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拓哉は沢渡夫夫が住むマンションを訪れた。
今日は大切な相談なのでノンアルコールで、と言うことだったので高級チョコレートの詰め合わせを手土産にした。
「いらっしゃいませ」
にこにこした蓮が出迎える。
(うわっ! 可愛い)
優斗がいつものろけるのが良くわかった。小柄で華奢でショートヘアに黒目勝ちの大きな瞳が輝いている。怜太の方が美人なのだが、蓮はオーラが華やかでキラキラしてアイドルのようだ。
「初めまして、東拓哉と申します。本日はご招待頂きありがとうございます。お口に合えば嬉しいのですが」
手土産を渡す。にこにこして蓮は受け取り、包装を見る。
「あ、○○○、嬉しい、ここのチョコ、美味しいですよね」
蓮の喜んだ顔を見るとそこのお菓子を選んだ自分が素晴らしい人のような気持ちになる。
優斗も後ろから出てきて「上がれよ」と拓哉に声を掛けた。靴を脱いでスリッパに足を入れた。
優斗が拓哉に意中の相手の説明をさせた。蓮は注意深く聞いた。
「怜太さんのお母さんの林沙雪さんは評判の美少女だったと父から聞いたことがあります。きっと同じオメガの怜太さんも綺麗な方なんでしょうね」
「すごい美人です。妹の話だと中学時代はラブレターの山だそうです」
「高校は?」
中学時代の初ヒートで担任に襲われかけ不登校になり、高校は通信制になったことを説明する。
「それでは運命というよりアルファとの出会いがないですよね」
蓮は呟く。そして拓哉を眺めた。
「東さん、イメチェンするのはどうですか?」
優斗も拓哉を見る。そもそも拓哉はファッションにこだわりがない。髪は千円カットだし、眼鏡も失くすから安売りのものだ。服もファストファッションばかり。
「東さんってアルファだけあって顔立ちもいいし背も高くてスタイルもいいですよね。髪と服をお洒落にしてコンタクトにしてみましょう。そして怜太君をデートに誘ってみましょう」
「なんか、それって自分を偽って、怜太君を騙してる気がする」
ふふっと蓮は笑う。
「東さんだって、美人な怜太君が好きなんでしょう? いきなり中身を見ることは他人はできないですよ。オメガとしてはカッコいい素敵なアルファがデートに誘ってくれたら、行ってみようかな? と心が動きます。そしてデートして中身が分かっていって好きになったりするのではないかしら。怜太君を振り向かせるには変なプライドは捨てて、まずカッコいい素敵なアルファになってみましょう」
変なプライド……上手く言い表している。優斗の配偶者は可愛い顔をして結構鋭い。
「デートでは怜太君を褒めて、好きって言葉にして伝えましょう。引きこもりになってたということは、自分に自信がないんだと思います。東さんが、はっきり好きって言わないと、友情なのか恋愛なのか分からないんです」
蓮ができぱきと指示し始めたので拓哉は慌ててメモし出した。
優斗が「美容院と服買いに行くのは手伝うよ。コンタクトは眼科行けばいいし」と助け船を出す。
「映画でも水族館でも遊園地でも何でもいいです。東さんが『怜太君とデートしたい』とはっきりと誘って下さい。そしてデートの最後には『好きです、付き合って下さい』って言って下さい」
「えー!」と拓哉は驚く。
「心の準備が……。そんな、はっきり言って断られたらどうすればいいの? 気まずくならない?」
蓮はにこりと笑う。
「運命の番ではないので、たぶん最初は断られると思います。断られるのは承知で告白して下さい。断られたら『運命の番が現れるまで友達でいいので付き合ってください』と言って下さい」
「はい……」
「友達だったらOK出ると思います。そうしたらアドレス交換して下さい。そして毎日メッセージ送って下さい」
「毎日? メッセージ? 何送るの?」
「些細なことでいいんです。空が綺麗とか可愛いお花が咲いていたとか、お昼ご飯これ食べて美味しかったとか写真写して。そして怜太君と一緒に見たいとか、一緒に食べたいとか一言入れてください。おそらく怜太君、高校が通信制なのでメッセージを送り合うような友人はできなかったと思います。そこのポジションを確保して怜太君に必要な人間になりましょう」
優斗も蓮のアドバイスに感心した。
「さすが、そんなこと俺らで相談してたら思いつかないわ」
蓮はえっへんと胸を張り「恋愛小説や漫画でたくさん勉強してますから」と微笑む。
拓哉は深刻な顔をしていたが蓮の言葉に頷く。
「ありがとう。具体的に指示してもらって助かる」
蓮はにっこりして励ます。
「東さんみたいな素敵な人が一生懸命好きでいてくれたら怜太君の心も動きますよ。……途中で運命の番に会わなければね」
(運命の番か)と拓哉は溜め息をつく。
作戦会議が終了し、手料理の夕食をご馳走になった。中には優斗作のおかずもあり、拓哉を驚かせた。優斗も最近はかなり料理ができるようになったと自慢げだった。優斗は蓮を見つめ幸せそうにしている。こんな感情豊かな優斗を見るのは初めてだった。
蓮は拓哉に電子書籍で数冊BL漫画を買わせた。
「オメガ男性の気持ちよく表現されているお薦めの本です。読んで理解して下さい。デートの約束したら作戦立てるので連絡下さい」
