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残りの一ヶ月をこいつに……?
浅田ってば。
また、変なこと、言ってるし。
「は? どゆこと?」
「そのまんま。ね、いいでしょ。先輩の残りの一ヶ月、ずっとオレ、そばにいたいから」
うーん。
いくらあたしが卒業するからって、
そこまで言われるようなことか?
なーんて、
疑問が浮かんだけど。
「お願い」
うるうるキラキラの瞳で、じっと見つめられてしまって。
「うー、負けた! いいよ」
「ほんと~! やった!」
あたしと試合して勝てたことないのに。
彼のこういうとこに弱いせいか、つい甘やかしてしまった。
「じゃさ」
「ん?」
「今日、先輩と一緒帰っていい?」
「いーけど、方向どっち?」
「えへへ、先輩と同じほうだから。途中まででいいから、ね」
そんなこんなで、ルンルンと浅田があたしの手を引っ張る。
「あ! こらっ」
「いーじゃん、いーじゃん。帰ろ?」
そして、あたしはまた、彼を甘やかしてしまうのだった。
***
「おはよー!」
「はいはい、おはよう」
登校して。
校門の前に浅田。
あたしを見つけたら、
小走りで寄ってくる。
「せーんぱいっ」
「なんだよ、もー。浅田は朝から全開すぎ」
「全開って何が?」
「浅田が全開」
「へぇ……?」
自覚、ナシですか。
「あんたさぁ、ほんと、あたしのコト、好きだよねぇ」
「え? あ、うん。そーだけど?」
浅田はあたしを見下ろしながら、うなづいた。
悔しいけど浅田って、一年のときは、あたしより少し背が高いくらいだったのに、
今じゃ並んでて、あたしがやつを見上げている。
そーいや、
足も長くてスタイルもいいし、
姿勢もすごく凛としていていい。
女子に人気なんだろーなってのは、ひしひしと感じてるけど、
そういう話、聞いたこと、ないんだよな~。
「ね、浅田」
「なに?」
「浅田ってさ、好きな人いないの?」
「先輩!」
「そこで即答するな、ストーカー! そーいう憧れの好きじゃなくて、恋愛の好きだからね?」
「あー、そっかぁ」
浅田は少し考え込む。
「ヒミツ」
こくんと小首をかしげて、そう言った。
「なんじゃそりゃ」
あたしは、出鼻くじかれた感じ。
だって、こいつ、あたしに隠し事なんてしたコトなかったから。
「べつに誰って聞いてるわけじゃないんだけど」
「おっ、先輩、気になるの? オレのプライベート事情」
「べつに、そんなわけじゃ……」
「わかった! じゃあ、今度、デートして」
「は?」
デート?
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