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「しょうがないじゃない。運動系のクラブは時間ギリギリまで目一杯やるし、それにその後着替えもあるし。だって更衣室がないんだもの。男子が先に着替えて帰るのを見計らってから女子が着替えるの。不公平だと思わない」
未星は私の不満にも知ったことではない、自分の責任だと言わんばかりに、頭をふるふると振った。
「部活に入っていない月子がなんでそんなクラブを選んだの。だったら部活だってやればよかったじゃない」
「部活に入ってないからこそ、だよ。だって部活は本気じゃない。冗談が通用しないから好きじゃないの。その点、クラブは健康の増進が目的だし、放課後の遊びも同然だもの。部活に入っていない私には身体を動かすのにちょうどいいの」
「園芸クラブでは健康の増進なんて無理よ」
未星は自嘲なのか冗談なのかよくわからない口調で、薄く微笑んだ。
私たちが通う中学では部活動とは別に週一でクラブ活動の時間が設けられていた。それが設置された背景については様々な憶測を呼んだが、大方の推測によると、教職員の部活動監督に伴う残業の削減にその目的があるようだった。クラブ活動がある木曜日は全部活が活動を禁止されている。だから木曜日だけは部活の顧問をしている教員たちも生徒たちの放課と合わせて下校できるはずだったが、ほとんどの教員はこれ幸いと、溜め込んだ課題の添削や授業の計画に励んでいるようである。実際、私が体育館からこの教室に移動する時に見える教員室は煌々と明かりが点けられたままだった。
「クラブの目的はまちまちでしょう。バスケクラブと一緒である必要がないもの。園芸クラブなら道徳心の育成とか自然の鑑賞とか、ね」
私は取ってつけたような説明で未星の批判を回避しようとしたけれど、未星にはそれでは不満なようだった。
「なんだか月子にバカにされているみたい」
「バカになんかしてないよ」と私は否定しながら、「じゃあ、未星にとってバカにされないようなクラブってなんなのさ」と聞いた。
「園芸クラブが悪いんじゃないの。私は満足しているもの。月子の見下したような言い方がバカにしてるって言うの」
未星はむすっとした表情で鞄を手に提げて、「もう帰りましょう。まさかおつかいがあること忘れてないでしょうね。もたもたしていたらお店が閉まっちゃう」と言って、私の手を引っ張って教室を出ようとした。
未星は私の不満にも知ったことではない、自分の責任だと言わんばかりに、頭をふるふると振った。
「部活に入っていない月子がなんでそんなクラブを選んだの。だったら部活だってやればよかったじゃない」
「部活に入ってないからこそ、だよ。だって部活は本気じゃない。冗談が通用しないから好きじゃないの。その点、クラブは健康の増進が目的だし、放課後の遊びも同然だもの。部活に入っていない私には身体を動かすのにちょうどいいの」
「園芸クラブでは健康の増進なんて無理よ」
未星は自嘲なのか冗談なのかよくわからない口調で、薄く微笑んだ。
私たちが通う中学では部活動とは別に週一でクラブ活動の時間が設けられていた。それが設置された背景については様々な憶測を呼んだが、大方の推測によると、教職員の部活動監督に伴う残業の削減にその目的があるようだった。クラブ活動がある木曜日は全部活が活動を禁止されている。だから木曜日だけは部活の顧問をしている教員たちも生徒たちの放課と合わせて下校できるはずだったが、ほとんどの教員はこれ幸いと、溜め込んだ課題の添削や授業の計画に励んでいるようである。実際、私が体育館からこの教室に移動する時に見える教員室は煌々と明かりが点けられたままだった。
「クラブの目的はまちまちでしょう。バスケクラブと一緒である必要がないもの。園芸クラブなら道徳心の育成とか自然の鑑賞とか、ね」
私は取ってつけたような説明で未星の批判を回避しようとしたけれど、未星にはそれでは不満なようだった。
「なんだか月子にバカにされているみたい」
「バカになんかしてないよ」と私は否定しながら、「じゃあ、未星にとってバカにされないようなクラブってなんなのさ」と聞いた。
「園芸クラブが悪いんじゃないの。私は満足しているもの。月子の見下したような言い方がバカにしてるって言うの」
未星はむすっとした表情で鞄を手に提げて、「もう帰りましょう。まさかおつかいがあること忘れてないでしょうね。もたもたしていたらお店が閉まっちゃう」と言って、私の手を引っ張って教室を出ようとした。
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