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 ふざけて詠唱してる暇はない。それくらいこの貴族の女と俺にはレベル差がある。
 思考加速を瞬間移動を使う。動きが遅くなった世界で、俺は強く一歩で踏み込む。その勢いに任せ剣を振りぬく、細剣と大剣ぶつかり合えばどちらが勝つかなんて明白だ。愚かにも貴族は俺の大剣を受け止めようと動いている。

取った!

 俺の大剣は彼女の細剣に止められた。

はっ!? なんで!?

 物理法則に従えば、どう考えても俺の大剣が勝つはずだ。それなのに彼女は易々とそれを受け止める。

「力に自信がありそうでしたので、あえてそちらの土俵に立ってあげたのに、この程度ですか?」

「ぐっ!」

 力で押し負ける。バカな! 女が男より力強いなんてあるはずがない! グッと力をさらに籠める、その瞬間押し返されていた力がなくなり、よろける。貴族の女が後ろに回り込んだようだ。

「ああ、すいません。ワタクシ、力押しは得意ではないの。速さタイプでしてよ」

「何を――」

 その瞬間、強化された俺の目でも追いきれないほどの速さで彼女は俺に攻撃を仕掛ける。前から、斜めから、後ろから。あらゆる角度から彼女は攻撃を仕掛け、その全てに追いつけず斬撃を貰う。

ばかな――

 そんなことあるのか、速さでも、力でも勝てないなんて、そんな――

「残念ですが、これがレベル差ですわ」

そんな理不尽なこと。

「では反省なさって下さいね」

 そうして彼女はこちらの太ももを2ヶ所、脇腹に1ヶ所、肩に1ヶ所、細剣を刺した。

「がはっ!」

「では、ごきげんよう」

 剣を振りぬき血を払う。彼女は俺の前から立ち去る。
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