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✿1.好きなひと

5.

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 一瞬の間。
 だが、慌ててわたしは体勢を立て直す。

「大丈夫!?」
 駆けよれば、お姉ちゃんは、
「平気、平気」
 と、薄ら笑いで。

「もう! 危ないんだから!」
 口先とがらせて怒るわたしに、
「いや、ごめんごめん。いやぁ、あたしってドジっ子ぉ」
 と、なんともまあ、ご気楽なこと。

「里佳子さんは?」
「リカは?」
 わたしとお姉ちゃんの注意は、
 ほぼ同時に里佳子さんへと、写る。

「ううん、平気。ちょっと擦りむいたみたいだけど」
 そういう里佳子さんは、ひじの部分に――。

「うそ! 全然平気じゃない!! 先輩、擦りむいてますよ!!」
「へーきだってばぁ」
 のほほんと言葉を返す里佳子さん。

 でも――。

「駄目です! 一回、うち、寄ってから帰ってください!
 今、救急箱、用意しますね!」

 わたしはバタバタと室内に戻る。
 だって。

 見ちゃったんだもん。
 

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