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 美月とリュカが林家に遊びにきた。リュカが手作りのケーキを持ってきたので、さやかと怜太は大喜びだった。怜太が紅茶を入れ4人でお茶会をした。美月とリュカは相変わらず仲良く微笑ましいカップルだった。
 怜太が「運命の番と出会えて羨ましい」とぽそっと言った。
「怜太君は運命の番に出会いたいの?」と美月は質問する。
 こくんと頷き「お母さんもリュカも出会えて羨ましい」としょんぼりと言う。
 美月はうーんと考えて「今のこの生活だと、運命の番というよりアルファとの出会いはないわよね」と言う。
「私とアルファがたくさんいるパーティに参加してみる?」と美月が提案した。美月はアルファのパーティの招待をたくさん受けている。怜太を同伴者として連れていくこと提案した。
「リュカも行くの?」
 怜太が恐る恐る聞く。
「リュカも行ったら安心でしょ。私達あまりパーティ好きじゃないからサボリがちだったけど、怜太君の相手探しになるなら協力したいわ。リュカと仲良くしてくれて、リュカが日本に早く馴染めたのは怜太君のおかげと感謝してるの」
 怜太が真っ赤になって照れる。
「僕の方こそ、リュカにフレンチ教えてもらってすごく勉強になってます」
 リュカはにこにこしている。
「怜太は綺麗で優しい人だから、運命の番もきっと素敵な人だよ。出会えるといいね」
 相談して、いくつかパーティに出ることになった。
 美月とさやかが怜太のスーツを買いに行く日を楽しく打ち合わせた。

 美月とリュカを乗せたタクシーがレストランはやしに迎えに来た。スーツ姿の怜太を乗せ、パーティ会場に向かった。そして疲労困憊して帰ってきた。さやかが出迎える。
「怜兄、運命の番、いた?」
 怜太が疲れ切って言う。
「運命はいなかった。あんなにアルファのいる所に行ったの初めてで匂いに酔っちゃった」
 匂いを取りたいと風呂場に直行してしまった。
 さやかが「美月さん、リュカ、お茶を飲んでいきませんか?」と誘う。雅司もいて4人でお茶を飲んだ。
 雅司が「どうだった?」と聞く。
 美月がふうと溜め息をつき、「怜太君は美人だから、みんな色目を使い挨拶に来たわ。たぶん、それで疲れちゃったのね。20人くらいと挨拶したから、運命がいたら分かると思うけど、いなかったのね」
 さやかが「運命でなくても良さそうな人は?」と質問する。
「気を悪くしないで欲しいんだけど……」と美月がためらいながら言う。
「今日は所謂アルファの名門出身者が多かったんだけど、おうちの都合で正妻はアルファ女性を望む人が多い感じ。運命の番であれば、そういう差別を乗り越えて正妻になれると思ったんだけど」
 美月が申し訳なさそうに言う。
「怜太君が良ければ、名門出身ではないけど、才能がある人達が集まる、もう少しカジュアルなパーティに連れて行ってみるね」と提案した。

 その後、2つのパーティに出たが、運命の番には出会えなかった。怜太は「もうパーティは止めとく」と元気なくパーティに行くことを希望しなくなった。美月は無理強いしなかった。
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