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それぞれの10年間
18 林 良一
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9月になり、高階総合病院で良一は双子を出産した。可愛い男の子2人だった。簡易検査では2人ともアルファだった。良一は予定通り、雅(みやび)と司(つかさ)と名付けた。
美樹は言いにくそうに言った。
「うちの寮はオメガのみなの。子供でもオメガ以外はダメなの。寮を出てもらうわ。保護プログラム中だからセキュリティがしっかりしたマンションを代わりに探すわ。でも、せっかくだから東京を離れて、ロシアの目のつきにくい土地に行くという選択肢もあると思うの」
「どこがお薦めですか」
「父はアメリカの基地がある沖縄がいいんじゃないかと言ってる」
「……沖縄」
写真でしか見たことのない南国の夢みたいな土地。そこで今までの過去を捨て去って生きていけたらどんなに幸せだろう。
「でも、俺1人で子供育てていけるかな?」
「提案なんだけど……」
病室のドアを開けると由里が出てきた。
「由里ちゃんと一緒に育てたらどうかな?」
「え?」
由里が話し出す。
「私は異常妊娠で赤ちゃんも子宮も失ったこと、前に話したよね。もう結婚もできないだろうから1人で生きていこうと思って、美樹さんの所にお世話になってる。ただ、現実には美容師の免許とってもオメガだと就職難しいんだ。RYOさんが良ければ、家政婦兼ベビーシッターとしてお給料もらって家事と育児を手伝うっていう話なの。私、弟や妹の世話をずっとしてたから子育てには自信あるし、力になれると思う」
「由里ちゃんが良ければ、俺はその方が心強い」
喜ぶ良一に美樹は提案する。
「2人が良ければ夫婦として生活すれば、かなり偽装になると思う」
2人とも結婚の予定がなかったので、その提案にのった。事実婚ということにして由里の戸籍を汚さないことだけ良一は強く主張した。
良一が夫、由里が妻、双子の男の子の4人家族という形で沖縄に引っ越すことになった。
証人保護プログラム中であることは沖縄県知事と沖縄県警に連絡して対応される予定だ。目立たなければかなり普通に生活できそうだった。
良一は県庁の食堂に嘱託という形で働かせてもらうことになり、県の官舎が住まいとして与えられた。良一は家庭教師の元で小学1年生の教科書は終えていたので、美樹は2年生から6年生までの教科書を良一にあげた。向こうではフリースクールに通えるようにしてくれていた。双子も公立の認可保育所に入所できた。食堂が3時までの勤務なので保育所お迎えの6時までが勉強できる時間だ。由里は高校中退しようとしていたが、良一が強く反対し沖縄の夜間高校に転校した。手続きは保護プログラム中だったのでスムーズだった。
今までは美樹が管理してくれていたが、今後は良一に直接お金が行くことになった。月50万で、その中から由里には生活費別でお給料として月10万円支払うことになった。将来のために貯金したいという由里の希望で、最初から別々に振込にしてもらうことにした。寮にいる間は、ほぼお金を使っていなかったので、貯金は1千万に増えていた。アルファである双子の教育資金に当てようとそちらは定期にしてもらった。
由里は経済観念発達しており、育児もできた。夜間高校に通わせてもらっていることに感謝して、それ以外の時間は良一と双子のために一生懸命家事と育児をした。
双子はアルファだけあって、特に病気もせず困らせる事もなく育てやすい子であった。保母さんが2人の賢さに驚いていた。
雅は冷静沈着、司はガキ大将とタイプは異なったが、どの集団に属してもリーダーとなった。
美樹は言いにくそうに言った。
「うちの寮はオメガのみなの。子供でもオメガ以外はダメなの。寮を出てもらうわ。保護プログラム中だからセキュリティがしっかりしたマンションを代わりに探すわ。でも、せっかくだから東京を離れて、ロシアの目のつきにくい土地に行くという選択肢もあると思うの」
「どこがお薦めですか」
「父はアメリカの基地がある沖縄がいいんじゃないかと言ってる」
「……沖縄」
写真でしか見たことのない南国の夢みたいな土地。そこで今までの過去を捨て去って生きていけたらどんなに幸せだろう。
「でも、俺1人で子供育てていけるかな?」
「提案なんだけど……」
病室のドアを開けると由里が出てきた。
「由里ちゃんと一緒に育てたらどうかな?」
「え?」
由里が話し出す。
「私は異常妊娠で赤ちゃんも子宮も失ったこと、前に話したよね。もう結婚もできないだろうから1人で生きていこうと思って、美樹さんの所にお世話になってる。ただ、現実には美容師の免許とってもオメガだと就職難しいんだ。RYOさんが良ければ、家政婦兼ベビーシッターとしてお給料もらって家事と育児を手伝うっていう話なの。私、弟や妹の世話をずっとしてたから子育てには自信あるし、力になれると思う」
「由里ちゃんが良ければ、俺はその方が心強い」
喜ぶ良一に美樹は提案する。
「2人が良ければ夫婦として生活すれば、かなり偽装になると思う」
2人とも結婚の予定がなかったので、その提案にのった。事実婚ということにして由里の戸籍を汚さないことだけ良一は強く主張した。
良一が夫、由里が妻、双子の男の子の4人家族という形で沖縄に引っ越すことになった。
証人保護プログラム中であることは沖縄県知事と沖縄県警に連絡して対応される予定だ。目立たなければかなり普通に生活できそうだった。
良一は県庁の食堂に嘱託という形で働かせてもらうことになり、県の官舎が住まいとして与えられた。良一は家庭教師の元で小学1年生の教科書は終えていたので、美樹は2年生から6年生までの教科書を良一にあげた。向こうではフリースクールに通えるようにしてくれていた。双子も公立の認可保育所に入所できた。食堂が3時までの勤務なので保育所お迎えの6時までが勉強できる時間だ。由里は高校中退しようとしていたが、良一が強く反対し沖縄の夜間高校に転校した。手続きは保護プログラム中だったのでスムーズだった。
今までは美樹が管理してくれていたが、今後は良一に直接お金が行くことになった。月50万で、その中から由里には生活費別でお給料として月10万円支払うことになった。将来のために貯金したいという由里の希望で、最初から別々に振込にしてもらうことにした。寮にいる間は、ほぼお金を使っていなかったので、貯金は1千万に増えていた。アルファである双子の教育資金に当てようとそちらは定期にしてもらった。
由里は経済観念発達しており、育児もできた。夜間高校に通わせてもらっていることに感謝して、それ以外の時間は良一と双子のために一生懸命家事と育児をした。
双子はアルファだけあって、特に病気もせず困らせる事もなく育てやすい子であった。保母さんが2人の賢さに驚いていた。
雅は冷静沈着、司はガキ大将とタイプは異なったが、どの集団に属してもリーダーとなった。
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