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神社
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「ねぇねぇ、あの神社の噂本当らしいよ。本当に願いが叶うって」
「え? でも相当やばいんでしょ? 誰か試せた人いるの?」
「ほら二組の相原って子、今度雑誌の表紙飾るらしいよ」
「ああ、なんか前から読者モデルしてるって言ってたもんね。それって例の神社でお願いしたって事?」
「らしいよ。まぁ本人が言ってたんじゃなくて噂だけどね」
ある日学校でクラスメイトの女の子達が少しおかしな噂話をしているのを私は聞き耳を立てながらいつも通り一人でお弁当を食べていた。
彼女達が楽しそうに話していた『神社』とは最近一部の人達の間で噂になっている神社であり、願い事をすれば何でも一つ叶えてくれるとか。ただし場合によっては自分の大切な物を一つ奪われるという噂もある。
まぁ何事にも対価は必要であり、神様仏様でも対価を求めるという事なんだろう。
「ねぇ、もし願い事がなんでも叶うなら藤村さんだったらどんな願い事する?」
さっきまで二人で盛り上がっていたクラスメイトが突然私に話を振ってきた。
藤村姫華。それが私に背負わされた名前である。見た目は地味で中学一年ぐらいで成長が止まったんじゃないかと思える様な貧祖な身体。『名前だけは可愛い』よく言われるセリフである。おかげで心の中で毒を吐くぐらいに私の性格もひねくれてしまった。
何はともあれ不意をつかれた私は思わず目を丸くさせつつも平静を装い答える。
「わ、私ですか? そうですね、数学が苦手なんでそこを補ってもらいますかね」
「流石藤村さんね。私なら絶対勉強なんかには使わないわ」
私が愛想笑いを浮かべながら答えると、二人は顔を見合わせて笑っていた。
私だって本当はそんな使い方したくないに決まっている。あくまでも貴女達の中にある私の印象を壊さないように答えただけだ。
私だって本当はモデルの様な身体を持った美人になってみたいし、超絶男前な優しい彼氏だって欲しい。
ただ今の私がそんな事を言えば高確率でかなり引かれるのは目に見えている。だから私は無難に答えた。
その日の夜。私は家の自室で宿題をする為に机に向かっていたのだが、昼間の学校での事が何故か頭から離れなかった。
あの時、私は無難な答えを選び口にした。しかしあの時、もし私が本心で答えていたらあの子達はどんな反応をしたのだろう? いつから私は本心を隠しながら過ごしてきたのだろうか? こんなんだからいつまでも友達なんか出来ないのだろう。少し自己嫌悪に陥ってしまう。
こんなに地味でひねくれた私でも告白された事はある。相手は特にかっこよかった訳でもないがこんな私でも好意を持ってくれたと思うと少し嬉しかった。あの時ちゃんと恋愛に発展していれば私はここまでひねくれなかったのだと思う。
告白された後、私は気分が高まり思わず「どうして私に告白してくれたの?」と聞くと相手は「いや、藤村だったら付き合えるかなと思って」と言って苦笑いを浮かべていた。
私は何も言わずに笑顔で思いっきり平手打ちを見舞ってやった。
「ご、ごめんなさい。悪気は無いんです」
相手は真っ赤になった左頬を押さえながら涙目で謝っていたのを憶えている。
『悪気が無いなら余計にタチが悪いわ』などと思いながら私は「死ね、クソが」と笑顔で罵りその場を去って行った。今思えばあの時が人に対して感情を露にした最後の時かもしれない。
世の中には私みたいな地味で貧祖な身体をした女の子が好きな男性もいるとは聞いた事はあるが、そんな特殊性癖の方に私はまだ会った事はない。
私だって本当は人並みの幸せを感じてみたい。私だって楽しい学生生活を送ってみたい。私だって……
そんな事を考えていたら勉強なんて手につかなくなっていた。
もし噂の神社に行ったら本当に願いは叶うんだろうか?
