怖いお話。短編集

赤羽こうじ

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ドッペルゲンガー 日常③

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 その後いつも通りの学校生活を送り昼休みになると再び響香が話し掛けて来た。

「ねぇそれで雄一君今日来てないけどどうしたのかな?」

「う~ん、昨日は元気だったんだけどな。何かあったかな?」

 淳士が少しわざとらしく顎に手を添え首を傾げると、響香が笑みを浮かべながら顔を近付ける。

「ねぇまた喋ってたらあの子に睨まれそうだから場所変えようよ」

 耳元でそう囁かれ、淳士は思わず気分を高揚させてしまう。
 平静を装いながら響香と二人並んで歩いて中庭のベンチにやって来ると、淳士が座りその横に響香も腰を下ろした。

「牧村さん、いちいちうるさいのよね。ひょっとして淳士君と喋ってたから邪魔されたのかな?」

 僅かに口角を上げてそんな事を言って覗き込む響香を見て淳士の胸が高鳴る。

「そんな訳ないだろ。牧村は他に彼氏いるみたいだし」

「えっ、嘘?本当に?」

 目を丸くさせ驚いた表情を見せる響香を見て淳士も思わず笑顔になる。淳士は昨日、ショッピングモールで見かけた牧村の事を話すと響香は興味津々に何度も頷きながら聞いていた。

「へぇ、あの牧村さんがねぇ」

 響香が感心する様に頷いていると二人の前で一人の足が止まる。

「よっお二人さん、今日も仲が良いな」

 その声を聞き、二人が慌てて顔を上げるとそこには満面の笑みを浮かべて雄一が立っていた。

「雄一君?」
「お前何してたんだよ?ひょっとして今来たのか?」

 二人が少し驚きながら問い掛けると、雄一はバツが悪そうに頭を搔く。

「いやぁ、朝起きたんだけど二度寝しちまって目が覚めたら昼前だったよ。一応昼からだけでも出とこうと思って今来たらお前達がベンチでいつも通りいちゃついてたからさ」

「いちゃついてないっ」

 二人揃って同音で叫ぶと雄一はニヤリと笑って去って行った。
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