拓哉は蓮と約束して別れた。
今日は大切な相談なのでノンアルコールで、と言うことだったので高級チョコレートの詰め合わせを手土産にした。
「いらっしゃいませ」
にこにこした蓮が出迎える。
(うわっ! 可愛い)
優斗がいつものろけるのが良くわかった。小柄で華奢でショートヘアに黒目勝ちの大きな瞳が輝いている。怜太の方が美人なのだが、蓮はオーラが華やかでキラキラしてアイドルのようだ。
「初めまして、東拓哉と申します。本日はご招待頂きありがとうございます。お口に合えば嬉しいのですが」
手土産を渡す。にこにこして蓮は受け取り、包装を見る。
「あ、○○○、嬉しい、ここのチョコ、美味しいですよね」
蓮の喜んだ顔を見るとそこのお菓子を選んだ自分が素晴らしい人のような気持ちになる。
優斗も後ろから出てきて「上がれよ」と拓哉に声を掛けた。靴を脱いでスリッパに足を入れた。
優斗が拓哉に意中の相手の説明をさせた。蓮は注意深く聞いた。
「怜太さんのお母さんの林沙雪さんは評判の美少女だったと父から聞いたことがあります。きっと同じオメガの怜太さんも綺麗な方なんでしょうね」
「すごい美人です。妹の話だと中学時代はラブレターの山だそうです」
「高校は?」
中学時代の初ヒートで担任に襲われかけ不登校になり、高校は通信制になったことを説明する。
「それでは運命というよりアルファとの出会いがないですよね」
蓮は呟く。そして拓哉を眺めた。
「東さん、イメチェンするのはどうですか?」
優斗も拓哉を見る。そもそも拓哉はファッションにこだわりがない。髪は千円カットだし、眼鏡も失くすから安売りのものだ。服もファストファッションばかり。
「東さんってアルファだけあって顔立ちもいいし背も高くてスタイルもいいですよね。髪と服をお洒落にしてコンタクトにしてみましょう。そして怜太君をデートに誘ってみましょう」
「なんか、それって自分を偽って、怜太君を騙してる気がする」
ふふっと蓮は笑う。
「東さんだって、美人な怜太君が好きなんでしょう? いきなり中身を見ることは他人はできないですよ。オメガとしてはカッコいい素敵なアルファがデートに誘ってくれたら、行ってみようかな? と心が動きます。そしてデートして中身が分かっていって好きになったりするのではないかしら。怜太君を振り向かせるには変なプライドは捨てて、まずカッコいい素敵なアルファになってみましょう」
変なプライド……上手く言い表している。優斗の配偶者は可愛い顔をして結構鋭い。
「デートでは怜太君を褒めて、好きって言葉にして伝えましょう。引きこもりになってたということは、自分に自信がないんだと思います。東さんが、はっきり好きって言わないと、友情なのか恋愛なのか分からないんです」
蓮ができぱきと指示し始めたので拓哉は慌ててメモし出した。
優斗が「美容院と服買いに行くのは手伝うよ。コンタクトは眼科行けばいいし」と助け船を出す。
「映画でも水族館でも遊園地でも何でもいいです。東さんが『怜太君とデートしたい』とはっきりと誘って下さい。そしてデートの最後には『好きです、付き合って下さい』って言って下さい」
「えー!」と拓哉は驚く。
「心の準備が……。そんな、はっきり言って断られたらどうすればいいの? 気まずくならない?」
蓮はにこりと笑う。
「運命の番ではないので、たぶん最初は断られると思います。断られるのは承知で告白して下さい。断られたら『運命の番が現れるまで友達でいいので付き合ってください』と言って下さい」
「はい……」
「友達だったらOK出ると思います。そうしたらアドレス交換して下さい。そして毎日メッセージ送って下さい」
「毎日? メッセージ? 何送るの?」
「些細なことでいいんです。空が綺麗とか可愛いお花が咲いていたとか、お昼ご飯これ食べて美味しかったとか写真写して。そして怜太君と一緒に見たいとか、一緒に食べたいとか一言入れてください。おそらく怜太君、高校が通信制なのでメッセージを送り合うような友人はできなかったと思います。そこのポジションを確保して怜太君に必要な人間になりましょう」
優斗も蓮のアドバイスに感心した。
「さすが、そんなこと俺らで相談してたら思いつかないわ」
蓮はえっへんと胸を張り「恋愛小説や漫画でたくさん勉強してますから」と微笑む。
拓哉は深刻な顔をしていたが蓮の言葉に頷く。
「ありがとう。具体的に指示してもらって助かる」
蓮はにっこりして励ます。
「東さんみたいな素敵な人が一生懸命好きでいてくれたら怜太君の心も動きますよ。……途中で運命の番に会わなければね」
(運命の番か)と拓哉は溜め息をつく。
作戦会議が終了し、手料理の夕食をご馳走になった。中には優斗作のおかずもあり、拓哉を驚かせた。優斗も最近はかなり料理ができるようになったと自慢げだった。優斗は蓮を見つめ幸せそうにしている。こんな感情豊かな優斗を見るのは初めてだった。
蓮は拓哉に電子書籍で数冊BL漫画を買わせた。
「オメガ男性の気持ちよく表現されているお薦めの本です。読んで理解して下さい。デートの約束したら作戦立てるので連絡下さい」
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