そう考えると私はすでに噂の神社について調べ始めていた。
「え? でも相当やばいんでしょ? 誰か試せた人いるの?」
「ほら二組の相原って子、今度雑誌の表紙飾るらしいよ」
「ああ、なんか前から読者モデルしてるって言ってたもんね。それって例の神社でお願いしたって事?」
「らしいよ。まぁ本人が言ってたんじゃなくて噂だけどね」
ある日学校でクラスメイトの女の子達が少しおかしな噂話をしているのを私は聞き耳を立てながらいつも通り一人でお弁当を食べていた。
彼女達が楽しそうに話していた『神社』とは最近一部の人達の間で噂になっている神社であり、願い事をすれば何でも一つ叶えてくれるとか。ただし場合によっては自分の大切な物を一つ奪われるという噂もある。
まぁ何事にも対価は必要であり、神様仏様でも対価を求めるという事なんだろう。
「ねぇ、もし願い事がなんでも叶うなら藤村さんだったらどんな願い事する?」
さっきまで二人で盛り上がっていたクラスメイトが突然私に話を振ってきた。
藤村姫華。それが私に背負わされた名前である。見た目は地味で中学一年ぐらいで成長が止まったんじゃないかと思える様な貧祖な身体。『名前だけは可愛い』よく言われるセリフである。おかげで心の中で毒を吐くぐらいに私の性格もひねくれてしまった。
何はともあれ不意をつかれた私は思わず目を丸くさせつつも平静を装い答える。
「わ、私ですか? そうですね、数学が苦手なんでそこを補ってもらいますかね」
「流石藤村さんね。私なら絶対勉強なんかには使わないわ」
私が愛想笑いを浮かべながら答えると、二人は顔を見合わせて笑っていた。
私だって本当はそんな使い方したくないに決まっている。あくまでも貴女達の中にある私の印象を壊さないように答えただけだ。
私だって本当はモデルの様な身体を持った美人になってみたいし、超絶男前な優しい彼氏だって欲しい。
ただ今の私がそんな事を言えば高確率でかなり引かれるのは目に見えている。だから私は無難に答えた。
その日の夜。私は家の自室で宿題をする為に机に向かっていたのだが、昼間の学校での事が何故か頭から離れなかった。
あの時、私は無難な答えを選び口にした。しかしあの時、もし私が本心で答えていたらあの子達はどんな反応をしたのだろう? いつから私は本心を隠しながら過ごしてきたのだろうか? こんなんだからいつまでも友達なんか出来ないのだろう。少し自己嫌悪に陥ってしまう。
こんなに地味でひねくれた私でも告白された事はある。相手は特にかっこよかった訳でもないがこんな私でも好意を持ってくれたと思うと少し嬉しかった。あの時ちゃんと恋愛に発展していれば私はここまでひねくれなかったのだと思う。
告白された後、私は気分が高まり思わず「どうして私に告白してくれたの?」と聞くと相手は「いや、藤村だったら付き合えるかなと思って」と言って苦笑いを浮かべていた。
私は何も言わずに笑顔で思いっきり平手打ちを見舞ってやった。
「ご、ごめんなさい。悪気は無いんです」
相手は真っ赤になった左頬を押さえながら涙目で謝っていたのを憶えている。
『悪気が無いなら余計にタチが悪いわ』などと思いながら私は「死ね、クソが」と笑顔で罵りその場を去って行った。今思えばあの時が人に対して感情を露にした最後の時かもしれない。
世の中には私みたいな地味で貧祖な身体をした女の子が好きな男性もいるとは聞いた事はあるが、そんな特殊性癖の方に私はまだ会った事はない。
私だって本当は人並みの幸せを感じてみたい。私だって楽しい学生生活を送ってみたい。私だって……
そんな事を考えていたら勉強なんて手につかなくなっていた。
もし噂の神社に行ったら本当に願いは叶うんだろうか?
そう考えると私はすでに噂の神社について調べ始めていた。
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