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☆13.
しおりを挟むだけど――。
ここで、あきらめてなんか、いられない。
「違うの!」
わたしは、声をふりあげた。
「わたし、幸成のことが――
すき
だから……」
ざわっ。
わたしは、恥ずかしくなって、幸成のほうなんて、見られなくなった。
幸成はいま、どんな顔、してるんだろうか。
おそるおそる、わたしは幸成のほうをみた。
彼は、驚いたような感じの顔をわたしに向けていた。
「だ、だからね……」
声が震える。
「だから、幸成には、これ以上、自分を殺していてほしくないし、みんなの前でも、わたしの大好きな幸成のままでいてほしいから――」
だから――。
「俺も」
「え?」
「俺もだよ」
「ゆ、幸成」
ばっ。
急に幸成の腕が伸びて来た。
気が付いたら、わたし、幸成に抱きしめられていた。
「俺も、日夏のことが、好き」
みみもとでささやかれる。
「……うんっ」
★
と、いうことがありまして。
「幸成~、おはよっ!」
わたしは、毎朝、あの彼と、一緒にいる。
校門をくぐりぬけて、昇降口へ。
廊下を渡って、互い別々の教室の前で、「また昼休みに」って約束してわかれるのが、日課になっている。
幸成といえば、あれから、ものすごく変化した。
いつもみんなの前でも、幸成は幸成になったし、余計にわたし相手にも、躊躇しなくなったっていうか――。
わたしたちふたりきりの秘密の昼休みはなくなっちゃったけどねえ。
「ねえ、日夏」
「何?」
「ずーっと大好きだよ」
まあ、いっか。
きみが隣にいてくれるなら。
✿おしまい✿
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