた。けれども祐一に興味を持たれてしまい……。
※オメガバース。Ωに厳しめの世界。
※性的表現あり。
身代わりβの密やかなる恋
朏猫(ミカヅキネコ)
BL
旧家に生まれた僕はαでもΩでもなかった。いくら美しい容姿だと言われても、βの僕は何の役にも立たない。ところがΩの姉が病死したことで、姉の許嫁だったαの元へ行くことになった。※他サイトにも掲載
[名家次男のα × 落ちぶれた旧家のβ(→Ω) / BL / R18]
夢見がちオメガ姫の理想のアルファ王子
葉薊【ハアザミ】
BL
四方木 聖(よもぎ ひじり)はちょっぴり夢見がちな乙女男子。
幼少の頃は父母のような理想の家庭を築くのが夢だったが、自分が理想のオメガから程遠いと知って断念する。
一方で、かつてはオメガだと信じて疑わなかった幼馴染の嘉瀬 冬治(かせ とうじ)は聖理想のアルファへと成長を遂げていた。
やがて冬治への恋心を自覚する聖だが、理想のオメガからは程遠い自分ではふさわしくないという思い込みに苛まれる。
※ちょっぴりサブカプあり。全てアルファ×オメガです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる